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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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暁のビザンティラ〈上〉 (ログアウト冒険文庫)
暁のビザンティラ〈下〉 (ログアウト冒険文庫)
女武人ビザンティラの冒険が始まる
ふたつの月が巡る世界。そこでは人間と〈メブ〉と呼ばれる生物との、幸せな共生関係が営まれていた。人は16歳になったときにメブ選びの儀式を経験し、おとなへの一歩を踏み出す。しかしメブを得られないカイチスは村を離れ、麗しき女武人ビザンティラと巡り会うのであった……。’92年度の星雲賞日本長編部門受賞作家、菅浩江が挑む異世界ファンタジーが、ここに幕を開ける。(上巻・裏表紙より)

異世界とSF要素が入り交じった世界の物語。少女と女武人の冒険譚です。読みながら、多分女武人ではないんだろうなあと思ったり……。
非常にライトノベル的だなあと思いながら読みました。お約束たっぷりでした。色々考えていた展開を踏襲していったので、想像が当たってちょっと嬉しくてにやにやしていました。冒険と真実の探求に重点を置かれている感じがしたのです。創世時代の真実と、時代の覇者が行う歴史記述の改変など、ああ、やっぱり古き良き冒険ファンタジー! という印象が強かったです。
獣人や、人間と動物のメブという関係性、という設定がおいしかったです。ただその原因は非常にグロテスクでうわーっと思いました。こういうのもライトノベルファンタジーのお約束ですよね。ちょっといけない気持ちでどきどきした。
一生懸命なカイチスが可愛いんですが、もうちょっと見せ場! と思いました。ビザンティラが男前過ぎて霞みます。二冊分で、世界改革は無理があるかもしれません。
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ブラック・ベルベット―菫咲くころ君を想う (コバルト文庫)
ふわふわでフリフリがなにより大好きな愛らしいファナ。いつも無心で自分を求めてくれた最愛の友を喪ったキリは、その痛みからなかなか抜け出せない。それでもロキシー、神父ハルやグラハム、シュトラールに見守られながら穏やかに旅を続けていくうち、思いがけないハルの初恋を知ることになる。だがそれは、主教の座を巡る陰謀や、自らの過去とも向き合うための先触れでしかなかった……。(裏表紙より)

BB第4巻。この辺りからなんだか面白い気がしてきました。それまでも面白かったんですが、ここからどうなるんだろう! というわくわく感が盛り上がってきた。
親友のファナが亡くなり、打ちひしがれるキリ。そこでハル神父が突きつけたのは、あなたの考えは幼すぎるという言葉。色々考えさせられてしまいました。確かに、国家転覆の考えを持つからには次なる国の理想や、人々を導こうとする何かが必要なのだろうし、だからこそ事態が動いていく。でもキリは私怨なのではないか、力で解決しようとしていないか。
キリはキリで、きちんとした理由を持っているけれど、これはやっぱり私怨でしかないかも、と思います。すっごくすっごく、本人にとっては重要なことなだけに、言い切るのは苦しい。
ホワイトレジデンツ側のルヴィエと、ハル神父の過去と神父の語るルヴィエに、あまりにも差異がありすぎて、ハル神父の方を信頼しているだけあって彼の回想を信じていたのですが、本当は……。そう思うと、すっごく、うまい。私なんかが言ってはなんだけれど、すごく描き方がうまい。
次巻で打ち切りと聞いてしょんぼりですが、続きを見つけたら読もうと思います。
風花の里 (創元推理文庫)
幼馴染の丈と忍び込んだ雪の邸で、三人の幼児を目撃した星玲子は、その時川に落ちた愛猫とらを救ってくれた優しい少年に思いを寄せる。父母を失い一人札幌に向かう道にも、彼は現れた。丈ととらに護られて成長する星玲子は、一途にかつての少年を思い続けるが、祖父の”遺産”を巡る策謀と、三人の幼児に繋がる縁が彼女を翻弄する。『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』姉妹編。(裏表紙より)

三人の運命の子どもたちには直接関係ないけれど、それを取り囲む複雑な糸に絡まれ、自らもその運命を持つ少女の物語。
他の姉妹編と比べて、どうしても振り回される感が大きくて、そこが可哀想だなと思いました。孤児だけれど、ある意味とても満ちて過ごしている。でもやはり、欠けたところは存在する。でも星玲子は、何かを求めようとしたり、切望したりする気持ちが、他の孤児たちと比べて弱い気がしたので、だからこそ振り回される印象が強くなってしまったのかも。
同じ作者の館三部作にも関連しているようなので、また読もうと思っています。
もう少しむこうの空の下へ (講談社文庫)
仕事も一段落。自由な日が作れたから、旅に出よう。テントや寝袋を詰め込んで……。気がつくとなぜか海に向かっている。そこで出会う人たちとの熱い交流、そして別れ。友が言った。「なんだか船の別れっていいけど少しかなしいですね」。幸せな風景が心にしみてくるのはなぜだろう。旅人シーナの感動物語。(裏表紙より)

ウン年前、買って読んだけれど、いまいちぴんと来なくてほったらかしにしていた、という本。ティーンだったから、この本がいまいち分からなかったのだ。紹介の「感動物語」というところで、小説だと思い込んでいたこともあったと思う。
旅行記である。解説にもあるように「もう少しむこうの空の下(の海)へ」という、海に向かった旅の記録。出会う人々や過去の話を交えつつ、いくつかの旅のことが書かれている。一冊が一つの旅の記録じゃないのです。一冊に複数の旅の記録があって、どうやら、頻繁に旅に出ていらっしゃるよう。その記録がまた、短編小説のような懐かしさや温かさや不思議さを漂わせています。
好きだったのは「木の踊り」。沖縄の小島の出来事。この一冊には女性のことがよく出てくるのでなんとなく、もやもやしてしまうんだけれど(何故だろう……)、「木の踊り」の女性は子どもみたいで可愛かった。
花嫁人形 (創元推理文庫)
父と母、そして四人の姉妹。幸福な家庭の中で、血の繋がらない昭菜だけは教育も与えられず、孤独に育った。叔父の壮嗣は陰で時々優しくしてくれるが、皆の前では末娘の織ばかりを可愛がる。孤児という境遇と許されぬ恋に苦しむ昭菜は、ある事件をきっかけに、新たな秘密と罪を背負うことになる。血縁と企業が絡んだ宿命に翻弄される人々を描く、『雪の断章』『忘れな草』姉妹編。(裏表紙より)

孤児四部作の三作目。長らく積んでいたのを読んだ。
久しぶりに読んで、この、しっとりした綺麗な文章にうっとりする。一人称で、リリカルな文章が挟まったりするけれど、暗闇を抱えた少女たちの物語は、読んでいると心のなかに文字が降り積もる。
昭菜は孤児として一番、形としては幸福な場所にいるのかもしれない。ただ、人間として必要であろう教育を奪われたことは、孤児たちの中で一番不幸だった。
三作目まで読んだけれど、この三作目も好きかもしれない。好きだというのは、これが家族の物語であるということ。もちろん最大のテーマである少女の恋は描かれるわけで、その上で、この美しいけれどうまくいかない家族は、不幸であるだけによりいっそう綺麗に見えてしまうんだよなあ。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)
「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竃は、
群がる男達を軽蔑し、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友として
孤高の青春を送っていた。
だが、可愛そうな大人たちは彼女を放っておいてくれない。
実父を名乗る東堂、芸能マネージャーの梅木、
そして出奔を繰り返す母の優奈——誰もが七竃に、
抱えきれない何かを置いてゆく。
そんな中、雪風と七竃の間柄にも変化が——
雪の街旭川を舞台に繰り広げられる、痛切でやさしい愛の物語。
解説・古川日出男(裏表紙より)

オンナ、の物語。語り手は、たいへん遺憾ながら美しく生まれてしまった七竃がメインだけれど、彼女に性のにおいはなくて、彼女を取り巻く女性たち(語り手になるオンナたち)が、みんなオンナとして生きている印象でした。
それだけに、七竃と雪風の清らかさがとても綺麗。
でもどうしてこうも、重苦しい影が立ちこめているんだろう。冬という季節のせいかな。影が濃くて深い。この本は、白雪姫のように白と赤と黒が鮮やかな気がする。あとはすべて灰色、のような。
可愛そうな大人と銘打ってはいるけれど、物語の終わりに七竃も少女時代から抜け出して青春時代を終える、というのが、もう、言葉にならないくらい鬱々としていて好きです。
本当に、世界を物語るような文体だなといつも思います。
城の崎にて・小僧の神様 (角川文庫)
明治四十五年から大正十五年に至るほぼ大正期に発表した代表的短編を集めた。「母の死と新しい母」「清兵衛と瓢簞」「正義派」「小僧の神様」「好人物の夫婦」「雨蛙」「焚火」「真鶴」「山科の記憶」「痴情」「瑣事」「濠端の住まい」「転生」「プラトニック・ラヴ」を収める。
作者の生涯におけるもっとも実りの多かった時期の、充実した作品群。(裏表紙より)

読んだまま積んでいて、集英社文庫で買ったものを読んだのでそのまま放りっぱなしにしていた一冊。
やっぱり「清兵衛と瓢簞」「小僧の神様」が好きだなあ。ちょっと童話っぽいものが好きなのだ。
「清兵衛と瓢簞」について注釈が会ったので、これを先に読んでいたらなあとちょっと後悔(私のゼミ発表の担当はこれだったのだ)(時系列まとめだったから、そこまで詳しく調べなくていいと言われたけれども)
恋する文豪
文豪による作品の恋愛を読み解いていくエッセイ集。

まず装丁が可愛くて手に取りました。表紙の紙がいい感じ。遊び紙が表紙に合わせて可愛い椿?で。
武者小路実篤やら、三島由紀夫、夏目漱石、森鴎外など名だたる作家たちの代表作ともいうべき作品を、筆者が紹介しつつ論じています。どちらかというと、紹介の方に比重が置かれている感じ。
こういう読み方があったのかー! と面白く読みました。女性も男性も、今風にいうとこんな感じ、というのが書かれていて、「そっか!」と納得。知っている作品について書かれていると「そうそう!」と同意することしかりで、とても面白かった。こういう読み方も出来るのかと開眼。
ただ、この文章で紹介されているイメージでその作品を読むと、色々しんどそうだなあと思いました。
ホームタウン (幻冬舎文庫)
札幌の百貨店で働く行島征人へ妹の木実から近く結婚するという手紙が届いた。両親が互いに殺し合った過去を持つ征人と木実は、家族を持つことを恐れていたにもかかわらず。結婚を素直に喜ぶ征人。だが結婚直前、妹と婚約者が失踪する。征人は二人を捜すため決して戻らなかった故郷に向かう……。家族の絆を鮮烈に描く傑作青春ロードノベル。(裏表紙より)

現代物とかファンタジーものを書かれているから、てっきりそうだと思ったら、結構探偵ものっぽい? 人探しもの。
みんながみんな良い人で、ものすごく超人な人がいたりもするけれど、描かれる根本にあるのは人の絆の強さだなあと、いつも思う。
失踪した妹と婚約者の謎を負う兄。色々なことが「あったこと」と説明されていくところがあるので、もうちょっとじっくり読みたいよー! と叫びながら、登場する人たちの温かさが染みる。ものすごく危ないことが起こるんじゃないかとはらはらもするのに、絶対大丈夫な気がすると読みながら思った。
末枯れの花守り (角川文庫)
初めて植えた朝顔に、男への思いを託す今日子。最初の一輪が咲いた時に知り合った、圭次郎から連絡が絶えてひと月になる。彼女の心が限界に近づいた頃、永世姫、常世姫と名のる艶やかな和装姿の女たちがやってきた。「異界の花と化し、永遠の命を与えよう」という申し出は、今日子の心を動かす。だが、その時、姫たちの企みを邪魔するものが現れた。「鬼」と呼ばれし花守り、青葉時実だった! 異界の者たちが争うところ、女心の深奥があばかれる。新鋭が描くあやかしのトゥルー・ストーリー。(裏表紙より)

もう、美しさにため息です。異界というモチーフもさることながら、二人の姫君や学生服姿の時実の描写も素晴らしく、極上の異界物語を読んだ気分になりました。しかし、私には和装の専門用語が分からない! 悔しい! とぎりぎりしました。きっととんでもなく美しいのでしょうね。
女心と異界という繋がりが非常に妖しく、薄暗く、底知れないもの。五話分の短編が収録されているのですけれど、どれも深い暗闇の流れがある。永遠と刹那の対比もあり、綺麗すぎてくらくらしました。
すべてが明らかになって解決しているわけではないのだけれど、非常に素敵な物語の数々でした。最後の、第五話老松、まで読んでしっとり異界と花と時に触れてもらいたい。素敵でした。
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Author:月子
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