読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
堺雅人は鞄に原稿を書くための道具を入れて、持ち歩いている。撮影の合間に楽屋で、休みの日に喫茶店で、「演じる」ことについて考え、文章にするのだ。そうして生まれた54作の本格エッセイに加え、作家の宮尾登美子氏、長嶋有氏との対談やインタビュー、写真を掘り起こして収録。役者の思考や日常が垣間見える一冊。出演作品リスト付き。(裏表紙より)
めっちゃくちゃ頭のいい人だなあというのと、その静かな思考が文章が伝わってきて、すごいなあと思いました。現在何を撮影しているのかちらっと何を演じているのかが書かれているのですが、あまり詳しくない私でも読んだだけで何の作品がわかる。個人的に「ヒミツの花園」のことがちらっと書かれていて嬉しかったり。撮影風景がちらっと覗けた気がするのも面白い。
すごーく気を抜いていてマイペースな人に見えるけれど、内側にあるものが深くてすごいなあと。思考を文章に落とし込むってすごく難しいと思うので、このエッセイ集が読みやすいのもすごいと思いました。
PR
“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。——千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。
ようこそ、ビューティフルワールドへ。(カバー折り返しより)
鳥取の旧家、赤朽葉家に輿入れした山の人の忘れ子、万葉。レディースとして中国地方を制覇した後大御所少女漫画家になった毛鞠。不思議な力もエピソードもないわたし、瞳子。瞳子が聞き取った家と祖母と母の物語を、現代史を交えながら語る作品。おおー読み応えあったー。語り始めるといろんなところが面白い作品だなあと思い返して感じる。
現代に生きる私たちは祖母や曽祖母の話を聞き取ると、それが非日常的な伝説のように感じられる感覚や、女の物語に男は時に華やかに、時に影となって語られる感覚が、わかるわかるって感じて面白い。
万葉、毛鞠、瞳子の他に、万葉の姑に当たるタツも、個性的な赤朽葉家の女の一人ですね。家という魔力が弱まっていくと同時に、女たちも少しずつ形を変えて、時代を象徴する一人になるのが読んでいて興味深かったです。
兄の悲劇を知ったオルバは、その元凶である自軍の将軍・オーバリーへの復讐の念を新たにする。オルバが泣くのを目撃してしまったビリーナは接し方を思いあぐね、また帝都からは“皇太子ギル・メフィウス”の正体について疑念を持つイネーリが来訪する。
ついに復讐へと動きはじめるオルバ。一方、ビリーナの故国・ガーベラへ隣国エンデの公子・エリック率いる軍勢が進発。開戦まで一刻を争う事態となっていた。オルバは“皇太子ギル”として、そして“オルバ自身”として決断を迫られるが——。(カバー折り返しより)
鬼のような引き方をされて「どうなるの!?」という第4巻。第1部完結なんですね。
ギルは偽物だと確信を持ちつつあるイネーリ。復讐心にとらわれてオルバとしての顔が出てしまっている状態で、オルバは彼女を挑発。さてどうなるというところで、復讐を果たしたオルバは失踪。ビリーナとだいぶと打ち解けてきたというのに、どうなるんだこれから……。
帝都ソロンでの反乱を阻止しますます名声を高めたオルバは、皇帝により辺境のアプター砦へ赴くよう命じられる。そこはかつてビリーナの故国ガーベラに占領され、メフィウスへと返還されようとしている地だった。そしてその機を狙って隣国タウーリアが侵攻してくるという噂があった。
元剣奴隷の近衛兵などわずかばかりの手勢を率い、ビリーナと共にアプターへと進発したオルバ。一方、ガーベラではエンデ公国との戦端が開かれようとしており、メフィウスの援軍を必要としていた。一触即発の状況の中、寡兵しか持たないオルバがふるう采配とは——!?(カバー折り返しより)
第三巻。皇帝よりアプター砦へ赴くよう命じられたオルバ。皇帝の心中はいまだわからず、だがオルバはギルとして砦に攻め入ってきたタウーリア領主バズガンと戦う。
身代わりがばれるか!? というひやひやは今回少なめ。2巻までで疎外されがちだったビリーナは今回から参戦で、とってもかっこよかったです。オルバとビリーナ、ふたりで協力していけるかと思った最後の最後で、イネーリお前! っていう引きで! しかもタウーリアの姫エスメナもオルバに接近中。どうなるのかどきどきします。
イネーリは怪しんでたけれどその発言に根拠はあるのかなあと木になるので続きを楽しみに読もうと思います。
聖や弓生とともに怪異の根源である穂積関係の周辺事情を探る桐子。やがて彼女は穂積妙子に「寄生」しているものの正体が祟り神であり、このままでは妙子の生命力が喰らい尽くされるということを知る。桐子は祟り神を祓い落とすため、穂積逸人によって閉じ込められている塔から彼女を連れ出すことにした !ついにクライマックスを迎える神島桐子編。桐子と志郎の恋にもようやく決着が!?(裏表紙より)
妙子は魔性ではなく、禍つものに寄生されていることが判明。それを払い落とすために、神島、竹取が妙子を連れ出す。しかし妙子は自らの望みに逆らうことができず……。切なく喪失感のある結末でしたが、うん……好きな人のためにっていう思いがあったから妙子は桐子や清香と一緒に楽しい思い出を作れる時間ができたのではないかなとも思いました。多分妙子よりも早く本当の禍つものが動き出していたと思うので。
桐子と志郎もこれで決着! 釣り書きを持ってきたのはにやにやしました。よかったよかった。多分これからも前途多難なんだろうけど、二人でいるって決めたなら大丈夫だ。
そして案外かわいいぞ! と思ったのが朔と清香でした。志郎にライバル出現か!? とひやひやさせておきながら、一番身近な人に告白されて赤くなる朔がかわいいぞ! 清香は年下のおてんば従姉妹からかわいい恋人に昇格ですかね。よかったよかった。
帝華女学院に潜む闇。その鍵を握ると思われる穂積妙子が、ついに桐子たちの前に姿を現した。しかし普通の少女にしか見えない彼女は、自分がなぜ魔性と呼ばれるのかを知らないという。桐子と清香が学院内で調査を続ける一方で、学院の外では弓生と聖が動いていた。それぞれが得た情報を重ねあわせた時、隠れていた真実が見えてくる——。桐子と清香、そして妙子の恋心にも要注目な第二弾!(裏表紙より)
魔性のものと思われた妙子は普通の少女。桐子が美しい火をまとって見えるといって憧れているらしい。そんな彼女は予知能力があり、赤い糸を吐いた。外界に触れると汚れる魔性とは何か?
っていう面とは別に、桐子の見合い話も進行中。そこで登場したる迦具也さん。この人が実は……ってだいたい想像ついてましたけど狙った通りに出てきてくれてきゃー! って思いました。次巻は志郎と迦具也の対決が見られるかな?
昭和の動乱を近くに、桐子や清香や妙子といった少女たちの恋模様を見ると、可愛らしくて切なくなる。この事件、どう決着がつくのかなあ。
あと上巻でも思ってたんですが、特にこの中巻。めっちゃめちゃ表紙が綺麗! こういう水色と紫の寒色系の表紙ってめずらしい気がします。
時は昭和初期。陰陽道の影の部分を受け継ぐ神島家の当主桐子は、見合い話から逃げるため東京の女学院に通うことに。しかし軍が絡んでいると見られるそこには、精神に変調を来す生徒が出るという穏やかでない噂が流れていた。自らが使役する二人の鬼、聖と弓生の協力を得ながら噂の真相を探る桐子。どうやら学院の敷地内の塔に潜む何者かが鍵を握っているようだった——。そして桐子の恋に進展!? 全三巻刊行開始!(裏表紙より)
16歳になった桐子。見合い話から逃れるため東京に長期滞在する理由がほしいと情報を集めていたところ、軍が絡んでいるという女学校の話を聞く。能力者の家系の娘ばかりを集めているという学校では、何かが封印されているようで。というわけで、女学校編です。東京の護り、竹取の一族も絡んできて、さてどうなるという上巻。
私、キャンパス文庫版の封殺鬼を読んでいないので、この後どうなるかまったく知らないんですが、それにしても桐子がかわいいぞ。最強おばあちゃんになるのかあ。志郎とも結婚するんだよなあ。どうなるんだろうと続きが楽しみです。
19世紀、イギリス——。いま、社交界で注目を集める伯爵令嬢のメアリ。なぜなら、彼女は「赤ん坊の頃、乳母に誘拐され貧しい下町で育った少女」だからだ。ある牧師によって見つけだされ、伯爵家に戻って数年経った今でも、メアリの噂が消えることはなかった。そんなある日、美貌の青年伯爵が奇妙な頼みごとをしてきた。それは、メアリの秘密にまつわることで…!? 2012年ロマン大賞受賞作!!(裏表紙より)
とても可愛らしいお話でした。ただのヴィクトリアものじゃなくて不思議要素もあって素敵だった!
下町で育ち、ようやく生家に戻ってきた伯爵令嬢メアリには二つの秘密がある。ひとつはもう一人のメアリのこと。もうひとつは不思議な力のこと。この力のことを知っているラヴィントン伯爵ジョシュアに振り回されるメアリだけれど、ジョシュアにも実は秘密があり。
嘘をついていようとも君がくれた愛は真実だ、という台詞の説得力の強さにきゅーんとなりました。このお話だからこそ、そしてジョシュアだからこそ言える台詞!
可愛らしくて素敵なロマンスでした。
人や物の「記憶」を読み取れる不思議な力をもった姉・鈴音と、お転婆で姉想いの妹・ワッコ。固い絆で結ばれた2人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立てていた。女の名は御堂吹雪——その冷たい怒りと霜しみに満ちたまなざしが鈴音に向けられるとき、何かが起こる……。昭和30年代を舞台に、人の優しさと生きる哀しみをノスタルジックに描く“昭和事件簿”「わくらば」シリーズ第2弾!(裏表紙より)
人と物の記憶を読み取る力を持つ姉と、彼女を支える妹。様々な事件の裏側にある人の思いを読み解くシリーズ。今回は鈴音と同じ力を持った吹雪という女性が現れるんですが、この一冊だけではその謎はすべて明らかにされません。父親の職業も全貌は伏せられているので、まだシリーズが続くんでしょうね。
昭和の頃に起こった数々の大きな事件や、その頃によくあったであろう悲しい出来事に触れる、やっぱりどこか切なくて悲しい話が多い。戦争が関わるとその悲しさは一層濃くなるし、何故殺したのかということや罪を犯した者は更生できるのかと考えると答えが出ない。真相がわかってすっきり! という話ではないんですが、なんというか読んでいて静かな気持ちと懐かしさを覚える。
謎がまだたくさん残っているし、鈴音がどうなってしまうのかも気になるので、続きがあるなら読みたいなあ。
姉さまが亡くなって、もう30年以上が過ぎました。お転婆な子供だった私は、お化け煙突の見える下町で、母さま、姉さまと3人でつましく暮らしていました。姉さまは病弱でしたが、本当に美しい人でした。そして、不思議な能力をもっていました。人や物がもつ「記憶」を読み取ることができたのです。その力は、難しい事件を解決したこともありましたが……。今は遠い昭和30年代を舞台に、人の優しさが胸を打つシリーズ第1作。(裏表紙より)
美人だが病弱な姉、鈴音は人や物の記憶を見ることができる不思議な力を持っていた。昭和30年代の事件などの裏で、鈴音と和歌子はその力を使って事件の謎を解いていた。鈴音が若くして亡くなっていることもそうですが、やがてくる時代の波の気配を感じて、ほんの少し悲しい感じもする連作短編集です。
テレビやら冷蔵庫やらミシンの話がすごく時代感を表しているなあ。一方で赤線の話やら凄惨な殺人事件の話もあるわけですが……。
語り口が懐かしくて切ないような気持ちにさせるシリーズ。続きも読もう。