読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

バナナがどっさり入っているバナナ穴に行儀よく泳いでいき、中に入ると豚みたいにバナナを食べ散らかすバナナフィッシュ。あんまりバナナを食べ過ぎて、バナナ穴から出られなくなりバナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……グラース家の長兄、シーモアの謎の自殺を描く「バナナフィッシュにうってつけの日」ほか、九つのケッ作からなる自選短篇集。(裏表紙より)
言い回しや会話が好きなんですが、全体的に私には合わない本だという印象でした。ひたすら会話を捏ねている感じがあって、読み終わった後考えると楽しいんですけれども、読みながら考えるのにあんまり向かない。
会話が好きだと述べましたが、会話しているときの、特に苛立ちがよく伝わってきて、読みながら非常にいらいらしたりしました。コミュニケーションの難しさみたいなものを覚える。
どの話も基本的に隠喩暗喩の嵐だったような気がします。明確な答えはどこにもない。
「小舟のほとりで」と「テディ」が好き。「テディ」のような、こういう人間とはという理屈を話す話が好きで、結末の描き方がすごく好きなのだ。と書くと人間を疑われるかもしれないけれど、無情、無常を感じさせるものがすごく好きなのです。
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はた迷惑な兄の身代わりに、乙女劇団を立ち上げることになったミレーユ。「惚れ薬」を手にしたヴィルフリートは、恋煩いの末に大暴走! しかもいつもは冷静なリヒャルトも、今日は何だか積極的で……!? 最高の恋愛成就を願ってミレーユが仕掛ける、一世一代の熱演(もちろん男装)の行方とは……!?
かくして『身代わり伯爵』の駆け落ちを賭けた熱演がはじまる!?
恋の花が咲き乱れる、ハイテンション王道ファンタジー第4弾!(裏表紙より)
3巻からそれほど間を置かない日から始まる4巻。天然糖度高めでごちそうさまでした。リヒャルトがあれこれと悩んだり、触ったりするのに、もう身悶えが。切ない、甘い、ときめき! でにやにやしっぱなしでした。乙女劇団に「宝塚?」って思ったり、ぬいぐるみに「ネネちゃんのママ?」って思ったりして、コメディ部分にも笑いました。楽しかった!
もう本当に、リヒャルトの言動の数々にきゅんきゅんです。胸キュンしすぎて生きてるのがつらい。
ミレーユ本人が秘密に触れさせてもらえていないこともあって、陰謀部分がじりじりしてもどかしいんですが、続きがとても楽しみ。

歩いててふと気がついたら、あたし、幽霊になってた! 頭がぼやけてて何も思い出せないし、下を見たら自分の体がないじゃないの。生垣やドアをすり抜けて家のなかに入ると、だいっ嫌いな姉さんや妹たちが相変わらずのケンカ。誰もあたしのこと気づきゃしない。でも、どうして幽霊になっちゃったんだろう……現代英国を代表する女流作家の、おかしくもほろ苦い時空を超えた物語。(裏表紙より)
幽霊が、自分が誰なのか、どうしたら呪縛から解かれるかの物語。後半になるまで話の進みがいまいち把握できなくて、ちょっと乗り切れなくて。子どもたちの日常生活を描いていても、なんだか荒んでいる気配があって、恐かった。大人たちが出しゃばらない、主人公や子どもたちの邪魔をするというところは、児童文学らしいなあと面白かった。でも、もっと弾けたファンタジーの方が好きだなあと思う。昔らしさを描いているのも好きなんだけれども!
中盤から後半にかけてが一番面白い。

パン屋の後継者争いに破れ、うちひしがれるミレーユは、なりゆきでリヒャルトのために恋のショールを編むことに。しかし、編みかけのショール(もどき)を美形でナンパな怪盗に盗まれ怒り爆発! 乙女の執念で怪盗捕縛に挑むミレーユは、シアラン王家にまつわる陰謀に(自ら)巻き込まれてしまい…!?
かくして『身代わり伯爵』の恋と暴走の挑戦がはじまる!! いちゃいちゃ指数上昇中、胸キュン王道ファンタジー第3弾!(裏表紙より)
続きを読もうと久しぶりに読んでみたら、ものすっごく胸キュンでした。自覚したのがよかったのかな! それともミレーユがちゃんと女の子らしかったから? でも各所で笑ってしまった。ミレーユは男らしくと言いながら、ほんっとかわいいな! シアラン王家の秘密も出てきて、続きがすっごく楽しみになってきたので早く読もう。
仮眠室のシーンはどきどきした。終盤に向かってあまーくなってきて、ちゃんとリヒャルトがミレーユを甘やかしていたのですごく楽しかった。ドレスのミレーユとリヒャルトの挿絵が定番っぽくて嬉しいです。かわいい。

「あさましい鬼がいてるのン」京都ものの小説で人気の作家藤原花奈女が謎の言葉を遺して死んだ。彼女は〈ミヤコ〉という人物に次作の構想を酷評され、絶望していたという。彼女の死後も呪詛を込めた手紙を送り続ける〈ミヤコ〉とは何者か? 真相を追う女子大生吉田優希を次々と怪事件が襲う。「幻想」と「論理」とう対極の方法論を融合した本格推理の傑作!(裏表紙より)
ものすごく長くて、終わりまでがもどかしくて、疲れたけれど、すごかった!
あらすじから普通の小説家かと思っていたら、それが同人作家であるということに仰け反ってしまった。藤原花奈女の死の謎を解こうとする女性三人組も同人作家であるということで、サークルを組む思惑とか、描き手と書き手の思惑の違いとか、プロになるということとか、色々痛くてひいひい言ってしまう。それほど本筋には重要ではないんだけれども、ちなつのあれこれがあざとい……。
京都という都を舞台にしないと書けない話だというのをひしひし感じました。古都の魔力がひたすら繰り返されるので、まるで京都という名前のついた、全然別の世界の話のよう。京都の街にあるもの、能や着物、街が繰り返し描写されて、けれどすごく硬派な推理もので、450ページ以上あるので読み終えた時すごく疲れたけれど、充実しました。

明治時代の後半。東京には新しい文化が芽吹いていた。新しい乗り物、職業、学問、娯楽……。それらは古き武家のしきたり、華族の傲慢さを劇的な勢いで瓦解させていく。
その様は、美しいガラス細工がいくつも砕かれ、重なり合うかのように、儚くも幻想的な空間を作り出すのだった。
そんな混迷期、《探偵屋をクビに成り立て》という風間竜介に、やっかいな話が舞い込む。それは上野の森での、少女の首吊り事件の調査依頼だった。
彼女の過去を追う内に、複雑に絡み合う人間模様が浮かび上がってくる。そして、事件は意外な様相を表し始める——。(裏表紙より)
明治期の日本を舞台にしたミステリー。面白かった。疲れた空気の中年のおっさんが、あちこちを回り、理不尽に合い、女子供に振り回され、というのは探偵小説の定番だと思うのですが、やっぱりすごく好きでした。
中盤くらいまでは誰がどの事件に関係して、というのが全然見えてこなくて、どう決着をつけるんだろうと思っていたのですが、紹介にあるように、本当に万華鏡のような複雑に絡み合う人間関係の話でした。そして、それがしっくりと馴染む世界観と空気のある素敵な物語でした。

「変身できない」狼男、月森冬馬は人狼族であることを除けば、いたって平凡な大学生……のはずが、ある朝目覚めた冬馬を待っていたのは、彼の妻と名乗る見知らぬ美少女・深雪だった。
とまどいながらも次第に深雪にひかれていく冬馬。しかし、かつて冬馬に重大な悲劇をもたらした妖術士・御堂巽が現れ、二人は否応もなく戦いの渦へと巻き込まれてゆくことに……。
第5回電撃ゲーム小説大賞 選考委員特別賞受賞の話題作、堂々の登場!!(カバー折り返しより)
昔読んだものを、おすすめされていたこともあって、引っ張り出してきました。持っているのはこの一巻だけなのですが、非常にライトノベル! な作品だなあという印象を再読で思いました。色々な設定が王道で、展開は読めるけれど、でもみんな一生懸命でかわいいなーと、この年になって思ったり。
冬馬が大学生という設定にちょっとだけびっくりする。そうか、年齢そんなだったか。彼の苦悩や一生懸命さが、すごく光っていて、深雪がいることで落ち着くところがすごくいいなあと思う。
でも一番最強なのはやっぱり深雪なんだなー。かわいい女の子が最強なのはすっごく好きだー! 小さい頃の性格から、今の状態にどうしてなったのかというのを知りたいなと思う。
続きを読みたいかもしれない……と思いました。
オススメありがとうございました!

双都オパリオンの貴族の娘プルーデンスは、ちょっぴりおませな十三歳。亡くなった祖母を弔うため、家族とともにアラニビカ島に向かうが、遺品から護符が見つかって——。島の迷宮の謎をめぐり、プルーデンスは大人たちの陰謀に巻き込まれていくことに。
味方(?)となるのは、蒼い衣をまとった名無しの吟遊詩人。容易く女たちを魅了する彼の正体は——。
壮大な迷宮ファンタジー、堂々のデビュー!!(裏表紙より)
面白かった! 読んでいてなんだか児童書っぽい感じがして、とてもわくわくと楽しかった。
貴族の少女プルーデンス。頭の回転が早く、誇り高いために、甘えることを知らず、家族からあまり大事にされていない。けれども彼女は頭が良いから、それを理解しつつ自分らしく振る舞い続ける。かわいくないと言われる彼女ですが、私から見れば相当可愛いよ! と思わずにはいられない、知性のきらめきと少女らしさを感じました。
お話はプルーデンスと詩人と神話と迷宮を中心に回るので、これぞ! という分かりやすい盛り上がりはラストくらいなのですが、そのラストがもう、オリジナル神話好きにはたまらないものでした。
プルーデンスがこれからどんな大人になるのだろうと思いを馳せてしまう。

その時、姉弟は遭難しようとしていた。
どうということのない(ように見えた)川で——。
その夏、作者と作者の弟を襲った、人生最大の事件とは……!?
波瀾と爆笑に満ちた愛すべき日常を綴る、
菅野彰の大人気エッセイ、ついに文庫化!!
「海馬が耳から駆けてゆく」、「ネイキッド・ソウル」、
そして様々な雑誌で書き綴ったショート・エッセイを集めた
「雑文」を収録!!(裏表紙より)
面白かったです。ところどころで噴き出してしまった。どうしてこうも家族が変だったり、何かやらかしてしまうんだろう! 不思議だ。しかし楽しそうでもある。
どの話もインパクトが強すぎてこれというのは言えないのですが、一番はとにかく遭難しかけた話で、あとは学校と弟さんの話がインパクト大でした。しみじみと「給食を食べちゃったんだねえ」という話をする菅野さんが一番すごい気もします。
次巻もあるようなので読みたい。

圧倒的に世界を支配するディートン教が、いまだ異端として激しい迫害を受けていた時代、若き主教であるヴァルカーレはそのたぐいなき美貌を活かして各地で信者を増やしていた。新たな使命を携え、落ちこぼれ修道士を自認するサンティスとともに巨大都市ゼクタスに侵入したヴァルカーレは、最高権力者オズボーン市長が放つ恐るべき刺客と出会うことに…。疾風怒涛のアクション・ファンタジー!(カバー折り返しより)
続きマダー! 打ち切りなんて。キリと相対する敵側の事情が描かれていたから、本編がもっと面白くなるはずなのに! とハンカチをぎりぎりしてしまう。
ヴァルカーレがまだ非常に人間臭い。本編では、ちょっと薄気味悪い人という印象があったので(そしてキリがどういう事情で育てられていたかを知ると更に印象が悪く)、彼らは彼らでまだ走っていた時期があったのだなあと思うと、なんだかちょっとだけしんみりしてしまう。そして、サンティスは覚えていないのだな……。
思っていた以上にこの世界は複雑なのだなと感じました。ただ単純に、高度文明崩壊後の世界なだけかと思っていたら、実はもっとファンタジー……? ああ! 続きが気になるー!