読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
15年前、その日から人は死ななくなり、子どもは生まれなくなった——突如として、生も死も無くなった世界で、死にながらも生き続ける者たちに、穏やかに“本当の死”を与えることができる唯一の存在“墓守”。そんな墓守の少女アイは、死に囲まれた日常の中、やさしい光を放つ小さな奇跡であった。終わりゆく世界でアイが経験する出会いと別れ、そして運命——発表後各方面から絶賛された“世界の終わりを守る少女”の感動の物語。(裏表紙より)
神様から捨てられ、人が死ななくなり、新しい命が生まれなくなった世界で、「12歳」の少女アイは、墓守だった母の仕事を受け継ぎ、ある村で、みんなに可愛がられて暮らしていた。しかしある日、来訪者によって、その平穏は終わりを告げる。
なんというか……優しいけれど、かなしい。やわらかいけれど、痛い。終末(週末?)を迎えた世界で、家族を持つということについて考えたり、生死の境目が曖昧になって苦しい気持ちになったり……読み終わったあと、不思議な気持ちになりました。
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傭兵隊との契約更新のための結婚? 大切な姫様を野蛮な傭兵隊長になんて渡せません! 公国の姫に、継母から持ち込まれた傭兵隊長との政略結婚。侍女マリアダは、秘密裏に姫を恋人と駆け落ちさせることに成功!——したものの、怒った公妃から姫のふりをして傭兵隊長を誘惑し契約更新を取り付けるよう命じられる。姫の幸せを守るため、マリアダはしぶしぶ身代わりとなるが……。侍女と敏腕傭兵隊長の身代わりラブファンタジー★(裏表紙より)
留守がちな父が不在の間、継母から虐げられてきたものの、楚々とした美しさと優しい心根を持って育った、大事な大事な姫君。そんな彼女が幸せになれるよう、用意周到に計画した結果、信頼できる結婚相手を見つけて姫を駆け落ちさせることに成功した、侍女マリアダ。さあ、あとは継母であるテレーザ公妃に、「ざまあ!」と言って退職するだけ……だったはずが、実は国は、姫君を差し出さねばならないほどたいへんな状況だったらしい。
という、とにかく主人公マリアダが、賢くって機転が利いて一生懸命、かつ若干ちょろいところが本当に可愛い話でした。面白かった!
正体が見破られているかどうかについては、傭兵隊長ジルヴィーノが「すごい観察眼を持っている」という描写があるので、こりゃもうバレてるなあというのが分かるんですが、マリアダの必死な演技が可愛いし楽しい。ジルヴィーノは、頭が切れるからなあとちょっと一歩引いてみてたんですが、泣き始めたマリアダに向けた台詞の優しさに、落ちました。……その台詞反則!
テレーザはテレーザで国のことを考えて一生懸命だったようだし(それにしては継子いじめがひどかったけれど)、随所のテレーザとマリアダの対決は読んでて楽しかった。
面白かったです。
ランベールは父王の廃位により、幽閉されること14年! そこへ“三憂士”を名乗る謎の3人組が現れ、「国を救って欲しい」とランを誘拐(彼ら曰く救出)!! 彼らは悪政を敷く女帝・レリアを廃し、ランを王に据えたいという。なぜ“亡き者”として扱われ、王位に興味もない自分を——? 疑問に思うランだが「打倒・女帝」を唱える彼らの思惑には、それぞれの“何か”があるようで——!?(裏表紙より)
三銃士ですね。見事に男ばっかりです。一癖も二癖もあって、普通の人が不在です笑
十四年間幽閉されていたために、世間のことを知らず、のほほんとした性格に育ってしまったランベール王子。救国の騎士の称号「白銀騎士」を持つ伯爵クロード、色のついた眼鏡ををかけた死神のような神父ジストン、無口で無愛想だが心優しい最強騎士アシル。そしてランベールとともに幽閉されていた(ある日牢屋に投げ込まれた)ポメラニアン・フリードリヒというメンバーで、腐敗した王国を救おうというお話。
ランベールがすごくいい子で、全体的に明るいトーンで、前向きに「自分にできることは」と考えてくれるので、すごく読みやすかったです。この子、ポテンシャルめっちゃ高いよなー。面白い王様になるかもしれない。
個人的にアシルがすごく好きだったので、その後が気になりました。とってもすっごく気になりました。
華やかなその世界も、死と隣り合わせていた——。音楽学校に学ぶ乙女たちの青春とは。舞台を奪われ、緑の袴がモンペに替わったタカラジェンヌたちの心を支えたものは。「歌劇」「宝塚歌劇脚本集」「宝塚年鑑」には何が記されていたか。熱烈なファンがその目で見たものとは。宝塚大劇場はなぜ閉鎖され、いかにして再開されたのか。貴重な証言と資料から浮かび上がる「もう一つの昭和史」。(カバーより)
宝塚歌劇団と昭和史を重ねてまとめたもの。2004年の発行なので、今ではもう100周年を迎えた宝塚歌劇団。この本では、熱量はだいぶと抑えられているので、もっとたぎるような「あの時代はこうだった」というのを読んでみたいなと思いました。
劇場を閉鎖しなければならないというとき、そこにいた人たちのことを思うと、なんともいえない気持ちが込み上げてくるんですよね。舞台を作っていた人たち、演じていた人たち、見ていた人たち、いろんな人たちの思いがあったんだろうと想像すると、積み重ねってすごいと思う。語彙がなくてたいへんアレなんですが。
少年達の未来を信じたい!
地雷で脚を失ったアデム、ゲリラに誘拐され兵士にされたターティ、目の前で友達を殺されたアブドゥヌール……。明日をも知れぬ毎日ですが、それでもみな、一日一日を懸命に生きています。(帯より)
2011年の本。戦争、地雷、ゲリラ、難民などを取り上げつつ、そうした状況にいる子どもたちのことがまとめられています。子ども向けの本だと思うのですが、もしこれを読む人が小学生や中学生で、自分と同じ歳くらい(八歳〜十二、三歳)くらいの子どもたちが、親がいなくなって同じような子と一緒に廃墟のような街に暮らしていたり、地雷で両足を失ったり、逃げている途中で親とはぐれたり、誘拐されてゲリラ少年兵になったり……というのを読んだら、たぶんすごく衝撃なのでは、と想像しました。
子どもたちの未来が守られる世界であってほしい。
2002年の本。今これを書こうと思って奥付見てびっくりした。古い本だった……。禁煙外来を受診するような子どもはどんな問題を抱えているのか、ちょっと気になって読んでみたんですが、内容としてはそこまで突っ込んだものではなく、子どもと禁煙についてと、喫煙の危険性を記した本でした。
ニコチンパッチって子どもにそんなに効くのかあ、と思ったのと、両親ともに喫煙する家庭の子どもは喫煙することに抵抗ないというのにちょっとびっくりする。うち、吸ってましたけど、煙が臭いし身体に悪いから絶対吸わない大人になろう……と思って成長しましたから、教育の問題のような気もする。この辺り、喫煙する親はどういう風に子どもに教えるんでしょうか、というのが気になりました。
修験道の里、葛城山に暮らす役の一族の長・大角を陰陽寮当主・賀茂忠行が訪れた。十五年前から恐れていたあの者が都に現れたため、力を借りに来たのだ。長は忠行に息子の志狼を都に連れていくことを勧める。しかし、志狼は怨霊となった母・黒御前の呪縛に苦しんでいた。忠行は、その怨霊の背後にあの者の影があることを感じる……。
人心が荒み、闇に魑魅魍魎が跋扈した時代——闇に抗った者たちの姿を描いた長編伝奇絵巻!!(裏表紙より)
面白かった! 読み応えがありました。文庫で565ページですよ。大作でした。
この本を読みながら、ちらちらと『〈骨牌使い〉の鏡』が頭をよぎりました。異形のものと、人知を超えたはるかなものと、この世の理みたいなものが感じられたからかなあ。
修験道の長の息子、志狼が、賀茂忠行に連れられ都に行ったことから、運命は大きく回り始める。鍵となるのは一人の少女。妖女・鳴滝ら妖しのものに連れられ、道具として使われている葛葉は、白い髪と金の目を持つ童子を弟と呼んで世話をしている。この、志狼と葛葉が出会うことで、また大きく物語が動く。
タイトルにあるように、晴明と鬼にまつわる物語なので、陰陽(本当の意味での)だったり、鬼と人だったりと、対比がすごく効いた話でした。
文調が美しくて、魑魅魍魎が跋扈する平安という時代設定や、志狼、葛葉以外の登場人物たちもすごく魅力的で、面白く読みました。これ、ぜったい好きな人がいると思うなー!
没落貴族の娘ダリアードは16歳の春、爵位と引き替えに元敵国であるツェブ合衆国の大富豪と結婚することとなった。相手の名前も知らないまま赴いた先で待っていたのは、眼光鋭いカタブツ警部、マーク・コリンズ。ダリアードは彼に激しく「運命」を感じてしまって。恋愛とかときめきなんて自分には一生無縁と思っていたダリアードの人生は一転、カーニバルみたいに色とりどりになるのだが!?
生きて。思うままに。愛を掴んで抱きしめて。(裏表紙より)
この本が新刊で出た時、めちゃくちゃコバルト文庫のデザインがおしゃれになったな! と思った記憶があります。最近コバルトのデザイン素敵なものがたくさん出ていますよね。
物語も、とっても楽しくてワクワクして、少女小説ってほんと素敵だな、というか野梨原さんの本が読めて嬉しいな! と思ったりしました。
古き良きといっては聞こえがいいけれど、貴族社会でカチコチに固まった古臭い国、マルドール。没落貴族の娘ダリアードは、優秀な家庭教師と老メイドとともに、合衆国ツェブの大富豪かつ刑事であるマークに嫁ぐ。けれどそれは単なる政略結婚ではなく、マルドールとツェブ両国の和平のための隠れ蓑であるという事実が判明するのですが、それよりもなによりも、くるくる動くダリアードのかわいいことかわいいこと! したたかで、賢くて、行動的で、でもまだ十六歳の初恋を知ったばかりの女の子。彼女がしゃべる、企む、なんてところが本当に楽しくて、読んでいて嬉しい気持ちにもなったり。
ラストバトルは、えーっ!? っていう連続だったんですが、楽しかったです。気分が落ちてた時だったので、読んでて気持ちが明るくなりました。
2003年の本だから、もう十年経っていますね。負け犬という言葉はちょっと廃れた感がありますが、未婚女性は増えているし晩婚化しているし少子化だし……という2016年現在。この本で言えば絶賛負け犬の私ですが、わりと人生楽しいです。
結婚して出産してという女性がえらい、という風潮は、政治家の発言を見ていればまあそうなんだろうなあと思うんですが、楽な生き方をすればいいんじゃないかなと思っています。恋をしたかったら恋をすればいいし、結婚したかったら頑張ってみればいいし。子どもは授かりものなのでどうともできないけれど、生き方を縛られる環境にはいないので、自分の好きな生き方をしようとか、そんな風に考えています。でもそれもまあ、数年限りのことかなあ、と読みながら思いました。
いやあ「モテ」という文化は面白いなあ! 異性に選ばれるものが優位である、ということをもっと掘り下げてみたいと思いました。