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冬のオペラ (中公文庫)
名探偵はなるのではない、存在であり意志である——勤め先の二階に事務所を構えた名探偵巫弓彦に出会ったわたし・姫宮あゆみは”真実が見えてしまう”彼の記録者を志願した……。猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人が遭遇した、哀しくも残酷な三つの事件。(裏表紙より)

「三角の水」「蘭と韋駄天」「冬のオペラ」、三つの中短編集。
主人公が若いというのがいい。時々挟まるかっこで括られた注釈も可愛く感じる。
人間関係の醜さというものがよく描かれるのでもやもやと嫌な気持ちになって、私は本でそういうことに出会うと食い掛かったり殴りかかったりしたくなる……のは他人事だからだろう。
巫先生は渋い感じのおじさまみたいなんだが、どうも言っていることを見ると若いような印象を受ける。「〜ですな」とかは渋いが。
最後の事件はとても哀しかった。少し何かが違っていれば、椿さんは殺人犯にならずに済んだだろうに。裁かれるのは別の人間のはずだった。多分、そういうずれが起こってしまうのが犯罪なんだろう。
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