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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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書店はタイムマシーン―桜庭一樹読書日記
きょうも早くおうちに帰って本を読もう——
作家・桜庭一樹は稀代の読書魔である。
ハルには穴居人生活をしつつ、冬にはコタツで亀になりながら、
今日も今日とて本を読むのだ。
『赤朽葉家の伝説』日本推理作家協会賞受賞から
『私の男』直木賞受賞までの耽溺の日々!(カバー折り返しより)

面白かった! この本には前巻があるようなので注意。しかし前巻が図書館に入っていない……。
桜庭さんは超がつく本読みさんなんだな。羨ましい。私もがつがつ読みたい。本屋行って面白そうと思うやつ買いまくりたい。
桜庭さんは翻訳小説の方をよく読まれるんだなという印象。でも日本のものも読み込んでいるという感じが。すごいなあ、どういうものが蓄積されてるんだろう。
対談だったか、『私の男』で実体験ですかとインタビューされて〜という話は確かテレビでインタビューそのものを見た覚えがある。うっわ失礼な質問(当時読んでいないながら)と思ったのと、桜庭さんの間を置かない答えが怖かったので覚えてる。
この本の中で持ってる本は、「はてしない物語」くらいかも……。それも話題に出ていた箱入りの2800円のを……。
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アンゲルゼ―孵らぬ者たちの箱庭 (コバルト文庫)アンゲルゼ―最後の夏 (コバルト文庫)
アンゲルゼ―ひびわれた世界と少年の恋 (コバルト文庫)アンゲルゼ―永遠の君に誓う (コバルト文庫)
東京から千キロ北東に浮かぶ神流島。中二の天海陽菜は毎日が息苦しくてならなかった。誰にも嫌われたくない、目立ってはならない、という不安と、圧迫的な軍事訓練の重圧などで疲れ果てていた陽菜は、安らぎを求めて、森の奥にいる「マリア」に会いに行くのだが、そこに見知らぬ少年がやってきて…。目も眩むような奇跡が陽菜の生活を塗りかえる…!? 衝撃のミステリアス・ファンタジー始動!(孵らぬ者たちの箱庭 カバー折り返しより)

中学生らしい悩みと、軍事訓練という非日常にどきっとする一巻目。湊という存在で少しずつ良い方向に転がるのかと見せつつも、ずっと底の方には不穏の気配が流れていて、いつ爆発するのかと気が気じゃなかった。なので天使病が出たとき「うわああああ」と絶望した。陽菜に辛すぎる。
陽菜自身の性格もあるけれど、本当は責める資格なんて誰にもないような気がするな。嫌いというのは分かるけれど、それを盾に人間を邪険にすることはどうかなと思う……。でもみんなうまく行くなんてないんだよな。難しい人間関係がリアルに書かれていてすごいと思った。

2巻は訓練という形で覚悟の一段階目が出来たからか、陽菜の感情がストレートになってきている感じ、かな。
尾田教官良いキャラ。お願いだから支えになって、と思いつつ、きっと任務に忠実な彼女はそれ以上にはならないんだろうなと思うと切ない。あくまでも陽菜は自分自身で戦わなきゃならないんだよな……。
敷島の青春観察が面白い。ばかなおとなめ! ひどい人間のくせに! と思いつつかわいいと思うのは止められないのだった。尾田たちが付き合うのは、彼の人徳のおかげなんだろうか。確かに非情なところがある人だが、憎めない人だと思う。
初の実戦があって陽菜が力の使い方が分かったところで、夏が終わる。最後の夏ってサブタイトルがうわああああん。

誰の世界がひびわれるのか、というのが3巻。この巻から文字がちょっと小さくなってぎっちり詰まっている印象を受けた。行間が狭くなったみたいだ。
樋口ちょーうさんくせーと思いつつ、アイス話の三人仲良しがかわいかった。アイスを食べて、話が進むにつれて実戦と陽菜の必要な『食事』のことがあって、という対比が怖いというか、うわあああという思うことがやっぱり多い「アンゲルゼ」。
覚野が来るのが切なかった。彼自身のきっかけや、「ここにいられる」の言葉がもんどりうつくらい切なくて胸が痛かった。青春ー! 陽菜を取り巻く世界が厳しすぎるせいで、青春が痛甘酸っぱいになってるよー……。
それでラストに敷島の問題発言。あれは、本当の意味での? それとも比喩?

最終巻は分厚いしぎっしり。
敷島と有紗の関係は、戦友であり親子に似たものだったと思うよ……。惜しむということは心を少し渡しているんだから、きっとそうだ。他にも湊自身の戦いがあって、写真の話には涙をこぼしてしまった。
そしてお前かー! という人がロンでした。敷島と東の連係プレーもちょう格好良かった! 軍事ものならではの上司と部下の阿吽の呼吸! しびれる!
一方で冬の町の一幕がまた寂しいというか、甘酸っぱいというかで。孵化のシーンは綺麗だったけれど別れの気配があって唇を引き結んで必死に涙をこらえてました。もーちゃん、十四歳で未来を誓えるあなたはきっと素敵な大人になれると思う。
ああ、あともう一巻あったらよかったのにと思う分厚さと、敵対勢力側女王蜂の存在とか、惜しい楽しみがありました。
敷島の手紙はいい。おっさんの手紙なんてなんてロマンチックなんだ。
とにかくめちゃくちゃ、読んだ! と思える素敵小説でした。同人誌楽しみだー!!
赤×ピンク (ファミ通文庫)
幼さと、かよわさと必死な姿で、常にショーで人気ナンバーワンのまゆ十四歳——(実は躁鬱の激しい二十一歳)、魅せることに至上の喜びを感じる女王様、ミーコ——(実は恋に悩むSMの女王様)、女の子にモテモテなのに女性恐怖症の皐月——(実は……)

彼女たちが毎夜働くのは、廃校の校舎を改築した非合法ファイト倶楽部。それぞれ、秘めた思いを胸に戦っている——。驚天動地のラブ&アクション!(裏表紙より)

もっとアングラ系(「池袋ウエストゲートパーク」みたいな)かなーと思って読むのびくびくしてたけれど、読むと少女たちに焦点を当てられたさっぱりした現実のお話だった。
まゆが一番分からないなー。死体は分かるんだが、心理がよく分からない。生きることが書かれていると思ったので、一番現実としてリアルな、生活を営んだり命を生み出したりする『家庭』を築くという命への道の方向に、まゆ十四歳を死体として置いていった、というのはいいんだけど、何故ケッコンマニアだ。ケッコンマニアが生に執着している、子孫を残そうとしている、という執着の実体だからだろうか。
ミーコはSMの女王様なので、ミーコの話はぐちゃぐちゃどろどろなのかと思ってたら、実はかなりかわいかった。エロくもグロくもない。師範代がかわいいよ。多分一番かわいいと思う。
戦うことっていうのは、何も戦闘ということではなくて、自分と戦ったり、何かを見つけ出そうともがいたり、自分や世界を問うたりすることなんだなと思った。自分でも何を言ってるか分からないな。
崖の館 (創元推理文庫)
財産家のおばが住まう〈崖の館〉を訪れた高校生の涼子といとこたち。ここで二年前、おばの愛娘・千波は命を落とした。着いた当日から、絵の消失、密室間の人間移動など、館では奇怪な事件が続発する。家族同然の人たちの中に犯人が? 千波の死も同じ人間がもたらしたのか? 雪で閉ざされた館で各々推理をめぐらせるが、ついに悪意の手は新たな犠牲者に伸びる。(裏表紙より)

とても読みにくかった……疲れた……というのが第一印象。でも澄んだ印象で面白かった。
色々説明されていない涼子やいとこたちのバックグラウンドが気になるのだけれど、ここではあんまり関係がない。館という密室が重要。涼子やいとこたちはそれぞれに、とても、頭が良い。馬鹿な人間がいなくて、人間臭いのは嫉妬心をあらわにする由莉くらいだなと思った。犯人が現れてもなんだか遠い出来事のような気がした。あまりにもそれぞれが完結しすぎていて感情移入がしにくい気がする。
映像にするならとても陰影が綺麗だろうなと思った。青少年たちを閉じ込める、冬と海と崖の館。自由の裏に潜む影。密室になったそこで起こる事件と疑心暗鬼。少女の成長と恋。崖に消えていく娘たちっていうのが一番好きなキーワードだ。ラストはぐっとなった。
ブラック・ベルベット―病める真珠が愛した司祭 (コバルト文庫)
神聖帝国ディートニア転覆のため、ハル神父を探すキリ。ロキシー、ファナとともに東の大都市ファウラーへ渡った彼女だが、ハルの友人で、案内役を頼むはずのグラハムが消息を絶ってしまう。欲望うずまく街ファウラーの洗礼を浴びながらも、わずかな手がかりをもとにグラハムの行方を追うキリは、やがて水からが身につけている聖武具『黒真珠』に導かれるようにハルのもとに辿り着くが——。(折り返しより)

ファウラーは中国なのかあという。この世界の主はユーラシア大陸なんだろうか。
今回は協力者探しがメイン。ハル神父が○○してたのは趣味だろうかにやにやと思いつつ(挿絵がすごく綺麗な人だった)、一番好きなのはシュトラールだったりします。金髪褐色肌の無愛想男で信心深いとか!
ものすんごい光と影が綺麗な映画になるだろうなあと思いながらこの巻を読んでいた。大都市とか賭場とか派手なアクション! そして美少女や美女。いいなあ。これ好き。きらきらしてる。一巻は荒野で、乱入者と戦いみたいな感じでこっちも好きだけど!
ブラック・ベルベット―緑を継ぐ者と海へ還る少女 (コバルト文庫)
大都市ファウラーで、三人の少女は新しい生活をはじめた。キリはハル神父に弟子入りして武術の鍛錬に励み、ロキシーは半分獣である自分をコントロールするために、祈りの日々を送っていた。ただひとり、人質としてランディ商会のジョンに軟禁されていたファナもようやく解放されることになり、喜ぶキリだったが、同時にジョンから残酷な現実をつきつけられ、ある決断を迫られていた——。(折り返しより)

なんだか、キリが最終的に独りになりそうな気配がする、というのが読んだ感想。ファナとジョンの間の殺伐としているけど優しい気配が、とても悲しかった。
しかし展開速すぎないだろうか! 今のところここまでしか持ってないので、聖山に行ったらどうなってしまうのかかなり気になる。キリの幼女疑惑も、周囲が何を考えているのかという疑問もあるし。気になる。
三大賞金首。一色を有する大主教と聖女。揃うとかっこいいだろうなあああとごろごろする。
私の男
腐野花は結婚する。しかし相手は、私の男ではない。養父であり男である淳吾は、傘を傾け雨から花を守る。ずっと守ってきた。結婚し、新婚旅行から戻ってきた花は、以前の部屋から淳吾が消えてしまったことを知る。罪の象徴であった、あの死体を片付けて。

これ構成がすごくすごーく好きだ。設定が暗く澱んでいて、あんまり読み進める気がしなかったのだけれど、読んでいくうちに考えていけばいくほどすごく面白かった。
全6章。視点を変えて次第に過去へ遡っていくのが構成。1章は謎を残したまま終わり、2章から少しずつ明らかになっていく愛情と罪と繋がり。純度を増していく一方で、読み終わった章の歪みを強調していく、というのがとても感動した。あくまで私感だけど、すごいこれ。
第4章の「花と、あたらしいカメラ」の、叫ぶシーンがすごく頭にある。どんより曇った、雲の低い風の強い空の下で、濁った暗い海の前に立っているぼろぼろの花と、親父さん、というイメージが。
決して希望のある未来は迎えないのに、ラストの希望を抱いた花の言葉が苦しい。
小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)
小学六年生、高校三年生、二十九歳。好きだった。逢いたかった。生きていた。貴樹は明里が好きだった。だが二人の間には、未だ巨大すぎる時間が、茫漠とした未来が、どうしようもなく横たわっていた。どれだけの速さで生きれば、君にまた逢えるのか。「桜花抄」「コスモナウト」「秒速五センチメートル」の三編。

映像の「秒速五センチメートル」を監督自身がノベライズしたもの。映像を見たことがあるならすごくいい補完になっていると思うし、これだけでも言葉の大切さがよく分かる小説で、とても良かった。
映像の方は、世の男性方に「鬱だ」と言われる決着が着くのだけれど、映像の第三話がプロモーションビデオのようになっているので、小説できちんと書かれているのは良かったなあと思った。希望がある。
第一話「桜花抄」は十二歳と十四歳の二人の物語で、初々しくてうまくいかなくて甘酸っぱい。第二話「コスモナウト」は一番好き。貴樹に恋した女の子が一喜一憂して、最後「——優しくしないで」と願う切ない話。第三話「秒速五センチメートル」は前述したように、もがくように生きてきた貴樹と希望の話。
映像も綺麗なので合わせて見てほしい。
秒速5センチメートル 通常版 [DVD]
読書と読者―アンシャン・レジーム期フランスにおける
レポートに必要だったので読んだ。分厚い重たい。本編は400ページぐらいある。
16世紀から18世紀のフランスにおける書物の歴史をまとめたもの。聖書、礼儀作法書、一枚刷り絵、瓦版、青本とそれを読んだ読者についてと、それを印刷した者たちについて。最初がとっつきにくい感じがしたけれど、後ろになるほど面白いなーと思った。
天国はまだ遠く (新潮文庫)
仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。(裏表紙より)

日常から別の場所で日々を越えて、心を癒して旅立っていく、というのは「西の魔女が死んだ」と同じシチュエーションだと。「天国はまだ遠く」は大人になって疲れた女の子に向けられた小説、なのかな。
田村さんの方言が更に癒しを呼び起こす感じがした。「ラブアンドピース以外のことが聴きたかったら、吉幾三を聴けばええ。それ以外のことは幾三がみんな歌ってくれとるから」が、いいわ……と思った。若い人を「姉ちゃん」とか「兄ちゃん」とか、田舎のおっちゃんおばちゃんはそんな感じだよなあ。(四十代五十代の我が両親も、うちの近所の人にかかれば兄ちゃん姉ちゃんになる)(私はなんだろう、お嬢ちゃん?)
自殺をはかるところでえぐかったら絶対面白くなかったと思った。そんなこと全然なくて、ゆっくり流れる時間がなんだかいいなあと思えて、結論の出し方も納得できるもので、良い物語だった。
これ読んで気づいたけれど、瀬尾さんって教員だったんだ。「図書館の神様」で抱いた印象がぐっと強くなった気がする。
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Author:月子
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