読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

父親の教え子というハンサムで紳士的な翻訳家・九条雅孝と閑静な洋館で暮らすことになった高校生の征也。雅孝は身寄りのない征也の全てを援助し、溺れるような愛情で甘やかしてくれる。その綿菓子のような甘い生活や、優しく頬を撫でる手のひらに、いつしか征也はそれ以上のものを求めてしまっていて…!? 恋してはいけない人。雅孝との大切な日々を守るには、この想いは隠し通さなければ——。必死で恋心を抑えていたある日、二人を引き裂くある秘密が判明してしまい…!?(裏表紙より)
離婚して父に引き取られていた征也は、その父を亡くして身寄りがなくなったところを、父の教え子だったという雅孝に引き取られる。作中では結構時間が流れていて、日常もありつつすれ違い、とんでも設定もあったりのお話でした。
征也がせっかく経済学を学ぼうとしていたのに、その学びが雅孝に生かされるという話がなくて残念でした。どこまでも征也は溺愛される存在なんだな。溺愛、というジャンルをいまいち理解していなかったのですが、こういうことかーという発見でした。

海外児童文学に登場するお菓子のレシピ。
この本で紹介されているのはピーター・ラビット、メアリー・ポピンズ、くまのプーさん、ハリー・ポッター、ナルニア国物語、ムーミン、大草原の小さな家、赤毛のアン、秘密の花園、ホビットの冒険、きかんぼのちいちゃいいもうと、おちゃのじかんにきたとら、たのしい川べ、ミス・マープル、くまのパディントン、天国を出ていく、ドリトル先生、グレイ・ラビットのおはなし、長くつ下のピッピ。
ミンスパイってこんななのか! ライスプディング食べてみたいな! といったあまり西洋菓子になじみのない日本人が想像しにくいようなものもありましたが、キッシュとかビスコッティといったものもありました。

絵のヌードモデル、引きこもり新鋭画家、女装の麗人、ゴスロリ小学生、ネコの着ぐるみ、妄想癖の美女、不気味な双子の老人たち——〈鳥篭荘〉に棲みついたちょっとおかしな住人たちの、だいたいフツーでだいぶおかしな日常をつづる物語第4弾。——今回のお話は、着ぐるみパパがお見合い!? 山田家と加地家を巻きこんだちっちゃな事件簿(第1話)。浅井と由起の弟妹がやってきた。ところが浅井と由起が大喧嘩して……(第2話)。鳥篭荘随一の変人・へれんさんのフィアンセ登場。しかしへれんさんはフィアンセを拉致監禁!?(第3話)。浅井がキズナにモデルの解雇を通告、さらに鳥篭荘から住人立ち退きの噂が——など急展開の全5編を収録。(カバー折り返しより)
変人たちの暮らす鳥籠荘の物語第四巻。出てくる話やひとつひとつの設定や細かいところは悪趣味なのに、ちゃんと王道を押さえている感じがにくい! 好きだー!
画家とモデルの関係が、読んでいくうちに段々おいしくなってきた。メインストーリーが有生とキズナと由起の話で、この三人が、若く惑えるがゆえに愛おしくて。ちょっとした青春、だよなあ。二十歳くらいまでってそんなものだよなとか。にやにやしてしまう。

養護教諭として、保健室で、思春期を生きる生徒たちの悩みと長年向き合ってきた著者は、教室では「からだ・こころ・性の学習」に積極的に取り組んでいます。成長による変化を自ら知り、心身の成熟を喜べる感性をつちかうことが生きる力につながると考えるからです。思春期をより豊かに生きる知恵や考え方をアドバイスします。(裏表紙より)
2008年の本。
岩波ジュニア新書なので、子どもに向けての本。養護教諭として見てきた子どもたちのことを書いているところがあるので、リアルに感じられました。からだの変化、こころの変化、性への目覚め、友達関係、家族、社会などを感じ取り、疑問を持つ子どもの心にアドバイスをする、といった形の本でしたが、子どもの悩みのひとつひとつが、本当にささいなんだけれど、自分も悩んだよなあと思ったりも。読み物として面白かった。

だれもが一度はあこがれるマンガ家。でも実際はどんな世界? 少女誌で活躍中の若手作家が、プロになるまでの道のり、マンガ家の日常生活、マンガづくりの極意など、マンガっ子が知りたい少女マンガ界のあれこれを、イラストいっぱいで紹介します。プロを目ざす人はもちろん、夢をふくらませたいすべての人に。(裏表紙より)
ふらーっと図書館を歩いてたら見つけたので。こういう本が最近面白くて……。
93年の本。少女マンガ家の北原菜里子さんが、一ページ漫画とエッセイで、作家生活を紹介。少女漫画家のデビューは早いと聞いたことはあったけれど、中三でデビューかあ。すごいなあ。
北原さんの投稿生活、デビュー、漫画家になった後の仕事、作品についての悩み、道具、アシスタント、といった色んなものに触れられている。
お話作りについて、意識したら思った通りの出来で完成できるみたいなのはすごいな。プロだ。そういうのが大事なんだろうなあ。比較的ゆるゆるしていたように書かれてあるけれど、実際、描くのはすっごく大変だったろう……。
合わせて読みたい。絵夢羅『今日も明日も。』


全知の天に運命を委ねる占の国ヴィオン。生まれながらにして毒と呪いの言葉を吐き、下町に生きる姫がいた。星と神の巡りにおいて少女は城に呼び戻され、隣国に嫁げと強いられる。
『薄汚い占者どもめ。地獄に堕ちろ!』
姫君は唯一の武器である声を奪われた。
星の石ひとつ抱き、絶望とともに少女は向かう。魔物のはびこる夜の森、そのほど近くの聖剣の国レッドアークに。
少女を迎えたのは、夜の王に祝福を受けた、異形の手足を持つ王子だった。
第13回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作『ミミズクと夜の王』の続編、登場。(カバー折り返しより)
番外編的なものでもあるのかなと思ったら正統な続編でした。この童話めいた優しく厳しい物語が好きだ!
毒吐姫エルザの毒の数々が、読み進んでいくうちに痛々しく、愛おしくなってきて、レッドアークの人々の優しさが胸に沁みる。エルザにはきっと分からなかったのだろうけれど、かつてその国に裸足で立った女の子がいたってことは、彼女にとって幸せな巡り合わせだったのかもしれない。
「裸足の福音」の章は胸がいっぱいになった。お伽話の主人公たちが交差する。みんなに愛された人からの、なんのてらいもない祝福が、泣きたいくらい嬉しかった。
読んでいて、すごく嬉しくなる物語でした。

幼稚園の先生って、大変!
かもめ幼稚園で働き始めたちかこは、やる気のな〜い毎日。うるさいママさんグループや生意気な子供たち、日和見主義の園長、マイペースな先輩……とうんざり。それなのに彼氏は全然話を聞いてくれず、鬱憤はたまる一方。もうやめちゃおっかな、と思いはじめたころ、ちょっと素敵なパパに惹かれてしまって‥‥!? 文庫書き下ろし。巻末に宇仁田ゆみのエッセイ漫画も収録!(裏表紙より)
幼稚園で働き始めたばかりのちかこが、子どもたちと打ち解けられなかったり、ママたちにひそひそされたり、問題を起こしたり、先輩や園長に叱られたりと、仕事を始めたばかりの先生のめまぐるしい日々、という感じでした。でも、軽率なところがあるなあと思ったり。大変な人に同情してつい子守りを引き受けたり、それをなかなか断れなかったりするところは、世慣れていない人だなあとも思うけれど、簡単に園児の家に上がるのはちょっと自覚がない気もするなあと思いました。でもよく考えたらまだ二十一歳なんですよね。そうかあ、なんだか身につまされるところがあるなあ……。
園児の生意気さ、小憎らしさや、ママたちのどろどろな力関係は、読んでいていらっとしたり笑ったりして、本当にどこかにあるんだろうなあと思いました。ああ……あんな大人になりたくない……。