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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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聖少女 (新潮文庫)
自動車事故で記憶喪失におちいった未紀のノートにしるされた過去——「パパ」を異性として恋した少女の崇高なまでに妖しい禁じられた愛の陶酔を強烈なイメージで描いて、特異な小説世界をくりひろげる。未紀と青年Kとの愛、未紀と「パパ」との愛、Kとその姉Lとの愛、三つの愛の錯綜した展開のなかに、不可能な愛である近親相姦を、選ばれた愛に聖化することを試みた書下ろし作品。(裏表紙より)

読んだのは版が古いものですが、こちらを貼っておきます。
愛は愛でも、毒を含んでどろどろとした泥のような愛ばかりが出てくるのですが、読み終えた後は不思議と静かな気持ちになりました。あんまり後味がいいとは言えないのになあ。
少女・未紀の愛にはあまり感動することはなかったのですが、確かにこれは聖「少女」だなあと感じたりしました。でも、未紀のノートの部分はとても興味深く、面白く読みました。という点では、私は最初からこれは小説なんだろうとは感じていたのかな。
これはもう少し繰り返して読みたいなあ。まだ消化しきれていない。
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レッド・アドミラル    潜入捜査は戦乱の幕開け (角川ビーンズ文庫)
「私にしかできないことだろう? ならば、達成してみせる」
実力が認められ、憧れの艦長・ランセが指揮を執るレーン号の副長になったロディア。王から受けた新たな任務は、ランセと犬猿の仲であるコーツ艦長との共闘だった!! 問題だらけの出航、次々と襲いかかるトラブルにたち向かうクルー達だったが、起死回生を賭けた作戦は、ロディアの命を懸けた潜入捜査で!?
深紅の美しい薔薇が激しく舞い踊る、海軍出世物語、第2弾!!(裏表紙より)

登場人物が濃いレッド・アドミラルシリーズ。「大好きだ!」という言葉が色んな人から飛び交う話はとてもめずらしいんじゃないだろうか! しかしみんな仲良しでにやにやです。何があっても、みんなはお互いのことが大好きなんだなあ! あとやたらと手に口づけたり、頭を撫でたり、スキンシップが多いのににやにやする。ランセとロディアはお互いに無自覚で触ったりなんだりでときめきすぎる。
そしてロディア男前! 女だと自分でも忘れてたところにぶっと噴いた。潜入調査はロディアらしすぎて面白かった。そして夜会で踊る→救出、っていうのはもうときめきだな! 顔が壊れるかと思った(にやにやしすぎて)
この巻は色んなエピソードが詰まってて楽しかったですが、アスファル帝国の皇子たちは後にも出てくるのかなあ。色んな変人が集まってて、今後が楽しみ!
レインレイン・ボウ (集英社文庫)
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦……。彼女たちは、傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていく——。ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、爽やかな青春群像劇。(裏表紙より)

再読。加納さんの文章が心地よい上に、どういう話か忘れていることもあって、久しぶりに読んで面白かったー。この本を見ると、頭の中に青いビニールシートが浮かんでいたので、無意識に話は覚えていたっぽい。裏表紙の紹介文はちょっと薄暗い、罪に苛まれている感があるけれど、私の印象としては、女性たちの群像劇を明るくして少しの謎を追う、爽やかな話だと思う。
群像劇ならではの、ある視点から見た他者が、他の人物から見たら違う、というところが面白いな。本人の認識とも違っている。
「雨上がりの藍の色」が一番好き。ちょっとした事件と、主人公が快進撃的な行動をしてくれるのは気持ちいいなあ!
デルフィニア戦記外伝―大鷲の誓い (中公文庫)
デルフィニアの黄金期を創出した「獅子王」のそばには、内乱期から数々の戦場を共にした二人の騎士団長がいた。一人は筆頭公爵家の才気煥発な嫡子、一人は地方貴族の出身ながら卓抜した剣の腕を持つ天才剣士。身分の異なる騎士たちの強固な絆はいかにして結ばれたか。若武者の青春を描く待望の外伝。(裏表紙より)

デルフィニア戦記シリーズには数多くの魅力的な登場人物がいますが、二人の騎士団長、ナシアスとバルロの青春時代を描いた外伝です。青かったり、清々しかったりして、楽しかった。毒舌家になる前のバルロはまだ本当に子どもだったり、怒らせるとこわいナシアスは昔から一番バルロに恐れられていたり。
この人にだけは軽蔑されたくない、という存在があることは、すごく幸せなことで、その人に恥じないように生きたいと思う気持ちが、すごくよく分かりました。
最後「10」の章では本編その後のことが少しだけ触れられていて、余韻があって、なんだか懐かしい人にもう一度会った気になりました。みんながもう一度会えたらいいのになあ……!
上弦の月―キョウト・イカイ・ソウシ (コバルト文庫)
——あの世に逢いたい人がいる。……高校の修学旅行で、かつて近くに住んでいた京都の清水寺を訪れた里桜は、急に、あの世の入り口と言われる井戸を見たい衝動に駆られる。そして、親友の柚月や空哉にも黙って、井戸のある六道珍皇寺へと足を向けたその時…。『ねえ』——呼ばれるままに振り向いた彼女は森の中にいた。里桜を呼んだものの正体は、目の穴から紫陽花を咲かした髑髏だった。(カバー折り返しより)

修学旅行で京都を訪れた少女が見る、人の心と幻想の物語。各章は、話はつながっているようなつながっていないような、という感じです。
「見る」ことのできる里桜が、京都という町の幻想に取り憑かれているような印象を受けました。彼女は昔から囚われていて、今も囚われている。起源は恐らく、たましいたちの執着によるもの、かしら。
少女と少女の結び付きや、恋心なのかと考えたりするところが、非常に妖しい感じで幻想的だなあと思いました。親友と呼べる人への執着心や、ちょっとしたきっかけで離れてしまうところなんか、わかる気持ちで読みました。
ずっと昔に読んだ時は、ただただ不思議な印象の話だなあというだけだったのですが、今ならこの少女たちがすごく分かる……!
wonder wonderful  君がくれた世界 (Regalo)
祈らないルカナートの話「信じるならば君の心を」。上流貴族の令嬢シルヴィアナがどうしてそう考えるまでに至ったのか、ルカナートとの初対面とライオスとの恋「何度でも」。近衛隊三人組の日常「さても楽しき」。花祭りの夜の二人「だからひそやかに祈るよ」。『wonder wonderful』の番外編衆。

どれも素敵なお話でした。祈らないルカナートに始まって、祈るルカナートに終わるというのがにくい! 好き!
中編とも言えるページ数の「何度でも」がすごく好きでした。上流階級に生まれながら、柔軟な思考と知性、親しみやすさを持ったシルヴィアナが、どうしてそうなるに至ったのか、ということが描かれているのですが、ひとつひとつ新しい見方を見つけていくシルヴィアナがとても素敵な人でした。それを見ているルカナートもライオスも、新しい見方を見つけていって、うまくいかないことも、悪意もあったけれど、シルヴィアナが自分に出来ることを信じて前を向く様がかっこよかった。
半泣きで読んでいたのが、p144-146、特に「決して相手を非難しなかった」という一文。ここにすごく感動して、ぽろっと泣いてしまった。こういう人が、この世界にいたらどれだけ素敵になるんだろう。そういう風に。
おまけがー!! もうすごく嬉しかった!
影詠みの天花 胡蝶の舞と月の記憶 (一迅社文庫アイリス)
遊郭が集う天下の歓楽街——《胡蝶街》には、人やモノにとり憑く《影》を詠み、《影》を封じる《巫》と呼ばれる遊女たちが集められていた。胡蝶街一の巫と名高い少女・天花は、お祭りの夜、7年前に突然姿を消してしまった幼馴染の月長と再会する。喜びと戸惑いのなか、大陸からやって来た皇子からの依頼をきっかけに、ふたりの過去と運命と恋が動きはじめる——。栗原ちひろが描く、和風退魔浪漫ファンタジー開幕!(裏表紙より)

和風退魔浪漫ファンタジー。健気で明るい、胡蝶街一、もしくは世界一の巫と名高い天花が主人公。言動が一生懸命でかわいいです。でも芯はしっかりしていて、前向きなところが好感が持てる。
お話は、どちらかというと退魔がメインで、甘くはないんですが、不思議な言動と謎めいたところのある幼馴染み月長が気になりすぎて、読んでいる途中からそわそわ。単純にふわふわした人、天花が大好きすぎて身を立てようとしただけかなーと思っていたんですが、実ははっきりとはそうでなかったというところがすごく面白かった。天花好きすぎだよこの人……!
あと鳩羽に噴く。この人多分一番面白い。変態的な意味で。
月長と紺藍だったら、紺藍が好きです。自分でももてあましてる感がよいです。
花は桜よりも華のごとく (角川ビーンズ文庫)
時は戦国の世の狭間。京の都に美しい能の舞い人、白火が現れる。その噂を知った名門一座の次期太夫、蒼馬は白火を自分の座に引き抜こうとするが、手ひどく断られる。実は白火は女の子。性別を偽り、女人禁制の舞台に立っていたのだ。しかし、蒼馬は白火が女であることを知らずに、彼女に惹かれていってしまい——!? 桜降る能舞台で、男装の舞姫の伝説が始まる。
第8回ビーンズ小説大賞読者賞受賞の能楽恋絵巻、開演!!(裏表紙より)

これ、すっごくすっごく好きです! ものすごく好きだー!!
和風の男装ものというだけで私にとってはめずらしい気持ちなのですが、能を舞うというのがまた面白くて! 舞台のシーンがすごくぞわぞわして面白かったです。
登場人物もみんなかっこいい、かわいいでした。白火は本当に一生懸命な芸人で、自分のそれに誇りを持っているし、子どもっぽいところもあってかわいい。ヒーロー役の蒼馬は、余裕たっぷりの美男子で、彼もまた誇り高くて、白火に惹かれていくというよりも好意を持っているところがすごく身近に感じられて素敵でした。剥くシーンはこれ書いていいのか!? とびっくりしましたがしかしその辺りからときめき度が急上昇で、ものすごく面白かったです。
ちょっとだけ不満を言うなら! 颯佐の理由や蛇紋がちょっとこじつけっぽかったので、そこがちょっと!
でも和風ファンタジーと男装ものというのでお好きな方は多そうです。
おすすめです。
スターダスト (角川文庫)
あの流れ星を手に入れたら願いが叶う。恋に焦がれる青年と、王国の相続を狙う3人の王子、そして永遠の命を求める魔女が、摑んではすり抜ける星を巡って大騒動。だましあいにすれ違い、不思議な国を舞台に壮大な旅物語が繰り広げられる。競争相手を出し抜いて、最後に幸せを手にするのは誰? 多くの文学賞を総なめにし、世界中で愛されているストーリーテラー、ゲイマンが描く胸躍る冒険ファンタジー。話題の映画原作!(裏表紙より)

妖精の国の冒険物語。こちらの世界より、不思議な国の人々の方がよく描かれているので、ヴィクトリア朝と言われてもぴんとこないです。児童文学にしては子どもに言い聞かせる感がないのですが、ユーモアや登場人物の魅力、冒険小説に大切な爽快な結末のつけかたが、すごく感じられる物語でした。
あんまり主人公のトリストランが好きじゃなくて。というのは、冒険に出た理由が、恋人が星を取ってきてくれと言ったからで、もうそれ一直線の愚かさというか盲目さというかが、もどかしくて。けれど最後の選択、歩いていく、イヴェインとしばらく旅に出るというのは、かなり評価が上がりました。
すごく結末が好きです。トリストランがその後どうなったか、イヴェインがどうなったか。そのエピローグの描き方が、時間の流れや歴史を感じさせてすごく好きでした。
ミミズクと夜の王 (電撃文庫)
 魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。
 額には「332」の焼き印、両手両足には外されることのない鎖。自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。
 願いはたった、一つだけ。
「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」
 死にたがりやのミミズクと、人間嫌いの夜の王。
 全ての始まりは、美しい月夜だった。
 ——それは、絶望の果てからはじまる小さな少女の崩壊と再生の物語。
 第13回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作、登場。(カバー折り返しより)

何度目かの再読。いつ読んでも、幸せで、なのに切なくて、胸がいっぱいになる。
登場人物のみんな愛おしいこと。豊かな表情をしているのが浮かびます。文章は平易で簡単なのに、それがいっそう物語の優しさを引き立てている気がします。素晴らしいお伽話だなあと、何度読んでも思います。
合わせて、何度も本を開いてしまう理由はあとがきにもあります。あとがきの、静かに語る文章。物語の力を信じている者にとっては、何度も開いてしまうのでした。
オススメされた本でもありました。

これを読んだ直後くらいに。
同世界の続編が、11月に刊行されることが、紅玉さんの個人サイトで発表されました。(ttp://red.s137.xrea.com/dk/dk.html)恋物語とのことなので、すごく楽しみです!
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Author:月子
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