読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
両親から離れ、妹の琴とともに三河で暮らしていた少年・連也は、剣の才能を見込まれ、尾張新陰流の宗家である父に呼び戻される。妹とのつらい別れを耐え、一心に修業に励んだ彼は、「尾張の麒麟児」と言われるほどの剣豪に成長する。やがてその腕が認められ、藩主義直の息子・光友の指南役として江戸に下ることとなった連也だったが、そこには尾張柳生と敵対する江戸柳生の一族がいた…。(カバー折り返しより)
コバルトでこれが出るのはすごいなあ、という、和物で剣の道に生きる青年の青春と葛藤を描いた作品。清廉だけれど哀しく張り詰めた物語でした。
剣の才能に恵まれ、天才ゆえに純粋。しかしたった一人の妹への思いを抱いたまま、どの道に進むべきなのか悩む連也。孤独でなければ突き詰められない道というのは確かにあって、それがこの時代の剣の道なら、自分の持つ全部を捧げるような気持ちだったのかもしれないよなあと想像する。でも、連也が琴との道を選ばず、剣を選んだことがなんだか嬉しかった。天才が孤独を選びながらもその道を進み続けるっていうのは、時々灯火のように感じられるから。
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