読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

高校時代に野外活動を楽しんだ彼女たちも、いまは社会人。名古屋の小さな出版社で働くリン、東京のアウトドアショップに勤めるなでしこ、小学校教師になったあおい、横浜のトリミングサロンで働く恵那、そして地元の観光推進機構に転職した千明……それぞれの場所で日々を送っていたある日、閉鎖された広大な施設の再開発計画をきっかけに、かつての仲間たちでキャンプ場を作ることになって……。
アニメの続きのつもりで何気なく見始めたので、みんなが社会人になっていてめちゃくちゃびっくりした。そうやって大人になってどう好きだったキャンプと関わるか、という答えがキャンプ場作りになるって最高だよなあ。
高校生だった頃の緩やかな感じは薄れているものの、みんなが集まるとあの頃の空気感になるのがわかるところが、積み重ねてきたものを感じさせていい。キャンプファイヤーみたいに燃え盛るんじゃなくて、ソロキャンの小さなランプの光のように、それぞれの心に「キャンプ」への気持ちがあるという、作品らしい部分が感じられるよい映画版だったと思いました。
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犬型のペットロボットをスネ夫に自慢されたのび太は、ひみつ道具の未来デパートでロボットを注文するも返品騒ぎに。だが一体だけ、商品ではないロボット・ポコが残ってしまった。ポコを帰すため、ドラえもんたちはロボット王国へ向かう。
宇宙と地底とロボットにまつわるドラえもん映画が多いなと思いながら見る。
珍しく啓蒙要素が薄い気がしました。ロボットと人間の共存を描くにしては、いままで感じたような「ちょっとそれは……」とか「説教くさい……」と思える強めの描写がないというか。
しかしこの時代に(視聴時は2025年)見ると、ロボットに感情は必要かそうでないかを深掘りすると面白そうだなあと思いました。共存か支配か、それともまた別の道があるのか。

ゾンビウイルスが蔓延した世界で生き残り、偶然出会って、力を合わせて生き延びてきたコロンバス、タラハシー、ウィチタとリトルロックの四人。それから十年が経ち、それぞれの関係も変わりつつあった。コロンバスはウィチタにプロポーズするも受け入れてもらえず、リトルロックには彼氏ができ、そんな彼女を追いかけて生き残りのいる街へ向かうことになる一行だが……?
「ゾンビランド」の続編。引き続きおバカ系ゾンビ映画で楽しかった。
ゾンビ世界でホワイトハウスに住んでるっていいよなあ笑 四人が本当に擬似家族的に暮らしていたらしいのが微笑ましい。タラハシーがリトルロックに対して完全にお父さんなのが笑う。彼氏ができたで大暴れするタラハシーを眺めている二人よ……。
こうやって生き残り続けるんだろうな、と思わせるラストでよかったです。
あとまたビル・マーレイを使うんかい!笑 おまけ映像もよかった。

動物たちの王国プライド・ランドの王ムファサの息子シンバ。まだ幼く、物を知らないシンバは叔父スカーに陥れられ、父を喪い、プライド・ランドを逃亡する。遠く離れた土地で行き倒れたシンバは、ティモンとプンバァに助けられ、励まされながら立派な若者に成長する。そうしてある日助けを求めて彷徨っていた幼馴染みで婚約者のナラと再会し、荒れ果てた故郷のことを聞く。ナラは言う、王はあなただ、と。
実写と言っていいのかわかりませんが、二次元的アニメじゃない映像になった「ライオン・キング」です。
本物の動物として描いてあるのですが、びっくりしたのがスカーの痩せ具合。アニメだとわかりにくいですが、そうだよなあ、実際こういう感じで衰えるよな……と思ったのでした。
ムファサの父親としての言動、スカーに対して甘いところ、シンバ(大人になりたいと背伸びしたがる子ども)の気持ちをもう理解できないところが、この歳になって見ると胸が痛くてな……。
「Can You Feel the Love Tonight」のシーンはアニメでも好きなんですが、こちらも楽園のような豊かな土地の描写もあってとてもよかった。

雪海に沈んだ世界で、人類が軌道樹と限りある水を求めて争う時代。文字を読める少年・カイナとアトランド王女・リリハは、人々の求める水源の在処となる大軌道樹へと向かっていた。大軌道樹に建国された独裁国家プラナトはリリハやカイナのように精霊を見る者を欲していた。すべては人類を救うために、と告げるプラナト指導者・ビョウザンの狙いは……。
本編後の話にして、完結編。
人々を救うために旅立った先でついに目指していたものを見つけたものの、身勝手な人の欲が世界を滅ぼすことに。
最後まで見て、大地を持たない人々が主人公となる「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」のような作品だなあと思いました。そういうの大好きだよー!!!
後世に願いを託した人々と、その思いが失われたこと、途切れかけたそれを正しい意味がわからなくてもなんとか繋ぎ合わせたカイナたちが掴んだ未来は本当に素晴らしくって、あの「完了」の台詞は本当にぞくぞくしました。
誰もカイナをそうとは呼ばないけれど、きっと彼らが歴史に語られるときには賢者と呼ばれているんだろうな。とてもよい完結編でした。

それは雄英高校ヒーロー科の面々がインターン中だったときのこと。個性保持者の殲滅を目論む組織・ヒューマライズの爆弾の回収を行うため、生徒たちはそれぞれのインターン先の先輩ヒーローたちとともに世界各国に散っていた。デク、爆豪、轟の三人はオセオン国で活動していたが、デクは運び屋の少年・ロディを助けたことから指名手配されてしまう。
インターン中なのでいつものようにクラス全員で、というエピソードではなく、デク、爆豪、轟の三人がヒーロー活動するところがメイン。
ヒーローの卵になりつつある彼らがいま育てている信念をもって、それぞれの場所でそれぞれの役割を果たして戦う、まさに「インターン」的な、卒業後にばらばらになりながらもヒーロー活動を行うだろうみんなのことが想像できる作品だったように思います。
ロディの変化なんかまさにそうで、自分にとっての本物のヒーローに出会ったときに人生は変わる。そういう影響力を持ったのがヒーローだと思うので、本編中もそうですが、デクは本物のヒーローなんだなあとしみじみ思いました。

父の仕事の都合で東京から雪深い土地に引っ越してきた中学生の野咲春花は、クラスメートたちから壮絶ないじめに遭っている。とうとう家族にそれを知られ、両親は動いてくれたものの担任も学校もいじめはないと逃げの姿勢。進学で環境が変わることを願って登校拒否を始めるが、ある日自宅が全焼、両親は焼死し、妹は全身火傷で意識不明になってしまう。これがいじめっこたちの犯行だと知った春花は復讐を決意し、やがてそれは関係者を巻き込んだ殺人、暴力事件へと発展していく……。
雪深い土地で行われる陰惨ないじめと、壮絶な復讐と狂気と、交わることのない愛と情を描くサスペンス、猟奇的作品。だいぶ暴力、流血、殺人描写が激しいので視聴注意。
閉鎖的すぎる環境なんだろうと思わせるいじめ描写と、いきすぎた暴力を繰り返すいじめっこたち。暴走と呼ぶのもぬるいくらいに過激になっていく彼らを駆り立てたのはなんだったのか、知りたいけれどわかりたくないと思わせてしまうくらい酷い。
結局は、愛されたいし、愛してほしいし、窮屈な世界から抜け出したいということだったんだろうけれど、それに巻き込まれてしまった春花が可哀想で仕方がない。外の世界を知っていて、愛してくれる家族がいて、家族を愛していて、恵まれた容姿をしていて誰からも愛される可能性がある、という春花は異質だったんだろうけれど。
それからそんな春花に縋った妙子と、それを奪われるかもしれないという恐れからいじめをはじめた心情を思うと、妙子もまた可哀想な子だったなと思う。
白い雪と春花の紅服、手を汚していくにつれてその赤が恐ろしいものに見えていく映像がとてもよかった。

謎のウイルスによって人がゾンビ化した世界。運良く生き残っていたアメリカの大学生で引きこもりのゲーマーのコロンバスは、慎重を期しながら両親のもとへ向かう途中で、銃を持って車を乗り回していたタラハシーと出会い、ともに旅をすることになる。途中立ち寄った街でウィチタとリトル・ロックと名乗る姉妹と出会った二人だが、人を騙すことで生き延びてきた彼女たちにしてやられてしまう。しかしこの出会いがきっかけでおかしな四人旅が始まって……。
おバカ系ゾンビ映画。擬似家族っぽい要素あり。
引きこもりの若者と、不良おじさんと、しっかり者だけど不良ものの女性と、こまっしゃくれた女の子。この四人がゾンビから逃げられる場所を目指しつつ、好きなところに行ったりやったりする、そしてゾンビに追いかけられて戦う。
本人役のハリウッド俳優とのエピソード、そんな出演でええんか……?(ええんやろな……)と思いながら笑った。こういうことができる映画はいい映画。

靴を履いた小さな貝のマルセルは、おばあちゃんのコニーと暮らしている。その家にやってきたのは映像作家のディーン。マルセルに気付いたディーンは、彼の独特な暮らしぶりを面白がり、その毎日を撮影したりインタビューをしたり、外の世界のことを教えるなどして交流を持つ。そしてこの動画をネット上に投稿したところ、マルセルは一躍人気者になるのだが、実は彼にはある叶えたい夢があって……。
実写とアニメーションを合わせたモキュメンタリー。
マルセルやおばあちゃんの声や仕草が可愛い。それからとても面白い画面作りと、マルセルの世界の独特さなどの組み合わせがよくって面白かった。都合がいい話の流れがあるんだけれど、それを他の部分の描写で上手く違和感を薄めている感じなのと、現実世界(人の世界)とフィクション(マルセルの世界)の境界線を曖昧になっている感じが不思議と心地良くてよかったな。

中学生でデビューしたもののWeb上で作品や作者に対する心ない言葉を連ねられ、次の作品が出せずに迷う高校生にして小説家の千谷一也。担当編集者から共作企画を提案され、組むことになった相手はなんと売れっ子作家にして同級生の小余綾詩凪だった。口が悪く自信家な詩凪と正反対の一也だが、ともに物語に向き合ううちにお互いに少しずつ変化が起こり……。
物語の進行に合わせてBGMがかかる、とてもおしゃれな映画。原作は1冊目を読了済み。
売れない小説家と売れっ子小説家、物語を手放せないでいる二人が必死にあがく話。
正直、見ていてだいぶきつい。詩凪の「物語の力」の台詞はとてもいいんだけれど、あなたのその言葉は強者だからこそのものでしょうという気持ちになる。なので一也の方に共感するんだよなあ。苦しいんだろうなあと思いながら、すべては書き続けることでいつか運を掴み取る日がくることを祈るしかないところが、もう。
爽やかな終わり方をしたけれどそこで終わりじゃないからな! と思いながら見終わりました。画面作りや音楽の盛り上がりがとてもよかったな。