読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

なめ子、住まい美人に変身!
口癖は「掃除は、明日……」。片付けられないから、劣悪な環境で無気力になり、ますます部屋が汚くなる、という負のスパイラルにはまったまま厄年まで生きてきた辛酸なめ子。ある日、輝くばかりのマンションモデルルームに目を奪われ、購入を決意!はたして彼女は「片付けられる女」に変身できるのか?片付けベタを自認するすべての女性に贈る、引っ越しデトックス体験記!(裏表紙より)
もともとブログで書いていたものを単行本化して、文庫化したものなのかな? 部屋の掃除ができないと言いながら、片付けをし、でもできず、引っ越し先を物色し、引っ越しを決め、引っ越すまでの顛末記。やたらとスピリチュアルな方面のことを気にしているのがたいへん気になります。方角が悪いと体調が悪くなるものなんでしょうか。あと、こういう人はなぜ大金を用いて後悔しそうなものを揃えるのでしょうか……。
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おばの館へ向かう途中、嵐にあった涼子と哲文は、不思議な館にたどり着く。涼子は、その館の持ち主である波路が、自分のよく知る千波とよく似ていると感じる。そして、導かれるようにして、一人の男が現れた。彼は、波路と結ばれるはずだった運命の恋人で。
館三部作の番外編? だいぶと昔に読んだので、館シリーズのことがよく思い出せないんですが、この前『影の姉妹』を読んだところだったので、こんなに輪廻転生について書いている人だったのか……とびっくりする。構造的には、すごく『影の姉妹』と似ているなあと思いましたし、やっぱり『雪の断章』を書いた人だな、という感じでした。
未来のことを知る女性が、時を超えて三つの家に遺産を受け継がせていく話なんですが、結局その後どうなったのかすごく気になる!

親方さまと邇々玉さまが奉公人とひっそりと住む山峡の隠れ里。皆んなが命を賭しても守りぬかねばならない重大な秘密——それは邇々玉さまの血脈を流れる不思議な遺伝子にあった。宿命の子、邇々玉、またその血を受け継ぐ子……。転生の命に繰り返しあらわれる悲劇の因子の消えるときはない。数奇な生涯を運命づけられた女たちの足跡を幻想の翼を伸ばして描く感動のSFロマン(カバー折り返しより)
隠れ里に住まう邇々玉(ににぎ)は、双子。だが、様子がおかしい。あちらの彼女が傷つくと、こちらの彼女が傷つく。まるで残像のように分かれる二人。
この不思議な少女が、庇護者である親方さまの子どもを身ごもる。生まれたその子を守ろうとする館の人々。だが、秘密を知られる危機のたびに、一人、二人と減っていく。ねえやの多瑞は、残された子を守るため、一生を捧げる。
秘められた娘と、彼女を理解し愛する男と、娘を託す庇護者と。三者の輪がくるくる回る、はっきりとは書かれてはいないけれど転生の物語。過去の人々が、亡霊のようにして子孫を守るために立ち現れるところは、因果というかすでに呪いに近いかもなあ、と思ったり。
佐々木丸美作品でも、だいぶと文章に癖があるんですが、単語の選び方やリズムがよくて、なんだか浸ってしまった。

家族が要介護とかではないのですが、ちょっと勉強してみようかと思って読むことに。
「10の基本ケア」とググると出てきますが、その10のことを実践しているあすなら苑での実践例などのお話。教訓的なところもなく、読みやすい文章でするするっと読めて、今の自分の持っている老人ホームの印象が90度くらいは変わったかもしれない。
「換気をする」とか「地面に足をつけて座る」とか、人間が人間として生活する上で当然のことや、気持ちのいいことをすればいいのかな、と解釈しました。実践例のように、寝たきりだった方や噛みつきがあった方などが、こんなに劇的に変わるのかなと思ったりもしたけれど、やっぱり基本的なことが大事なのかもしれない。

デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!(裏表紙より)
花ゆめでコミカライズされてたなー、原作きっと面白いんだろうなー、と思って読みました。さすが、人気が出る理由がわかった気がしました。和菓子とミステリーをかけたものがとてもうまいし、キャラクターも女の子が好みそうで、なおかつ、主人公のアンちゃんに親しみが持ててすごくいい!
自他共に認めるぽっちゃりのアンちゃん。自分の立ち位置も理解していて、商店街で育ったからか年上のあしらいも上手。敬語も使えるし、仕事を覚えるのも早そうだし、とってもいい子! まあ、ちょっと高校出たての子にしては出来過ぎな気もします……笑
表題作の「和菓子のアン」が、お話も種明かしも一番好きだったかなあ。日常の謎に加えて、ちょっとした陰謀に関わるミステリーが好きなのかもしれない。アンちゃんもそうだけど、社員の女の子みたいな子がヒロインの話だったら、にやにやして読んじゃうかも。

他人に認められないと、自分が愛せない! 気鋭の精神科医が世相と精神医学を架橋する。
表紙がイラストなので、何故精神医学の本にイラスト……? と思ったら、AKBやエヴァなどに絡めて、現代の若者の精神学を語る始まりだった。コミュ力、コミュ障、キャラの単語が飛び交う「思春期解剖学」の章は面白かった! スクールカーストについても書かれていて、なかなか分かってるじゃん……となるなど。しかし「承認」について書かれているところがびしびしびしびしと刺さって痛い……。私は多分これ。
他人の許しがなければ、自分を愛することすら難しい。承認依存とは、つまるところそういうことだ。「ひきこもり」にしても「ニート」にしても、あるいは、いわゆる「新型うつ」から就活の悩みの須田んに至るまで、どこにでもこの問題が見て取れる。

小説家は小説をどう読み、また書くのか。近代日本文学の大家たちの作品を丹念に読み解きながら、「小説の書き方」ではない「小説家の書き方」を、小説家の視点から考える斬新な試み。読むことは書くことに近づき、読者の数だけ小説は書かれる。こんなふうに読めば、まだまだ小説だっておもしろい。小説の魅力が倍増するユニークな文章読本。(カバー折り返しより)
川端康成や志賀直哉や芥川龍之介といった文豪の作品を取り上げて、読んでみるという連載。この作家はこういうところでこういう風に書いている、というのが分かって、すごく勉強になりました。文章フェチというのか、ここまで書いて読むのがやっぱり小説家なんだな……と尊敬。
佐藤さんの文章も、リズムがあって面白くて、文豪作品が苦手でも楽しく読みました。無頼派の作家はみんな結婚している。とか、いきなりどうした!笑 な始まり方をしたり、雅俗折衷体なんて言葉、耳慣れない、意味が分からないと正直書いたり。