読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
遙かかなたの地平線まで、鷹揚に風の紋を刻んでただただ広がる紫の砂漠。なにかが呼んでいる——砂漠の果てに生まれ、砂漠とともに過ごし、砂漠に強く心惹かれるシェプシは、神の領域であり、禁域とされている紫の砂漠へ思いを募らせる。四つの月を持ち、「真実の恋」によって男女の性差が決定するこの星で、シェプシの冒険がいまはじまる。芥川賞作家・松村栄子がおくるファンタジーノベル。(解説・高原英理)(裏表紙より)
ファンタジーっていってもきっとSFなんだろうなあと思ったら、しっかりSFでした。
立ち入ることの許されない紫の砂漠に憧れるシェプシは、周りの人々と違って「丸い耳」を持つ子。七歳になって同じ歳の子どもたちとともに「運命の旅」に出て新しい親元に行くはずが、旅先案内人である詩人と詩人の語る様々なものに好奇心を刺激され、ついに旅の途中で砂漠に向かうことを決意する。そして砂漠で出会ったのは、自分と同じ丸い耳を持つ、自分の知る世界とはまったく異なる道具を使う人たちだった。
詩人の名であり、砂漠で出会った子の名である「ジェセル」という名が運命として廻るのが面白いなあと思いました。最後は、ああやっぱり……という気もしたし、悠久の、果てしない時の巡りを感じてちょっと呆然としたりもして。いいSFでした。
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