読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
片田舎に暮らす少年・江都日向(えとひなた)は劣悪な家庭環境のせいで将来に希望を抱けずにいた。
そんな彼の前に現れたのは身体が金塊に変わる致死の病「金塊病」を患う女子大生・都村弥子(つむらやこ)だった。彼女は死後三億で売れる『自分』の相続を突如彼に持ち掛ける。
相続の条件として提示されたチェッカーという古い盤上ゲームを通じ、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、彼女の死に紐づく大金が二人の運命を狂わせる──。
壁に描かれた52Hzの鯨、チェッカーに込めた祈り、互いに抱えていた秘密が解かれるそのとき、二人が選ぶ『正解』とは?(Amazonより)
身体が極めて金に近しいものに変質する難病に侵された女性と出会った少年。サナトリウムの反対派の母からは見向きもされず、再婚した義父は心を病み、この閉塞的な場所からどこにも行けないと思っていたが……。
本当のことを教えてくれない語り手という感じ、江都の性格を表しているようで寂しいな……。一つ何かが動き出せば、あっという間に崩壊するような空気感のある話で、相続の話からの周囲の掌返し、その後の逃亡劇などはもうどきどきしてたまらなかった。それがふっと、ようやく力を抜くことができる瞬間の読み心地がとてもよかったなあ。
最後に彼が手にしたものは。それもまた、ロマンチックでした。
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