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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木。日本各地の旧軍都に発生すると言われる「裂け目」。かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇る。鮎観の一族は代々、この「裂け目」を封じ、記憶の化身たちと戦う“力”を持っていた。彼女と同族の遼平もまた同じ力を有した存在だった。愛し合い結婚した二人だが、息子を授かったことから運命の歯車は狂い始め——。直木賞作家の真髄を味わえる、魅惑の幻想ファンタジー。(裏表紙より)

裂け目から生じる何かと戦う三人の連作小説。この世界のどこかに常に異界があって、戦っている人たちがいて、すべての始まりと終わりがすぐそこに迫っているという終わり方は実に恩田陸作品らしい。
根本的な何かが変わったわけでも、現況を倒したわけでもないのに、最後「六本木クライシス」に感じたわくわく感が何かに似ているなと思っていて、ああそうだ「劫尽童女」だなと思ったのでした。ここから大きな物語が展開するのかなあ。この一冊では物足りないけれど久しぶりに恩田陸成分を摂取して満足しました。
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赤子のときの予言により、後宮入りを期待されて育った翠蝶。ところが皇帝ではなく皇弟・氷希と結婚させられてしまう。彼は右目に傷痕があり、夜をともにした女性にもうつるといわれている。だが結婚して半年、氷希が翠蝶の臥室を訪れることはいまだなくて……!? 翠蝶の、とある秘密を知られてしまったことから氷希との距離が縮まっていくのだが——。すれ違う想いが絡まりあう中華後宮恋物語。
恋は綾模様……謎を織りなす中華後宮ミステリー!(裏表紙より)

両片思い美味しい。後宮に入って寵愛を受けるのが女性の幸福だという価値観という基盤があって、それでも恋をしているという部分の匂わせがちょうどいい塩梅だなあ。あんまり厳密すぎると息苦しくて、悲しくなってしまうからさ……。
翠蝶の女性らしさと意地っ張りなところがとても可愛らしい。そつがなさすぎるのはちょっと心配にも感じるんですが、そのあたりは氷希のフォローが絶妙で、いい夫婦だなあ。すれ違いも含めてときめきました。
謎解き部分も独特で、翠蝶の特技が発揮されていて楽しかった。
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プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、希代子にある変化が。繊細な描写が各紙誌で絶賛されたオール讀物新人賞受賞作含む四篇。解説・瀧井朝世(裏表紙より)

何者にもなれない少女、いいよね……。
思わず万感の呟きが漏れてしまうんですけれども、「特別」になりたい女子高生たちが、「特別感」のある人やものに憧れ、近付こうとし、結局何にもなれずに大人にならなければならないという残酷さは、読んでいてすごく胸にくるし、ぎゅっとなる。
特に「甘夏」の、誰よりも抜きん出る方法が男性と付き合うことという、愚かしいほどの世界の狭さが、痛々しくて愛おしい。そんなことをしても特別にはなれないと知っているだけに、もどかしい思いもする。
最後の「オイスターベイビー」はよかったな。大人になれたという感じがあった。
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悪役令嬢に転生したが無事、処刑ENDを免れたセシリア(でも溺愛フラグは立ちまくり!)。これで平穏に過ごせると思いきや、王子の婚約者として隣国の皇帝(俺様)をもてなすよう命じられてしまう。あれ、もしやこれって追加ルート発生!? しかも処刑フラグも立ったまま? そう危惧していると「同盟の条件にセシリアをくれ」と皇帝が言い出して……!?(裏表紙より)

乙女ゲームの悪役令嬢に転生するも、自分がヒロインで逆ハーというルートに入った前巻。今回はDLC、しかも前世では未プレイということで乙女ゲー要素はほとんどなく、逆ハーものとして舵を切った感じ。
こう、いろいろと詰めが甘いというか……大人という冷静な視点を持つツッコミが不在なことで作り物めいた世界とお話になっています。どこまでも主人公だけに優しい世界だなあ。
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太平洋の赤道直下に浮かぶ、名前のない小さな島。そこには教会があり、神父とわずかな島民が暮らし、訪れるどんな二人も祝福され、結婚式を挙げることができる。同性愛、近親愛、不倫愛、そこではあらゆる愛が許される――二人が、本当に愛し合っている限り。 その島を訪れる、父親と娘。それから姉と弟。ある者は愛の存在証明のために。またある者は不在証明のために。様々なものを見失って渇いた者たちの、いのちと時間がその場所で交錯する。(Amazonより)

視点が入れ替わるので、何もないわけがないと思って読んでいたんですが、まんまと騙された。なるほど、違和感の正体はそれかー。
異界めいた島で迷う男女。禁忌を犯しているというのに背徳感どころか、読んでいて非常に悲しくて。こんなところまでやってくるまでに、心身ともにぼろぼろにされている感じがあるからなのかな。見ていて痛々しくて、助けてあげてほしいという思いが強くて。
最後のシーンは、強くたくましくて、美しかった。
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タロットカードが導く真実、あばかれる過去――。三年前に起こった王子殺害事件。高名な占い師だったレティシアの娘ティアリスは、その犯人探しを頼まれた。依頼主は王立憲兵隊付属特別室の室長、クランツ。妙にティアリスを気に入ったらしい彼と、その部下であるルディアスとともに、容疑者をひとりずつ当たっていく日々。だが、疑うべき人物は最も近いところにいて……!? 誰が犯人でもおかしくない、この殺人事件の意外な真相とは――!?(Amazonより)

占い師が名物、ともされる国で、占い師の能力をほとんど持たないティアリスは、三年前に起こった王子の死の真相を調べるように命じられる。
という導入から、どうしてこうも血なまぐさい話になるのか(褒めています)。民族的な話から、王侯貴族の恋愛事情から、こうなったら嫌だなという要素を抽出する小野上先生さすがだな……と『少女文学』を読んでからすごく感じるようになりました。
占い師ですがティアリスは地道に聞き込みをしたり、人と話しているときの仕草などで相手の心理をつかもうとしたりと、探偵の真似事をするんですが、結局どこに落ち着くのかわからなくてだいぶとはらはらしました。ティアリス自身の秘密はこうなんだろうと思った通りだったんですが、レティシアのことや、レティシアとオルテンシアの関係は予想外だった……さすがだぜ……。
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最近よく見かける「LGBT」という言葉。メディアなどでも取り上げられ、この言葉からレズビアン、ゲイの当事者を思い浮かべる人も増えている。しかし、それはセクシュアルマイノリティのほんの一握りの姿に過ぎない。バイセクシュアルやトランスジェンダーについてはほとんど言及されず、それらの言葉ではくくることができない性のかたちがあることも見逃されている。「LGBT」を手掛かりとして、多様な性のありかたを知る方法を学ぶための一冊。(Amazonより)

LGBT、クィア・スタディーズのための基礎的知識を解説する本。読み解くための準備というか、きちんと理解してから論じるために、歴史的な面や諸国での動きの概略を説明してくれていて、知らないところもあり、なるほどなあと思いました。
すごくわかりやすいと思ったしどきっとしたのが、「偏見がない」「差別しない」といって乱暴な善意を示す人間は理解する気を失っているという指摘。どうすれば相手を傷つけずに済むだろう? と考えることが重要。確かにその通りで、相手のことを考えて無知でない自分でいたいな……と思ったのでした。
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経験した仕事は、チリ紙交換のアルバイトに始まり、絵描き、大学教師、料理講師、テレビレポーター、オフィスワーカー等、数知れず。時にはダブルワークならぬ「10足のわらじ」で奮闘。『テルマエ・ロマエ』ヒット時には、漫画家を辞めたくなるほどのトラブルも。貧乏や挫折を経験するも、そのたびに立ち上がり、働き方を変えてきた著者が語る、体験的な「仕事やお金とのつきあい方」。(カバー折り返しより)

波乱万丈なヤマザキマリさんの「仕事」と「お金」の話。『国境のない生き方』よりもかなり深くこれまでの生活について書かれており、なんと意志が強くてたくましい人だろうとため息が出てしまう。
若いときの苦労話もすごかったですが、その後『テルマエ・ロマエ』に関する思い入れの話や当時の「原稿料100万円」についても書かれていて、なるほどなあと思いました。悪い慣習やみんなそれに習う雰囲気については思うところがあるので、よい方向に変えられたらと思うけれど、難しいな……。
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皇子と婚約していた宰相の娘アレクサンドラ。彼女は皇子と恋に落ちた平民の少女に嫌がらせを繰り返したせいで、婚約を破棄されたあげく、罰として隣国の王へと嫁がされてしまうことに! こうなったら、王の寵妃になって見返してやると思っていたけれど……。私の相手って、世界最凶の生物ドラゴンとともに常に国中を旅している「流浪の王」なの!? 王宮に滅多に帰ってこない王の寵愛を得るためには、私が彼についていくしかないじゃない! 過酷な旅に挑戦する無謀な王妃とドラゴン至上主義な王の新婚ラブファンタジー。(Amazonより)

美貌と家柄に恵まれるも、浅慮で色々と問題を起こしてきたアレクサンドラ。悪役令嬢的な振る舞いの結果、隣国の王にと嫁ぐことになる。自らの地位を安定させるべく、彼の寵愛を求めて過酷な旅に同行するも……。
異文化理解の要素が強いファンタジー。ここからがいいところだろう! というところで終わってしまって残念でしたが、おばかで自分の欲求に素直なアレクサンドラが様々なものを吸収して変わっていくところが大変可愛らしく、楽しかったです。オシュクルと幸せになるんだよー。
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リレーミステリーアンソロジー。
次の人にテーマを引き継ぐアンソロジーで、ホラーだったりミステリーだったりとどきどきさせられる作品ばかり。辻村深月さんの「ママ・はは」は別の本で読んだ気がするんだけど何だったかな……。
最後、宮内悠介さんの作品で「宮辻薬東宮」がきちんと輪を閉じたのがお見事でした。
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Author:月子
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