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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記 (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L さ 1-1)
小説家・桜庭一樹は稀代の読書魔である。本当に毎日本を読むのである。こよなく愛するジョン・ディクスン・カーのミステリをはじめ、ガルシア=マルケスの傑作小説、アゴタ・クリストフの自伝、死刑囚についてのドキュメント、茨木のり子の詩集から三島由紀夫のエッセイまで、縦横無尽に読んで過ごした、疾風怒濤の一年間!(裏表紙より)

読書エッセイ。文庫は、注釈が読みにくいなーと思いつつ、楽しかった。まったく読書傾向が違う感じがして、読みたい本が増える。
執筆についても少しあって、書いている時は本当にそのことで頭がいっぱいなのだなと思う極限感。削るように書く人かもしれないなあという印象は前からあったけれど、裏付けされた気がする。
しかし周囲を囲む編集さんたちが独特で面白い。桜庭さん自身も独特な人だけれど、面白いひとには面白いひとが集まるのだな、と思う。
桜庭さんの話で好きなのが、祖母、母、桜庭さんの三人が揃っている話。お父様の話を実は今まで見たことがなかったので、これを読んで実在したんだ(失礼。すみません)と思いました。覚えているのが、『私の男』のインタビューで、ちょっと怒ったように喋っていらしたのですが、なんとなく桜庭さんとお父様のイメージが薄くて。本読みという血なのか、おばあさまとお母様と桜庭さんの揃った濃さが面白いなあと思いました。
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青年のための読書クラブ
聖マリアナ学園。通うのは良家の子女という人々の認識が持たれる、少女たちの園。生徒会、演劇部という二大勢力を主としたせかいで、ひっそりと受け継がれる記録があった。読書クラブの、読書クラブ誌である。

学園で抹消された事件の記録が記された、読書クラブ誌が語る短編集です。面白かったー! 毒が効いていて、洒落ている、少女たちの物語でした。毒々しい感じの少女たちでもありました。この語り口は酔うなあ。素敵だ。
桜庭さんの少女の目線が、とても好きだ。私はこういう見方は、素地がないのでうまくできないのですが、そうそうそうなんだと頷くくらいはできるほどに、少女が好きです。閉じられた学園で、みんなが大体男言葉を喋って、学園の王子様を選ぶ制度があって……。物語で語られる通り、男性なんて、と思っているのに、そうして擬似的に男性が存在している。太っている、のと、美しい、というのをこうも何度も使って強調しているのが面白いです。
最終話まで読めてよかった。面白かった。おすすめです。
“柊の僧兵”記 (徳間デュアル文庫)
少年ミルンにとって、生まれついての自分の白い肌は、うとましい以外のなにものでもなかった。〈白い子供〉——過酷な砂漠で生きる民たちの間で時折生まれる彼らは、体力的に劣る鬼っ子であり、悪しき伝承によって語られた忌むべき存在でしかなかったのだ。しかし、村が謎の侵略者に襲撃された時、なぜか生き残ったのは、ミルンと、やはり白い肌をもつ少女アジャーナだけだった。突然の破壊と惨殺。敵は何者だったのか、その目的は…。ふたりは真実を知るために、〈柊の僧兵〉を探す旅に出ることを決めた。(裏表紙より)

SFと少年成長物語。面白かった。〈柊の僧兵〉かっこよすぎだー! そして、ひ弱で泣き虫の少年が、己の力を知った時、力強く歩み出す様が眩い物語でした。「みんなとは違う」ことを、ここまであからさまに、強みに描いていても、見下すようなことがないのは、ミルンやアジャーナが本当に知恵者だからなのかもしれません。
侵略者たるネフトリアの正体については、さすが菅浩江さんといった風の、SFならではなグロテスクで危機感を覚える気味の悪いものたちだなあと思いました。時間は他人に使うのではなく自分が楽しむために費やすべき、という台詞が、とても恐ろしかった。
ラストの美しさは素敵だった。最初の方でこれが出た時、きっとキーになるんだと思っていたから、みんなが空を見上げている感じがとても嬉しかった。
天気晴朗なれど波高し。 2 (コバルト文庫)
士官になったランゾットの乗る艦船が入港を間近に控えたある日、彼に衝撃の課題が課せられた。次の南洋への航海の際、洗礼の儀式を受ける他に、何か芸をしなければならないというのだ。それを聞いた彼に蘇った幼い頃の恐ろしい記憶——兄・ウェインが、腰に派手な布を巻いて、世にも奇妙な踊りの練習をしていた姿。”まさか、あれと同じことを自分がしなければならないというのか!?”(カバー折り返しより)

ランゾットとコーアの物語の二巻目。ランゾットが娼婦であるオーリアの元に通うようになる経緯や理由は、ランゾットらしすぎて笑ってしまいました。本当に、いい人物だよなあ、ランゾットって。
士官となったランゾットの航海は、前回よりも血なまぐさくなく、コメディという感じだったのですが(あれの挿絵がついてるとは思わなかった!)、シリアスな本編に関わってくる人たちのようで、彼の活躍がなんだったのか知りたいなあと思ったのでした。
天気晴朗なれど波高し。 (コバルト文庫)
ルトヴィア帝国で代々海軍提督を輩出する名門ギアス家の三男として生まれたランゾット。一見ひ弱そうに見えながら頭脳明晰の彼は小説家志望だったが、海軍への入隊は本人の意志に関係なく決められていた。士官候補生としてジュリエンド号に乗る前夜、彼は酒場で乱闘に巻き込まれる。そこで出会った同じ海軍士官候補生の男とは!? 流血女神伝の姉妹編は、愛と笑いと冒険の青春海軍コメディ!(カバー折り返しより)

頭脳明晰で小説家志望なランゾットと、同じ士官候補生のコーアの物語。ランゾットが海軍に入ることになった、最初の船での大事件。女神伝をまだ読んでいないので、彼らが何者かは知らないのですが、面白かった!
外界と隔絶された、男ばっかりが詰め込まれた場所での事件。殴ったり体罰が横行している世界で、男同士の信頼や、仕事、上下関係、人柄のバラエティ、軍に属する者ならではの思考など、読み応えがあって面白かった。
ネイがいい女すぎて! 登場する女性は彼女だけだけど、男どもの魅力がありすぎて困りつつ、紅一点の彼女の輝きが眩しかった。
帝王の鳥かご―カフェス幻想 (角川ビーンズ文庫)
さて皆様。その夜珈琲店(カフヴェ)を訪れた翠緑と紫の双眸をもつ歳若い物語師(ラーウィヤ)が、楽器(タンブール)を爪弾き紡ぐは、常ならば、名高い神話に英雄譚。「なれど今宵は……天上に咲ける薔薇の物語を」
ラスオン帝国の後宮(ハレム)には、帝王(スルタン)位を望めぬ皇子の幽閉所《鳥篭(カフェス)》がある。側仕えの小姓イクバルとともに鳥篭に住まうナイアードは、その心根と美貌を皆に愛されていたが、ある日、国を揺るがす陰謀に巻き込まれて——。篭の鳥は、檻から飛びたてるのか?(裏表紙より)

異国情緒溢れる物語でした。王宮もの、ライトな政略ものの印象でした。登場人物が結構たくさんいて、主人公たるナイアードが外に出て行けない人物なのと、歴史を描くことを重視しているような感じだと思いました。
病弱な皇子ナイアードは、非常に心優しい人物で、右足が不自由で病弱であると自分の不甲斐なさを責める少年です。彼が非常に澄んでいるのです。汚されないというか。一生懸命で繊細な空気が常にあって、でも今にも脆く壊れそうな気もしてはらはら。
展開が早くて、人物も多いので、もっとじっくり読みたいかもと思いつつ、色んな設定が幻想的でした。イクバルの正体にはちょっとびっくりしたけれども……! そしてところどころ男性同士であやしいところにびびっていました(免疫があんまりないので……)
異国の雰囲気で、作中のような幻想があるっていうのは、なんだかとても新鮮で好きだなあと思いました。
暁のビザンティラ〈上〉 (ログアウト冒険文庫)
暁のビザンティラ〈下〉 (ログアウト冒険文庫)
女武人ビザンティラの冒険が始まる
ふたつの月が巡る世界。そこでは人間と〈メブ〉と呼ばれる生物との、幸せな共生関係が営まれていた。人は16歳になったときにメブ選びの儀式を経験し、おとなへの一歩を踏み出す。しかしメブを得られないカイチスは村を離れ、麗しき女武人ビザンティラと巡り会うのであった……。’92年度の星雲賞日本長編部門受賞作家、菅浩江が挑む異世界ファンタジーが、ここに幕を開ける。(上巻・裏表紙より)

異世界とSF要素が入り交じった世界の物語。少女と女武人の冒険譚です。読みながら、多分女武人ではないんだろうなあと思ったり……。
非常にライトノベル的だなあと思いながら読みました。お約束たっぷりでした。色々考えていた展開を踏襲していったので、想像が当たってちょっと嬉しくてにやにやしていました。冒険と真実の探求に重点を置かれている感じがしたのです。創世時代の真実と、時代の覇者が行う歴史記述の改変など、ああ、やっぱり古き良き冒険ファンタジー! という印象が強かったです。
獣人や、人間と動物のメブという関係性、という設定がおいしかったです。ただその原因は非常にグロテスクでうわーっと思いました。こういうのもライトノベルファンタジーのお約束ですよね。ちょっといけない気持ちでどきどきした。
一生懸命なカイチスが可愛いんですが、もうちょっと見せ場! と思いました。ビザンティラが男前過ぎて霞みます。二冊分で、世界改革は無理があるかもしれません。
ブラック・ベルベット―菫咲くころ君を想う (コバルト文庫)
ふわふわでフリフリがなにより大好きな愛らしいファナ。いつも無心で自分を求めてくれた最愛の友を喪ったキリは、その痛みからなかなか抜け出せない。それでもロキシー、神父ハルやグラハム、シュトラールに見守られながら穏やかに旅を続けていくうち、思いがけないハルの初恋を知ることになる。だがそれは、主教の座を巡る陰謀や、自らの過去とも向き合うための先触れでしかなかった……。(裏表紙より)

BB第4巻。この辺りからなんだか面白い気がしてきました。それまでも面白かったんですが、ここからどうなるんだろう! というわくわく感が盛り上がってきた。
親友のファナが亡くなり、打ちひしがれるキリ。そこでハル神父が突きつけたのは、あなたの考えは幼すぎるという言葉。色々考えさせられてしまいました。確かに、国家転覆の考えを持つからには次なる国の理想や、人々を導こうとする何かが必要なのだろうし、だからこそ事態が動いていく。でもキリは私怨なのではないか、力で解決しようとしていないか。
キリはキリで、きちんとした理由を持っているけれど、これはやっぱり私怨でしかないかも、と思います。すっごくすっごく、本人にとっては重要なことなだけに、言い切るのは苦しい。
ホワイトレジデンツ側のルヴィエと、ハル神父の過去と神父の語るルヴィエに、あまりにも差異がありすぎて、ハル神父の方を信頼しているだけあって彼の回想を信じていたのですが、本当は……。そう思うと、すっごく、うまい。私なんかが言ってはなんだけれど、すごく描き方がうまい。
次巻で打ち切りと聞いてしょんぼりですが、続きを見つけたら読もうと思います。
風花の里 (創元推理文庫)
幼馴染の丈と忍び込んだ雪の邸で、三人の幼児を目撃した星玲子は、その時川に落ちた愛猫とらを救ってくれた優しい少年に思いを寄せる。父母を失い一人札幌に向かう道にも、彼は現れた。丈ととらに護られて成長する星玲子は、一途にかつての少年を思い続けるが、祖父の”遺産”を巡る策謀と、三人の幼児に繋がる縁が彼女を翻弄する。『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』姉妹編。(裏表紙より)

三人の運命の子どもたちには直接関係ないけれど、それを取り囲む複雑な糸に絡まれ、自らもその運命を持つ少女の物語。
他の姉妹編と比べて、どうしても振り回される感が大きくて、そこが可哀想だなと思いました。孤児だけれど、ある意味とても満ちて過ごしている。でもやはり、欠けたところは存在する。でも星玲子は、何かを求めようとしたり、切望したりする気持ちが、他の孤児たちと比べて弱い気がしたので、だからこそ振り回される印象が強くなってしまったのかも。
同じ作者の館三部作にも関連しているようなので、また読もうと思っています。
もう少しむこうの空の下へ (講談社文庫)
仕事も一段落。自由な日が作れたから、旅に出よう。テントや寝袋を詰め込んで……。気がつくとなぜか海に向かっている。そこで出会う人たちとの熱い交流、そして別れ。友が言った。「なんだか船の別れっていいけど少しかなしいですね」。幸せな風景が心にしみてくるのはなぜだろう。旅人シーナの感動物語。(裏表紙より)

ウン年前、買って読んだけれど、いまいちぴんと来なくてほったらかしにしていた、という本。ティーンだったから、この本がいまいち分からなかったのだ。紹介の「感動物語」というところで、小説だと思い込んでいたこともあったと思う。
旅行記である。解説にもあるように「もう少しむこうの空の下(の海)へ」という、海に向かった旅の記録。出会う人々や過去の話を交えつつ、いくつかの旅のことが書かれている。一冊が一つの旅の記録じゃないのです。一冊に複数の旅の記録があって、どうやら、頻繁に旅に出ていらっしゃるよう。その記録がまた、短編小説のような懐かしさや温かさや不思議さを漂わせています。
好きだったのは「木の踊り」。沖縄の小島の出来事。この一冊には女性のことがよく出てくるのでなんとなく、もやもやしてしまうんだけれど(何故だろう……)、「木の踊り」の女性は子どもみたいで可愛かった。
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Author:月子
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