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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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アリーテ姫の冒険
宝石を愛する王様の娘であるアリーテ姫は、本を読み、絵を描き、縫い物をし、乗馬もダンスも大好きな女の子。そんな「かしこい」娘では結婚できないと、王様は結婚相手を探し始めるが、宝石に目がくらみ、悪い魔法使いボックスに姫を売り渡してしまった。

ずいぶん昔から好きで読んでいた児童書を、少し前に自分で手にしたので、懐かしくなって読んでみた。短い物語です。
うまくいきすぎて乱暴だなあという展開は、今読むと目につくとしても、この話がとても好きです。主人公のアリーテ姫が、全然お姫様らしくなくて、かっこいいのです。女性の自立や、男性に対する目が厳しい話で、大きくなってから、この話からジェンダーを感じたりもしました。
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ひとがた流し (新潮文庫)
十代の頃から、大切な時間を共有してきた女友達、千波、牧子、美々。人生の苛酷な試練のなかで、千波は思う。〈人が生きていく時、力になるのは自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか〉なのだと。幼い頃、人の形に作った紙に願い事を書いて、母と共に川に流した……流れゆく人生の時間のなかで祈り願う想いが重なりあう——人と人の絆に深く心揺さぶられる長編小説。(裏表紙より)

ミステリじゃない北村作品を読むのは久しぶりだ。
不思議でもなんでもない日常と、女性たちに主軸を置いた絆の話です。『月の砂漠をさばさばと』関連だったのかー! とさばの味噌煮が出てきてようやく気付く。
不思議なんてどこにもなくて、人が生きていく、ただそれだけの話なのに、根底に流れているのは優しさと慈しみと思いやりの目だ、と感じました。物語としては普通に、ありふれた形で日常が進むのに、柔らかい。最後にいくにしたがって、包まれているような気持ちになる。
ただ、他の北村薫作品を読んでいると、素っ気ないなあと思うことも確かです。ミステリの方が私は好き。でもいつものようにきゅんとすることはなくても、読みながら、うんうんと頷いてしまう本だなと思いました。

「人が生きていく時、力になるのは何かっていうと、——《自分が生きてることを切実に願う誰かが、いるかどうか》だと思うんだ。(後略)」
チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)
東城大学医学部付属病院の”チーム・バチスタ”は心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。ところが原因不明の連続術中死が発生。高階病院長は万年講師で不定愁訴外来の田口医師に内部調査を依頼する。医療過誤死か殺人か。田口の聞き取り調査が始まった。第4回『このミス』大賞受賞、一気にベストセラー入りした話題のメディカル・エンターテインメントが待望の文庫化。(上巻・裏表紙より)

あまりにあまりに有名すぎて全然手が出なかったところでようやく読みました。これ上下巻にせずに一冊にしてよかったのではないかなあ。
非常に面白かったです! 上巻はどうなるのかなあと期待が六割くらいだったんですが(流行ものをそう見てしまう偏見が私にはあるので……)、下巻になって白鳥が登場した途端に、一気に面白くなりました。
上巻は田口が何を掴んだのかも分からないまま進んで、事件が起こる。謎が謎のまま、下巻に続く! となるのはちょっとずるい。一気に読みたい。
じっくり観察していたこと(上巻)が、下巻で鮮やかに切り開かれていくのは爽快でした。ただ白鳥のやり方にはちょっと不満もありますが。
医療小説というと、どっしり重い社会派なイメージがあったのですが、とても気持ちのいい小説でした。周囲の評判は全然だけれど、田口医師が一番したたかな気がする。それだけに桐生が自信に満ちあふれて輝いて見えるんでしょうけれど。
沙羅は和子の名を呼ぶ (集英社文庫)
もしもあの時、別の選択をしていれば、全く違う人生を歩んでいたのだろうか……。平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が、すべての始まりだった。一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめて——。表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。(裏表紙より)

数年前に読んだので、今回は再読。表題作がすっごく恐ろしい思いをした覚えがあったので、改めて読んで、やっぱりちょっと恐かった。
別の選択をした場合の世界が入り交じる。更にそこで殺人が、というのが恐ろしいのかも。どうあっても解決できない恐さというか。
この本は、解説にもあるように異界に触れているところが多々あって、それが偶発的でも人為的でも、読んでいて暗い穴からぶわっと風が吹いているような気がして、ちょっと恐い。きちんと解決している作品が少なくて、やっぱりそれも異界に触れるような何かを有した作品ばかり(収録作品の「天使の都」でも、その場所そのものとか)
あと読んでいて思い出したのが、「エンジェル・ムーン」。幻想的なことを突き進むのかと思ったら、最後の解き明かしが、残念で。そうそう、初読の時もここでがっかりしたよなあと思いました。でも、今なら思う。これは本当は、実は解き明かされていないかもしれない、と。
ミステリ短編集というより、日常と幻想の短編集、という感じがしました。
古時計の秘密 (創元推理文庫)
ナンシー・ドルー18歳。金持ちの老人の遺産を、強欲な親戚一家がむりやり独り占めし、これまで老人から援助の手を差し伸べてもらっていた人々が困っているらしい。みんなに遺産がいきわたるようにすべく、ナンシーは遺言書捜しに奔走する。正義感が強く好奇心旺盛なナンシーが、大人顔負けの活躍で事件を解決する。長年にわたり人々に愛されてきたシリーズの、記念すべき第一作!(裏表紙より)

ミステリーかと思ったら、さっぱりとした子ども向けのお話だった。児童文学で、勧善懲悪ものなんですね。あんまりうまくいきすぎるからびっくりした。
ナンシーが、とてもかわいい。みんなに愛されるヒロインなんだなあと読みながら思う。みんなに好かれて、正義感があって、冒険心が強くて。彼女がこれまで色んな出来事を解決してきたんだろうなあ、という、長い彼女の物語の中の、ある期間が書かれているのがこの第一作のようでした。
うまくいきすぎる、と書きましたが、それでもわくわく感がすごくて。こういう展開なんだろうと読めても、本当にうまくいくのかなと考えたり、うまくいった場合、悪者たちはどうやって泡を吹かせられるんだろうと考えると、楽しかった。
死神見習い修行中! (角川ビーンズ文庫)
おじの借金のカタに、王貨五枚で身売りされてしまった少年・フィン。身売り先のマスターである男が言うには「世間では私のことを死神と呼ぶ」。——人が死神になるのは、どうやら不可能ではないらしい……。かくして男に弟子入りしたフィンだが、いつも人形を抱いていて、自分の代わりに人形に喋らせているマスター本人をはじめ、周囲は摩訶不思議なことだらけ。おまけに、相性最悪な少女まで死神の弟子を志望してきて…!?(裏表紙より)

少年が主人公の死神ファンタジー。やっぱりどこかほろりとする、人々の茶目っ気たっぷりで、愛おしい優しさが描かれていて、ああ、やっぱり樹川作品はすごく好きだな、と思う。
フィンは、子どもらしい子どもだな、と思いました。自分がうまく世を渡っていけると思っている。それが、素直じゃないマーリと一緒になると本当に年相応で、すごくいいな、と思いました。本人たちはすごく迷惑そうですけれど。
結末の付け方は若干不思議なのですが、やっぱりそうだったかあと思わずにはいられず。大人になったマーリがどんななのか、すごく見たかった。
ミステリアス学園 (光文社文庫)
 ミステリアス学園ミステリ研究会、略して「ミスミス研」。ミステリは松本清張の『砂の器』しか読んだことがない、新入部員・湾田乱人が巻き込まれる怪事件の数々。なぜか人が死んでいく。「密室」「アリバイ」「嵐の山荘」……。仲間からのミステリ講義で知識を得て、湾田が辿り着く前代未聞の結末とは!?
 この一冊で本格ミステリがよくわかる——鯨流超絶ミステリ!(裏表紙より)

おすすめということで借りた本。
そんな結末ありですかー! というのが読み終わった第一声。
入れ子構造ものはすごく好きで、話の順々にどれが本当だろう、誰が「存在している」んだろう、と考えるのがすごく楽しかった。ミステリ講義は、勉強してきます! と思いつつ、会話が不自然でちょっと笑ってしまいました。構造上仕方なくて、それもまたすごく味だと思いました。
犯人はすごくすごくすごーく意外なのですが、いやでも、そんな犯人の存在って、すごくロマンだよなー!
面白かった!
グランドマスター!―刻まれた聖痕 (コバルト文庫)
法皇との謁見中、突如巻き起こった竜巻の中、姫総長シーカの身には異変が起き、〈黎明の使者団〉は離散した。団員たちは、団長不在のまま、それぞれの道を歩き始めていた。ハルセイデスの残した「生きのこる道だけを考えろ」という言葉を胸に。しかし、シーカを狙う闇の勢力の遠謀は、着々とその輪を狭めていた。そして、ハルセイデスと共に市井に潜むシーカに決定的な変化が現れ…!?(裏表紙より)

クライマックス目前のグラマス。前巻はシラスの存在に話が持っていかれた印象でしたが、今回は闇の勢力の存在がはっきりと浮き彫りになっている感じでした。
シーカの変調が明らかになったことにもびっくりで、同時に、シーカの望みを口にした際のハルさんの思いも書かれており、序盤から切なさがきゅんきゅんでした。
団員たちの行方が心配ですが、アスティルの位置がどうも危なげで特に心配です。でも、きっと最後にはみんなが集ってくれると信じている。
神については、神は光と闇、善と悪のように表裏一体だから、そういう解釈になるのかなあと思いつつ、どういう結末か想像が全然つかないので、続きも楽しみにしています。
やおろず
祖母の死によって八百万の神々が見えるようになった大学生の澄香。一人暮らしの部屋は静かだったはずなのに、トイレの神が引き止めてきたり、かまどの神に怒られたり、鏡の神に文句をつけられたり、マイペースな家神などなど、騒がしい毎日。

とても面白かった! 毎日すごく騒がしくて楽しい日常だーと思いながらにこにこ読んだ。
神様が見えるようになって起こる騒ぎは、ツッコミが冴えていたり、ちょっと怖かったり、でもやっぱり笑えたり、泣けたり。どの登場人物も、みんなすごく好きだ!
それぞれによって神様のかたちは違う、ということに一番はっとする。だからノロ君とのエピソードはすごく、考えさせられた。誰もが同じものを信じているわけではないし、だから同じように見えているわけでもないのだろうな。でも、澄香のように世界が見えていたら、きっとすごく、明るくていい世界なんだろうなあ。
はるさんとのエピソードは、もう「家神ぃいいいいいい」ってなる。純情!
覆面作家の夢の家 (角川文庫)
12分の1のドールハウスで行われた小さな殺人。そこに秘められたメッセージの意味とは!? 天国的美貌を持つミステリー界の人気作家「覆面作家」こと新妻千秋さんが、若手編集者、岡部良介とともに、残された言葉の謎に挑む表題作をはじめ、名コンビが難事件を解き明かす全3篇を収録。作家に探偵、おまけに大富豪のご令嬢と、様々な魅力を持つお嬢様探偵、千秋さんの名推理が冴え渡る〈覆面作家〉シリーズ第3弾!
解説・有栖川有栖(裏表紙より)

しょっぱなから糖分上昇である。上昇にも関わらず、大人っぽく、しっとりとユーモアある台詞などで書かれているから、思わずときめいてしまった。「こら、千秋」はやばい!
結局お兄さんとか、お父様とのあれやこれやがもっとたくさんあっても楽しかったかもと思ったのだけれど、これだけでも十分楽しかった。この巻はとってもしっとり甘かった。最後の「覆面作家の夢の家」のラストシーンは、良介自身の口調も変わってて、やばいやばい! と思いました。二つ目の「覆面作家、目白を呼ぶ」がやり切れない思いでいっぱいだっただけに。
ちょっとしたことで謎を呈示されて、えっとなった次の展開を読んで、明らかになる答え。そのテンポがとても好きです。引きがとてもぐっとくるというか。
これで終わりなんて残念。楽しかった!
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Author:月子
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