読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
四大公家のひとつ《黒狼公》となったヤエトのもとに、砂漠に巣食う盗賊を捕縛しようと第二皇子の使いがやってくる。その盗賊団と接触を試みたヤエトは、自らの恩寵の力と対になる未来視の力を持つ女性と出会い…。一方、兄である皇子同士の激しい後継争いを目の当たりにし、衝撃を受けた皇女は、ヤエトの助けを得ながら、自らの進むべき道を模索し始める。——陰謀と謎が渦巻く中、ヤエトの過去視の力が視た『真実』とは!?(裏表紙より)
読んだのは幻狼版。
二巻の下巻。北嶺にいるはずの皇女がやってきてしまったことから始まって、暗躍する皇子たちの一人に恩を売ろうという話。そして物語全体に関わってきそうな、「世界の罅」と呼ばれるものに世界が脅かされていることがちらりと明かされる。相変わらず命を狙われながらふらふらになっているヤエト先生……らしいというか、お大事にというか。
皇女はヤエトに導かれて王道を行くんだろうなあ。この世界の行く末に関わらされてしまったヤエトも気になりますが、彼女の未来もすごく気になります。いやしかし面白いなあこの作品。
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蛮族との戦で傷ついた北嶺部の復興のため、病弱な体を押しながらも奮闘するヤエト。そんな彼に、皇女の推薦で貴族に出世するという「悪い知らせ」が飛び込んでくる。失意の中、新年祭のために皇女と都に向かった彼は、その式典の最中、さらなる衝撃の事実を知らされることとなる……。妹尾ゆふ子の人気ファンタジー、待望の続編が登場!!(裏表紙より)
読んだのは幻狼版。
前に読んでからだいぶと時間が空いてしまった。
隠居願望を持ちながらも周りが放っておいてくれない、巻き込まれ体質のヤエトはついに逃げられないような高貴な身分に叙されてしまう。めんどくさいとぼやきながらも、見事に采配しているヤエトはやっぱり有能なんだなあとしみじみします。根がいい人なのでみんなに好かれるから、みんな助けてくれて、いいキャラだなあ。
ただ助けてくれるだけでなくちゃんとお互いの利があった上で、相手のことを信用・信頼しているというのがいいですね。
スーリヤの思いはどうなるんだろう。続きが気になる。
1940年代、次第に狂気を暴走させるナチスドイツ。SS将校アルベルトはユダヤ人虐殺部隊と怖れられた特別行動隊の任務に赴き、この世の地獄を見る。一方、司祭を志していたマティアスも衛生兵として召集された前線で、自らの無力を噛みしめていた。地獄の底で再会した二人は、思わぬ共通の目的の下、ローマを目指す。その先に待つのは、絶望か、希望か。心を揺さぶる衝撃の結末が待つ歴史ロマン巨篇完結(裏表紙より)
棘はとげでも、いばらの方だったか……。最後の最後にタイトル回収していくの、憎いなあ……。
マティアスはひたすらに神への道を歩みながら自分にできることをやり通した、と思ったところで、アルベルトの行動の真の意味が明らかになって。彼もまた自らにいばらを課して、自分自身を貫き通したのだということがわかって、胸が苦しくて仕方がなかった。お前、お前な……! と言ってがくがく揺さぶってやりたい。
どれだけ苦しかっただろう。孤独だっただろう。その氷みたいな心でどうしてそこまで進めたんだろう。最後にマティアスと会ったとき、どんな思いでその笑顔を見せたのかと思うと、涙が溢れてきてしまう。
凄まじい作品でした。
1935年、ドイツ。若く優秀な保安情報部員アルベルトは、党規に従い神を棄てた。そして上官のハイドリヒから、ヒトラー政権に反発する国内カトリック教会の摘発を命じられる。一方、アルベルトの幼馴染マティアスは、大恐慌で家族を失くし、修道士として静かに生活していた。道を分かたれたはずの二人が再び出会ったとき、友情と裏切りに満ちた相克のドラマが幕を開ける。全二巻連続刊行の歴史ロマン大作(裏表紙より)
息苦しい作品。歴史ロマンとは銘打たれているものの、この、誰にも救うことのできないであろう絶望感が、作中のドイツという国には漂っている。
アルベルトの冷ややかな態度と悪魔的な仕事ぶりには、多分最後にはすごい絶望と希望を見せられるんだろうなと思いつつも、後半のイルゼとのすれ違いぶりにはかわいそうに思いつつも自業自得とも思ったり。いやそんな言葉ではくくれない状況が、この国で生きているとたくさんあったんだろうなと思う。
マティアスはどのようにしてアルベルトに牙をむくんだろう。
深夜、鉄骨を振るい人を襲う亡霊「鋼人七瀬」。それは単なる都市伝説か、本物の亡霊か? 怪異たちに知恵を与える巫女となった美少女、岩永琴子が立ち向かう。人の想像力が生んだ恐るべき妖怪を退治するため琴子が仕掛けたのは、虚構をもって虚構を制する荒業。琴子の空前絶後な推理は果たして成功するか?(裏表紙より)
現代物で推理ものなんですが、異界のものが普通に出てきたり、何度死んでも生き返る青年がいたりと、ファンタジーの要素あり。
鉄骨を振るう鋼人七瀬は、インターネットの虚構により生み出され強化されたもの。これを退治するには、ネットの大多数が支持する「存在する」という定義を書き換えなければならない。そのために、岩永と九郎、巻き込まれる形で紗季が行動する。
「まとめサイト」がなんたるものかを知っていれば、おおっと思わせる展開で、しかし読みながらネットの存在が怖くなってしまった……。
イワナガヒメに対して岩永琴子、コノハナサクヤビメに対して、紗季(さく)と六花(はな)なのか! という、ラストまでおおっと思わせてくれて面白かったです。
季節は初夏。今日も図書館塔最上階、秘密の小部屋で読書にふけるヴィクトリカの頭上に、金色の書物が落ちてきた。そこには〈未来の汝よ。我は愚者なり。そして汝、愚者の代弁者となりて、我が愚かなりし秘密を暴け!〉とメッセージが。時を同じくして学園にやってきた謎の人物。そして、時計塔で起きた密室殺人……知恵の泉のもと、すべての謎がひとつになるとき、王国の禁忌が白日のもとに!? 人気ミステリ、急展開の第4巻。(裏表紙より)
時計塔と錬金術師の謎を解く第四巻。大いなる事件の準備って感じもしつつ、一弥とヴィクトリカの関係も少しずつ進展している感じがあって、わくわくするなあ。まだ出来事は学園の内側とその周りって感じがあるけれど、ここから世界が広がっていくんだろうか、どうだろうか。
ヴィクトリカとアブリルのやり取りが、子どもか! って感じで可愛らしかった。二人とも普通の女の子と違うからなあ笑
〈青い薔薇〉を買ってきてちょうだい——故郷にいる姉の頼みで、首都ソヴレムに出かけてきた一弥は、巨大高級デパート〈ジャンタン〉で、不気味な体験をした。街に流れる“人間消失”の噂、異様な計算能力を持つストリートチルドレン——深まる一方の謎を抱え、一弥は風邪で寝込んでいるヴィクトリカに電話をする。“知恵の泉”は距離の壁を超え、難事件を解決できるのか…!? 大人気ミステリシリーズ、胸騒ぐ第3巻!!(裏表紙より)
一弥とヴィクトリカの距離がかなり縮まり、ヴィクトリカとブロワ警部の過去もちょっとだけわかる、箸休め的な話だったかな? 重要人物はだいぶと顔を見せているし、ブロワ侯爵もセシル先生に圧力をかけてきているようですが……二人はこれからどうなるんだろう。歴史の傍にあるような話で、ここから先、大きな波に飲み込まれていくんだろうけど、できれば二人は一緒にいてほしい。
ジェレミーへの気持ちを自覚して以来、クレアは脅えていた。「当主の愛した人は死んでしまう」という伯爵家の呪いは解けていない。もし今、爵位がクレアに移れば、彼を殺してしまうかもしれないのだ。そんなある日、クレアはブラウン姉妹と一緒に出席したお茶会で、〈エデン・ブルー〉らしきアンティーク・ジュエリーが売りに出されるという噂を聞いて…!? 英国ラブストーリー、涙の完結巻!(裏表紙より)
マーチ伯爵家の呪いは解けるのか。三巻目にして最終巻。
ああー本当によかったー。クレアとジェレミーの駆け引きというか、「僕のこと好き? それとも嫌い?」というやりとりはきゅんきゅんしました。クレアの気持ちがわかっているからこそ答えられないのがわかるので、ジェレミー気付いて! って必死になってしまった笑
最後には傷を負った人もいれば、失ってしまった人もいて、ちょっぴりひりひりと痛む部分はあるけれども、この先も大事な人と一緒にいられればいいなあなんてことを思いながら読み終わりました。
最後に収録されている「キスをあなたに」。ジェレミーが完璧にワンコ化で笑いました。恋人同士になると、こんなにジェレミーは可愛くなるんだなあ。にやにやしてしまった。
19世紀ロンドン。高級店が軒を連ねる通りに「リリー骨董店」を開いてから約半年——。クレアはジュエリーたちの手入れをしながら伯爵家の呪いを解く手がかりを探していた。宝石商のオーナー、ジェレミーは毎日のように訪ねてくるが、好意をストレートに伝えてくる彼に戸惑ってしまう。ある日、ジェレミーが義母の遺品であるという指輪を持ち込むが、呪いのジュエリーの気配を感じて……!?(裏表紙より)
リリー骨董店に持ち込まれてきたのは、ジェレミーの兄から持ち込まれたエメラルドの指輪。クレアの耳にはその宝石の声が聞こえていた。呪いのジュエリーだと確信したクレアたちは、指輪の由来を調べるうち、再びロビンと遭遇することに。
クレアに友人候補とライバル候補が出現? 浮世離れした彼女が少しずつ社会に溶け込み始めて、自分の望みを自覚していく。「恋していいの?」というのは、クレアにはすごく重い言葉だなあ。
でもジェレミーは諦めずに思ってくれているようなので! 幸せになってほしい。
19世紀、英国——。マーチ伯爵家の跡継ぎであるクレアは、ロンドンに骨董店を開く決意をする。令嬢が店を構えるなど前代未聞だが、骨董品の声が聞こえるクレアは、伯爵家に伝わる『レディ・アン・ジュエルの呪い』を解く鍵を探しているのだ。そんなある日、宝石商のオーナーだという青年が、伝説的なジュエリーの鑑定をしてほしいと訪ねてきて……!? 宝石がみちびく英国ラブストーリー、開幕!(裏表紙より)
タイトルの字面からして少女小説! って感じでとても素敵。また宝石にまつわる謎と魔法が絡まって、これぞ、という雰囲気をびしびし感じました。とても可愛らしくてちょっと悲しみと毒を含んでもいる素敵なお話。
呪われた伯爵家と噂されるマーチ伯爵家の跡継ぎ、クレア。家の事情と、宝石の声が聞こえる特殊能力と、陽を浴びた雪のように輝く白い髪を持つために華やかな場所からは離れて暮らしてきた。そんな彼女が出会ったのは、口を開けば女性を褒める美貌の青年である実業家のジェレミー。腹違いの兄セドリックも加わって、呪われていると噂されるラプンツェル・ダイヤモンドの真贋を見極めることに。
この三人揃っているところがまた可愛いんだよなあ! 満たされているように見えるジェレミーにも埋められない欠落があり、クレアもセドリックもそうで、そんな三人が一緒にいることでそれを補い合う、という関係性が愛おしい。
魔術師という存在も絡まって、果たしてマーチ伯爵家の呪いは解けるのか。ちゃんとみんな幸せになってほしいなあ。