忍者ブログ
読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
[18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24]  [25]  [26]  [27]  [28
小説の読み書き (岩波新書)
小説家は小説をどう読み、また書くのか。近代日本文学の大家たちの作品を丹念に読み解きながら、「小説の書き方」ではない「小説家の書き方」を、小説家の視点から考える斬新な試み。読むことは書くことに近づき、読者の数だけ小説は書かれる。こんなふうに読めば、まだまだ小説だっておもしろい。小説の魅力が倍増するユニークな文章読本。(カバー折り返しより)

川端康成や志賀直哉や芥川龍之介といった文豪の作品を取り上げて、読んでみるという連載。この作家はこういうところでこういう風に書いている、というのが分かって、すごく勉強になりました。文章フェチというのか、ここまで書いて読むのがやっぱり小説家なんだな……と尊敬。
佐藤さんの文章も、リズムがあって面白くて、文豪作品が苦手でも楽しく読みました。無頼派の作家はみんな結婚している。とか、いきなりどうした!笑 な始まり方をしたり、雅俗折衷体なんて言葉、耳慣れない、意味が分からないと正直書いたり。
PR
伏―贋作・里見八犬伝 (文春文庫)
伏——人であって人でなく、犬の血が流れる異形の者——による凶悪事件が頻発し、幕府はその首に懸賞金をかけた。ちっちゃな女の子の猟師・浜路は兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。伏をめぐる、世にも不思議な因果の輪。光と影、背中あわせにあるものたちを色鮮やかに描く傑作エンターテインメント。解説・大河内一楼(裏表紙より)

映画から入って、原作を読みました。映画はここまで違う話になっていたとは……。
桜庭さんらしい、光と影、女と男のどろっとした関係が描かれていて、原作は原作で好きだし、映画も映画で好きだなあと思いました。原作は、活劇というか、舞台や読本の中を覗き見ている感じだなあ。
伏とは何なのか、を考え始めるといくらでも読めるし、犬と人間とは、というのを探ろうとするとどんどん考えることができるけれど、読み物として面白かったのは、作中作の「贋作・里見八犬伝」でした。相反するもの、光と影、女と男、愛とにくしみ、というものが、この作中作だけでたっぷり味わえて、すごく好き。
天使の燭台 神の闇―夢の岸辺 (講談社X文庫―White heart)
「かわいいなぁ」——徹は、手のひらの上の小泉を見てつぶやいた。一方、小っちゃくなった小泉はブリブリ起こっていた。それは、自他ともに認める秀才にとっては大嫌いな言葉だから。
 同じ「夢」を旅して恋人になったはずの二人が、ふたたび「夢」に迷いこんでいる。
 しかし、大きな川がやがてふたりを隔て、離ればなれに。どこまで行っても「徹がいない」……はじめての孤独と恐怖。蘇ると追い記憶の中で、小泉が知った、ほんとうの自分とは!?(カバー折り返しより)

『翼の帰る処』の妹尾ゆふ子さんが、こんなところで書いていたのかと偶然手に取ったのですが、これ二巻目だったんですね。いきなり話が始まった上に、現代なのにすんげー突拍子もない夢の世界の話か! とびっくりしました。
夢の世界を旅したことで、恋人同士になったはずの小泉と徹。でも、夢の世界から戻ってきた二人は、挨拶を交わす程度で、全然恋人らしくない。気付けば、あの時と同じ夢の中で、徹に会った小泉は……。
二人のやり取りを楽しむ一冊だったな、と思います。小泉さんの素直じゃない感じや、徹のひょうひょうとした男前さが、いい。
金春屋ゴメス (新潮文庫)
近未来の日本に、鎖国状態の「江戸国」が出現。競争率三百倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。身請け先は、身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった! ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は——。「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。(裏表紙より)

近未来の日本に江戸国があるって、どういう感じなのかなーと思ったら! すごい好みのSFというかファンタジーというかな世界で、なのに江戸もので、混在した感じが面白かった! これは、いいわー。月に行ける世界なのに日本に独立国(と一応されている)江戸国があるって、すごく好き!
物語の本筋は、謎の病の正体を突き止めるものなのですが、近未来だからこそ「何故今の医療技術を中に入れないのか」「どうして正体が分からないのか」とか、ここにはあってあちらにはないもの(逆もしかり)という違いが、じわっと面白かった。原風景の話が出ていましたが、どんなに時が経っても変わらないものの在り処がなんとなく見えた気がして、SFなのに江戸人情……という混ぜ合わせが、いいなと思いました。
オススメありがとうございました!
仕事道楽 新版――スタジオジブリの現場 (岩波新書)
「いつも現在進行形、面白いのは目の前のこと。」——“好きなものを好きなように”作りつづけ、アニメーション映画制作の最前線を駆け抜けてきたジブリも三〇年。高畑勲監督の一四年ぶりの新作公開、宮崎駿監督の「引退宣言」と大きな転換点を迎えた今、プロデューサー・鈴木敏夫が語ることとは? 口絵も一新、新章を加えた決定版!(裏表紙より)

目から鱗というか、知っているようで知らなかったんだということがたくさん書かれていて、ジブリについて知るならこれはとても面白い一冊。
私のジブリは原体験たるトトロ、ラピュタ、ナウシカから始まるのですが、ジブリという仕事場を語るにはナウシカはやっぱり大きく外せないわけで。どういう形でやってきたのか、という話や、新作を作るにあたってどういうやり取りが会ったのか、とか。この、仕事のやり方が、面白い!
面白い、と一番強く思ったのは宣伝のやり方で、コピーや、宣伝の仕方(狙い)がすごくうまい。自分でもやってみたいな! と思うところがたくさんありました。私、「思い出のマーニー」の「あなたのことが大すき。」がほんっと好きなので。その話もちらっと聞けてよかったです。
宮崎駿監督の作ったものが一番好きだ、と思っているんですが、この本で、高畑勲監督、米林宏昌監督、宮崎五郎監督、それぞれの作っているものの狙い目が分かって、改めてジブリ作品を見てみたくなりました。まだまだ知らないことがいっぱいあるなあ。
雅の婚カツ戦争 (幻狼ファンタジアノベルス)
超有名な大手銀行で活躍する九条雅は、誰もが羨む美女であるにもかかわらず、結婚相手が現れない。自らの相手を探すため、友人のあずさと夏希、幼なじみの京介を誘い、会社を退職し結婚相談所《マリッジプランニング》を立ち上げることになった。しかし、告知を始めるもののなかなか相談者が現れず、会社の資金も底をつきかけたとき、母親をともなった女性が現れ…。(裏表紙より)

容姿端麗、有能とすべてに恵まれた雅。仕事についていけず鬱になったところを雅に助けられた可愛らしい容姿のあずさ。雅の友人の快活美女、夏希。ほどほどな作家、でも食べていけないという、雅の小中の同級生だった京介。この四人で立ち上げた結婚相談所と、雅の恋の話。
雅が、これでもか! というくらい女王様。でもカリスマがあるのか、それほど嫌みじゃないような。案外夏希やあずさに可愛いって思われてるからかなー。
売れない作家でもてない男の京介のハーレムなので、ツッコミが頻発し、あらすじを読んで女性のサクセスストーリーを想像していたのですが、あーそういう話だったかーと思いました。がっつりちやほやしてもらっているわけではないのですけれども、ちょっとえって思った。
一番アツいと思ったのは武藤さんのエピソードです! いいよなーそういう人柄のいいひとーしかもお金持ちー。読みながらなんとなく想像していたけれど、結婚相手が見つかってよかったよかった。いい人は幸せになるべき。
4 Girls (メディアワークス文庫)
悲しくてあったかい女子高生の物語。
 あこがれの同級生に、告白する間もなくふられた僕。そして僕をふった張本人である彼女は、僕を無理やり連れて学校をさぼると言い出して——「scratches」。偏屈そうなおじいさんが一人で暮らしているはずの隣の部屋のベランダで、タバコをふかす変なおじさん。おじいさんの親戚だという彼と、ベランダでぼんやりすることが多い私は、次第に話をするようになり——「サブレ」ほか計4作品を収録。4人の少女たちの、トホホでワハハな日々を描く、哀しいけれどあったかい、珠玉の青春ストーリー。(裏表紙より)

「scratches」「Run! Girl,Run!」「タカチアカネの巧みなる小細工」「サブレ」の四編。
ラノベと言われるような作品をたくさん出しているレーベルで出る短編っていうと、あんまり上手じゃないものが多いように思うのですが、柴村さんは短編中編でもばっちり面白いなあ。個人的に、短編は「スベッてない」ものが面白いと思うんです。
「scratches」は『プシュケの涙』などの由良三部作関連作品。最初にこれがくるとおっと思うなあ。
それから、やっぱり「サブレ」がいい! 日常の中の特別とか、変だなって思いながら学校社会を生きてるところがいい。学生ものはそういうところが、びしびし刺さっていいなあ。
女修行 (講談社文庫)
女を忘れて20代の日々を仕事に費やし、ある日ふと「素敵な大人の女性」にはほど遠い自分に気付いた著者が一念発起。食事のマナーやメイク法、護身術、社交界デビューから介護に至るまで、大人の女性に必要なすべてを体験取材! 2年をかけて学んだ22のレッスン。さあ、貴女も一緒に女を磨き抜きましょう。(裏表紙より)

体験エッセイです。女磨きものを読んでいるのは、別に自分がしたいからではなく、読みやすくて面白そうなエッセイ、作家さんで選ぶと、そういうものを無意識にチョイスしているからです。
中身の体裁は、桜庭一樹読書日記みたいな。下段に注釈や写真が入ってるやつ。
インタビューから実践まで、お仕事紹介みたいな内容でもあって、丁寧な文体なのにちょっと卑屈に皮肉ってる感じが面白い……。
個人的に外資系OLになる回が面白かった。何故、そのチョイス! いやでも確かに気になるけど! 恋愛小説でオフィスものがたくさん出ているせいでかなり気になってた! 注釈がいちいち面白いです。
道徳という名の少年
「愛してるわ! ずっと昔から……。子供の頃から、愛していたわ!」
町でいちばん美しい、娼婦の四姉妹が遺したものは?(1、2、3、悠久!)、
黄色い目の父子と、彼らを愛した少女の背徳の夜(ジャングリン・パパの愛撫の手)、
死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ(地球で最後の日)、
——桜庭一樹のゴージャスな毒気とかなしい甘さにアーティスト野田仁美が共振してうまれた、極上のヴィジュアルストーリー集。(帯より)

装丁がすごく素敵なので購入しました。赤の紙や、印刷、中表紙の紙などがすごく凝ってて素敵だ……。中に入っている絵もぞくっと怖くて艶かしくていい。
町でいちばんの美女が生んだ四姉妹の末っ子と、父違いの弟から始まった、のろわれたひとたちの話……と感じたのは、みんなが「うつくしい」「薔薇のかんばせ」という美しさという呪いを受けているように思えたからです。美しい=呪い、残酷、みたいな。そこからぽろっと落ちたものとして現れる、音楽や芸術といった、刹那的に輝く(爆発的に広がる)もの。世界というものがぎゅうぎゅうと凝縮されたら、こういう気持ちの悪い話(ほめてます)になるのかなあ。
気がついたら繰り返し読んでそう。すごく贅沢な本だった。
羽衣姫は甘い蜜に囚われて 黒の皇子の独占愛 (ジュリエット文庫)
「止めるなよ。この溢れる蜜はおまえも俺を求めている証じゃないか」仙人に授けられた羽衣を失くして地上をさまよう天女候補の天華。ならず者に襲われかけた彼女を助けた美しい青年・飛龍は、辺境に派遣されていた世継ぎの皇子だった。飛龍の仮初めの妃候補として後宮に入る天華だが、強引な彼の求愛と愛撫に、淫らな悦びを感じてしまう。天女になるためには肉欲に溺れてはならないのに——!?(裏表紙より)

羽衣伝説をモチーフにした中華風作品。ヒロインが初心でかわいいなー! だめだめと言いながらどんどん溺れていくなんて、なんて官能的なんだ。飛龍は強引なくせにところどころでだめで、これって「天華がかわいいから悪い」みたいなヤンデレっぽいところがあってちょっと好きだなと思ってしまいました。
ところどころ台詞とかツッコミしたいとかずっこけるところがあったりもして、その可愛らしさがこの作品の味か……と思いました。しかし、ヒロインがかわいいわ……。綺麗なところにいる女の子を堕とすのが好きなんだろうか。
Profile
Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
Search
Calender
04 2025/05 06
S M T W T F S
7 8 9 10
11 12
23 24
25 26 27 28 29 30 31
Archive
Shopping
Analyzer
Counter
忍者ブログ [PR]