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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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ブラック・ベルベット―菫咲くころ君を想う (コバルト文庫)
ふわふわでフリフリがなにより大好きな愛らしいファナ。いつも無心で自分を求めてくれた最愛の友を喪ったキリは、その痛みからなかなか抜け出せない。それでもロキシー、神父ハルやグラハム、シュトラールに見守られながら穏やかに旅を続けていくうち、思いがけないハルの初恋を知ることになる。だがそれは、主教の座を巡る陰謀や、自らの過去とも向き合うための先触れでしかなかった……。(裏表紙より)

BB第4巻。この辺りからなんだか面白い気がしてきました。それまでも面白かったんですが、ここからどうなるんだろう! というわくわく感が盛り上がってきた。
親友のファナが亡くなり、打ちひしがれるキリ。そこでハル神父が突きつけたのは、あなたの考えは幼すぎるという言葉。色々考えさせられてしまいました。確かに、国家転覆の考えを持つからには次なる国の理想や、人々を導こうとする何かが必要なのだろうし、だからこそ事態が動いていく。でもキリは私怨なのではないか、力で解決しようとしていないか。
キリはキリで、きちんとした理由を持っているけれど、これはやっぱり私怨でしかないかも、と思います。すっごくすっごく、本人にとっては重要なことなだけに、言い切るのは苦しい。
ホワイトレジデンツ側のルヴィエと、ハル神父の過去と神父の語るルヴィエに、あまりにも差異がありすぎて、ハル神父の方を信頼しているだけあって彼の回想を信じていたのですが、本当は……。そう思うと、すっごく、うまい。私なんかが言ってはなんだけれど、すごく描き方がうまい。
次巻で打ち切りと聞いてしょんぼりですが、続きを見つけたら読もうと思います。
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猫の縁談 (中公文庫)
猫と古本と古本屋との摩訶不思議な物語。古本一筋に生きてきた古本屋と、古本が放つ妖気に魅入られた古本世界の奇妙な人びととの交流を、抑えたユーモアで描き出す、はじめての作品集(裏表紙より)

猫と古本の話、ということで気になって読んでみた。
妖気……という空気漂う作品集でした。古本屋を描いた作品というと、人との交流があって明るいイメージがあっただけに、ずっしりと重苦しく文字や本の背表紙が迫ってくるような物語なので、びっくりする。物語の空気に、本のにおいがする。真新しい本屋さんではなくて、古書店の。
どれもさっぱりする、という作品ではなくて、人と本の繋がりがもたらす世界なだけに、どこか息苦しくてああもどかしい、という気分。なんだかその世界の中にいたのに掴み損なった気がする。
以前読んだ本に、火坂雅志『骨董屋征次郎手控』があって、同じ古物を扱っているためか、同じ空気がするなあと思う。人間が主人公じゃない感じ。
沙羅は和子の名を呼ぶ (集英社文庫)
もしもあの時、別の選択をしていれば、全く違う人生を歩んでいたのだろうか……。平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が、すべての始まりだった。一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめて——。表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。(裏表紙より)

数年前に読んだので、今回は再読。表題作がすっごく恐ろしい思いをした覚えがあったので、改めて読んで、やっぱりちょっと恐かった。
別の選択をした場合の世界が入り交じる。更にそこで殺人が、というのが恐ろしいのかも。どうあっても解決できない恐さというか。
この本は、解説にもあるように異界に触れているところが多々あって、それが偶発的でも人為的でも、読んでいて暗い穴からぶわっと風が吹いているような気がして、ちょっと恐い。きちんと解決している作品が少なくて、やっぱりそれも異界に触れるような何かを有した作品ばかり(収録作品の「天使の都」でも、その場所そのものとか)
あと読んでいて思い出したのが、「エンジェル・ムーン」。幻想的なことを突き進むのかと思ったら、最後の解き明かしが、残念で。そうそう、初読の時もここでがっかりしたよなあと思いました。でも、今なら思う。これは本当は、実は解き明かされていないかもしれない、と。
ミステリ短編集というより、日常と幻想の短編集、という感じがしました。
いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)
住みなれた浅草に別れを告げ、三浦半島の港町・三崎へと発作的に引越したのが2001年。買物かごを提げて毎夕おつかいにでかけ、おいしい魚、おいしい野菜を丁寧簡単に料理して食べる日々が始まった。三崎の人たちとの親戚みたいなつきあいと、間近に海を望む暮らしから、じっくり練られたいくつもの作品が誕生した。ごはんの話と創作秘話が一体となった人気のネット連載ついに文庫化!(裏表紙より)

かなり前に買っておいて、読みさしで本棚にさしたまま忘れていた、という本。
面白かった! エッセイ集です。その日あった出来事と、ご近所の話と、創作の話、お仕事の話、ご飯の話、が大体の内容成分。近所付き合いがものすごく濃い。みんなこんな身近でいいんだろうかっていうほど、みんな親しい。まるで別の世界みたいだ。
土地と、食べ物と、人を愛しているんだろうなあというのがすごく伝わってくる気がしました。どんな風に世界が見えているんだろう、とちょっとどきどきしたりも。いしいさんの本、私は実は未読で、でもすっごく丁寧に練られた世界観なんだろうというのが窺える文章でした。今度は物語を読みたい!
古時計の秘密 (創元推理文庫)
ナンシー・ドルー18歳。金持ちの老人の遺産を、強欲な親戚一家がむりやり独り占めし、これまで老人から援助の手を差し伸べてもらっていた人々が困っているらしい。みんなに遺産がいきわたるようにすべく、ナンシーは遺言書捜しに奔走する。正義感が強く好奇心旺盛なナンシーが、大人顔負けの活躍で事件を解決する。長年にわたり人々に愛されてきたシリーズの、記念すべき第一作!(裏表紙より)

ミステリーかと思ったら、さっぱりとした子ども向けのお話だった。児童文学で、勧善懲悪ものなんですね。あんまりうまくいきすぎるからびっくりした。
ナンシーが、とてもかわいい。みんなに愛されるヒロインなんだなあと読みながら思う。みんなに好かれて、正義感があって、冒険心が強くて。彼女がこれまで色んな出来事を解決してきたんだろうなあ、という、長い彼女の物語の中の、ある期間が書かれているのがこの第一作のようでした。
うまくいきすぎる、と書きましたが、それでもわくわく感がすごくて。こういう展開なんだろうと読めても、本当にうまくいくのかなと考えたり、うまくいった場合、悪者たちはどうやって泡を吹かせられるんだろうと考えると、楽しかった。
プリンセス・トヨトミ
会計検査院の松平、鳥居、ゲーンズブールの男女が降り立ったのは大阪の地。三権分立のどこにも属さない彼らの仕事は、大阪の秘密を暴くことに。
一方、大阪は空堀中学校の大輔は幼馴染みの茶子と共に、ある決意を秘めて登校する。
これは、三人の大人と、二人の中学生と、大阪の人々の、五月三十一日に至る物語。

これは、すごい。
分厚さもさることながら、世界観とか色々な伏線がすごい。大阪国って! 大人の、男たちのロマンと一致団結がすごい。更に更に、女性の存在も、直接関係ないのにこれほど鮮烈に印象に残るのか! という。人の力ってすごい、を強く感じる物語でした。
みんなが一斉に動き出したところで、読むのが止められなくなって、ぞわぞわしてきて。人々が、長く長くこれほどまでに大切に繋いで受け継いできたものが、こうした形でも確かに現れたことにめちゃくちゃ感動して、うるうるしながら読みました。思い出しても、すごい、と思って、なんでか泣けてくる。
登場する空堀辺りが、結構知っていることもあって、それも楽しかったです。
タイトルのつけかたが秀逸です。もうこの話はこれ以外のタイトルはないと思います。
真紅の式使い―華の絆、永久の約束 (一迅社文庫アイリス)
「僕があなたの式神となりましょう」
死者の魂を現世に呼び戻し、式神として使役する《式使い》。式使いの少女・彰は、最愛の式神・司を取り戻し、幸せな日々を送っていた。しかし『司をまた失ってしまうかもしれない』という不安は消えない。司をつなぎとめる方法を探すため、式術を学び直す彰。そんな彼女の元にやってきたのは、式神が降ろせないはずの彰の新たな式神で…!?
彰と司、すれ違う2人の心の行方は——?(裏表紙より)

式使い三巻。お話としては最終巻、なんでしょうか。
ごちそうさまでした! すれ違いやら、吹き込まれやら、ライバル登場やら、心理戦的ならぶ要素が盛りだくさんでおいしゅうございました。でも、バトルがもうちょっと! 見たかったです!(永野さんのバトル描写大好きなので!)
彰も司も、自分のことを他人に頼らずに解決しようという性質なので、すれ違う度に「がんばれええええ!」と応援していました。応援せずにはいられない、まっすぐな登場人物たち。この二人に限らず、式使いの登場する人物はみんな自立心が強くて。だから、終章の、みんなが爽やかに、どっぷり支え合うわけではなく、お互いを思い合っているようなかたちは、やっぱり「支え合い」に感じられてすごく幸せでした。
この物語は、きょうだいが美味しいです。彰姉妹も、司兄弟も。特に姉妹が非常にかわいかった……。きょうだい仲良しがすっごく見てみたいです。
もちろん、彰と司のらぶもすっごくときめきでした。待つ、と言った司にこの人完璧攻めに回ったな、と珍しくオタク的に考えたのでした。絶対振り回されるに違いない。彰、ガンバレ……!
そうだ、無料配布されているというペーパーの所在が分からなくて、しょんぼりでした。田舎めええええ!〇| ̄|_
風花の里 (創元推理文庫)
幼馴染の丈と忍び込んだ雪の邸で、三人の幼児を目撃した星玲子は、その時川に落ちた愛猫とらを救ってくれた優しい少年に思いを寄せる。父母を失い一人札幌に向かう道にも、彼は現れた。丈ととらに護られて成長する星玲子は、一途にかつての少年を思い続けるが、祖父の”遺産”を巡る策謀と、三人の幼児に繋がる縁が彼女を翻弄する。『雪の断章』『忘れな草』『花嫁人形』姉妹編。(裏表紙より)

三人の運命の子どもたちには直接関係ないけれど、それを取り囲む複雑な糸に絡まれ、自らもその運命を持つ少女の物語。
他の姉妹編と比べて、どうしても振り回される感が大きくて、そこが可哀想だなと思いました。孤児だけれど、ある意味とても満ちて過ごしている。でもやはり、欠けたところは存在する。でも星玲子は、何かを求めようとしたり、切望したりする気持ちが、他の孤児たちと比べて弱い気がしたので、だからこそ振り回される印象が強くなってしまったのかも。
同じ作者の館三部作にも関連しているようなので、また読もうと思っています。
もう少しむこうの空の下へ (講談社文庫)
仕事も一段落。自由な日が作れたから、旅に出よう。テントや寝袋を詰め込んで……。気がつくとなぜか海に向かっている。そこで出会う人たちとの熱い交流、そして別れ。友が言った。「なんだか船の別れっていいけど少しかなしいですね」。幸せな風景が心にしみてくるのはなぜだろう。旅人シーナの感動物語。(裏表紙より)

ウン年前、買って読んだけれど、いまいちぴんと来なくてほったらかしにしていた、という本。ティーンだったから、この本がいまいち分からなかったのだ。紹介の「感動物語」というところで、小説だと思い込んでいたこともあったと思う。
旅行記である。解説にもあるように「もう少しむこうの空の下(の海)へ」という、海に向かった旅の記録。出会う人々や過去の話を交えつつ、いくつかの旅のことが書かれている。一冊が一つの旅の記録じゃないのです。一冊に複数の旅の記録があって、どうやら、頻繁に旅に出ていらっしゃるよう。その記録がまた、短編小説のような懐かしさや温かさや不思議さを漂わせています。
好きだったのは「木の踊り」。沖縄の小島の出来事。この一冊には女性のことがよく出てくるのでなんとなく、もやもやしてしまうんだけれど(何故だろう……)、「木の踊り」の女性は子どもみたいで可愛かった。
花嫁人形 (創元推理文庫)
父と母、そして四人の姉妹。幸福な家庭の中で、血の繋がらない昭菜だけは教育も与えられず、孤独に育った。叔父の壮嗣は陰で時々優しくしてくれるが、皆の前では末娘の織ばかりを可愛がる。孤児という境遇と許されぬ恋に苦しむ昭菜は、ある事件をきっかけに、新たな秘密と罪を背負うことになる。血縁と企業が絡んだ宿命に翻弄される人々を描く、『雪の断章』『忘れな草』姉妹編。(裏表紙より)

孤児四部作の三作目。長らく積んでいたのを読んだ。
久しぶりに読んで、この、しっとりした綺麗な文章にうっとりする。一人称で、リリカルな文章が挟まったりするけれど、暗闇を抱えた少女たちの物語は、読んでいると心のなかに文字が降り積もる。
昭菜は孤児として一番、形としては幸福な場所にいるのかもしれない。ただ、人間として必要であろう教育を奪われたことは、孤児たちの中で一番不幸だった。
三作目まで読んだけれど、この三作目も好きかもしれない。好きだというのは、これが家族の物語であるということ。もちろん最大のテーマである少女の恋は描かれるわけで、その上で、この美しいけれどうまくいかない家族は、不幸であるだけによりいっそう綺麗に見えてしまうんだよなあ。
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Author:月子
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