忍者ブログ
読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
[27]  [28]  [29]  [30]  [31]  [32]  [33]  [34]  [35]  [36]  [37
佐々木丸美コレクション15 沙霧秘話
沙霧という少女がいる。彼女はあるとき突然性格を変え、右利きが左利きになったりと不思議な現象をその身に起こす。しかしある日沙霧そっくりな少女が突如現れ、煙のように消えた。時期も変わらぬ頃、文芸雑誌に沙霧をうたう詩が掲載される。沙霧は双子なのか? もう一人の沙霧とは何者なのか。

隠れ里云々は、また別の話があるようだ。沙霧という少女を巡る不思議と愛の物語。佐々木丸美作品は愛が強調されるなあ。この本にも美文は健在。『崖の館』『雪の断章』のように登場人物がさほど多くなく事情も複雑でないので、ずいぶん読みやすかった。
二人の沙霧の物語を、町の沙霧は看護婦の女性の目から、もう一人は沙霧本人からの目で描き、いつ会うのだろう、この二人はどうなってしまうのだろうとどきどきする。少女たちが出会ったときに起こる色々がなんだか楽しい。喧嘩したり、笑いあったり。双子のようで、アンバランスな同一人物で。父親が名前を呼んだときのシーンがとてもいい。それぞれにふさわしい、象徴的な返事と、父親の眼差し。
おすすめされた本でした。とてもいい少女!
PR
サミア (CITRUS NOVELS)
「好きだよ、私の特別な人……」
ごく普通の高校生・友則が出会った謎の美形外国人は、なんと宇宙からやってきたエイリアン。
しかも、友則に「殺してくれ」と頼んできて……。
困惑しつつも彼に “サミア”と名付けて一緒に暮らすうち、サミアを好きになってしまう友則だが——。
『サミア』『いつか地球が海になる日』『ミルク』ほか、書き下ろし『ミルクの後で』を収録。(裏表紙より)

実は初BL小説なのである。新しい扉に手を掛けてしまいました。ある四コマ同人誌を読んでいてどうしても気になったので読んでみたら、「サミア」のあまりの切なさにきゅんとしてしまい、(負けた……)と思いました……。
「サミア」は宇宙からやってきたエイリアンで、主人公・友則だけが唯一彼を殺せる存在である、という設定なのですが、このエイリアンの孤独や、緑豊かな田舎風景、そして一夏の物語というのがあまりに胸を揺さぶるお話で! あれなシーンに言葉を多く割いていないところも、しんみりとした繊細なお話を作り出しているように思います。シーンひとつひとつとっても美しいのだ……。
「いつか地球が海になる日」や「ミルク」も、明るさの中にどことなく優しさが流れているようで好きなお話でした。
赤々煉恋 (創元推理文庫)
妹の百合香が死んだ。姉の早苗は、美しい姿で死者の写真を残す葬儀社を知る「死体写真家」。出会い系サイトで知り合った女と寝ては別れを繰り返す佐原の過去にいたのは、夜ごと客を取っていたというかつての同級生「レイニー・エレーン」。新興住宅街でアタシはこの世ならざる者を見る。神様、お願い。「アタシの、いちばん、ほしいもの」。ある宗教を信仰する家に生まれ、盗癖を持ち、暴行の末に妊娠して家を追われた私は、ある特殊な性癖のMさんと出会う「私はフランセス」。父親のネグレクトを受けている私は、ある日、曾根という男と彼と一緒に暮らす「お姫様」と知り合う「いつか、静かの海に」。五つの愛の形を描く短編集。

読んだのは単行本なんですが、表紙が好きなので文庫版を貼っておく。
愛って言ってもものすごく変質的、変態的でもある。どの話も結構悪趣味なんだけれど、すごく面白い、というか、残酷な童話でつい真剣に聞いてしまう、というようなイメージがあるなあ。
最初の「死体写真家」からテッテレ王子(@サンホラ)が走っていく。しかしイケメン度はない。「いつか、静かの海に」は突然ファンタジーでこれだけ異色だと思いました。同じファンタジーでも、「アタシの、いちばん、ほしいもの」はこれもひとつの少女の形、と思う一人称語りで、結末はやるせないとはいえ、すごく好きだなあと思いました。
本棚に置いておくには、ちょっと不謹慎な気もしつつ、好きな一冊でした。
グリム童話―メルヘンの深層 (講談社現代新書)
グリム童話の新しい面白さ——たとえば、「いつの日か、白馬にまたがったハンサムな王子さまが迎えにくる」という夢を抱いている若い女性は多い。若い女性が理想の男性を夢みるのは当然だとしても、その男性が「白馬にまたがった王子」としてイメージされるのは、メルヘンの影響を抜きにしては考えられない。さらに、そうした理想の男性を自分のほうから探しにゆくのだとは考えず、王子さまが迎えにくることを夢みるのは、やはりメルヘンの影響だろう。問題は、白馬の王子が迎えにくるというイメージが、大古の昔から伝えられた、人間の本質を象徴するイメージなのか、それとも、ほんの二百年前にメルヘンに盛り込まれたメッセージなのかということである。ヴィルヘルムがなぜ、どんなふうにメルヘンを書き換えたのかを細かく見ていくことによって、右のような疑問に対する答えを見つけることができるだろう。——本書より(カバー折り返しより)

グリム童話について調べようと思って買っておいたもの。1991年1月の刊行なので、もう古いだろうとは思うけれど、なかなか面白かった。
グリム兄弟の略歴、グリム童話の加筆について、また採集した人物について。歴史学、神話学、心理学のフロイト派、ユング派それぞれから見たグリム童話など、様々なところからグリム童話を見る、まさに大人のために入門書だなと思う。
海馬が耳から駆けてゆく〈3〉 (ウィングス文庫)
「交際許可届け」を知っていますか?
菅野 彰のペンネームの由来は……?

「あなたが胸だと思っているこれ……、これは」
————「本当は天使なの」。

菅野 彰の秘密がいっぱい……?
そしてやって来た1999年、運命の年……。
でも、恐怖の大王はやって来ませんでした——。

笑いと笑いに満ち溢れる菅野 彰の愛すべき日常!!(裏表紙より)

学校の話がすごく面白い。菅野さんって結構不真面目なんだな……。クリエイターって基本的にこういう感じなんだろうか(自分を棚に上げて我が妹を見る)。「交際許可届け」に噴く。時代錯誤だ。
全体的に家族の話と旅行の話が多かっただろうか。体育会系の家族ってすごい。親戚が集まってわーわーしている感じが好きだなと思う。
海馬が耳から駆けてゆく〈2〉 (新書館ウィングス文庫)
『あなたの今までの人生の中でしてしまった、
一番の悪いことはなんですか?』
「海馬」史上最大の話題をまいた「悪いことの話」。
『八丈島に住んでいるシカ科の哺乳類は?』の問いに即答できますか?
答えは、「二十八歳大人の話」の中に……。

体育会系一族の中で「カスケブタ」と呼ばれていた著者の、
愛(?)と友情と勘違いの日常を綴る爆笑エッセイ、文庫化第二弾!!(裏表紙より)

悪いことアンケートは非常に面白かった。私だったらなんて答えるかなあ。……色々あるけれど。
雪で止まった電車の話も、和んで面白かった。こういうのがあるから人間っていいなあと見捨てられない。
パソコンの話はすごく時代を感じた。最速56k……ダイヤルアップ……。これを書いている私は光回線だ。パソコンが分からなかった自分が懐かしい(今も分かっているとは言えないけれど)
ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)
バナナがどっさり入っているバナナ穴に行儀よく泳いでいき、中に入ると豚みたいにバナナを食べ散らかすバナナフィッシュ。あんまりバナナを食べ過ぎて、バナナ穴から出られなくなりバナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……グラース家の長兄、シーモアの謎の自殺を描く「バナナフィッシュにうってつけの日」ほか、九つのケッ作からなる自選短篇集。(裏表紙より)

言い回しや会話が好きなんですが、全体的に私には合わない本だという印象でした。ひたすら会話を捏ねている感じがあって、読み終わった後考えると楽しいんですけれども、読みながら考えるのにあんまり向かない。
会話が好きだと述べましたが、会話しているときの、特に苛立ちがよく伝わってきて、読みながら非常にいらいらしたりしました。コミュニケーションの難しさみたいなものを覚える。
どの話も基本的に隠喩暗喩の嵐だったような気がします。明確な答えはどこにもない。
「小舟のほとりで」と「テディ」が好き。「テディ」のような、こういう人間とはという理屈を話す話が好きで、結末の描き方がすごく好きなのだ。と書くと人間を疑われるかもしれないけれど、無情、無常を感じさせるものがすごく好きなのです。
身代わり伯爵の決闘 (角川ビーンズ文庫)
はた迷惑な兄の身代わりに、乙女劇団を立ち上げることになったミレーユ。「惚れ薬」を手にしたヴィルフリートは、恋煩いの末に大暴走! しかもいつもは冷静なリヒャルトも、今日は何だか積極的で……!? 最高の恋愛成就を願ってミレーユが仕掛ける、一世一代の熱演(もちろん男装)の行方とは……!?
かくして『身代わり伯爵』の駆け落ちを賭けた熱演がはじまる!?
恋の花が咲き乱れる、ハイテンション王道ファンタジー第4弾!(裏表紙より)

3巻からそれほど間を置かない日から始まる4巻。天然糖度高めでごちそうさまでした。リヒャルトがあれこれと悩んだり、触ったりするのに、もう身悶えが。切ない、甘い、ときめき! でにやにやしっぱなしでした。乙女劇団に「宝塚?」って思ったり、ぬいぐるみに「ネネちゃんのママ?」って思ったりして、コメディ部分にも笑いました。楽しかった!
もう本当に、リヒャルトの言動の数々にきゅんきゅんです。胸キュンしすぎて生きてるのがつらい。
ミレーユ本人が秘密に触れさせてもらえていないこともあって、陰謀部分がじりじりしてもどかしいんですが、続きがとても楽しみ。
わたしが幽霊だった時 (創元推理文庫)
歩いててふと気がついたら、あたし、幽霊になってた! 頭がぼやけてて何も思い出せないし、下を見たら自分の体がないじゃないの。生垣やドアをすり抜けて家のなかに入ると、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのケンカ。誰もあたしのこと気づきゃしない。でも、どうして幽霊になっちゃったんだろう……現代英国を代表する女流作家の、おかしくもほろ苦い時空を超えた物語。(裏表紙より)

幽霊が、自分が誰なのか、どうしたら呪縛から解かれるかの物語。後半になるまで話の進みがいまいち把握できなくて、ちょっと乗り切れなくて。子どもたちの日常生活を描いていても、なんだか荒んでいる気配があって、恐かった。大人たちが出しゃばらない、主人公や子どもたちの邪魔をするというところは、児童文学らしいなあと面白かった。でも、もっと弾けたファンタジーの方が好きだなあと思う。昔らしさを描いているのも好きなんだけれども!
中盤から後半にかけてが一番面白い。
身代わり伯爵の挑戦 (角川ビーンズ文庫)
パン屋の後継者争いに破れ、うちひしがれるミレーユは、なりゆきでリヒャルトのために恋のショールを編むことに。しかし、編みかけのショール(もどき)を美形でナンパな怪盗に盗まれ怒り爆発! 乙女の執念で怪盗捕縛に挑むミレーユは、シアラン王家にまつわる陰謀に(自ら)巻き込まれてしまい…!?
かくして『身代わり伯爵』の恋と暴走の挑戦がはじまる!! いちゃいちゃ指数上昇中、胸キュン王道ファンタジー第3弾!(裏表紙より)

続きを読もうと久しぶりに読んでみたら、ものすっごく胸キュンでした。自覚したのがよかったのかな! それともミレーユがちゃんと女の子らしかったから? でも各所で笑ってしまった。ミレーユは男らしくと言いながら、ほんっとかわいいな! シアラン王家の秘密も出てきて、続きがすっごく楽しみになってきたので早く読もう。
仮眠室のシーンはどきどきした。終盤に向かってあまーくなってきて、ちゃんとリヒャルトがミレーユを甘やかしていたのですごく楽しかった。ドレスのミレーユとリヒャルトの挿絵が定番っぽくて嬉しいです。かわいい。
Profile
Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
Search
Calender
10 2024/11 12
S M T W T F S
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Archive
Shopping
Analyzer
Counter
忍者ブログ [PR]