読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
時は平安——。京のはずれの邸に暮らす、靖子と咲子。最近、咲子には気がかりなことがあった。靖子が、気味の悪い男につけ狙われているのだ………。(表題作)都でも屈指の美姫といわれる奏子。密かに、血の繋がらない兄に恋をしていたが、ある日、一冊の日記を見つけてしまい…?(瑠璃と桜の人魚姫)——四季折々の京が舞台の、戦慄のホラー短編集。全4編収録。この世で一番怖いのは、だあれ?(裏表紙より)
ホラーと聞いていたけれどコバルトだから、死んだ夫がやってくるとか、猫の亡霊が助けてくれるしっとり系の話なんだろう、なんて思っていたんですが、甘かった。しょっぱなから魔性に取り憑かれた男につけ狙われたり、上記あらすじの「瑠璃と桜の人魚姫」なんてカニバリズムですよ。いい意味で期待を裏切られて「はわわわあ」ってなりました。平安ものでこういう病んでる感じのものって初めて読むので新鮮です。
「朧月夜の訪問者」「瑠璃と桜の人魚姫」のほか、火事にあった自分を助けてくれた少年を失って以来声をなくした姫のお話「白露の契り」、魔物を見る目を持つ孤児が陰陽師の血筋、由利家に引き取られるも次第に心を病ませていく「紅雪散らす鬼」を収録。この中で恋が成就するのは「白露の契り」だけで、書き下ろしというのも納得。この話がなければ後味がとっても悪いです。ほかの話はだいたい誰か死んでいます。
そういう意外性や読み易さも含めて面白かったです。
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