読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。——千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。
ようこそ、ビューティフルワールドへ。(カバー折り返しより)
鳥取の旧家、赤朽葉家に輿入れした山の人の忘れ子、万葉。レディースとして中国地方を制覇した後大御所少女漫画家になった毛鞠。不思議な力もエピソードもないわたし、瞳子。瞳子が聞き取った家と祖母と母の物語を、現代史を交えながら語る作品。おおー読み応えあったー。語り始めるといろんなところが面白い作品だなあと思い返して感じる。
現代に生きる私たちは祖母や曽祖母の話を聞き取ると、それが非日常的な伝説のように感じられる感覚や、女の物語に男は時に華やかに、時に影となって語られる感覚が、わかるわかるって感じて面白い。
万葉、毛鞠、瞳子の他に、万葉の姑に当たるタツも、個性的な赤朽葉家の女の一人ですね。家という魔力が弱まっていくと同時に、女たちも少しずつ形を変えて、時代を象徴する一人になるのが読んでいて興味深かったです。
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