読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「斎藤先生が私やあなたの話に見出しをつけてくれると、あっというまに次のページや次の章に進めます。それは人生と時間の大いなる節約なのです。」内田春菊
「毒親論」を手放し、その先へ進むために!(帯より)
毒親に関連する本はたくさん出てくるようになりましたが、これは毒親をなじるのではなく、親を毒親、毒親、と呼ぶひとたちに、「果たして本当に毒親なのか?」「自分が次の段階に進むためには?」という内容で、今まで読んできたものと正反対だったので非常に興味深く読みました。
過食症も、アルコール依存症も、うつ病も、あなたを守るための病気なので、ひとまずそれを受け入れてみて、次の段階に進んでみてはどうだろう? という内容でした。なるほどなー。そう考えると、少しだけ休んでもいいかな、という気持ちになるかも。
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山野内荒野は十三歳。父と、家政婦の奈々子さんと、鎌倉の家に三人で暮らしている。恋愛小説家の父は、常に女性の気配をまとい、まるでかげろうのよう。中学生になった日、電車の中で助けてもらった少年に恋をする。
第一部、第二部は、少女が背伸びしつつ成長する物語だったのですが、書き下ろしの第三部が、かなり「女」の物語の気配を帯びていて、書くものが変わった感じがするなあ、と思いながら読みました。この作品は、甘酸っぱくて苦しい青春小説の部分が好きだったので、最後に感じが変わったのは、ちょっと残念だったかもしれない。けれど、それが荒野の成長を描いたものとして意図的に書いたものなら、うまい、なあ。視線の運び方、立ち居振る舞い、台詞、全部がちゃんと自立した大人になってるんだもの。
面白かった。
かつて高度な知能を持った竜が支配し、魔素を利用した文明に支えられた世界。
十年の間、戦争を繰り広げてきたメフィウスとガーベラは王族同士の政略結婚により、その長い戦いに終止符を打とうとしていた。
幼い頃、戦争により故郷を追われ剣闘士となったオルバは、瓜ふたつの容姿をしていることから、婚礼を控えた、うつけと噂されるメフィウスの皇子とすり替わることになる。一方、勝気なガーベラの姫、ビリーナは皇子を籠絡して自国の利益を図ろうとひそかに決意する。そんな二人の婚礼の途中、何者かの襲撃があり——!? 二人の思惑と和平の行方は?
杉原智則が贈るファンタジー登場!(カバー折り返しより)
一時たくさん出ていたような気がする、身代わり、入れ替わりものであり、戦記ものです。そういうものって結構主人公が振り回されるんですけど、この作品の主人公オルバは、したたかに生きる手段を講じて策を巡らし、足場を固めていく。その確かさが面白い!
剣闘士仲間ときっぱり縁を切って、知らないふりをするのかなと思っていたら、そうではなく、正体を明かして一緒に戦うという、熱い展開。ビリーナとの関係も、これからがすごく楽しみだし、誘惑する役らしいイネーリがすごく気になる。そしてどういう結末を迎えるのか、最後まで読みたい。
春夏秋冬それぞれの娘たち。季節の名を冠するように私たちも色鮮かに。私は冬都。寒さに凍るものたちは時として割れる。自らが割れるとき、相手を割るとき。血が流れるまもない瞬間的に。<本文より>(帯より)
とあるわがままなお嬢様の取り巻きを、楽しいから、益があるからという思惑で寄り集まっていた、春都、夏都、秋都、冬都の高校生四人。しかし、そのお嬢様が、スケートリンクとなった湖の氷を踏み割り、落ちて亡くなってしまう。果たしてこの死は、事故なのか、故意なのか。……というような、人の死にまつわってしまう話を、四人それぞれでやりますという作品です。謎の解き手は、他のシリーズ作品に登場する男性陣。主人公それぞれも思いを寄せつつ、自らの心を脱皮させていくわけですが……。
この、心理ミステリーというのか、人の心のちょっとした作用を用いて謎解きをするのが、うまいなあ、と最近読んでいたいくつかの作品を見て感じるのでした。最後に収録されている「通訳」、面白かった。最後のオチもくすっと笑えて。
正子が魔作子を殺害した。異常心理による犯行として精神鑑定へ。吹原医師の分析が進むうちに明らかとなる魔作子の奸計。一転、加害者が被害者に。オムニバス形式で描いた深層心理の妙。(帯より)
内容紹介を読むと、ああまたもう一人の自分が存在するやつかと思いきや、同じ読みの違う名前にしてあるのは、ある種の鏡像であるという意味であって、精神鑑定のカルテの内容を話しに仕立てたものだった。これ、今までと趣向が違う上に、人のさりげない悪意を拾っていて、面白いぞ……。
館シリーズの吹原が医師として登場。すでにお医者さんになっているので、今まで読んだ中では一番未来の話かな。つかみどころのない感じが探偵役だなあと思いました。
なめ子、住まい美人に変身!
口癖は「掃除は、明日……」。片付けられないから、劣悪な環境で無気力になり、ますます部屋が汚くなる、という負のスパイラルにはまったまま厄年まで生きてきた辛酸なめ子。ある日、輝くばかりのマンションモデルルームに目を奪われ、購入を決意!はたして彼女は「片付けられる女」に変身できるのか?片付けベタを自認するすべての女性に贈る、引っ越しデトックス体験記!(裏表紙より)
もともとブログで書いていたものを単行本化して、文庫化したものなのかな? 部屋の掃除ができないと言いながら、片付けをし、でもできず、引っ越し先を物色し、引っ越しを決め、引っ越すまでの顛末記。やたらとスピリチュアルな方面のことを気にしているのがたいへん気になります。方角が悪いと体調が悪くなるものなんでしょうか。あと、こういう人はなぜ大金を用いて後悔しそうなものを揃えるのでしょうか……。
おばの館へ向かう途中、嵐にあった涼子と哲文は、不思議な館にたどり着く。涼子は、その館の持ち主である波路が、自分のよく知る千波とよく似ていると感じる。そして、導かれるようにして、一人の男が現れた。彼は、波路と結ばれるはずだった運命の恋人で。
館三部作の番外編? だいぶと昔に読んだので、館シリーズのことがよく思い出せないんですが、この前『影の姉妹』を読んだところだったので、こんなに輪廻転生について書いている人だったのか……とびっくりする。構造的には、すごく『影の姉妹』と似ているなあと思いましたし、やっぱり『雪の断章』を書いた人だな、という感じでした。
未来のことを知る女性が、時を超えて三つの家に遺産を受け継がせていく話なんですが、結局その後どうなったのかすごく気になる!
親方さまと邇々玉さまが奉公人とひっそりと住む山峡の隠れ里。皆んなが命を賭しても守りぬかねばならない重大な秘密——それは邇々玉さまの血脈を流れる不思議な遺伝子にあった。宿命の子、邇々玉、またその血を受け継ぐ子……。転生の命に繰り返しあらわれる悲劇の因子の消えるときはない。数奇な生涯を運命づけられた女たちの足跡を幻想の翼を伸ばして描く感動のSFロマン(カバー折り返しより)
隠れ里に住まう邇々玉(ににぎ)は、双子。だが、様子がおかしい。あちらの彼女が傷つくと、こちらの彼女が傷つく。まるで残像のように分かれる二人。
この不思議な少女が、庇護者である親方さまの子どもを身ごもる。生まれたその子を守ろうとする館の人々。だが、秘密を知られる危機のたびに、一人、二人と減っていく。ねえやの多瑞は、残された子を守るため、一生を捧げる。
秘められた娘と、彼女を理解し愛する男と、娘を託す庇護者と。三者の輪がくるくる回る、はっきりとは書かれてはいないけれど転生の物語。過去の人々が、亡霊のようにして子孫を守るために立ち現れるところは、因果というかすでに呪いに近いかもなあ、と思ったり。
佐々木丸美作品でも、だいぶと文章に癖があるんですが、単語の選び方やリズムがよくて、なんだか浸ってしまった。