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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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箱のなかの海 (コバルト文庫)
独身で建築家の、ちょっと風変わりなぼくのおじ——カズおじさんが、ある日、黒くて不格好なラジオをくれた。大きなダイヤルと立派なアンテナがついた年代物のやつだ。すっかり夢中になってダイヤルをいじっていると……不思議な物語が聞こえはじめたんだ。妖怪ラジオから流れる珠玉の連作メルヘン・ファンタジー。『理想宮——K氏の一日——』を新たに加え、貴方の琴線(アンテナ)に夢を送信する。(カバー折り返しより)

樹川さとみ作品で現代物って珍しい感じがした。97年の作品らしい。やっぱりファンタジーとか、習慣などを書かせるとこの人は活き活きとするなあと思う。だから一話ごとに挟まるファンタジーはすごく面白かった。
「もしもあの花がすべて鈴だったら」が一番好きだ。願いを叶えました、そしてその後は? という、あとがきにも書いてある疑問を実践するのはすごく好感が持てる。
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最後の封印 エネアドの3つの枝 (コバルト文庫)
赤ん坊からおばあちゃんにいたるまで、美人でも不器量でも女性という存在そのものをとにかく無条件で愛する船乗りヒューリオン。そんな彼でも唯一苦手とする女性がいた。治療師シーリアだ。ある時、見知らぬ老婆に親切にした彼は、西の森の泉に行くことをすすめられる。そこで目にしたのは、カカシよりも無愛想なシーリアが、地面に両ひざをついて傷ついた獣のように泣いている姿だった!!(裏表紙より)

エネアド三部作の三巻目。
無愛想なシーリアと船乗りヒューリオンの話。ヒューの設定がいまいち書き切れていなくてもうちょっと! だったんだけれど、シーリアの設定が他二巻で上手く書かれているのでそれは十分だった。
やっぱり微妙に危うい濃い恋だった。一歩間違えばヒューの執着は病気っぽい。シーリアの恋愛下手さは、べたべたの展開だったけれどやっぱり良い! ちょっと大人向けな巻だったと思う。
終章の手紙は、昔シーリアがヒューに宛てたもので、多分ヒューの家族はその手紙の事を知っているんだろうと思う。母親が会いたいと言っているのは良い気持ちがあるからで、多分その手紙を知っているからではないかと。
外国の逸話なんかを樹川さんは詳しく知っていて、それがすごく上手くいかされている。楽魔女の時も思ったけれど、精霊と魔法をすごく不思議に、とても綺麗に書いている。すごく波長が合う。
女ぎらいの修練士 (コバルト文庫)
ある事件を起こして宮廷を去ったセインは、修道士になることを決意した。そのためには、見習いの修練士として誓いを立てなければならない。——それは二年間口をきかないこと。誓いを守り続けて、一年以上がすぎた頃、修道院長に遣いを頼まれ、領主オーフとともにコウシェに向かう。とちゅう立ち寄った場所で、オーフの妹ララと出会う。まさかこの出会いが誓いを破らせることになるとは……!?(カバー折り返しより)

エネアドシリーズ二作目。主人公は美少女ララ。
はすっぱな口調で辺りを翻弄する人間だけれど、一番寂しがり屋であるというのが前面に押し出されている。セインは切れると何をするか分からない。一歩間違えば、この二人はちょっと危ない道に進んだんじゃないかと思う。
名前の秘密、恵まれない出生など、ライト的な要素が盛りだくさん。記憶喪失が出て来た時に「あ、これは本気でべたで恥ずかしいものを書こうとしているな」と感じた。
「わすれものを——してきたの。すぐにもどるわ」のシーンは感動的なまでにドラマティックだった。こんな展開大好きなんだよー。
ララがフォリスタ氏を妻として呼ぶ。そのシーンは切なかった。ララはあまりにも優しい。そして自分の意志を貫き通そうとする強さがある。ここが一番感動した。
それでもあなたに恋をする (コバルト文庫)
ミシアは復讐するために王宮にやってきた。八年前、自分を子ブタ扱いした少年はアドルファ・オレン。屈辱をバネにミシアは美しく生まれ変わった。だがいま目の前に立つその彼も腹が立つほど綺麗なオトコに成長し、面差しには陰りをたたえる。「むかし、あなたに対してひどいことを言った」再開に際してアドルファはミシアに謝罪した。幼いころとはまるでちがう彼にミシアの心は波うった。(カバー折り返しより)

三部作の一巻。
見返して惚れさせてこっぴどく振ってやる! と思い成長した少女が主人公。少女小説としてはとてもときめきがあるストーリー。だけれど、簡単にはいかないところがすごく良い。アドルファの馬鹿みたいな恋愛下手、不器用さ、彼が好きだった女性の存在、王からの婚約者候補、エネアドを狙う陰謀など、盛りだくさん。
何より会話がふるってるなあ! すごくテンポが良い。
ミシアがただの田舎の美少女じゃなくて、頭が良くていざとなれば凛とする事が出来るというのが格好良すぎる。
グランドマスター! 呪われた女騎士? (グランドマスター! シリーズ) (コバルト文庫)
外国のスケベオヤジに売り飛ばそうと美少女たちをのせた”人さらい船”に、総長シアシーカもとらわれの身となっていた。団長ハルセイデスを筆頭に〈黎明の使者団〉は船を急襲! 無事、救い出すことに成功する。解放された人質の中に、男装した女騎士もいた。その名はアスティル。プラチナブロンドに印象的なブルーの瞳をもつ美しい女性。しかし”自分は女性ではない”と主張しだして…!?(カバー折り返しより)

「グランドマスター!」第二巻。
「楽園の魔女たち」の初期と比べて、文章が軽くなったように感じる。その分想像を掻き立てる、くすっと笑える所がかなり盛り込まれている。
ネタ的にはありがち。けれど細かい所、決闘の描写なんかが書き込まれていて面白い。
シアシーカの能力発揮は今回はなし。けれどちょこちょこフォローしているみたい? ハルセイデスとシンクロしているのか、この辺りは伏線だろうか。
ハルセイデスはすでに無意識にシアシーカに「そんな顔させたくない」と思うほど感情移入しているらしい。にやにや。ついでに休日になると妙に口調が砕けている。ラストの包帯巻きのシーンは嫌がっていないのがポイントだと思われる。
冬のオペラ (中公文庫)
名探偵はなるのではない、存在であり意志である——勤め先の二階に事務所を構えた名探偵巫弓彦に出会ったわたし・姫宮あゆみは”真実が見えてしまう”彼の記録者を志願した……。猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人が遭遇した、哀しくも残酷な三つの事件。(裏表紙より)

「三角の水」「蘭と韋駄天」「冬のオペラ」、三つの中短編集。
主人公が若いというのがいい。時々挟まるかっこで括られた注釈も可愛く感じる。
人間関係の醜さというものがよく描かれるのでもやもやと嫌な気持ちになって、私は本でそういうことに出会うと食い掛かったり殴りかかったりしたくなる……のは他人事だからだろう。
巫先生は渋い感じのおじさまみたいなんだが、どうも言っていることを見ると若いような印象を受ける。「〜ですな」とかは渋いが。
最後の事件はとても哀しかった。少し何かが違っていれば、椿さんは殺人犯にならずに済んだだろうに。裁かれるのは別の人間のはずだった。多分、そういうずれが起こってしまうのが犯罪なんだろう。
千の翼の都―翡翠の怪盗ミオン

黒髪翡翠の瞳の怪盗、黒アゲハと呼ばれるルムラ。彼女を追う王都巡検使ジューロ・カイワン。ルムラを取り逃がしたジューロを主人とする、さえない侍女のミオン。しかしミオンこそ、怪盗ルムラの正体。果たしてルムラの求めるものは。一番目の天人。二番目の人間。三番目の異種族。伝説は、最後に神を蘇らせる。

樹川さんの恋愛ファンタジーはかなり性に合っているんです。少女小説としてどきどきさせてくれるし、ときめきもたくさん。そして樹川さんは、脳味噌が筋肉な鈍感男が大好きなようで(笑) 更にわざと見せかけている人も大好きなのようです。私も好きです、とても。
力が有り余っているような女子は元気で見ていると楽しく、時にしおらしいのは大変なときめきポイント。鈍感男が自覚無しにやってしまう行動もときめき。女の子の仲良し、男の仲良し(笑)、ものすごく可愛い。
ライトな文体で世界観はとても綺麗に出来ていて、壮大なんだけれどきれいに終わってくれるのがすごく好き。続きを想像したくなるっていうのも、すごく良い。
さてこれは続きを想定されているのか、その辺りが気になる所。
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Author:月子
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