読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

騎士が隊を組み、互いの兜につけられた命石を砕いて勝敗を競う——〈戦争〉にかわり〈戦闘競技会〉が、国々の命運を決するようになり三百年。優秀な騎士を輩出する村に生まれながら、周りの少女たちのように剣を扱えないニナは、「出来そこない」と揶揄されてきた。だが、ニナが出場した地方競技会を見たというリヒトに弓の才能を見出され、騎士団へ勧誘されて…!?
どうか、わたしの盾になってください。(裏表紙より)
各国の騎士団同士が戦う代理戦争が行われるようになって三百年。大柄な身体と大型の武器による近距離攻撃が主流となっているこの時代、小型で非力ゆえに短弓しか扱えないニナは出来損ないだった。しかし目の良さと弓だけを扱い続けたことによる腕前が、ある騎士の目に留まる。その出会いはニナの世界を大きく変えていって。
異物扱いされ、過去のあやまちに囚われ続けている卑屈な少女が、自分を変えようと必死に戦う物語。最終盤までだいぶきつい、というかなかなか奮い立ってくれないニナがもどかしい! 年齢の割に小柄で、出来損ない扱いのせいで周りから弾かれて、精神的に大人になれるような環境になかったことは理解できるんですが、リヒトはもうちょっと上手く導いてあげてほしいというか!
ロルフとの関係も改善されたようなので、騎士団生活も上手くいくことを期待しつつ、今後の成長が楽しみです。
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王宮文官となったウェンディの前に現れた上司は、3年前に別れた元恋人デニス! 急逝した兄に代わり子爵家を継いだはずでは……。相変わらず優しく自分を守ってくれるデニスに戸惑う中、ウェンディの大切な宝物が拐かされてしまう。救出に向かったデニスが見つけたのは、自分によく似た女の子で――。3年前、二人に起こったすれ違いの真実が明かされる。「もう二度とキミを離さない」大人のシンデレラ・ウェディングラブ!(裏表紙より)
ハーレクインものでよくみるシークレットベビーもの。角川ビーンズ文庫ですよね? それだけ読者の年齢層がだいぶ上がってきたということだろうか。ものすごくびっくりした。
ただ内容も文体もだいぶ軽く、悪役はおばかさんで、小さな子どもは可愛らしく主人公はたくましく、ヒーローは情けないところがありつつもかっこいいところはしっかりかっこいいと、気軽に読めるお話でした。
ところで職場の方々はウェンディとデニスの様子がおかしいのをどう見ていたんだろうな。じれもだでやきもきする状況(子どもの誘拐は別)だったんだから周りの反応がものすごく気になる。

傍から見たら、ちょっと不思議らしい。でも、これが私たち夫婦。私たちの家
木崎ゆすら、職業文筆家。先日結婚しました。旦那さんは毎日美味しいご飯をつくってくれます。天気がいい日も悪い日も、普通の日もお祝いの日も、私が書けても書けなくても。父が残したこの家で。ゆったり夫婦の物語(Amazonより)
ゆすらは他の人たちのようにうまく生きられない。できるのは小説を書くこと。
夫となった木崎は仕事を辞め、毎日食事を作り、家事をし、時々趣味のゲームをして過ごしている。
周りから見れば不思議な生活だけれど心地よい、時々心が波立つこともある日々を送っている二人。季節の流れと、ごはんと、心の陰影を描写した作品で、これを富士見L文庫で出したのか! すごいな!? と思いながら読みました。すごく素敵な作品なのに何故このタイトルなんだ。もったいない。
ゆすらの心の動きはよく描写されるのに、肝心なところははっきりと語らないのがとても良い。たとえば父親の話。崇のこと。でもまったく心の中にないわけではないという塩梅がすごくいい。語らないからこそ語れない感じ。
そうして心がいっぱいいっぱいになったとき、当たり前のように木崎が出す食事がとてもいい。季節を感じる食事、何気ないものも御馳走も、すべてゆすらの毎日の中に溶けている感じ。そして木崎もそんな毎日を心地よく感じているのが最後にわかってぐっときました。「なにものにもなれない」とわかっている人が「なにかにならなければならない」人のことを知ることで、自分にも意味があるのかもしれないと思えるのはすごく救いだと思ったんですよね。
とても素敵な作品でした。

ある事情から伯爵令嬢アマリアの身代わりとして、他国の大学を受験したユーネ。無事に首席合格したものの、なぜかトゼ公爵であるセヴェステルに付きまとわれて!? 目立たず学業に邁進したいのに、「彼女は自分に惚れている!」と思い込んだ彼は斜め上の超ポジティブ思考でグイグイ迫ってくる。そのせいで周囲の令嬢たちから妬まれて、嫌がらせをされるはめに。圧が強くてうっとうしい彼から逃げたいユーネだが、甘く熱い想いに翻弄されて……。(裏表紙より)
まったく人の話を聞いてくれないトンチキヒーロー、ただただ怖い。
読むと他人事なのでうわあと思いながら距離を取れるんですが、当事者だったら怖いよなあと思ってました。自己肯定感が高いとは言っても、まったく人の話を聞いていない、「嫌だ」という言葉を「僕を思ってのことだね!」と曲解するなど、話が通じない恐怖。ユーネ自身は途中から好意を持っているように描かれていくんですが、無理やりそう思うように言い聞かせているように感じて……いや本人たちが問題ないならいいんですけど……その状態で体の関係があるのはひたすら怖いと思うんだよな……。ソーニャ文庫だとこういうヒーローもありなのか。
特殊な設定としては、女性も学位を持つことがステータスであるということと、蒸気機関車が存在しているような時代設定なので避妊具が存在すること。事後の風景を思うとだいぶシュールだなと思ったこともあり、珍しいものを読んだと思いました。

「宇宙ゾンビ現る」「断ち話」「僕と僕との往復書簡」「短いこばなし」「二人の銀座コレクション」「百文字こばなし」「ぬけぬけと噓かるた」「くらしの七福神」「第二成人式」「覚えてはいけない国語」「SF素晴らしき新世界」「新生物カジャラの歴史と生態」「落花8分19秒」「砂場の少年について」ほか、小林賢太郎の創作・全26篇。(文庫改訂版)(Amazonより)
短篇集となってますが、しっかりお話もあれば、ツイッター投稿みたいな短文をまとめたものもあり、キャラクター同士を会話させる解説ページみたいなものもあり、物語や表現の幅が広くてとても面白かった。
ブラックジョーク的なネタが多くて、個人的にカジャラにまつわる二本が、一つはほのぼの、もう一つは真面目な感じにしながら、実際書かれていることはだいぶ薄気味悪くて怖くて面白かった。
最後に「落花8分19秒」「砂場の少年について」といういい話でまとめられているのがよかったなあ。
特に「落花8分19秒」。光度を観測しない謎の視力を持つために、8分19秒後に影が存在しないものは消滅あるいは死ぬとわかる能力を持つ主人公の話なんですが、こういう読後感の作品がすごく好きなんですよね。何かがほんの一瞬きらめいて終わるそれがすごくよかった。

「香水の都」南フランスの町グラース。ローズやジャスミンの花畑が広がるこの地では18世紀以来、香料産業が受け継がれ、現在も著名な調香師を輩出している。野生の香料植物——タイム、ローズマリー、ウインターセイボリー、レンティスク、マートル、ラベンダー、シスタス、セージ、ナルシス、バイオレットが育ち、森に入ると灰緑色や白色のオークモスがみられ、標高1400-1800mの山では野生の真正ラベンダーが強い太陽に照らされ、香りを放つ。
合成香料が誕生し、植物の大規模な生産は労働力の安価な国々へ移った現在も、老舗ブランドがグラース産天然香料を香水に使用している。香料植物と産業の発展は、同時に優れた人材と香水を誕生させてきた。
38人の調香師が、香料植物71種について、プロフィール、香りの特徴、収穫風景、効用、文化、逸話などを網羅しながら、親しみ深い植物への記憶と、調香のコツについて語り、優れた香水群を紹介する。(裏表紙より)
香料植物の解説と調香師のプロフィールをまとめたもの。フルカラー、かつデザイン的な見開きに、翻訳した文章が載っているんですが、おしゃれで綺麗なもののものすごく読みづらい。専門用語が多いせいもあるけれど。
植物の話も面白いのですが、それがどの有名な香水に使われているか、いろんな香水瓶が見られたりするのは面白かった。

「きみを許すわけにはいかない」帝国の辺境にある<森の国>の王姉エデトの心配事は、幼い弟王のこと。味方が少ない弟の力になってもらうため、皇帝クリュサルの見合いの会にもぐりこんだエデトは、皇帝の勅書を手に入れ目的を達成! 恩返しに、婚姻する気がない彼の偽装婚約者になることを申し出るけれど、思わぬ事件に巻き込まれることになって――!? 未来視能力持ちの皇帝陛下と押しかけ皇妃候補の恩返し×偽装結婚ラブファンタジー! ※電子版はショートストーリー『誕生日』付。(Amazonより)
辺境の国の王姉エデトは皇帝クリュサルの謎めいた憂いが気にかかり、皇帝勅書の恩に報いたいと、退位を望む彼の時間稼ぎのための偽装婚約に協力する。それは皇帝即位の秘密と過去の事件、そしてエデトの出自に関わる事件に繋がって。
身軽な服装で馬を駆って弓を射る、行動力があって軽やかなさっぱりしたヒロイン、とても良い! 帝国の御令嬢たちは野蛮だと眉をひそめるけれど、冒頭の馬に乗って帝国にやってくるシーンからすでに感じられるエデトの清々しさがとてもいいですね。好き。威厳と行動力と賢さで帝国の人間と渡り合っていく王女様、かっこいいなあ!
だからクリュサルはエデトにいっぱい振り回されてください。距離を縮めた二人が帝国滅亡の未来を今後どうやって変えていくのか、続きが読みたいな。

小さい頃からアクセサリーが大好きで、憧れの老舗宝飾店の販売員は天職だった。今朝までは……。金属アレルギーを発症し突然失業した天。さらに「本命彼女と結婚します」という書き置きとともに彼氏に貴重品を持ち逃げされる。
やけ酒を飲んで気がつけば、初対面の男性の会社に転職することになっていた。職場は青山の外れの瀟洒な一軒家。知る人ぞ知るオーダージュエリーのお店だという。
天は唯一の接客係として、お客様たちの大切な記念日に関わっていく——日常が豊かに輝く、ジュエリーをめぐるお仕事物語。(裏表紙より)
宝石が好きで一流宝石店に勤務していた犀川天は突然金属アレルギーを発症し、退職を余儀なくされる。もう二度と宝石に触れない。絶望する天はさらに彼氏に逃げられ、子どもの頃からいまに至るまで大切にしたり集めたりしていたアクセサリーを盗まれてしまう。しかしやけ酒を煽って絡んだ初対面の相手がオーダージュエリー店の社長で、翌日にはそこで務めることとなり……。
宝石が好きな天が明るくて楽しい人で、読んでいて明るい気持ちになる。なんか好きだなあこの人と思いながら読んでいました。
エピソードは全体的に小粒で、個性的な脇役たちが大きく絡む話もないんですが、その気軽さがなんだか心地よくて好きです。ヘビーなエピソードが絡むとしんどいときがあるので、誰かを幸せにしたり、ちょっと辛い気持ちを一気に晴らしてしまったり、というジュエリーのいいところが詰まっているようでよかったな。

特別知能犯捜査係に配属された元機動隊の刑事・上下中。そんな彼の相棒となった泉州院雅は、頭脳明晰ながら人の感情が理解できぬ毒舌家で……。そんな凸凹コンビが立ち向かうは、恋心を弄ぶ卑劣な結婚詐欺事件!!(Amazonより)
元機動隊所属の刑事と、長官の身内で頭脳明晰、顔立ちも整っているけれど世間一般の感覚を持たない先輩刑事、凸凹な二人が初めて組んで捜査に乗り出すのは結婚詐欺事件。
上下刑事が泉州院に対して、教えてやろうとか先輩なのになんて思わないのがとてもいいと思いながら読んでいました。ものすごく柔軟に「そういう人なんだ」と受け入れて上手に付き合っているのに、本人にまったくその自覚がないのがいい感じ。泉州院もそう思っているだろうに表現の方法が健康を心配することになっているっぽいのがおかしい。
結婚詐欺の犯人周りの話、犯人となりすましている人物との関係が、私はあまり考えたことのなかったものだったので、おっ、と思って面白かった。そうだよなあ、似てるもんだよなあと思って。

神の書の呪いを解く“鍵”を見出したヒース。そして三書の解放は、新しい伝説に……? 女子が頑張る、書を巡るビブリオ・ファンタジー最終巻!!(帯より)
物語は終わらなければならない。新しい物語を始めるために。
三書の終わりを記すシーンがとにかく印象的で、それぞれの終わらせ方に信念が見えて、泣いてしまった。シドは終わりを、イルシオーネは自由を、エリカは未来を願ったんだろうなあ。それらはきっと誰もが「物語」に願うことなんじゃないだろうか。
望まずに知の聖騎士として確固たる地位を築いてしまったヒースがおかしい。ただ書というのは攻撃するものだけではないと思うから、きっと彼女の存在は大きな意味があるはず。しかしヒエンが完全にまとわりつく形になっていたのでヒースは大変そうだ。
戦っていた二国のガーディアン能力者たちが協力しあう展開はやっぱり楽しかった。ただ戦っていたそれぞれが何を思っているのか読めなかったのが残念。久しぶりの登場で他の知の聖騎士のビジュアルが想像しにくかったし、みんながもっときゃっきゃと楽しく仕事をしているところが読みたかったなあ。
続けて読んでいたので3巻が二段組になっていて「!!?!?」となりましたが、これで削られていたら泣いちゃうところだったので、たっぷり読めてよかった。
最後のシーンは号泣しました。ここにたどり着くための物語だったと思いました。