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業多姫〈2之帖〉愛逢月 (富士見ミステリー文庫)
「怖くはないのか」
 少年は言った。身のうちのどこかが、ひどく痛むかのように。
 少年は、闇を抱えていた。
 自身ですら気付かない深い闇を。
「……怖いわ。けれど、颯音。あなたと共にいられるのなら」
 茜色の夕日が小さな部屋に射し込み、片隅に座る少女——鳴を照らし出した。
 異能の力を持つ故に〈業多姫〉と呼ばれる少女・鳴。異能集団「狐」から、鳴を守ることを誓った少年・颯音。二人は旅立った。全てを捨てて。二人だけで。けれど、共にあることのできる時間は、あまりにも短かった。
 戦が戦を呼ぶ戦乱の世。二人の絆が、試される——。(カバー折り返しより)

異能と少々の謎と戦いの物語。少年と少女がお互いを支えに生きていくシリーズの二巻。能力者が暮らす里に入ったはいいものの、そこでも変わらず戦いの気配はあり、裏切り者の存在があり、というのが今回。
話の進みが遅くて、じりじりさせられるのですが、二人の絆、思い合うところがとても切なくていい。大切すぎて、どちらも不器用で、遠ざけるか、駆けていくことしか知らないようなところが、とても愛おしい。二人が幸せになるのはいつのことだろう。
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