読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「あさましい鬼がいてるのン」京都ものの小説で人気の作家藤原花奈女が謎の言葉を遺して死んだ。彼女は〈ミヤコ〉という人物に次作の構想を酷評され、絶望していたという。彼女の死後も呪詛を込めた手紙を送り続ける〈ミヤコ〉とは何者か? 真相を追う女子大生吉田優希を次々と怪事件が襲う。「幻想」と「論理」とう対極の方法論を融合した本格推理の傑作!(裏表紙より)
ものすごく長くて、終わりまでがもどかしくて、疲れたけれど、すごかった!
あらすじから普通の小説家かと思っていたら、それが同人作家であるということに仰け反ってしまった。藤原花奈女の死の謎を解こうとする女性三人組も同人作家であるということで、サークルを組む思惑とか、描き手と書き手の思惑の違いとか、プロになるということとか、色々痛くてひいひい言ってしまう。それほど本筋には重要ではないんだけれども、ちなつのあれこれがあざとい……。
京都という都を舞台にしないと書けない話だというのをひしひし感じました。古都の魔力がひたすら繰り返されるので、まるで京都という名前のついた、全然別の世界の話のよう。京都の街にあるもの、能や着物、街が繰り返し描写されて、けれどすごく硬派な推理もので、450ページ以上あるので読み終えた時すごく疲れたけれど、充実しました。
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明治時代の後半。東京には新しい文化が芽吹いていた。新しい乗り物、職業、学問、娯楽……。それらは古き武家のしきたり、華族の傲慢さを劇的な勢いで瓦解させていく。
その様は、美しいガラス細工がいくつも砕かれ、重なり合うかのように、儚くも幻想的な空間を作り出すのだった。
そんな混迷期、《探偵屋をクビに成り立て》という風間竜介に、やっかいな話が舞い込む。それは上野の森での、少女の首吊り事件の調査依頼だった。
彼女の過去を追う内に、複雑に絡み合う人間模様が浮かび上がってくる。そして、事件は意外な様相を表し始める——。(裏表紙より)
明治期の日本を舞台にしたミステリー。面白かった。疲れた空気の中年のおっさんが、あちこちを回り、理不尽に合い、女子供に振り回され、というのは探偵小説の定番だと思うのですが、やっぱりすごく好きでした。
中盤くらいまでは誰がどの事件に関係して、というのが全然見えてこなくて、どう決着をつけるんだろうと思っていたのですが、紹介にあるように、本当に万華鏡のような複雑に絡み合う人間関係の話でした。そして、それがしっくりと馴染む世界観と空気のある素敵な物語でした。
「変身できない」狼男、月森冬馬は人狼族であることを除けば、いたって平凡な大学生……のはずが、ある朝目覚めた冬馬を待っていたのは、彼の妻と名乗る見知らぬ美少女・深雪だった。
とまどいながらも次第に深雪にひかれていく冬馬。しかし、かつて冬馬に重大な悲劇をもたらした妖術士・御堂巽が現れ、二人は否応もなく戦いの渦へと巻き込まれてゆくことに……。
第5回電撃ゲーム小説大賞 選考委員特別賞受賞の話題作、堂々の登場!!(カバー折り返しより)
昔読んだものを、おすすめされていたこともあって、引っ張り出してきました。持っているのはこの一巻だけなのですが、非常にライトノベル! な作品だなあという印象を再読で思いました。色々な設定が王道で、展開は読めるけれど、でもみんな一生懸命でかわいいなーと、この年になって思ったり。
冬馬が大学生という設定にちょっとだけびっくりする。そうか、年齢そんなだったか。彼の苦悩や一生懸命さが、すごく光っていて、深雪がいることで落ち着くところがすごくいいなあと思う。
でも一番最強なのはやっぱり深雪なんだなー。かわいい女の子が最強なのはすっごく好きだー! 小さい頃の性格から、今の状態にどうしてなったのかというのを知りたいなと思う。
続きを読みたいかもしれない……と思いました。
オススメありがとうございました!
双都オパリオンの貴族の娘プルーデンスは、ちょっぴりおませな十三歳。亡くなった祖母を弔うため、家族とともにアラニビカ島に向かうが、遺品から護符が見つかって——。島の迷宮の謎をめぐり、プルーデンスは大人たちの陰謀に巻き込まれていくことに。
味方(?)となるのは、蒼い衣をまとった名無しの吟遊詩人。容易く女たちを魅了する彼の正体は——。
壮大な迷宮ファンタジー、堂々のデビュー!!(裏表紙より)
面白かった! 読んでいてなんだか児童書っぽい感じがして、とてもわくわくと楽しかった。
貴族の少女プルーデンス。頭の回転が早く、誇り高いために、甘えることを知らず、家族からあまり大事にされていない。けれども彼女は頭が良いから、それを理解しつつ自分らしく振る舞い続ける。かわいくないと言われる彼女ですが、私から見れば相当可愛いよ! と思わずにはいられない、知性のきらめきと少女らしさを感じました。
お話はプルーデンスと詩人と神話と迷宮を中心に回るので、これぞ! という分かりやすい盛り上がりはラストくらいなのですが、そのラストがもう、オリジナル神話好きにはたまらないものでした。
プルーデンスがこれからどんな大人になるのだろうと思いを馳せてしまう。
その時、姉弟は遭難しようとしていた。
どうということのない(ように見えた)川で——。
その夏、作者と作者の弟を襲った、人生最大の事件とは……!?
波瀾と爆笑に満ちた愛すべき日常を綴る、
菅野彰の大人気エッセイ、ついに文庫化!!
「海馬が耳から駆けてゆく」、「ネイキッド・ソウル」、
そして様々な雑誌で書き綴ったショート・エッセイを集めた
「雑文」を収録!!(裏表紙より)
面白かったです。ところどころで噴き出してしまった。どうしてこうも家族が変だったり、何かやらかしてしまうんだろう! 不思議だ。しかし楽しそうでもある。
どの話もインパクトが強すぎてこれというのは言えないのですが、一番はとにかく遭難しかけた話で、あとは学校と弟さんの話がインパクト大でした。しみじみと「給食を食べちゃったんだねえ」という話をする菅野さんが一番すごい気もします。
次巻もあるようなので読みたい。
圧倒的に世界を支配するディートン教が、いまだ異端として激しい迫害を受けていた時代、若き主教であるヴァルカーレはそのたぐいなき美貌を活かして各地で信者を増やしていた。新たな使命を携え、落ちこぼれ修道士を自認するサンティスとともに巨大都市ゼクタスに侵入したヴァルカーレは、最高権力者オズボーン市長が放つ恐るべき刺客と出会うことに…。疾風怒涛のアクション・ファンタジー!(カバー折り返しより)
続きマダー! 打ち切りなんて。キリと相対する敵側の事情が描かれていたから、本編がもっと面白くなるはずなのに! とハンカチをぎりぎりしてしまう。
ヴァルカーレがまだ非常に人間臭い。本編では、ちょっと薄気味悪い人という印象があったので(そしてキリがどういう事情で育てられていたかを知ると更に印象が悪く)、彼らは彼らでまだ走っていた時期があったのだなあと思うと、なんだかちょっとだけしんみりしてしまう。そして、サンティスは覚えていないのだな……。
思っていた以上にこの世界は複雑なのだなと感じました。ただ単純に、高度文明崩壊後の世界なだけかと思っていたら、実はもっとファンタジー……? ああ! 続きが気になるー!
「過去を視る」力を持つ帝国の史官・ヤエト。病弱な彼は、赴任先の北嶺で地味な隠居生活を送ることを夢見ていた。しかし、政治に疎い北嶺の民に悩まされ、さらには北嶺に太守として来た勝ち気な皇女に振り回され休まる間もない。だが、北嶺を知るにつれ、ヤエトはこの地に帝国の秘密が眠ることに気づいていく…。歴史の光陰が織りなす壮大なるファンタジーロマンの扉がいま開かれる——。(上巻裏表紙より)
おっもしろかったー……。もっとこの世界を、すごく深く知りたくなった。話が進むに連れて明らかになる余談(と言ってもきちんと本編には大事だけれど)に、この世界がとても深くて広いことを気付かされて、すごく、いいなあ……と思いました。
帝国の辺境でのほのぼの物語かと思いきや、ヤエトの苦労性のせいですごく大変な物語。ヤエトが少しずつ手繰り寄せ始めている秘密が、ものすごく大変なことを呼び寄せて(そしてそのせいで色々問題が引き寄せられているのではと思う)、非常にどきどき。ヤエトも皇女もルーギンも皇妹も、すごくいいなあ。ヤエトの不思議な力が感じられる度に、すごくどきどきしてページを繰る手が早くなってしまうのは何故だろう。
なんだかんだで一生懸命になるヤエトが、上巻はすごくかわいいなあと思っていたけれど、下巻になって「帰る」という目標を見つけた彼はすごくかっこよくて、皇女が見たらきっと笑ってくれるような気がしました。ただ単に脱出する、北嶺に危機を知らせにいくっていうことじゃなかったと思う。
会話がすごく好き! 冗談を交えたり、食い違うのも面白くて。特にヤエトと皇女の会話は好きだなあ。
皇女、伝説、過去視、竜、帝国、陰謀、政争などなど、盛りだくさんですごく楽しかった。上下巻で結構分厚いはずなのに、あっという間に読んでしまった。面白かった!
崖に聳えるガラスの館。かつてそこで命を落とした少女、千波は再びの生を得て、青年学者の吹原と出会う。しかし二人の前世からの縁と、吹原の一族に潜む愛憎がもたらす過去の悲劇が、千波に新たな試練を課した。前世の思い出を映す未来に導かれるように、千波は崖の館をめざし、歩きはじめる。少女と館を巡る三つの物語、完結。単行本未収録作品「肖像」を併録する。解説・千街晶之(裏表紙より)
『崖の館』ではミステリー、『水に描かれた館』では心理ミステリーと移り変わってきましたが、この『夢館』では幻想小説になっていました。そもそものテーマが「輪廻転生」であるので、不思議なことが起こっても仕方がないのですが、それに人間の心理が絡むと、本当に不思議な空気を作り出していました。
館シリーズの登場人物が一体どうなったのか気になるところでしたが、少しずつ登場してきてちょっと嬉しかった。涼子たちは別作品で登場するようなのが解説に書かれていたので、いつか読んでみたい。
東京、下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」。営む堀田家は今は珍しい三世代の大家族。今回もご近所さんともども、ナゾの事件に巻き込まれる。ある朝、高価本だけが並べ替えられていた。誰が何のために? 首をかしげる堀田家の面々。さらに買い取った本の見返しに「ほったこん ひとごろし」と何とも物騒なメッセージが発見され……。さて今回も「万事解決」となるか? ホームドラマ小説の決定版、第三弾!!(裏表紙より)
第3巻。新しい家族が加わった堀田家だけれど、周囲の人々もゆっくり移り変わりつつあるのが感じられるホームドラマでした。なんだかんだで一番迷惑なのが我奈人さんだけれど、結局許される感じが悔しい!笑
登場人物も多くなると、第1巻、第2巻の事件が絡むので、この人誰だったかなとなること数回(だって文庫は一年ごとにしか出ていないのだ)。しかしみんな、どたばたと幸せそうでいいなあ。古書の寄り合いはもうちょっとじっくり見たかったな! しかしすずみさんかっこいい! そしてやっぱり藤島さんがおいしいところを持っていく。それは反則だけれど、許される感じがまたいいなー!
いとこ三人の死の秘密をいだく〈崖の館〉。財産目録作成のため再び集った涼子たちだが、招聘した鑑定家は予定より一人多く来た。招かれざる客の目的とは。奇妙な緊張を孕んだまま迎えた一日目の夜、聖書を携えた少女が館に保護された。以降、人知を超えた出来事が館で立て続く。幻視的世界の神秘を纏い繰り広げられる密室劇は終局に至って驚くべき展開を遂げる。解説・津原泰水(裏表紙より)
一年以上前の積ん読。解説の方が、今度読もうと思ってメモった作家さんだと気付いてびっくりする。呼ばれたのか……。
電話が通じず、雪や嵐で閉ざされた〈崖の館〉で、再び事件が、という物語。ミステリというより、心理学の要素が強い印象を受けました。超常現象の追究と解明が行われます。
愛と精神の物語だなあと思います。謎解きよりも、涼子の揺れる「少女の心」をメインに読みました。でも今回はとても心理学の話が多かったので、どちらかというと美術館のような前作『崖の館』が好きだなと思います。