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友衛遊馬、18歳。弓道、剣道、茶道を伝える武家茶道坂東巴流の嫡男でありながら、「これからは自分らしく生きることにしたんだ。黒々した髪七三に分けてあんこ喰っててもしょうがないだろ」と捨て台詞を残して出奔。向かった先は、大嫌いなはずの茶道の本場、京都だった——。
個性豊かな茶人たちにやりこめられつつ成長する主人公を描く、青春エンターテイメント前編。
〈解説・北上次郎〉
(上巻・裏表紙より)
マイナー茶道お家元の長男が、茶道が嫌いだと言って家出し、しかし何故か本場京都に行って、なんだかんだと茶道をやっているお話、というのが上巻。なんだか独特の文体というか語り口な印象でした。人が喋って説明することを、地の文で説明するというのが多かったり、過去の話を現実の時点でのことのように書いていたり。ちょっとめずらしかったので気になった。
家出したもののお金もない、何の夢も持たない遊馬が、それでも少しずつ頑張っていくところがいい。自然と出てしまう茶道の作法のシーンがちらほらあって、思わずにやっとしてしまいます。遊馬はだめな子だけど、ちゃんと持っているものがあるんだなあ。いいなあ。
解説があるのですが、解説が下巻の内容にちょっと触れているので注意が必要。
下巻はお話の収束で、何かを見出しつつある遊馬が眩しい。自分を受けいれたというか、落ち着きが出たので安心して読めました。お茶をしたり、剣を持ったり、弓を引いたり。志乃さんの遊馬評である「身体で覚えるタイプ」というのがしっくり来て、最後の最後でおおっと思いました。弟・行馬の出来過ぎっぷりにはなんだか可哀想な気もしましたが、遊馬はちゃんと何かを見出そうとする気持ちが出たみたいだし、大団円でとてもよかった!
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