読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
翼を持つ民が住む北部と、翼なき民が住む南部。相争ってきた両国間でついに和平交渉が始まった。その席で、北部の女性外交官フェリータは、同じ和平への志を秘めた南部の大使アンドレアと出会う。
立場を越えて信頼を深める二人だったが、その彼は今、物言わぬ姿でフェリータの前に倒れていた。
捕縛された彼女の無実の訴えは北部への憎悪にかき消された。絶望するフェリータ。その前に現れたのはアンドレアの亡霊だった。
戦争を回避するため、真実を求めて逃亡するフェリータとアンドレアが辿り着いたのは——(裏表紙より)
立場の弱いながらも才能を認められつつある女性外交官フェリータ。若いながらも人に好かれ人道を敷く大使アンドレア。目的を同じくする二人だったが、フェリータが目覚めた時、アンドレアは血にまみれて倒れ、フェリータの手には彼の血に濡れた短刀があった。真犯人を見つけようとするフェリータが遭遇したのは、殺されたはずのアンドレア、の亡霊だった。
有翼人と、彼らが人間へと分化した世界観。物語は、人間側から有翼人に対する差別が障害となって事件化している。根強い偏見や差別が、悲しみを生み、この事件を生むことになった。なんだろう、世界が悲しんでいてどうしようもないことがある中で、結局すべては、人の物語、人の生きることにすべて繋がってるんだなあ、と感じた物語でした。和平とか、壁がなくなる、そういったものはすべて私たちのすぐそば、今この瞬間に失われるかもしれない大切なものたちに関わっていることなんだ、と他人事じゃなくなったというか。多分、それが見えていなかったのかもしれなかったのがアンドレアだったし、そう思ってしまったのが真犯人だったのかな、と。そして、フェリータはアンドレアと関わることでそれに気付けた。
フェリータが、少年、青年っぽい爽やかで凛とした性格でありながら、ちょっと可愛らしいところもあったりなどして、たいへん楽しかった。アンドレアは、生きていたらもっと楽しかったんだろうと思って悲しい。二人が成す未来を見てみたかったものです。
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