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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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屋根裏の姫君―ガラスの靴をはいた少女 (コバルト文庫)
貿易商ランプリングの娘=美春は継母のエマにひどくいじめられ、みすぼらしい格好で屋根裏に住んでいる。そんな健気な美春が、舞踏会でガラスの靴をはいたら……。
アッと驚く展開。運命の恋のその後……。
女のコなら誰でも知ってる、憧れるシンデレラ・ストーリー。でも「香山版」はひと味もふた味も違う、青春サクセス物語なのだ。思わず涙のクライマックスが待っている!!(カバー折り返しより)

中学生くらいの時にこれを読んで、ここで終わりなのかと思っていたら、実は続きがあることを知って隣の市の図書館まで行って読んだ思い出がある。実はその頃からずっと欲しかった本なのだ。
ちなみにこの巻だけでは完結しません。
物語はシンデレラをなぞっているのだけれど、気になるのは継母エマと継姉の長女アネット。似通った思いを抱えた、よく似た母子。次女のキャロルはキャロルで、多分そんな家族を持ったのを眺めているからこういう性格になったんじゃないかなーと、続きを覚えていないので考えてみる。
みんながみんな、『遠い国』や夢の場所を望んでいるのが切ないなと思った。思うがゆえにその場所に囚われているというのか、変わることができない。そのもどかしさを読みながら感じた。
どこか同じ世界の遠い国に思えて、しかしどこか違う世界の話って、なんだかいいなあ。
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モノレールねこ (文春文庫)
小学生のぼくは、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日、ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが……。表題作の「モノレールねこ」ほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚など、日常にさりげなく現われる、大切な人との絆を描いた 8編。解説・吉田伸子(裏表紙より)

いつもの空気を考えていたら、しんみりと大人の女性向けの話が多かったです。もうちょっとじっくり読みたいな! と思うくらい入り込んでました。
「マイ・フーリッシュ・アンクル」の少女と叔父の話は、ときめきでもありました。
「セイムタイム・ネクストイヤー」は、ほろりとしました。やっぱり、どうしてこう、ホテルマンさんとバーテンダーさんはいい味を出すんだろう! 素敵! 惚れる!
「バルタン最期の日」は、ザリガニ視点の話ということで、びっくりした。しかもなんかいい話だよ!? ちょっとハードボイルドなザリガニの話を読むとは思わなかっただけに、傍観者でありながら、バルタンの物語はしんみりしました。
面白かった!
ドッペルゲンガー宮―“あかずの扉”研究会流氷館へ (講談社文庫)
北澤大学新入生のぼく=二本松翔は、サークル《あかずの扉》研究会に入会した。自称名探偵、特技は解錠などクセ者ぞろいのメンバー六人が、尖塔の屹立する奇怪な洋館”流氷館”を訪れた時、恐るべき惨劇の幕が開く。閉鎖状態での連続殺人と驚愕の大トリック! 本格推理魂あふれる第十二回メフィスト賞受賞作。

濃かった……。名探偵役が二人(三人?)もいるからか、推理が重なって重なって重なって、読み終えて疲れたーという気分。あまりにすごいトリックな上に、更に狂信的な犯人になると、とても胃もたれする。どっしり来ました。
かなり分厚い。623ページあります。主要メンバーはとてもライトノベル的なのに、全然そんなことのない、たくさん人死にが出る話。事件は現場で起こっているのですが、視点はそちらにはなく、外側から見ている小説です。恐らくは、この小説の事件のトリックと、作中作『そして誰もいなくなるか』との構造化なんだろうなあと。
メンバーは、自称名探偵・鳴海さんが好きなのですが、一方でどうもユイが好きになれなくって、ちょっと苦しかったです。
しかしとても濃かった。面白かった。
グランドマスター!―折れた聖杖 (コバルト文庫)
法皇に呼ばれ、聖都へとやってきた〈黎明の使者団〉一行。姫総長シーカに夜這いをした上に断られてしまった団長ハルは、少々落ちつかない。そしてついに謁見の日がやってきた。しかし、現れた法皇は偽物。それは、ミトラーダ勢力の増長を恐れた枢機卿の企みだった。改めて法皇から内密の会見の場を設けられた使者団だったが、その最中、法皇暗殺未遂事件が! 容疑は使者団に向けられてしまい!?(裏表紙より)

最後の戦いへの序章、みたいな感じ。
シーカの願いがようやく口にされて、安堵すると共に不安に思う。消えてしまいそうだーとか。
謎の襲撃でばらばらにされてしまった使者団。シラスの過去が明らかになりますが、彼の理由が明らかになってもなんか、みんなに文句を言われたり小突かれたり、でも笑い飛ばされそうな雰囲気が漂っていて、寂しいと共にちょっとだけ温かくなった。多分、いい終わり方をするんじゃないかなと。
収録されている短編は、やっぱり笑いました。そういえば樹川さんだっけ、B級映画が好きでキラートマトとかなんとかいう映画の話を、楽魔女かなにかのあとがきでしていたような? だからトマトなんだろうか。
ラストに数年後〜と書かれていますが、使者団がそれだけ長い旅をしているのか、それともすべてが終わった数年後なのか、気になるところです。
児玉清の「あの作家に会いたい」
月刊誌「PHP」に掲載された、児玉清さんと作家たちの対話集。

必ずどういう子どもでしたか本は読みましたかという質問があるので、作家さんってどんな子どもだったんだろう、どういう経緯で作家になったんだろう、というのがさらっとお話されます。だからなかなか楽しかったです。色々こういう信念がある(特に有川浩さんのライトノベル作家という名乗りとか)というのが分かって。対談の最後にその作家さんのオススメの本が挙げられているのですが、有川さんが『光の帝国』(恩田陸)を挙げててちょっと嬉しかったり。
鷺と雪
ベッキーさんシリーズ第3巻。昭和十年六月から翌年二月までの三つの短編を収録。子爵の神隠し事件を描く「不在の父」。小学生が深夜出歩いた理由の謎「獅子と地下鉄」。鷺の面で踊る能を見たあの日のこと、そして雪の降る日の記憶「鷺と雪」。

とてもしっとりとした素敵な文章でした。しんしんと降り積もるような。
英子の物事を確かに捉える視線がとても好き。周囲の移り変わりに、心動かされるのもとても少女らしい。優しいことばかりに満ちていないし、特に「鷺と雪」ではちょっとした悪意(それをいたずらという)が描かれているのだけれど、やっぱり心静かに読みたくなる本だなあと。
「鷺と雪」の奇蹟は、北村薫さんらしくてはっとした。

「いえ、別宮には何も出来ないのです——と」
「…………」
「(略)何事も——お出来になるのは、お嬢様なのです。明日の日を生きるお嬢様方なのです」


このシーンの前に、年齢を重ねた人の言葉を英子が否定して、ベッキーさんがやんわり諌めるというシーンがあるから、余計にぐっときた。
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈1〉
”ホテル・ウィリアムズチャイルドバード”、通称〈鳥籠荘〉には、普通の社会になじめない一風変わった人々が棲みついている。妄想癖の美女、ゴスロリ小学生、ネコの着ぐるみ、不気味な双子の老人、そして響き続ける正体不明の金切り声。そんな〈鳥籠荘〉の住人の一人・衛藤キズナが、5階に住むひきこもり美大生・浅井有生と知りあったのは16歳の冬。そして、誘われたバイトは、絵のヌードモデル。やってみることにしたキズナは、油絵具の匂いがこもる雑然としたアトリエで浅井と一緒に過ごすうち、その時間が自分にとって次第に大切な日常の一部になっていくのを感じて……。
〈鳥籠荘〉のちょっとおかしな住人たちの、ちょっとおかしな、けれどいろいろフツーの日常をつづる物語。(カバー折り返しより)

ずっと「ぼんやり明るい」印象の物語でした。
短編連作。キズナをメインに置いて、住人たちの日常を描いたお話。
きっと〈鳥籠荘〉はちょっと薄暗いところで、昼間はぼんやり明るくて、夜もぼんやり明かりが灯っていて、というのを想像していました。
ヌードモデルと画家、という設定も大変おいしい上に、一方でほとんど甘くなくてちょっとあったかくて、というのがとても心地よかった。関係は変わるのかなあとちょっとどきどきしていました。パパと華乃子の話がとても温かでしたが(ラストの脱ぎ捨てられたあれがとてもよかった……!)、キズナの話はどうなるのかなあと続きがとても読みたくなりました。
空中庭園 (文春文庫)
郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。でも、本当はみんなが秘密を持っており、それぞれが違う方向へ。異質でありながら家族であるしかない、普通の家族に見える一家の光と影……ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景を描いた連作家族小説。第3回婦人公論文芸賞受賞。解説・石田衣良(裏表紙より)

エグかったです……。血がどろぐちゃーじゃなくて、精神的な意味合いで。
包み隠さずというモットーの元にいるのに、本当はみんな秘密を抱えている。それはいい。けれど、これはちょっとと思うような無茶苦茶な家族であることが、視点を変え、読み進めていく度に、ものすごく、気持ちの悪いものになっている。歪なんかじゃなくて、腐敗に似ているような。
親子の視点、絵里子と母親の視点は特にしんどかった。絵里子の行動は計算されたものだったこと、頭を回しすぎてうるさいくらいの母親の口調、それぞれが相手をそれぞれの目線で見てそれが実際と食い違っていること。
でも、確かに家族は本音をとことん話し合うっていうのはないなあと。みんなそれぞれ生活しているわけだし、男女だし、年齢も違うし、まったく違うコミュティに属しているのに、家っていう建物では家族っていう宿命づけられたコミュティに押し込められる。本当は、みんなそれぞれの立場があって全然別のものなんだ、というのをこの小説で思い知らされた感じがしました。
檸檬 (新潮文庫)
31歳の若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、その声価はいよいよ高い。果実の異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。(裏表紙より)

記録から洩れていたので今更ながら感想を。
「Kの昇天」「桜の樹の下には」「冬の蝿」が特にお気に入り。一番を決めるとしたら「冬の蝿」かなあ。
冬の、白々した光が汚れで曇った窓硝子越しに射している、という状況がなんだかありありと浮かんだ気がした。
桜の樹の下には、はこれかあと思う。同じ桜を使った作品で安吾の「桜の森の満開の下」があってあれがとても好きなのだけれど、「桜の樹の下には」のウスバカゲロウの屍体がすごく、つやっぽいというか、色っぽいというか、なんだか底知れぬ恐ろしいもののようでちょっとびくっとわくっと二つ来た。
グランドマスター!―聖都をめざせ (コバルト文庫)
カタブツ青年団長ハルさん率いる〈黎明の使者団〉一行は、法皇からの会見の要望を受け、都を身座して旅立った。途中、ひょんなことから団員のシンドーさんは、信仰されている神・キザヤが、かつては数多いる神の一人にすぎなかったことを知る。そして、闇の勢力も動き出していた。彼らは巫女であるシーカを生贄とし、キザヤ神を倒そうとしているのだ。シリーズ、ついにクライマックスに突入!(裏表紙より)

今気付いたけど、クライマックスなんだ!
アスティルがスパルタ特訓を受けにいったりとか、法皇に会いに行こう! という話。短編が収録されているので、本編の進みはそれほど大きなものではなかった感じ。
「のぞき」にもときめいて笑ったけれど、最後の「夜這い」も噴きました。色気もへったくれもないが私のこの高揚感はなんだ! とか思った。ハルさんが喧嘩腰の口調になってしまうのは、本当にいらっとしているからか、それとも自分でも感情を持て余してつい喧嘩を売ってしまうのか。それでもめずらしくシーカの視点だったので切ないなと思いました。
短編は雑誌に掲載されたものです。実は雑誌で読んでいたのですが、収録されるとは思いませんでした。RPGだなあと思っていたら、オチがオチでとても好きです。
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Author:月子
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