読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「香水の都」南フランスの町グラース。ローズやジャスミンの花畑が広がるこの地では18世紀以来、香料産業が受け継がれ、現在も著名な調香師を輩出している。野生の香料植物——タイム、ローズマリー、ウインターセイボリー、レンティスク、マートル、ラベンダー、シスタス、セージ、ナルシス、バイオレットが育ち、森に入ると灰緑色や白色のオークモスがみられ、標高1400-1800mの山では野生の真正ラベンダーが強い太陽に照らされ、香りを放つ。
合成香料が誕生し、植物の大規模な生産は労働力の安価な国々へ移った現在も、老舗ブランドがグラース産天然香料を香水に使用している。香料植物と産業の発展は、同時に優れた人材と香水を誕生させてきた。
38人の調香師が、香料植物71種について、プロフィール、香りの特徴、収穫風景、効用、文化、逸話などを網羅しながら、親しみ深い植物への記憶と、調香のコツについて語り、優れた香水群を紹介する。(裏表紙より)
香料植物の解説と調香師のプロフィールをまとめたもの。フルカラー、かつデザイン的な見開きに、翻訳した文章が載っているんですが、おしゃれで綺麗なもののものすごく読みづらい。専門用語が多いせいもあるけれど。
植物の話も面白いのですが、それがどの有名な香水に使われているか、いろんな香水瓶が見られたりするのは面白かった。
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「きみを許すわけにはいかない」帝国の辺境にある<森の国>の王姉エデトの心配事は、幼い弟王のこと。味方が少ない弟の力になってもらうため、皇帝クリュサルの見合いの会にもぐりこんだエデトは、皇帝の勅書を手に入れ目的を達成! 恩返しに、婚姻する気がない彼の偽装婚約者になることを申し出るけれど、思わぬ事件に巻き込まれることになって――!? 未来視能力持ちの皇帝陛下と押しかけ皇妃候補の恩返し×偽装結婚ラブファンタジー! ※電子版はショートストーリー『誕生日』付。(Amazonより)
辺境の国の王姉エデトは皇帝クリュサルの謎めいた憂いが気にかかり、皇帝勅書の恩に報いたいと、退位を望む彼の時間稼ぎのための偽装婚約に協力する。それは皇帝即位の秘密と過去の事件、そしてエデトの出自に関わる事件に繋がって。
身軽な服装で馬を駆って弓を射る、行動力があって軽やかなさっぱりしたヒロイン、とても良い! 帝国の御令嬢たちは野蛮だと眉をひそめるけれど、冒頭の馬に乗って帝国にやってくるシーンからすでに感じられるエデトの清々しさがとてもいいですね。好き。威厳と行動力と賢さで帝国の人間と渡り合っていく王女様、かっこいいなあ!
だからクリュサルはエデトにいっぱい振り回されてください。距離を縮めた二人が帝国滅亡の未来を今後どうやって変えていくのか、続きが読みたいな。
小さい頃からアクセサリーが大好きで、憧れの老舗宝飾店の販売員は天職だった。今朝までは……。金属アレルギーを発症し突然失業した天。さらに「本命彼女と結婚します」という書き置きとともに彼氏に貴重品を持ち逃げされる。
やけ酒を飲んで気がつけば、初対面の男性の会社に転職することになっていた。職場は青山の外れの瀟洒な一軒家。知る人ぞ知るオーダージュエリーのお店だという。
天は唯一の接客係として、お客様たちの大切な記念日に関わっていく——日常が豊かに輝く、ジュエリーをめぐるお仕事物語。(裏表紙より)
宝石が好きで一流宝石店に勤務していた犀川天は突然金属アレルギーを発症し、退職を余儀なくされる。もう二度と宝石に触れない。絶望する天はさらに彼氏に逃げられ、子どもの頃からいまに至るまで大切にしたり集めたりしていたアクセサリーを盗まれてしまう。しかしやけ酒を煽って絡んだ初対面の相手がオーダージュエリー店の社長で、翌日にはそこで務めることとなり……。
宝石が好きな天が明るくて楽しい人で、読んでいて明るい気持ちになる。なんか好きだなあこの人と思いながら読んでいました。
エピソードは全体的に小粒で、個性的な脇役たちが大きく絡む話もないんですが、その気軽さがなんだか心地よくて好きです。ヘビーなエピソードが絡むとしんどいときがあるので、誰かを幸せにしたり、ちょっと辛い気持ちを一気に晴らしてしまったり、というジュエリーのいいところが詰まっているようでよかったな。
特別知能犯捜査係に配属された元機動隊の刑事・上下中。そんな彼の相棒となった泉州院雅は、頭脳明晰ながら人の感情が理解できぬ毒舌家で……。そんな凸凹コンビが立ち向かうは、恋心を弄ぶ卑劣な結婚詐欺事件!!(Amazonより)
元機動隊所属の刑事と、長官の身内で頭脳明晰、顔立ちも整っているけれど世間一般の感覚を持たない先輩刑事、凸凹な二人が初めて組んで捜査に乗り出すのは結婚詐欺事件。
上下刑事が泉州院に対して、教えてやろうとか先輩なのになんて思わないのがとてもいいと思いながら読んでいました。ものすごく柔軟に「そういう人なんだ」と受け入れて上手に付き合っているのに、本人にまったくその自覚がないのがいい感じ。泉州院もそう思っているだろうに表現の方法が健康を心配することになっているっぽいのがおかしい。
結婚詐欺の犯人周りの話、犯人となりすましている人物との関係が、私はあまり考えたことのなかったものだったので、おっ、と思って面白かった。そうだよなあ、似てるもんだよなあと思って。
神の書の呪いを解く“鍵”を見出したヒース。そして三書の解放は、新しい伝説に……? 女子が頑張る、書を巡るビブリオ・ファンタジー最終巻!!(帯より)
物語は終わらなければならない。新しい物語を始めるために。
三書の終わりを記すシーンがとにかく印象的で、それぞれの終わらせ方に信念が見えて、泣いてしまった。シドは終わりを、イルシオーネは自由を、エリカは未来を願ったんだろうなあ。それらはきっと誰もが「物語」に願うことなんじゃないだろうか。
望まずに知の聖騎士として確固たる地位を築いてしまったヒースがおかしい。ただ書というのは攻撃するものだけではないと思うから、きっと彼女の存在は大きな意味があるはず。しかしヒエンが完全にまとわりつく形になっていたのでヒースは大変そうだ。
戦っていた二国のガーディアン能力者たちが協力しあう展開はやっぱり楽しかった。ただ戦っていたそれぞれが何を思っているのか読めなかったのが残念。久しぶりの登場で他の知の聖騎士のビジュアルが想像しにくかったし、みんながもっときゃっきゃと楽しく仕事をしているところが読みたかったなあ。
続けて読んでいたので3巻が二段組になっていて「!!?!?」となりましたが、これで削られていたら泣いちゃうところだったので、たっぷり読めてよかった。
最後のシーンは号泣しました。ここにたどり着くための物語だったと思いました。
異教の国シテで、大好きな“ランバートル”と神書の隠された過去を知ったヒースは? 女子が頑張る、書を巡るビブリオ・ファンタジー第二弾!!(帯より)
深い傷を負った久遠の書のガーディアン、ザクロを治療するため、黄昏の書の持ち主を頼って敵国シテに赴いたヒース。だが「黄昏の書」の正体と「暁の書」「黄昏の書」「久遠の書」の秘密を知ったことで、自分の愛する物語「ランバートル」が歪められたものであると知ってしまう。
自分を構成する大事な物語が、誰かを呪うものだったと知ったときのヒースの気持ちを思うと、苦しい。自分の存在が揺るがされるみたいできつかったろうなあ……。でもここにきて読者として結構きつかったのは、ヒースのように「大事な物語」を持っていて、思い入れを抱く登場人物が多くないこと。ヒースにとってその真実がどれほど重くて苦しいのか、わかってくれる人がいない気がして。
だからヒエンのことは正直ぶん殴りたかったな! まじで! 理解できないんだろうなあという脱力感も覚えてしまった。
本が国家財産とされるイースメリア。古より伝わる“久遠の書”が目覚めを迎えた時、知の聖騎士・ヒースが図書院で出会ったのは……!?(帯より)
能力と血統から選ばれた者が、特定の書から「ガーディアン」と呼ばれる存在を呼び出し、知の聖騎士となる世界。だがヒースはただの一般人で、定まった書ではない、大切な一冊からガーディアンを呼び出し、防御のみに特化した、戦えない、異質な聖騎士。一部の人間から存在を疎まれ、聖騎士を辞めたいとまで思っていたある日、神が与えた三つの書のうちの一冊が目覚め、その主人と出会う。
読み慣れるまでちょっと時間がかかりましたが、ソヴェリナ寺院にたどり着いてからは物語が動き出した感もあって楽しく読みました。しかし、ヒースとヒエンがどう考えても合わないので展開がだいぶ不安でもある……。それにヒースラッドが何も語らないのが気になります。
「君には才能がある、一流の泥棒になってみないかい?」
謎多き美貌の青年、嵐崎の驚くべき勧誘。なんと生き別れの父が大怪盗であり、自分はその後継者だというのだ。
かくして平凡な大学生だった因幡の人生は大きく変わっていく。嵐崎の標的は政界の大物。そして因幡の父をはめた男。そんな相手に、嵐崎は不可能に近い盗みを仕掛けようとしていた──。
スリルと興奮の大仕事の結末は!? 華麗なる盗みのトリックに、貴方はきっと騙される! 痛快、怪盗ミステリ。(Amazonより)
母と暮らす大学生の因幡は、ある日大学准教授の嵐崎から、自分の父親がかつて政治家たちの汚職を暴いたことで一躍有名になった怪盗ジャバウォックであり、仲間の裏切りによって破滅したことを知らされる。因幡は突き動かされるように、かつての父の仲間たちと協力してミッション達成を目指す。
わちゃわちゃしながら政治家たちを出し抜こうとする、ライトな「オーシャンズ11」という感じ。明るく軽快で、爽やかなメンバーが楽しい。一人ひとりのエピソードの掘り下げが見たかったんですが一冊では無理だよねえ……。全員魅力的なのにー。
19世紀末、ロンドン。殺人床屋に関する有名な都市伝説を記事にすることになったセシル。取材を続けるうち、床屋は実在するのではという疑惑を抱いて…!? また、アッシュフォード家に一大イベントが訪れた。皇太子妃のアレクサンドラからお茶会に招かれたのだ! あたたかい人柄と、絶世の美貌に恵まれた皇太子妃。だが、彼女の結婚生活は決して幸せではないことを知ってしまったセシルは……。(裏表紙より)
シリーズ3巻目。男装して新聞社の見習い記者をやっているセシルと、婚約者であるにもかかわらず素性を伏せている相棒の挿絵画家ジュリアン。この巻でやっとセシルにジュリアンへの特別な気持ちがはっきり自覚させられたかな? という感じです。
登場人物は皇太子妃アレクサンドラ。事件はスウィーニー・トッド、プリンセス・アリス号の事件、風俗としては降霊会。やっぱり組み立て方が上手くて謎解きも事件も面白いんだよなあ! ただ今回はだいぶ悲しい事件になってしまったけれど……。
身分の高い人の道ならぬ恋って悲劇にしか繋がらないものなんだろうか、なんてことを思う。まあ結果的に不貞を働いて、それを政治的な問題も関わるからと相手に隠して丸く収めようというのは、相手がよほどできた人間じゃないと幸せにはなれないか……。