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猫の縁談 (中公文庫)
猫と古本と古本屋との摩訶不思議な物語。古本一筋に生きてきた古本屋と、古本が放つ妖気に魅入られた古本世界の奇妙な人びととの交流を、抑えたユーモアで描き出す、はじめての作品集(裏表紙より)

猫と古本の話、ということで気になって読んでみた。
妖気……という空気漂う作品集でした。古本屋を描いた作品というと、人との交流があって明るいイメージがあっただけに、ずっしりと重苦しく文字や本の背表紙が迫ってくるような物語なので、びっくりする。物語の空気に、本のにおいがする。真新しい本屋さんではなくて、古書店の。
どれもさっぱりする、という作品ではなくて、人と本の繋がりがもたらす世界なだけに、どこか息苦しくてああもどかしい、という気分。なんだかその世界の中にいたのに掴み損なった気がする。
以前読んだ本に、火坂雅志『骨董屋征次郎手控』があって、同じ古物を扱っているためか、同じ空気がするなあと思う。人間が主人公じゃない感じ。
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