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小説の神様 (講談社タイガ)
 僕は小説の主人公になり得ない人間だ。学生で作家デビューしたものの、発表した作品は酷評され売り上げも振るわない……。物語を紡ぐ意味を見失った僕の前に現れた、同い年の人気作家・小余綾詩凪。二人で小説を合作するうち、僕は彼女の秘密に気がつく。彼女の言う“小説の神様”とは? そして合作の行方は? 書くことでしか進めない、不器用な僕たちの先の見えない青春!(裏表紙より)

すべての台詞がぐさぐさ胸を突き刺す。一也と詩凪の語ることは、相反しているけれどどちらも正しくて、結局は「自分は何を信じて書くか」ということしかないんだろうなあ。
この作品の願いはきっと、作家はみんな、作品を愛してくれる人のために書いてほしいということなんだろう。悪評や言いがかりに負けず、それでもあなたの書く物語が好きだと言ってくれる人の存在がどれだけ尊いかということを伝えたいってことなんだ。
言葉の強さというのも感じました。作中ではある二人が、他者からの言葉で語るための言葉を失うんですが、小説に力なんてないかもしれないけれど言葉はあっさりと胸をえぐるんですよね。シンプルだからこそ、そしてそれをまっすぐに受け止めてしまうからこそ再起不能に近いところまで陥ってしまう。
すごく考えさせられる作品だったのですが、祈りと願いと希望に満ちていて、頑張ろうと思えました。
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Author:月子
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