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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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博士の本棚
図書館と本棚、博士の本棚、ちょっと散歩へ、書斎の本棚の4章に分けられた数多くのエッセイ。2007年7月25日発行。
本の話、小川さん自身の話が盛り込まれていて、面白く読んだ。

『犬が星を見た』あとがきより。
 夕暮れ時、私が窓からこっそりのぞいているのに気づかず、彼はポーチに座り、やや首を傾げ、じっと夕焼けを見つめていた。巣に帰ってゆく鳥の群れや、風にそよぐ木々の気配にも惑わされず、何かを考えていた。普段私の前で魅せるおばかな表情は消え、哲学者の風情を漂わせていた。人間には見えないが、確かにそこにあるらしい真理について、考察を巡らせているようだった。


『時間と空間を宙に浮かんだ塊に彫刻してゆくような小説の数々』より。
 つまり私にとって、短編小説とはこういうものなのだ。ありきたりの世界の、そこだけが特別な光に照らされ、くっきりと浮き上がってくるような感じ。その光に導かれ足を踏み入れてゆくと、底知れぬ空間が隠れていて、恐れにも似た気持ちが湧いてくるような感じ……とでもいうのだろうか。


『閉ざされた徒労感』より。正常と異常、現実と虚構などさまざまな境界線を見るようになってから。
 境界線を意識的に踏み越え、あるいはその上に留まり、現実を異化してゆく試みから、わたしの小説はスタートした。


なんかきらきらしてるなあと思う。静かに光っているという印象。紹介の本は難しそうで何だか手が出ないけれど、でもいつか読んでみたい。小川さんの作品も読み返そうと思った。
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チョコレートコスモス
すごく面白かった! 舞台っていい。
で、余談だけどこの前に「中庭の出来事」を読んでいたので、舞台っていう設定に繋がりがないかなーと思ったんだがそんなことなかった。
響子と飛鳥が光ってる。暗い舞台の中で、二人が向き合っているのがポスターとかだとかっこいいなあと思うのだ。やっぱりオーディションの「欲望という名の電車」はそれぞれに面白かった。
最後、飛鳥がどこか吹っ切れて楽しそうなのがすごーく良かった。きらきらしてた。
本を持っていた時に「チョコレートコスモスって花言葉は愛の別れなんだよ」と人に言われてそうなんだーと思って関係あるのかなとわくわくしながら読み進めていたので、ラスト、花が出て来たのはおおっと思った。コスモスは宇宙とかけてあるんだな。
鏡のなかの鏡―迷宮 (岩波現代文庫)

連作短編集。一つの話は短いもので2ページ、長いもので20ページくらいか。
『はてしない物語』『モモ』『ジムボタンの機関車大旅行』を読んだ身としては、こういうグロテスクで不可思議な話ばかりが続いていると驚いてしまう。ここには子どもが望むような明るい夢ではなくて、永遠に続く悪夢を描いているかのよう。
この物語の中は、生と死というより、永遠の夢、生死の中間地点であるように思う。「湿地のように暗いのは母の顔だ」が恐ろしかった。永遠に続く、というのが表されている気がして。
「手に手をとって、ふたりが道を」では、子どもが授業という形で、楽園を見てきたという男に出会う。子どもが出て来ると、物語が華やぐような印象を持った。
「黒い空のした、ひとの住めない国が」で魔術師がエンデと名乗り、少年が「ミヒャエル」と名付けられ、二人が暮らせるような世界を探しに行こうと言い出すのは、物語を書き進めている作者の姿が浮かんでくる。子どもの心と大人の心を持った自分、そうして自分が望む世界を探しているように思えて、わくわくしつつも少し寂しい気分になった。
いのちのパレード
早川書房の異色作家短編集に影響を与えられた著者による「奇想短編シリーズ」14編に一編の書き下ろしを加えた15編。
場所は秘密、参加者も抽選、逸話があるW村の観光旅行に参加した「私」たちは、地面から生えてくる石の手を見る。「観光旅行」
彼女の人生とロボットとスペインの苔に関する「スペインの苔」など。

すごく良かった! 翻訳小説っぽい雰囲気、暗くてユーモアに満ちていて、この表紙がしっくり来るまさに「奇想短編」。あちこちで見る評価がすごく良かったというのと合わなかったというので極端に別れていたので、気になっていたのに私にはすごく合った。シリーズ物好きの母は、「上手い。実力のある作家の作品はやっぱり面白い。けれどもっと膨らましてくれーと思う」とのこと。
「あなたの善良なる教え子より」はテーマが重たくて、でも文学的な感じ(いつもの偏見)がして好きだった。ラストの展開もぞくっとする。
一番好きな「夜想曲」。芸術の神々から祝福を受けたのはロボットの青年という設定、その淡々とした雰囲気が余計興奮させる。
誰かが、恩田陸は振り返った瞬間のぞくぞくっとしたものを書くのが上手いと書いていた(という風に覚えている。全く違う表現だったはず)、その言葉がよく分かる作品集でした。
朝日のようにさわやかに
五年ぶりの短編集。「水晶の夜、翡翠の朝」「ご案内」「あなたと夜と音楽と」「冷凍みかん」「赤い毬」「深夜の食卓」「いいわけ」「一千一秒殺人事件」「おはなしのつづき」「邂逅について」「淋しいお城」「楽園を追われて」「卒業」「朝日のようにさわやかに」

「水晶の夜、翡翠の朝」はアンソロジーの方に載っていた麦海のヨハンの話。どれも面白い一話完結。「赤い毬」や「卒業」はちょっと分からなかったけれど。
好きなのは「冷凍みかん」。これは短編にふさわしくテーマが笑えるものだし、恩田さんの特徴として底にある恐怖がある。ミステリーとしては「あなたと夜と音楽と」が良い。ラジオ形式っていいな。「おはなしのつづき」はじんわりする。結局どうなったのかというのがちょっと分かりにくかったかな。一番好きなのは「楽園を追われて」だ! 友人の死に遺稿を託された四人は一堂に会してその作品を読む。この大人の疲れた感じが漂っているのに、最後にはみんなこっそり原稿を持ち帰って何かやろうとする希望が良い。
黄昏の百合の骨 (講談社文庫 お 83-5)
大量の百合が花開く白百合荘は祖母の家。だがその祖母が転落死、遺言は理瀬に半年以上この館に住むこと。しかしその家は「魔女の家」と呼ばれており、叔母が二人住んでいた。不吉な事件が起こる中、館の秘密と彼女の闇が浮彫になっていく。

麦海に続く二作目。
これはなんと略すのだろう。植物に関連するタイトルを付けているみたいなのでこの前百合と書いたけれど。
これもまたずっと暗闇の気配を感じる作品で、これは黒のイメージがある。黄昏は少し雲が覆いどんよりとした感じの色。
ミステリーじみた非日常という感じで、底の方にずっと恐いものが潜んでいる感じがある。だからやっぱりじんわり怖いんだな。
理瀬が頭の回る子で怖くなってくる。でも雅雪との会話は普通の女の子らしくて良いなという感じ。あの時思い浮かべたのはやっぱり黎二だろうか。
これ再読してびっくりした。理瀬とヨハンって、えー!? みたいな。それから次回に向けての伏線、それも極太の伏線がどーんと。
三部は現在連載中。一年後ぐらいには単行本になるかな。

アンケートからオススメでした! 恩田陸だいすきなんですよ、私!
麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
三月から始まる不思議な学園に水野理瀬は転校してきた。革のトランクとその身一つで、閉じられた全寮制の学園へ。そこには家族から望まれない『墓場』組と望まれる『ゆりかご』組に密かに分けられる生徒たちで溢れていた。学園の駅へ降り立つその時、理瀬は革のトランクを盗まれてしまう。彼女がそれを取り戻す時、新しい物語が始まる。

確か三部作であるというのを見たことがある。これだけで完成されているのでこの本が今のところ一番好きだ。
私の麦海は上品なグレイ。作中に夏や青い丘という表現があるにもかかわらず、灰色の雲や風を見えるのはすごい。ずっと灰色の空気が漂っているような気がする。暗闇と灰色と白の印象がとても綺麗だ。
黎二が、ちょっとやさぐれてても上品な少年というのが良い。憂理もヨハンも聖も好きだけれど、でもやっぱり理瀬が一番好きだ。物語中のちょっと弱気なところ。気弱だけれど芯が強い頭の良い美人な子というのが良い。最後の豹変ぶりが格好いい。
ラストは余韻が残って綺麗だ。始まり方も素晴らしいと思う。

 ――そして、時の花びらを散らす。



という一文で、湿原の道を車が向こうへ過ぎ去っていき、水色の花びらがこちらに向かって飛んできて終わるイメージが浮かぶ。本当にこれはラストが素敵で、これと始まりを読む為に本を開くぐらい。

アンケートからのオススメでしたが、私もこの本だいすきですよ!
鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)
汚染された大地を移動する〈自立型移動都市〉レギオスで生活する人類。そのひとつ学園都市ツェルニにやって来たレイフォンは一般科を希望するが、武芸科に引き抜きされる。しかしレイフォンにはどうしても戦いを選べないのだが。

面白い! ライトノベルで学園ものってやっぱり苦手な印象があるのだけれど、良い!
女の子ばっかりだなーという印象で、男の子の仲良しが欲しいなあと思ったりする。同性の信頼関係が好きなんけどな!
レイフォンのうじうじが何だか良かった。真っ直ぐさは共感するものがあって、見守りたいという母性本能がむずむずする。
戦闘が結構濃い感じがして好きです。発生していることは単純なのに独特の世界があって素敵だ。
この物語、一巻で収めたらどうなってただろうなあとか考えた。そんなことより続き買いますよ!

アンケートからのオススメでした。ありがとうございました!
バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)
文月学園。そこは進級テストでAからFクラスまでクラス分けされる学校。そして更にその学園を特別にしているのは試験召喚獣を開発し導入していること。Fクラスの明久は教室に嫌気が差し、友人の雄二とクラスメートたちと共に"試召戦争"を始めることに。

これは良いギャグ。ライトノベル! という感じの学園物で苦手かなと思ったけれど、面白い。
試験の点数を召喚獣に換算するというのが意表を突く設定だなと。文字にすると分かりやすくていいな。
Bクラス戦でムッツリーニが来たのに笑った。すごい勢いで興奮ゲージが上がった。そのままAクラスとの対決で何の疑問も持たず読んでいたら、オチがついて爆笑した。そうだよな、おかしいよな! そうだよな!
人間関係のあれは結構べただと思うけれど、ぐいぐい来る勢いがあって面白かった!

アンケートからのオススメでした。ありがとうございました!
小説以外
恩田陸のエッセイ集。新聞雑誌などから、読書について、料理について、自作についてなどが語られる。

読書が好きな為に書いている、ということが書いてあったような。感想を書く前に図書館に返却してしまった。
読書遍歴が読めて嬉しかった。たくさんメモした。料理も美味しそうで困った。
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Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
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