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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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大阪市住吉区、大空小学校。この学校がめざすのは「不登校ゼロ」。特別支援教育が必要な発達障害の子どもたちは、みんなと同じ教室で学ぶ。教職員、地域の人々、保護者が協力しあう、開かれた学校だ。前の学校では二時間しか学校にいることができなかった子、問題行動が地域の噂になってあの子がいるならあの学校には行きたくないと言われる子、暴力や暴言が止まらない子……。そういった子どもたちの、一年間の記録。

ものすごい映画でした。こんな開かれた学校があるのか! と。自分が知っている、統制がとれた、秩序を重んじる小学校とは違った。
この大空小学校では、一人一人、個人と教職員が向き合い理解しながら、そのことを他の子どもたちにも分かるよう指導していく。「あの子は普通と違うから……」ということをそのままにするのではなく、「じゃあ、一緒に学ぶためには?」という問いかけを常に先生たちが生徒たちに投げかけ、また子どもたちを信頼して任せたりもする。
この指導体系を作り上げた先生方がすごい。問題ひとつ、新任の先生がつまずいたとしても、助けを求めれば助けてくれる体制になってるんでしょう。教職員全員が、全校生徒のことを知っているといっても過言ではないだろうなあ。
先生方、すごく大変ですけれど、笑いながらも表情は真剣で、そして楽しい時は全力で楽しいというのを表現しているように見えました。だから子どもたちも笑うし、叱られれば反省するし、その言葉に耳を傾ける。
信頼ってどういうことなんだろう。居場所ってどういうこと。理解するって。個性って。「みんなの学校」ってなに? どの場面、どのシーンにも、いろいろなものが映っていて、自分の視界が足りない! と思うくらいの情報量。どこも見るべきところ。そういう作品でした。すごかった。
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前田黎生さん、95歳。9歳の時に父が失踪。のちに母が再婚。けれど家を飛び出して、准看護師になった。その学習の中で出会った一人の同窓生をきっかけに、共産党に関係する人たちが行っていた「無産者診療所」で活動するように。しかし折しも戦争が色濃くなってきた時代、黎生さんは特高によって留置されてしまう……。

映画館でみました。
保健婦になるまでがすでに波乱万丈。戦争が始まって、終わり、保健というものも大きく変わっていく。女性の立場も変化した。そうして、95歳になった前田黎生さんという人は、日本の保健婦の歴史をすべて抱いてきた人になっている。
見ていて不思議なのは、語る言葉も、意識も、すべて、この人はすべきことをきちんと持ちながらきちんと生きてきた人なんだ、とわかること。それは私自身には多分ないもので、生きるべくして生きる、という老齢の方の姿が、なんとも羨ましい。強いんです。言葉も姿も。見ていてわかる。
保健婦っていうのは、本当に地域に根ざしたところからきたものなのだなあと思ったので、その辺りのことをもっと知ってみたいと思いました。恥ずかしながら保健所の知識がほとんどないに等しいので……。
本の声を聴け―ブックディレクター幅允孝の仕事
本棚に本を並べる「ブックディレクター」をしている幅允孝さんという人について書かれた一冊。書いている人は、幅さんご本人じゃなくて、幅さんの仕事のこととか、関係者とか、仕事先とかの人々を取材して、この本にまとめたみたいです。
最近流行りのブックカフェなんかで、美しい、物語性のある本棚を作っている人、それが幅さん。TSUTAYA ROPPONGIがお仕事先の代表なのかな。仕事先は美容室だったり銀行だったり病院だったり。一冊の本が、どんどんと次の本へと繋がっていく、そういう棚作りができる人。
すごいと思ったのは、その棚作りをするときに、クライアントや関係者としっかり話し合いをしているところ。どういう風に話を聞き出して、どういう話をしたのかすごく気になりました。選書の難しさは、コミュニケーションでなんとかできるのかあと思った。
介護の専門性とは何か
介護職に携わっていた著者が、介護の現場や地方講演、これまでに書いてきた著書などを引きつつ、介護の専門性をはじめとした介護現場について書いた一冊。
2005年の発行。
これを読むと、いかに現場の状況が知られずにいろんなことが窮屈に決められてきたんだなあと思わざるを得ない。
何度も繰り返し書かれるのは、ある人が「◯◯がいい」という主張が正しいのか、という質問に、その人の場合は◯◯が正しい、その考え方を評価する、ということ。つまり、一律的に◯◯をするんじゃなくて、その現場、現場で、正しいこと、有効的なことが違うということ。その臨機応変さが必要なのに、お上が窮屈に縛っているような気がしました。
いろんな本や著書の話題も出ているので、他の本も読もうと思います。
なぎさボーイ (集英社文庫―コバルト・シリーズ)
“男はすべからく泰然と構える”のが理想の俺なのに、体は小づくり、しかも女顔、とどめが名前で雨城なぎさ! 幼稚園で複数の男どもから求愛され、今は蕨第一中全校生徒からなぎさちゃん呼ばわりだ。その屈辱の過去の元凶北里と、ちゃん付けの張本人多恵子が俺に囁いた。三四郎が恋わずらい!?——恋に、受験に、揺れる青春前期、肩肘つっぱらかったシャイボーイの、悪戦苦闘のラブコメディ!(カバー折り返しより)

とても懐かしい雰囲気の、学園もの。主人公は男の子。男女の幼馴染の関係や、おせっかいな女の子、素直になれない男の子、というのが全面に現れていて、なんだか甘酸っぱくてむず痒い。これ、きっとなぎさは読者からキャーキャー言われてて、多恵子は共感を呼んだんじゃないかなあ。私は、多恵子はちょっと人のことが見えなさすぎなように思えますが!笑
わたしを離さないで [DVD]
介護人のキャシー・Hは、幾人かの提供者と関わってきた。その中で思い出されるのは、幼い頃育った寄宿舎ヘールシャムでの日々、そしてコテージでのこと。複雑に絡み合った絆で結ばれた、トミー、そしてルースのこと。褪せない、あの日々のこと。

カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の映像化作品。映画は、テープというよりも写真のようでした。いくつかの断片をつなぎ合わせて回想している感じ。原作にある、擦り切れるほど繰り返したという感じはしなかった。
話の裏というか、事情は、本よりもあっさり簡単にまとまっていて、だから象徴的なシーンが結構削ぎ落とされていていました。キャシーが赤ん坊に見立てたものを揺する光景を見てはっと立ち尽くしていたマダム、とか、ルーシー先生のエピソードとか、最終的にマダムの家に行ったときの空虚なほどの絶望感、とか。もっと寒々しくて薄暗い世界を想像していたのに、思ったよりも明るかったのは、キャシーの記憶だからかなあ。
より三人の絆(というか、感情のすれ違い)が描かれる一方で、提供者やその人権を守ろうとした社会的活動のことが薄くなっていて、それもちょっと思ってもみなかったところでした。
『わたしを離さないで』を簡単に理解しようとするといい映画なのかもしれないけれど、原作の淡々とした語り口やどうしようもなく、生きていくしかない感じが好きだった私としては、少し簡単すぎたように思える映画でした。
あるところに、エラという名の少女がいました。外国に仕事に行くお父さんと、優しいお母さん、使用人たちに囲まれて、幸せに暮らしていました。けれどあるとき、お母さんが病気で亡くなってしまいます。お母さんはエラに「優しさと勇気を持つのよ」と教えてくれました。——そして、父が再婚し、継母と二人の姉を迎えたエラは……。

シンデレラの実写版。久しぶりに映画に行ってきましたので、たいへん好みだったので感想を書きます。私が見たのは字幕版。ネタバレです。
完璧な涙 (ハヤカワ文庫JA)
生まれつき喜怒哀楽のあらゆる感情をもたない少年・宥現。現実社会に適応できない彼は、警備の職についた砂漠の遺跡発掘現場で、旅賊の女性。魔姫と出会う。だがその時、発掘された戦闘機械が数百年の眠りから覚め、その場の人間すべてを殺戮する。以来、未来と過去が干渉しあう不思議な時空間で、宥現と殺戮機械の終わりなき戦い、そして、幾度とない魔姫との邂逅が繰り返されていく——宥現の感情の在りかはいずこに?(裏表紙より)

銀妖子なる、人類の生活の基盤となる妖精めいた何者かが人間を支えている世界で、という話だったので、旅賊に会ったときには「これ都市に挑むやつだー!」と思ったのに、見事にまったく違いました! まったく違いすぎて、ちょっとついていけなかったぜ……。
過去と未来が干渉しあって、あらゆる時空にある世界が、宥現と魔姫と戦車の存在によって無茶苦茶に破壊されていってしまうのですが、その戦いが永劫に続くし、繰り返し何度も魔姫は死ぬし、最後はもう戻れないところに辿り着いてしまう。最後まで読んで、冒頭の文章に戻ってくると、ぶわっとなりました。言いようのないものが、こう……。
ほぉ…、ここが ちきゅうの ほいくえんか
保育士さんが、園の子どもたちの日常をツイッターに投稿していたところ、書籍化という流れ。書籍化にあたってツイート内容がより詳しく、分かりやすくなっていて、保育園に通う子どもたちのエピソードをまとめた一冊になっています。
子どもって、本当にすごいなあ! 「どうしたらおとなになれるの?」という問いかけに、「二十歳になったらかなあ」と答えるてぃ先生。けれどそばにいた五歳の男の子が「『こどもになりたい』と思ったらじゃない?」と答える。これって、すごい言葉だ。
そういうエピソードが満載の一冊。軽く読めて、じんわりほっこりしました。
高齢者虐待―実態と防止策 (中公新書)
暴力や介護放棄などによる高齢者虐待が問題化している。献身的な介護に努めてきた息子が老親に手を上げる、長引く介護に疲れ果てたお年寄りが配偶者を殺める、といった事件もしばしば報道される。適切なケアが期待される介護施設で虐待が横行している事実も看過できない。誰もが安心して老いを迎えるため、いま何が必要か。家庭や施設における虐待の実情を明らかにし、虐待防止に向けた国内外の取り組みを報告する。(カバー折り返しより)

2004年7月の発行なんですけど、書いてあることは全然古くなくて、むしろここから発展しているものもあったり、そのままになって改善されていないこともあったり、という感じかと思いました。先日読んだ『あなたの大切な人を寝たきりにさせないための介護の基本』という本が非常に面白かったのですが、この『高齢者虐待』に書かれている、オムツをせずにお手洗いに自分で行けるように、というのはその基本の一つ。根強く改善を、介護を考える人たちが進んでいる証拠か、と感じました。
十年前のこの本は読んだので、今はどうなのか知りたいな。調べてみようか。
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Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
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