読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

売春防止法が廃止され、一等赤線地区として復活した吉原の男の廓・花降楼。見世で妍を競った蕗苳、綺蝶、蜻蛉、忍、椿たち五人は、やがて切っても切れない絆で結ばれた伴侶とともに遊里を後にした。奈落から昇りつめた彼らの、その後の暮らしとは? 蜜のように甘く濃厚な愛慾の日々を描ききる、大人気・花降楼シリーズ第五弾!!(裏表紙より)
愛慾ではなくてラブラブ新婚生活編って言った方がいいと思うな! な、花降楼シリーズ、前四作に登場したカップルたちのその後の短編集。めちゃめちゃ可愛くてきゅんきゅんした!
特に、忍と椿が仲が良くて、正反対な新妻が仲良くしているのにすごくにやにやしてしまった。忍は、何故これが女の子じゃないんだ! と叫びましたが、新妻ぶりが本当に、何故女の子じゃないのかと……。椿と合わさると更に更に可愛い子だよなー忍。ちょっとずれてて、一生懸命なところが可愛い。
綺蝶と蜻蛉の二人も、蜻蛉は素直じゃないけれど、綺蝶がちゃんとリードしてくれていて安心しました。私は綺蝶のような、独占欲を押し隠してさりげなく手を打つタイプのヒーローが好きなので、見世にいた綺蝶も華やかで素敵でしたが、男っぽい彼もとても素敵だと思います。彼は普通に少女小説のヒーローとして出てきそう。
シリーズはまだ続いているようなので、是非読みたい。
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売春が公認化されて十数年経ち、遊里としての姿を取り戻した吉原。蜻蛉と綺蝶は、男の遊廓である花降楼で双璧と謳われている傾城だ。だが気位が高く「お姫様」とさえ称される蜻蛉と、彼とは正反対に気さくな綺蝶は犬猿の仲とまで言われていた。しかし、そんなふたりも花降楼に来たばかりの頃は夜具部屋を隠れ家に毎日逢瀬を繰り返すほど仲が良かったのである。ふたりの関係はいったい……? 花降楼を舞台とするシリーズ第2弾!(裏表紙より)
男の遊郭、花降楼シリーズの第2弾、なんですが……これを読むなら是非、蜻蛉と綺蝶が出てくる他の作品を読んで、二人の険悪さや思い合っているがゆえのすれ違いを味わってから、この第二弾を読んでもらいたい……!! 少なくとも、他の作品を読んでいた私は「結局二人ってくっつくの、つかんの」とじれじれしていた気持ちが一気に消化されてふわああああと幸せな気分になりました。男同士なんだけど。
お互いに正反対な性格ながら、面倒見のいい綺蝶と、放っておけない蜻蛉は仲が良かった。きっと彼は傾城になるだろうと思いながら、でもいつか、年季が明けたら二人であの大門を出て行こう、と約束する。この時点でもうきゅんっきゅんでした。これから長くて辛い時間が待っているのに、こうして言い合えるのはお互いが本当に好きだからだよなあ。
そして蜻蛉の性格を知っていると、ただではいかないことが分かっているんですが笑 蜻蛉はいつも意地を張って大事なことが言えないんだもんなあ。もうちょっと素直だったらいいのに。しかし綺蝶の男前度合いが半端なかったので、二人はめでたく。綺蝶は長髪でもすっごい美人でしたが、髪が短くなったのがすっごい、すっごい美形でほわああってなりました。
この話は男同士というのが面白かったなーと思った作品でした。

売春が公認化されて数年。中学を卒業した長妻蕗苳は、兄に命じられ、借金返済のために吉原の男の廓・花降楼へ売られていくことになった。そんな蕗苳が吉原へ発つ前日。憧れていた伊神旺一郎に告白され、ふたりは駆け落ちをするが、兄に邪魔されてしまう。そして月日が流れ、蕗苳の水揚げが決まったある日、花降楼に旺一郎がやってきて蕗苳を水揚げするが、指一本ふれず……。はたしてふたりの恋の行方は?(裏表紙より)
指一本ふれずって、触れてるよ!? 思いっきり二人で過ごしてるよ!(あらすじにツッコミ)
花降楼シリーズの途中巻を人に勧められて読んだことがあって、遊郭物が好きだと自覚したので一巻から読むことにしました。遊郭は遊郭でも、男の遊郭です。
旅館の次男坊で甘やかされて育った蕗苳。旅館の従業員の息子で昔よく命令させていたりもした旺一郎。攻めの方が受けの方に邪な思いを抱いてしまったために離れてしまう。そうして受けが「嫌われたんだ……」と苦悩する王道を踏んだ上で、さらにすれ違いの上に、受けは遊郭に売られてしまう。数年の後、ちゃんとのし上がってきて、登場してくれる攻めがかっこいいです。
このシリーズ、今まで読んだのでは廊での生活(受け視点)で書かれるらしくて、ヒーローが何をやっているのかというのが分からないのがちょっと残念なんですが、廊での日常が好きです。個性豊かな子たちがなんだかんだ言いながら仲良くしたり反発したりしているのが楽しくて。

傭兵団の留守を狙って襲ってきた賊から村を救うため、みずからの胎児の命と引き換えに強大な女神の力を取り戻したラクリゼ。同じころ傭兵団は、遠く離れた地で部隊の兵力が半減するほど苦しい戦いを強いられ、サルベーンも瀕死の重傷を負ってしまう。それでもなんとか帰還を果たし再会を喜びあうふたりだったが、お互いの気持ちが少しずつすれ違っていくのを、止めることはできなかった…。(カバー折り返しより)
ラクリゼ編である「女神の花嫁」の後編。ラクリゼはどうやって女神の加護を取り戻し、女神の娘ザカルエフィを見いだしたのか。
二人の結びつきとすれ違いと別れが、大河だよなー! 最も理解できるところにいるだろうにどうしても一緒にいることができない。人々から遠巻きにされるラクリゼが、子どもの頃とは違って落ち着いているのが強くて悲しい。サルベーンはなるべくしてなったという感じだったけれど、この先がとてつもない道だと思うと辛いなあ……。カリエの物語に続く人々の物語だったので、この後に関わってくる人々の裏を思うと、うおおおと拳を握って絶叫してしまう。北公の姉妹、エディアルド、トルハーン……。そうだよな、そういう人たちの生きてきたものがあるからこそ、カリエの運命に繋がるんだ。

新しい世界を求めて、サルベーンとともに深い森に入っていったラクリゼ。しかし、ザカールの村以外は何も知らない彼女に行くあてがあるはずもなく、サルベーンの勧めにしたがってホルセーゼ傭兵団をめざすことになる。楽しく旅を続けていたのも束の間、お互いを強く思う気持ちが、次第に二人の間にすれ違いを生んでいく。そしてついにラクリゼは、サルベーンに別れを告げることになり——。(カバー折り返しより)
二人の別れと絆と蜜月、女神の呪詛とも思える祝福の巻。別れた後の再会、そこからの和解と蜜月、そしてラクリゼの選択が「うあああああ」という面白さですね! お互いを必要としているのにどうしてこうも試練が立ちふさがるのか。しかし一番「あがががが」となったのは、アリシアの生まれてくる子どもの名前でした……。

女神の定めにより、ザカールの長老の子は代々男児であるはず。だが、九九九番目の子として生まれたラクリゼはなぜか女だった。“呪われた子”だとして父親の愛も受けられず、男と偽わって育てられた彼女は、その苦しさを学問の習得や武術の鍛練にぶつける。そして彼女が十二歳になった年のある夜、一人の少年が結界を破り村を訪れた。少年の名はサルベーン。ラクリゼとの運命の出会いだった。(カバー折り返しより)
ラクリゼの過去編開始。謎めいた美女で女神の僕であるザカール族のラクリゼが、どうしてカリエの運命に関わるようになったのか。本編でのラクリゼが、めちゃめちゃ強くて、綺麗で優しい女の人なだけに、この女だとばれてはいけない、長老の子として立っていなければならないと、重圧に押しつぶさそうになっている彼女は、案外普通の人なのだなあと思いました。だからこそ、何度も傷ついて立ち上がってきた強い人になるんだろう。
サルベーンがここでも謎なので、まじうさんくせーと思う。ラクリゼは痛い目を見せられるんだろうか。心配。

亡くなった母が残した“水のしろたえ”とは?
真実を知る父はエミシ討伐に旅立ってしまった。
水の屋敷が燃えて以来、真玉の運命は大きく動き出す……。(カバー折り返しより)
羽衣伝説を下敷きにした、平安時代の薬子の変の頃の物語。水底の国からやってきた娘は、人間の男との間に女の子をもうけた。母の命と引き換えに生まれ、成長した真玉は、水の国のものと言葉を交わし、泳ぎも人並みはずれている。そんな真玉の父が行方不明になったことで、彼女の運命が大きく動く。
死んだ母がついに見つけられなかった「水のしろたえ」、付け火された邸、男の子の格好をして隠れたり、歴史に記される薬子や高丘親王との出会いなど、ひとつひとつの要素がおいしい。そして、みずみずしい女の子の話でした。この世で生きるか、「水のしろたえ」を見つけて水底の国へ行くか、岐路に立つ少女・真玉。たよりないようでいて、しっかりしていて、けれどやっぱり女の子というのが主人公としてはちょっと寂しい気がしつつも、挿絵の繊細で柔らかい感じがお話によくあっていて、好きだなーと思いました。

あの3・11の日も、サクラバカズキは本を抱えて避難した。どんなことがあっても、やっぱり本は手放せないのだ。動揺する心をなだめてくれた本、陽気な犬との慣れない生活を助けてくれた本、忙しない日々の一服の清涼剤となった本——
読書と執筆漬けの日々を過ごす作家の、今回のおすすめ本は?(カバー折り返しより)
この辺りからネットで読んでいるなあ。本の形で再読。巻末に座談会があります。2010年8月から2011年12月までのエッセイ。
最近は、中で紹介されている本が大体分かるようになってきた(と言っても、作者名やタイトル名くらいで呼んだわけではないけれど!)
ネットで読んだときも歯を食いしばったけれど、3・11の後のあの部分は、自分も辛かったことを思い出す。いつもの日常と、変わりない日々と、でも変わってしまってどうしようもないものたち。辛いなんて言えないけれど辛いと思っていた日々。私の日常はなんて恵まれていて幸せだったんだろうか。でもその言葉が辛くて仕方がなかった。

サバンナに訪れる四年に一度の赤い月。真っ赤な太陽がぎらぎら輝き、人間も動物も植物も渇きに苦しめられる。マサイ族の伝説では、太陽の化身である赤いライオンのたてがみを取れば、雨を降らすことができるという。
呪われた娘として生まれ、女性としての幸せを奪われ戦士として孤独に生きる美少女・シバは、赤いライオンを探すため、旅に出る決意をする。村人たちを救うため、そして、自分自身の生きる意味を探すため……。
過酷なサバンナを舞台に、勇壮で胸躍る冒険がいま、始まる——。(カバー折り返しより)
アフリカを舞台に、マサイ族の少女を主人公にした物語。戦士として生きる少女シバは夢見を語る異能力を持っているために忌み嫌われていた。日照り続きで危機に瀕した村を救う水がある場所を求めて占った、長老でもある大呪術師レムヤとは異なる予言をしたことで、一族から離れ、ひとり雨を降らすべく旅に出た。それは、伝説でしか語られない太陽の化身である赤いライオンのたてがみを取ることだった。
呪われた身の上、心優しくない人々、過酷な旅と、秘められた過去。決して優しくはないお話なのですが、さっと気持ちのいい風が吹く、そんな印象の物語でした。誰かのために戦う人たちの話だったなあ。あとがきにもあったけれど、マサイ族というあまり知られていない民族の話なので、これがいつの時代なのかというのが分からなくて不思議と面白い。私はなんとなくかなり過去の話だと思っていたのですが、確かに現代にあってもおかしくはないなあ、と。
『碧空の果てに』とかあの辺りの本が好きな方は好きそうだな、という児童書でした。