読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

1997年の本なので、また違った見地が必要なんだろうけれど、90年代後半のゲイの現状を、ゲイの歴史、欧米での状況を踏まえつつ、「ゲイ・スタディーズ」を論じる。
「ゲイ・スタディーズ」とは、「当事者たるゲイによって担われ、ゲイが自己について考え、よりよく生きることに寄与すること、さらに異性の間の愛情にのみ価値を置き、それを至上のものとして同性愛を差別する社会の意識と構造とを分析することによって、同性愛恐怖・嫌悪と闘っていくのに役立つ学問」(本文より)と定義されている。
色々分からないところも多いのだけれど、「私は同性愛者です」と宣言されなければ異性愛者としてカテゴライズされている、暗黙の了解が存在している社会に、改めて不思議だなあと感じたり。
「同性愛者に理解があるよ」ということは、多くの場合、それは社会に流布している間違った同性愛者観である、ということに、すごく納得されたり。この場合、多くの色んな「理解」に当てはまることだなと思って、すごく興味深かった。
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ミレーユの双子の兄・フレッド(将来の夢:勇者)のドラマチックな冒険を描く表題作「身代わり伯爵と伝説の勇者」、“運命の恋人が見える”鏡をめぐって恋する乙女が暴走する「身代わり伯爵と運命の鏡」、美形着ぐるみ王子ヴィルフリートと、ミレーユの勘違いだらけな逢い引き「身代わり伯爵と秘密のデート」他、ジークの仰天花嫁選びを描いた書き下ろしを収録。爆笑&ラブ満載なファン待望(初心者歓迎)の豪華短編集!!(裏表紙より)
楽しかった! 求婚まで読んでいて、本編がちょっとそわそわした感じなので、明るく楽しく読める話は嬉しいな。フレッドがいっぱい出てて楽しいですが、フレッドとセシリアが好きなのでもっと出て! という感じです。
一番好きなのはやっぱり「身代わり伯爵と薔薇園の迷い子」! ジークとリディエンヌの話は、べったべたなだけに、会話が面白くて、しかししっかりツボを押さえてくれて、大変ときめきました。求婚はいい。とてもいい。

温かかった。
春の陽射しも、寄り添う互いの体温も。
憶えている? と、鳴は颯音に問いかける。
「この『故郷への旅』に出ようとあなたが告げた日の約束」
明るい浅藍の空と、それよりも深い色をした水。颯音の故郷の海を見つめながら、鳴は訊ねる。
颯音は、頷く。
傍らの鳴の温もりを感じながら。憶えている、と。
赤く色づき始めた楓の葉が舞う中で交わした約束。小さな命が、その腕の中にあった日。
夏と秋と初冬——巡る季節を二人は思い出す。
幾つかの出会いと別れを。
再び出会うであろう、懐かしく優しい人々のことを。
鳴と颯音、二人の軌跡を綴る、初の短編集。(カバー折り返しより)
これの前に伍之帖を読んでしまっていたので、この短編集のほのぼの感が嬉しいやら切ないやら。
本編そのものは鳴と颯音の一人称の交代で進むので、他の登場人物の視点でお話が語られるのが面白いなあ。他人の視点から見る鳴と颯音が好きだ。なので「撫子色の約束」が好きだし、ちょっと不思議なお話でもある「早緑月を待つ冬陽」が好きだな。

阿燐は雍台国の第一王女。しかし若くして即位した兄・双王、愛らしく無邪気な妹・可籃とは違って、実は王室の血筋ではない。中原の小国雍台はたびたび反乱や侵略に悩まされていた。そして異境の趨几国郎颱王に王女を一人差し出すことになった。側室として。「五年たったらお前を必ず迎えに行く」——秘かに想いを寄せる兄王の言葉だけを信じて自ら志願して趨几国へ向かう阿燐の運命は!?
17歳で衝撃デビューした新鋭の待望第二弾。(裏表紙より)
中華風ファンタジー。政略結婚ものですが、恋愛ものではなくて一人の王女の情念を描いた作品。国の結末がはっきりしなかったのが物足りなかったけれど、女の物語としてみるならすごい話だ。暗殺を命じるところは、これぞ中華! という感じがする(偏見)
阿燐は結局最後まで救われることがはなかったんだと思うと、複雑な気持ちになる。郎颱が繰り返し言った、「幸福になろうとしない」という言葉がすごく重い。
でも好きだな、この話。
森崎朝香さんの『雄飛の花嫁』が似ているという話を聞いたけれど、設定は似ていても、書いている話は全然違うなあ、と思う。

少年ワツレンは、海の上で生涯を送るという海人の一族に育った。左半身にほどこされた銀色の美しい刺青が、その証。だが、大嵐に襲われ両親と仲間たちを失ったワツレンは、海軍将校のルーザ=ルーザに命を助けられ、王都の迷宮管理庁で暮らすことになる。王国の至宝を守るために造られた迷宮の謎は、誰にも解けないはずだったが、ワツレンは……!?
迷宮ファンタジーに新たな傑作登場!(裏表紙より)
心に傷を持つ若者たちが、『世界』へと歩き出していく話、という感じで、爽やかで、元気がよくて、しんみりして、とてもいいファンタジーだった! このしっとり感というか清涼感というか、すごく好きだなあ、西東さんのお話。
主人公ワツレンの性格がとてもいい。まっすぐで、明るくて、自分に出来ることをやれる真っすぐな男の子。弱音を吐くときもしっかりしているし、芯が通った男の子でかっこいいなあ! 嫌みがない感じがすごく好き。だからこそエトには眩しかったのだろうし、ぶつかりあってすれ違うこともあったけれど、二人が歩んでいく道はきっとたくさんの光が待っているだろうな。
漫画話がすっかりご無沙汰。せっかくなので四ヶ月ぶりに好きだったのをまとめてみようと思います。
最新とかではなくて、ただ単に私が読んだ漫画のまとめですよー。
キッズ・ジョーカー (Vol.1) (PRINCESS COMICS)
『キッズ・ジョーカー』藤田麻貴(コミックス全6巻)
梁川蛍は、いつか刑事になると決めている正義感の強い女子高生。しかしその性格が災いして、トラブルに自ら首を突っ込んでいく。そんなある日、梶原と名乗る青年に協力したことから、警察の特殊組織のバイトを始めることに……。
本サイトの方で書いていた小説に「これを思い出したんです!」というメッセージをいただき、懐かしくなって揃えて読んでみました。当時本誌で追いかけていたので、すっごく懐かしくて、すっごく楽しかったです。元気で負けん気の強い女の子と三角関係! この主人公・蛍が、気が強くてでも心優しい、身体能力も高い度胸のある女の子で、本当にこういうヒロインが大好きだという気持ちを思い出しました。彼女を大切にする梶原と、彼女に興味を抱く湖条。私はこの再読で、湖条に落ちました……。

『乙嫁語り』3巻 森薫(既刊3巻)
2巻終わりで、話がアミルさんから別の人々へ移ると聞いてしょんぼりしていたんですが!
スミスさん、スミスさあああああん!!
続きを早く!

『乱と灰色の世界』3巻 入江亜季(既刊3巻)
実は『コダマの谷』からずっと買っている作家さんです。
妹と「けしからん!」(褒め言葉)という話をした三巻。表情がかわいいなあ!

『赤髪の白雪姫』6巻 あきづき空太(既刊6巻)
大好きなシリーズ。1巻ごとに強烈なときめきポイントがあると思っているんですが、実はこの本、帯の裏側を全然みていなかったので、るんるんと本編を読んでいたら、某の台詞で「ぶはあっ!?」と噴き出しました。ひ、ひいいいい(ときめきで悲鳴をあげる図)。見開きのあの宣言、ときめきすぎてやばかったです。
そしてオビかっこいい。ラジかっこいい。
私はさりげなく寝所のイザナ殿下が好きです。起こされて天蓋めくって答えて起きて上着羽織ってゼンと喋ってるあの一連のシーンが好きだ。……何が好きなのか自分でもよく分からん……。

『今日も明日も。』絵夢羅(既刊9巻)
少女漫画家を目指す笹神ちかは、幼なじみの少女漫画家・桃瀬稜に弟子入りする。15歳のちかと23歳の稜。純粋無垢なちかの言動に振り回される稜だが、次第に、お互い大切なものに気付かされていって……。
近頃最終回を迎えた(本誌で読んだ)少女漫画家を目指す女の子のお話。コメディなところとシリアスなところがいい塩梅で、読んでいてすごく心地よくて楽しくて、恋愛関係もすごく楽しくて面白くて、創作を語ったり創作を大事にするところに、胸を打たれたりなどして、最終回辺りは泣きながら読んでました。夢を叶える物語って、いいなあ!
あと、あの作品の関係人物である、夏澄少年をああいう位置に配するというのが新しくて面白いなと思いました。

『月は東に日は西に』わかつきめぐみ(白泉社文庫・全1巻)
各クラブの雑用をこなして部費を得る、美術部からのはぐれ組が集ったことで結成された『楽描倶楽部』。その二代目部長・高橋茗と個性豊かな面々の連作短編。
かつてコミックスが家にあったのですが、いつの間にか失われていて、すごく好きだったので見つけて読みました。
あの時のほわっとした温かい気持ちが蘇ってきました。お話は足りていないし、説明不足なところもあるのですが、このお話の数々が感じさせる空気がすごく好きで、高校というものや、部活動に憧れを持っていた気持ちを思い出したり……。
こういう空気感は、きっと書くのは難しいだろうなあ……と考えている自分がいました。あったかいような、楽しいような、そんな空気。

D・キッサン短編集2『ゆり子には内緒』D・キッサン
この方も新刊が出るたびに買ってしまう作家さんの一人です。西洋、和風、中華風、平安、昭和、学園など色々な短編が収録されています。すごいなー。こういう幅の広い話が書けたらきっと楽しいだろうなー。
すごくシリアスな話から、色っぽく感じられる話、軽快な話など、たくさんあってすごく楽しかったです。
楽しいと思ったのは「志能便の手」で、個人的にすごく好きだったのは「切望の娘」です。……信仰とか祈りとかが好きでごめん!
最新とかではなくて、ただ単に私が読んだ漫画のまとめですよー。
キッズ・ジョーカー (Vol.1) (PRINCESS COMICS)
『キッズ・ジョーカー』藤田麻貴(コミックス全6巻)
梁川蛍は、いつか刑事になると決めている正義感の強い女子高生。しかしその性格が災いして、トラブルに自ら首を突っ込んでいく。そんなある日、梶原と名乗る青年に協力したことから、警察の特殊組織のバイトを始めることに……。
本サイトの方で書いていた小説に「これを思い出したんです!」というメッセージをいただき、懐かしくなって揃えて読んでみました。当時本誌で追いかけていたので、すっごく懐かしくて、すっごく楽しかったです。元気で負けん気の強い女の子と三角関係! この主人公・蛍が、気が強くてでも心優しい、身体能力も高い度胸のある女の子で、本当にこういうヒロインが大好きだという気持ちを思い出しました。彼女を大切にする梶原と、彼女に興味を抱く湖条。私はこの再読で、湖条に落ちました……。

『乙嫁語り』3巻 森薫(既刊3巻)
2巻終わりで、話がアミルさんから別の人々へ移ると聞いてしょんぼりしていたんですが!
スミスさん、スミスさあああああん!!
続きを早く!

『乱と灰色の世界』3巻 入江亜季(既刊3巻)
実は『コダマの谷』からずっと買っている作家さんです。
妹と「けしからん!」(褒め言葉)という話をした三巻。表情がかわいいなあ!

『赤髪の白雪姫』6巻 あきづき空太(既刊6巻)
大好きなシリーズ。1巻ごとに強烈なときめきポイントがあると思っているんですが、実はこの本、帯の裏側を全然みていなかったので、るんるんと本編を読んでいたら、某の台詞で「ぶはあっ!?」と噴き出しました。ひ、ひいいいい(ときめきで悲鳴をあげる図)。見開きのあの宣言、ときめきすぎてやばかったです。
そしてオビかっこいい。ラジかっこいい。
私はさりげなく寝所のイザナ殿下が好きです。起こされて天蓋めくって答えて起きて上着羽織ってゼンと喋ってるあの一連のシーンが好きだ。……何が好きなのか自分でもよく分からん……。

『今日も明日も。』絵夢羅(既刊9巻)
少女漫画家を目指す笹神ちかは、幼なじみの少女漫画家・桃瀬稜に弟子入りする。15歳のちかと23歳の稜。純粋無垢なちかの言動に振り回される稜だが、次第に、お互い大切なものに気付かされていって……。
近頃最終回を迎えた(本誌で読んだ)少女漫画家を目指す女の子のお話。コメディなところとシリアスなところがいい塩梅で、読んでいてすごく心地よくて楽しくて、恋愛関係もすごく楽しくて面白くて、創作を語ったり創作を大事にするところに、胸を打たれたりなどして、最終回辺りは泣きながら読んでました。夢を叶える物語って、いいなあ!
あと、あの作品の関係人物である、夏澄少年をああいう位置に配するというのが新しくて面白いなと思いました。

『月は東に日は西に』わかつきめぐみ(白泉社文庫・全1巻)
各クラブの雑用をこなして部費を得る、美術部からのはぐれ組が集ったことで結成された『楽描倶楽部』。その二代目部長・高橋茗と個性豊かな面々の連作短編。
かつてコミックスが家にあったのですが、いつの間にか失われていて、すごく好きだったので見つけて読みました。
あの時のほわっとした温かい気持ちが蘇ってきました。お話は足りていないし、説明不足なところもあるのですが、このお話の数々が感じさせる空気がすごく好きで、高校というものや、部活動に憧れを持っていた気持ちを思い出したり……。
こういう空気感は、きっと書くのは難しいだろうなあ……と考えている自分がいました。あったかいような、楽しいような、そんな空気。

D・キッサン短編集2『ゆり子には内緒』D・キッサン
この方も新刊が出るたびに買ってしまう作家さんの一人です。西洋、和風、中華風、平安、昭和、学園など色々な短編が収録されています。すごいなー。こういう幅の広い話が書けたらきっと楽しいだろうなー。
すごくシリアスな話から、色っぽく感じられる話、軽快な話など、たくさんあってすごく楽しかったです。
楽しいと思ったのは「志能便の手」で、個人的にすごく好きだったのは「切望の娘」です。……信仰とか祈りとかが好きでごめん!

「ギブ神父が好きだから、会いたかったの。迎えにきたの…」
神父ギブが、殺人事件の重要参考人として拘束される。《混ざりもの》であるギブを亡きものにしようとはかる、枢機卿の陰謀。だが、事情聴収という名の拷問を受けながらも、なぜかギブは無反抗で……。そんな彼を救えるのはただ一人、ギブを愛する下僕のツキシロのみ——!? さらにその頃、謎の魔物の動きも活発化していて——。運命の二人に、宿敵との決戦の時が迫る!!(裏表紙より)
第一部完! といった感じの四巻目。とらわれのギブ神父の救出に向かうツキシロたち。
《混ざりもの》であるために転化してしまうことを恐れているギブも、なかなか死にたがりというか、諦めている人だよなあ……。彼を大事に思ってくれている人たちがたくさんいるというのは、いいな。ギブもちゃんとそういうことに気付いているみたいだから、彼の道行きが彼の望むものであるように祈る。
今回もメイド服、というか変態談義が楽しかったです。

ネプティス王国の新国王、レトムゥールとの結婚が決まったブラーナ皇女のプシュケは、期待に胸をときめかせた。政略結婚とはいえ、以前からレトムゥールに憧れていたからだ。しかし、ネプティスに着いたプシュケに対し、露骨に反発する美少女がいた。はじめは彼女がレトムゥールと結婚するはずだったらしい。もしや、レトムゥールも彼女のことが好きなのでは——不安になるプシュケだったが!?(裏表紙より)
末っ子甘えんぼ気質の姫プシュケと、「黄土の大地を潤す姫」で登場したレトムゥールのお話。
全体的に可愛らしい感じだった、かな?
プシュケがちょっとぬけたところがあるので、陰謀面としては今回は弱い印象でした。ライバルのアーケスメイア姫との対立もありつつなんだけれど、レトムゥールとの恋愛模様はそんなにない。むしろ、自分の身分を自覚して、頑張ると決めるまでのお話だったような気がしました。それから異文化理解についても書かれていました。プシュケは柔軟でいい子だなあ。レトムゥールはまだまだ保護者、という感じですけれど、なんだかかわいらしい夫婦になりそうです。

一九七〇年代から現在に至るまで、とくに“二十四年組”を中心に花開いた〈少女漫画〉の魅力とその高度な達成——大島弓子と萩尾望都、岡崎京子の作品を主な手がかりに、少女漫画を戦後文化論として読み解く。ヒロインたちが抱える繊細な“怯え”は、大人の論理が強要する安易な成熟の拒否であり、無意識の抵抗だったのではないか。今日に至るまで連綿と受け継がれてきた“震え”や“怯え”の伝達装置としての〈純粋少女〉たちに、高度消費社会の諸矛盾を乗りこえる可能性をみる。巻末に「少女漫画の名作一覧」を収録。(カバー折り返しより)
柔らかな文体と考察で、この方の文章は好きだなーと思いながら読む。なんというか、少女漫画に
対して嫌悪感というか抵抗感があんまりないような見方をされている気がする。
でもタイトルにあるような話はほとんどないです。
序章「七〇年代少女漫画前史」では、七十年代少女漫画論でよく見る「成熟の拒否」が扱われているけれど、この本はその「読者の心」に強く言及するわけではなくて、大島弓子『バナナブレッドのプディング』、萩尾望都『トーマの心臓』、岡崎京子『ヘルタースケルター』を通して、少女漫画の主人公たる「少女」とその作家とは何かを探っていく感じで、ようはすごく私好みの一冊でした。大島弓子から萩尾望都、そして岡崎京子から現代少女漫画へ持っていくのが自然体で、嫌らしくなかったなあ!
飯沢さんは大島弓子さんがお好きなようで、それに多く割かれている印象。終章の「純粋少女と少女漫画のいま」がよかったなあ。好きだー。
巻末の少女漫画の名作一覧は完全に飯沢さんの趣味というかで、最後まで固くない感じが好きでした。