読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
沙霧という少女がいる。彼女はあるとき突然性格を変え、右利きが左利きになったりと不思議な現象をその身に起こす。しかしある日沙霧そっくりな少女が突如現れ、煙のように消えた。時期も変わらぬ頃、文芸雑誌に沙霧をうたう詩が掲載される。沙霧は双子なのか? もう一人の沙霧とは何者なのか。
隠れ里云々は、また別の話があるようだ。沙霧という少女を巡る不思議と愛の物語。佐々木丸美作品は愛が強調されるなあ。この本にも美文は健在。『崖の館』『雪の断章』のように登場人物がさほど多くなく事情も複雑でないので、ずいぶん読みやすかった。
二人の沙霧の物語を、町の沙霧は看護婦の女性の目から、もう一人は沙霧本人からの目で描き、いつ会うのだろう、この二人はどうなってしまうのだろうとどきどきする。少女たちが出会ったときに起こる色々がなんだか楽しい。喧嘩したり、笑いあったり。双子のようで、アンバランスな同一人物で。父親が名前を呼んだときのシーンがとてもいい。それぞれにふさわしい、象徴的な返事と、父親の眼差し。
おすすめされた本でした。とてもいい少女!
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