読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

歳国の田舎に暮らす鈴花は、ある日突然、王子妃候補に選ばれた! しかも相手は、何人もの妃候補を追いだしたという“半仙”王子・黎鳴。貧しい家族のため、鈴花は震える声で彼に「お嫁さんにしてください!」と直球勝負!! あっさり拒否するかと思われた黎鳴だったが、なぜか「御心のままに」と鈴花の前にひざまずき……一体どういうこと!? 俺様王子と弱腰嫁、言いなり中華ラブコメ開始!(裏表紙より)
押し掛け嫁は何故か王子を言いなりにできる力があるらしい……ということで秘密の関係に。呼べば王子召喚、命じれば逆らわれることはない。なのに、鈴花自身は自信がなくて常に申し訳なさそう。しかしキレると大変面白い子でした。もっとばしっと言ってやっていいのよー!
登場人物が結構多くて、誰がどういう人(正体)なのかというのが、次の巻もあったらいいなあと思うくらいのちょい出し感。国王陛下のただ者ではないっぷりが気になります。
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「私、どうしても夢を諦めるなんてできないのっ!」一流の商人になるため見合いを断り、世界へ飛び出したカヤ。なのに、見合い相手の幼なじみエリクが、婚約者として目の前に現れ!? 鉄壁の外面で完璧な若手美術商のエリクは、昔からカヤにだけ何故か意地悪。今回も爽やかな笑顔でカヤの実力を試すような賭を提案してきて? 賭の条件とはいえ、愛しげに触れてくるエリクにカヤは動揺を止められず!? トキメキのすれ違いラブコメディ!(裏表紙より)
ご主人様なシリーズ二巻目。世界を飛び回る大商人になることを夢見つつ、まだまだひよっこで騙されやすいお人好しのカヤ。周りのやり手な人々に騙されて、婚約者(仮)の幼馴染みエリクと再会させられてしまう。
カヤの出来る子なところと、純粋で可愛らしくて、騙されやすいところが可愛いなあ! 一生懸命で、なのに知識も度胸もある頭のいいヒロインは大好きです。幼馴染みのエリクは、しょっぱなからあーそういうキャラなんだろーなーというところをきちんと押さえてくれていて、二人の素直になれない、すれ違いな掛け合いがとってもにやにやしました。
何気なくお姉ちゃんニコラさんが好きです。妹が可愛いんだろうなあ。この小悪魔っぷりがとても素敵です。

アディントン家の長女アリスは、父の遺した借金問題に途方に暮れていた。傾きかけた家を救うには、大金持ちの殿方との結婚しかない! 固い決意とともに、アリスは伯爵家の舞踏会に出席するのだが!? おっとりした長女のアリス、夢見がちな次女シンディ、人気者の三女キティ。十九世紀貴族社会に生きる三姉妹それぞれの愛の形とは? 女の子はみんな、幸せになるために生まれてきたの!(カバー折り返しより)
上記あらすじの、キティは三女は正確には四女の末娘。四姉妹のうち、三人の娘たちの恋愛物語。
長女アリスが、家のために結婚相手を探す物語「クリスマスプディングと花嫁」。アリスの一生懸命さと可愛らしさの勝利でした。長女のわりにはふわふわしたところが可愛らしかった。
次女シンディの「ローズティアラと花嫁」が一番好み! 貴族の奥方ってこんなものと思いながら自由奔放に生活しようとしたシンディが、「でもやっぱり私はあの人が好きなんだ……」と涙するところがほろりとしました。気の強い女の子が虚勢を張っているというのがいい!
「スウィートブルーベルと花嫁」は、アリス結婚時、まだ幼かった末の妹キティのお話。姉の結婚のおかげで磨き抜かれた愛らしさと才能で、社交界の花となった彼女が本当の恋を知るんですが、恋に溺れる感じが、英国ロマンス! という雰囲気。もっと濃密な描写だったら完全にヴィクトリアンな話ですよね(これでも充分ヴィクトリアンですが!)
個人的に、修道院に行った三女ファニーと、跡継ぎの弟ヘンリーの話も読んでみたかった! ファニーは絶対色々あったと思うんですよねー。あったら面白いと思うんですけれども!

「元アイドルと同時受賞」という、史上最悪のデビューを飾った新人作家・中島加代子。さらには「単行本出版を阻止される」「有名作家と大喧嘩する」「編集者に裏切られる」etc. 絶体絶命のトラブルに次々と襲われる羽目に。しかし、あふれんばかりの野心と、奇想天外なアイデアで加代子は自分自身の道を切り拓いていく——。(帯より)
柔らかめのヒロインが「負けるもんか!」と踏ん張る話だと思い込んでいたので、加代子のアクティブさにびっくりする。何が何でものし上がってやる! というその強さが羨ましいです。だがあくどい手を使いすぎだ!
加代子の成功物語が連作短編になっているのですが、この、みるみるぎすぎすと尖っていく感じがもう、なんだか痛くて苦い。作り話ばかりうまくなって、自分の大切なものを損なっていく、身を削っていく感じが作家という生き物なのだなあと。
「お前絶対許さないからな」というのは、実際にあると思います。実行するのは別としてもそれにしがみつくならそれだけの理由があるんだと思うな。
宮木あや子さんと南綾子さんと朝井リョウさんの登場する話が爆笑でした。
何故かこれを読んでいる間、加代子がお笑い芸人のキンタロー。さんになっていたんですが、なんでだろう。

闇オークションで売られていた歌姫ニーナを連れ出したのは、冷酷で美しい悪魔憑きの青年・アルドだった。彼の中の悪魔を眠らせるため、囚われて子守唄を歌うことになってしまったニーナ。しかし、精霊使いのニーナの言葉は、悪魔憑きのアルドを従わせる効果もあって…? いびつな関係を続けながらも、心を許し始めたふたりに、悪魔を求める総督の追手が迫る——。囚われの歌姫と眠れない悪魔が奏でるラブファンタジー。(裏表紙より)
あらすじからもっとどんよりシリアスなのかと思ったら、ヒロインとヒーローがそうさせてくれなかった。かっこいいよ地に足のついたしっかり者ヒロイン! ヒーローは俺様ナルシストだし!
闇オークションに売られてしまったもののニーナ自身は実は盗賊団の首領の娘で、教えのままに一人きりになったから自分で生きていこうとしたところでの、この失敗。というところからしてもうただものじゃないなあ。ただの女の子じゃない。家事はお手の物。頭も回るししっかりもの。でも少しだけ寂しいというバランスがたまらない。
ニーナがかなりしっかり者なだけに、有能で俺様でナルシストなアルドは、ニーナほどどっぷり好き、ということにはならなかったです。素直じゃないのは減点!笑 でも「枕」呼ばわりにやにやしました。知り合いに心配されるところをみると、やっぱり優しい人なんだな。

魔物の棲む森の領主になった少女ムイは、国王から城に呼び出されていた。以前、都で森の魔物が起こした騒動がばれたのかと思い、こわごわ登城したムイを待っていたのは、次期国王となる青年グリジスだった。王になるための通過儀礼として森を訪れたグリジスは、森の住人たちの異能を知り、私欲のために使おうと画策し始めた! 反対したムイは森に入ることを禁止されてしまい…!?(裏表紙より)
新キャラ登場、なんですが、次期国王だというのでてっきりヒーロー候補かと思ったら、敵対者っぽいグリジス。今巻ムイと過ごすのはラーシェンでした。嫉妬する森狼の王が可愛い。
森の秘密を知っている国王側の問題でしたが、ティッセ、キハネの姉妹の方にも陰謀以外での変化が。ティッセ、悪役にしてはお姉ちゃん大好きすぎるので、ちゃんと仲直りしてほしい。悪い子じゃないんだよな。ちゃんと家事も出来るようになってるしここで生きていくこともできるだろうに、何をそんなに過去の暮らしに固執してるのか。その辺りのことは後から分かるのかなー。

失踪してしまった同僚はどこへ消えたのか。彼の机の周りに集まった人々。城山はその痕跡から、消えた樺島が何を見ていたのかに気付く「心変わり」。飛来したUFOが発した光を浴びた動物たちが知能を持ち、主人に言葉を知らせるようになった「忠告」「協力」。一所に留まらず常に異動する世界の物語「少女界曼荼羅」。ある少女に、突如現れた彼女が言った「私と踊って」。十九の短編集。
久しぶりに恩田陸さんの作品を読んだ。短編やっぱり好きだなあ。
今回はどの作品も、長編を思わせるプロローグ的なものが多かった気がします。「心変わり」の続きすごく読みたい。
「少女界曼荼羅」は絵画っぽいなあという印象でした。常に動く世界で女の子たちが走り回る話が読んでみたい。
「私と踊って」ももうちょっと長いもので読んでみたいと思ったのですが、でも少女時代に結びついた二人が、遠く離れていても相手のことを見て、思っている、というシチュエーションが本当に好きすぎる。
恩田さんはどこかに「かえっていく」お話がお好きなんだな。過去に、世界に、ルーツに。自分を構成するものを解いて、この世の不思議はそのままに飛び込んでいく感じ。

日本SF大賞受賞『マルドゥック・スクランブル』から、吉川英治文学新人賞、本屋大賞を受賞した時代小説『天地明察』まで、エンタテイメントの最前線で活躍し続ける冲方丁の細心短篇集。『天地明察』の原型短篇「日本改暦事情」、親から子どもへの普遍的な愛情をSF設定の中で描いた「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」、著者自身を思わせる作家の一夜を疾走感溢れる七でつづる異色の表題作など、全7篇を収録(裏表紙より)
「スタンド・アウト」「まあこ」「箱」「日本改暦事情」「デストピア」「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」「OUT OF CONTROL」の七編。ホラーあり、SFあり、『天地明察』の原型短編あり。
冲方さんのホラー恐すぎる。「まあこ」の設定にひいっ! ってなってしまった。髪と女と性にまつわるホラーの組み合わせは最悪なほど恐かった。
全体的に薄暗い感じ、ちょっと不穏さが感じられる短編ばかりで、「日本改暦事情」の清々しさがすごく際立っている。一人称の作品が多いのは、意図的なものがあるのだろうか。『天地明察』まだ読んでないので、早く読もう。
「OUT OF CONTROL」はぞっとするホラーみたいな作品だったけれど、これまでの冲方作品を知っていると、覚えのあるフレーズがあちこちに出てきてにやっとしてしまった。読めてない作品もあるので、多分私の知らない作品のフレーズもあるのかな。