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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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デザイン室
その通り、鈴木成一さんが手がけた本の中から、150冊をランダムに選び出し、それについて語る本。
私、ブックデザインの本を見るのが結構好きなんですが、そういう本ってたいてい、写真を並べて一言ちょろっと解説がついているだけのものが多いんです。少なくとも私が読んできたのはそういう本が多かった。
でもこれは、表紙、帯、本体についても話が及んで、どういう本なのかという説明もあり、すごくいい装丁についての本だった! イラストレーターさんや写真家さんについて触れられていたり、鈴木さんが使った技がちょっと明かされると「やってみたい!」と思いました。やっぱりこの人すごい。
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舞姫―恋愛今昔物語
青年に助けられた鶴は、娘に姿を変えて恩返しに現れた。夕香と名乗った娘は、演劇の世界でもがいている黎の助けになろうと、その力で女優としての才能を開花させていく。だが、当然、その不可思議な力をいぶかしむ者がいないわけではなかった……。

「鶴の恩返し」をモチーフに、昭和っぽい時代の、演劇青年と鶴の哀しい恋の物語。とても叙情的で、歌うような文体がとても物悲しい。人に近しく、理解しようとしながら、黎を表舞台に押し上げようとする夕香が、最後の最後でやっぱり異形であった、という行動が、異種婚姻譚好きにはたまらんです。結ばれないのもいいよね……!
あなたの大切な人を寝たきりにさせないための介護の基本―あすなら苑が挑戦する「10の基本ケア」
家族が要介護とかではないのですが、ちょっと勉強してみようかと思って読むことに。
「10の基本ケア」とググると出てきますが、その10のことを実践しているあすなら苑での実践例などのお話。教訓的なところもなく、読みやすい文章でするするっと読めて、今の自分の持っている老人ホームの印象が90度くらいは変わったかもしれない。
「換気をする」とか「地面に足をつけて座る」とか、人間が人間として生活する上で当然のことや、気持ちのいいことをすればいいのかな、と解釈しました。実践例のように、寝たきりだった方や噛みつきがあった方などが、こんなに劇的に変わるのかなと思ったりもしたけれど、やっぱり基本的なことが大事なのかもしれない。
和菓子のアン (光文社文庫)
デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!(裏表紙より)

花ゆめでコミカライズされてたなー、原作きっと面白いんだろうなー、と思って読みました。さすが、人気が出る理由がわかった気がしました。和菓子とミステリーをかけたものがとてもうまいし、キャラクターも女の子が好みそうで、なおかつ、主人公のアンちゃんに親しみが持ててすごくいい!
自他共に認めるぽっちゃりのアンちゃん。自分の立ち位置も理解していて、商店街で育ったからか年上のあしらいも上手。敬語も使えるし、仕事を覚えるのも早そうだし、とってもいい子! まあ、ちょっと高校出たての子にしては出来過ぎな気もします……笑
表題作の「和菓子のアン」が、お話も種明かしも一番好きだったかなあ。日常の謎に加えて、ちょっとした陰謀に関わるミステリーが好きなのかもしれない。アンちゃんもそうだけど、社員の女の子みたいな子がヒロインの話だったら、にやにやして読んじゃうかも。
承認をめぐる病
他人に認められないと、自分が愛せない! 気鋭の精神科医が世相と精神医学を架橋する。

表紙がイラストなので、何故精神医学の本にイラスト……? と思ったら、AKBやエヴァなどに絡めて、現代の若者の精神学を語る始まりだった。コミュ力、コミュ障、キャラの単語が飛び交う「思春期解剖学」の章は面白かった! スクールカーストについても書かれていて、なかなか分かってるじゃん……となるなど。しかし「承認」について書かれているところがびしびしびしびしと刺さって痛い……。私は多分これ。
他人の許しがなければ、自分を愛することすら難しい。承認依存とは、つまるところそういうことだ。「ひきこもり」にしても「ニート」にしても、あるいは、いわゆる「新型うつ」から就活の悩みの須田んに至るまで、どこにでもこの問題が見て取れる。
小説の読み書き (岩波新書)
小説家は小説をどう読み、また書くのか。近代日本文学の大家たちの作品を丹念に読み解きながら、「小説の書き方」ではない「小説家の書き方」を、小説家の視点から考える斬新な試み。読むことは書くことに近づき、読者の数だけ小説は書かれる。こんなふうに読めば、まだまだ小説だっておもしろい。小説の魅力が倍増するユニークな文章読本。(カバー折り返しより)

川端康成や志賀直哉や芥川龍之介といった文豪の作品を取り上げて、読んでみるという連載。この作家はこういうところでこういう風に書いている、というのが分かって、すごく勉強になりました。文章フェチというのか、ここまで書いて読むのがやっぱり小説家なんだな……と尊敬。
佐藤さんの文章も、リズムがあって面白くて、文豪作品が苦手でも楽しく読みました。無頼派の作家はみんな結婚している。とか、いきなりどうした!笑 な始まり方をしたり、雅俗折衷体なんて言葉、耳慣れない、意味が分からないと正直書いたり。
伏―贋作・里見八犬伝 (文春文庫)
伏——人であって人でなく、犬の血が流れる異形の者——による凶悪事件が頻発し、幕府はその首に懸賞金をかけた。ちっちゃな女の子の猟師・浜路は兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。伏をめぐる、世にも不思議な因果の輪。光と影、背中あわせにあるものたちを色鮮やかに描く傑作エンターテインメント。解説・大河内一楼(裏表紙より)

映画から入って、原作を読みました。映画はここまで違う話になっていたとは……。
桜庭さんらしい、光と影、女と男のどろっとした関係が描かれていて、原作は原作で好きだし、映画も映画で好きだなあと思いました。原作は、活劇というか、舞台や読本の中を覗き見ている感じだなあ。
伏とは何なのか、を考え始めるといくらでも読めるし、犬と人間とは、というのを探ろうとするとどんどん考えることができるけれど、読み物として面白かったのは、作中作の「贋作・里見八犬伝」でした。相反するもの、光と影、女と男、愛とにくしみ、というものが、この作中作だけでたっぷり味わえて、すごく好き。
天使の燭台 神の闇―夢の岸辺 (講談社X文庫―White heart)
「かわいいなぁ」——徹は、手のひらの上の小泉を見てつぶやいた。一方、小っちゃくなった小泉はブリブリ起こっていた。それは、自他ともに認める秀才にとっては大嫌いな言葉だから。
 同じ「夢」を旅して恋人になったはずの二人が、ふたたび「夢」に迷いこんでいる。
 しかし、大きな川がやがてふたりを隔て、離ればなれに。どこまで行っても「徹がいない」……はじめての孤独と恐怖。蘇ると追い記憶の中で、小泉が知った、ほんとうの自分とは!?(カバー折り返しより)

『翼の帰る処』の妹尾ゆふ子さんが、こんなところで書いていたのかと偶然手に取ったのですが、これ二巻目だったんですね。いきなり話が始まった上に、現代なのにすんげー突拍子もない夢の世界の話か! とびっくりしました。
夢の世界を旅したことで、恋人同士になったはずの小泉と徹。でも、夢の世界から戻ってきた二人は、挨拶を交わす程度で、全然恋人らしくない。気付けば、あの時と同じ夢の中で、徹に会った小泉は……。
二人のやり取りを楽しむ一冊だったな、と思います。小泉さんの素直じゃない感じや、徹のひょうひょうとした男前さが、いい。
金春屋ゴメス (新潮文庫)
近未来の日本に、鎖国状態の「江戸国」が出現。競争率三百倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。身請け先は、身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった! ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は——。「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。(裏表紙より)

近未来の日本に江戸国があるって、どういう感じなのかなーと思ったら! すごい好みのSFというかファンタジーというかな世界で、なのに江戸もので、混在した感じが面白かった! これは、いいわー。月に行ける世界なのに日本に独立国(と一応されている)江戸国があるって、すごく好き!
物語の本筋は、謎の病の正体を突き止めるものなのですが、近未来だからこそ「何故今の医療技術を中に入れないのか」「どうして正体が分からないのか」とか、ここにはあってあちらにはないもの(逆もしかり)という違いが、じわっと面白かった。原風景の話が出ていましたが、どんなに時が経っても変わらないものの在り処がなんとなく見えた気がして、SFなのに江戸人情……という混ぜ合わせが、いいなと思いました。
オススメありがとうございました!
仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場 (岩波新書)
「いつも現在進行形、面白いのは目の前のこと。」——“好きなものを好きなように”作りつづけ、アニメーション映画制作の最前線を駆け抜けてきたジブリも三〇年。高畑勲監督の一四年ぶりの新作公開、宮崎駿監督の「引退宣言」と大きな転換点を迎えた今、プロデューサー・鈴木敏夫が語ることとは? 口絵も一新、新章を加えた決定版!(裏表紙より)

目から鱗というか、知っているようで知らなかったんだということがたくさん書かれていて、ジブリについて知るならこれはとても面白い一冊。
私のジブリは原体験たるトトロ、ラピュタ、ナウシカから始まるのですが、ジブリという仕事場を語るにはナウシカはやっぱり大きく外せないわけで。どういう形でやってきたのか、という話や、新作を作るにあたってどういうやり取りが会ったのか、とか。この、仕事のやり方が、面白い!
面白い、と一番強く思ったのは宣伝のやり方で、コピーや、宣伝の仕方(狙い)がすごくうまい。自分でもやってみたいな! と思うところがたくさんありました。私、「思い出のマーニー」の「あなたのことが大すき。」がほんっと好きなので。その話もちらっと聞けてよかったです。
宮崎駿監督の作ったものが一番好きだ、と思っているんですが、この本で、高畑勲監督、米林宏昌監督、宮崎五郎監督、それぞれの作っているものの狙い目が分かって、改めてジブリ作品を見てみたくなりました。まだまだ知らないことがいっぱいあるなあ。
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Author:月子
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