読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

何て素敵な人なの……。精悍な美貌、甘い香油の匂い、耳を蕩かす声。弟になりすました翠伶が、煌びやかな御殿で出会った美青年・颯瑛。運命的な出会いに胸がときめくけれど、告白できないもどかしさ。そんなある日、男装がばれてしまう! 絶望する翠伶に「君が女だったなんて最高だ」と秘密を守ってくれた颯瑛。恋人同士として蜜月を過ごしていたら、彼がとんでもない真実を……。(裏表紙より)
上記あらすじがびっくりするほどほぼ本編です。
中華風ファンタジーとしてすごくそれらしい設定を作ってあって、おお、中華風! と思いました。身分や、男女の違いや、貧富の差をさらっと書いてあるところがいいなー。
物語自体はすごくシンプル。弟の身代わりに、官吏の登用試験を身代わり受験した姉は、その成績があまりによかったので、州太子の教師役に任ぜられる。弟と引き取ってくれた養家のため、姉は男装して登殿する。そこで、美しく優雅な立ち居振る舞いのする素敵な男性がいて……、という。
立場に物を言わせて弱みに付け込んで脅してことに至るっていう、ちょっとあれな部分がありますが、最終的に幸せになってよかったよかった。でもヒーローの方がちょっとケダモノだなー優雅なのになー笑 などと思って読みました。
PR

継母や義姉に虐待され、謎めいた魔導師セルフィに召し使いとして拾われてしまったシルクローズ姫。「ここも気持ちがいいのだな、覚えておこう」毎夜、理由をつけては彼女をベッドに引き入れ淫らに触れてくる彼。傲慢だけど、蕩けるような快楽を紡ぎ出す指先はとても優しく、彼女への密かな気遣いも暖かい。しかしある日、姫との婚約を破棄した王子に呪いがかけられたことを知り——!? (裏表紙より)
シルクローズは、マルベリーの木に住むフェアリーたちと仲良し。けれど父が亡くなってから、継母と二人の姉に召使としてこき使われる日々。ある日、自分の婚約者である王子がやってくると聞いたけれど、姉たちの邪魔によって再会することは叶わない。城まで追い出されたシルクローズは、しかし、美しい魔導師セルフィーと遭遇し、彼の召使として拾われることになった。
……という、ちょっと童話めいた世界観の物語。
シルクローズがびっくりするほどいい子というか、無垢というか、だから付け入れられるんだよというか……。ヒロインは、もうちょっと賢くて逃げるほうが好みかなーと思いました。無邪気すぎると、貞操感がないような気がするのだ。
国の名前がバミューディル魔国というものだったり、フェアリーがいたり、馬と人の両方の姿を持つ少年がいたりと、魔法の国と見せかけてちょっと魔界っぽいような、そんな部分と、お話のメルヘンチックなところの落差が面白いなーと思って読みました。

母との名状しがたい関係に苦しみながら、それでも罪悪感にとらわれている女性たちが数多く存在しているはずだ。カウンセリングの経験に基づいて、墓守娘たちの苦しみを具体的に取り上げていきたい。娘たちを描くことで、母親たちの姿も逆照射されるに違いない。本書が、母娘関係を解くヒントになれば幸いだ。——まえがきより (帯より)
今でいう「毒親」の、特に母親に焦点を絞った事例を取り上げています。2008年の刊行です。母親の愛情、にしては重すぎる、娘の人生を自分のものにしている行動や、自分の人生を捧げるようにして娘に過度の期待を寄せる感じを、「お母さんが死んだあと、お墓をお願いね」と託す事例に基づいて、娘のことを「墓守娘」と呼称しています。
家とお墓を託して、家に入ることを強制して、かつ娘の成功を自分のもののように思いつつ、娘の成功を羨んで嫉妬し……などと、母親の子どもに対する異常な依存状態を紹介しているわけですが、だめだ、重い……。うちがそうだというわけではないので、あくまで想像ですけれど、これは重い。息苦しい。家族と縁を切りたくなる。でも実際にあるんですよね、こういうことが。

憂鬱な毎日を送るアンナのもとに、10年ぶりの手紙が届いた。差出人は、アンナの腹心の侍女だったリリヤ。「今こそ、あの事件の真相についてお話しできるのではないかと思い、筆をとりました」——10年前、名家の子息・キリルに見初められ、誰もが羨む結婚を間近に控えながら、キリルの弟との密会を重ねていたアンナ。その先に起きた、不可解な事件…。リリヤの手紙が明かす、衝撃の真相とは…!?(裏表紙より)
こういうの出してくれるからコバルトが好き……。短編の「妖精の庭」「夏の夜の夢」表題作の中編「嘘つきたちの輪舞」の三編が収録されています。
どれも、古いヨーロッパの時代の雰囲気を残す、華やかでいて陰鬱で、古いものと新しいものが混沌と入り混じっている、寂しい雰囲気のお話。どの話も、悲しい……。
「嘘つきたちの輪舞」は、全員、嘘つき、というすれ違いが生みだした悲劇なんですが、それアカーン!! と叫びながらもページをめくる手が止まりませんでした。全員がだめだってわかってて行動してる感じとか、なぜ嘘をつき続けることを選ぶのかとか、最後まで頭を抱えてしまう。この、死と悲劇と、遺された者たちっていうシチュエーションが、素晴らしいくらい陰鬱。この終わり方をしたこの話に拍手を送りたい。私は少女小説でこういう話があってもいいと思うんだ!
すごく面白かったです。

時を隔てた二つの殺人。謎は解け、愛だけがそこに残った。
生活のため手話通訳士になった荒井は、刑事事件に問われたろう者の法廷通訳を引き受け、そこで運命の女性・手塚瑠美に出会う。(帯より)
文庫版でも出ているようですが、読んだのは単行本。
ろう者と聴者、だけではない、手話という言語を用いるあらゆる立場の人が登場する話、という印象でした。勉強不足なんですけれども、私はこの分野にかなり疎くて、ろう者の両親から生まれた「聴こえる子ども」がコーダと呼ばれていることを初めて知りました。
そういう風にして、かなり社会的な問題に切り込みつつ、とある殺人事件にまつわる事象を主人公の中年男性が追っていくのですが、手話を用いる人たちの説明がしたいんだという作者の意図なのか、結構説明的な文章が多く、推理というよりは、社会的な話だという印象の作品でした。手話を通じて知ることのできる世界はかなり広いんだということを感じました。

本をこよなく愛する少女リィナは、エルグリッド大陸図書館で働く新米司書。館内では「モグラ」と蔑まれる地階位に入れられてもめげず、先輩司書ジーンにしごかれていた。だが、友人が呪われた「魔本」に捕らわれ、リィナの日常は一変する。図書館には「魔本」と戦う司書——《読解の異能者(リーディング)》が潜むことを知ってしまった上、自分にも特別な力があると告げられ…!?
第9回ビーンズ小説大賞読者賞受賞、異色のダークファンタジー!!(裏表紙より)
受賞作だけあって、すごく優等生な話だったなあ、と思うあたり、なんだか色々自分が毒されている感じがしないでもないのですが苦笑 図書館と呪われた本、という設定が好きな人は好きなんだろうなあというポイントを的確に突いていて、うまいなあと思いました。
面倒見がいいけれど無愛想なジーンと、真面目で一生懸命でかつ友達思いのリィナの、先輩後輩コンビが、今後もっとラブな展開にいくのかというのが気になります。いや、挿絵のリィナ、めっちゃかわいいんですよ! ドレスアップのシーンもあるんですけど、普通に美人だよね!? それでもって、司書(この世界観においての)としての成績も優秀、かつリーディング能力も特別って、すごく……ヒロインです……。
一方で、ジーンがちょっとヒーローっぽくないというか、ヒロインに救われるヒーローポジションなので、もうちょっと男前なシーンをください! と思いました。

「美貌の双子」として社交界でも名高い、姉のマリエッタと弟のミシェルは、多額の借金を抱えた貧乏子爵家の子弟。体の弱い弟の代わりに、彼になりすまして近衛隊に入隊したマリエッタは、犬猿の仲だった伯爵アレンの部下になる。
そんなある日、突然アレンがマリエッタに求婚を! 「君をいじめたい」がプロポーズの言葉!?
昼は部下、夜は婚約者としての過酷な日々が始まった——!(裏表紙より)
双子の姉と弟が入れ替わる話で、コメディで楽しかった! でももうちょっと入れ替わりでどきどきしたかったよー! もう少しハラハラさせてもらいたかった。せっかく双子で入れ替わりなのに!
勇ましいのにちゃんと女の子らしいマリエッタがとても可愛いです。アレンに膨れた感じでつっかかる印象なんですけど、そういう可愛げがあるのに、乗馬と剣術が好きで腕前もなかなかのものだという。
TLものとしては、ライトなノリでコメディなんですけど、媚薬のくだりはちょっと王道すぎて笑ってしまいました。安直すぎだよー! その後の朝を迎えたところは素敵だったけど!
しかし面白かったです。やっぱりヒロインが可愛いのが良い。

不世出の軍人と誉れ高かった関小玉が、何の因果かかつての相棒で今の皇帝・文林によって皇后にさせられてから1年。
高貴妃の事件からようやく落ち着きを取り戻した帝国に、新たな火種が飛び込んできた。
——「先帝の遺児」の出現。
静観する文林をよそに、宮中には動揺と策謀が広がっていく。そんな中、文林失脚に備え、逞しくも軍人らしく、彼と鴻を抱えての逃走計画を進める小玉だったが、件の「遺児」の秘密を知り……。
小玉の“想い”と文林の“執着”、絡まった糸が導く物語の結末は!?(裏表紙より)
二巻目。相変わらず、思考をどストレートに読む感じの文章が軽快で楽しい。ツッコミ系の文章って、状況が状況だとお腹抱えて笑っちゃうこともあるし、シリアスなシーンでもこう、別の旨みがある感じがする。
もうちょっと夜逃げっぽい話になるのかと思いきや、小玉はやっぱり小玉で、たくましく現実的にことに当たっておりました。軍を率いて駆けつけるシーン、かっこいい……! と両手を組み合わせてきらきらな気持ちで読んでいたら、そのあとの落差な! 乳はみ出させたまま縄打たれてる皇后さまと、それを目の当たりにした皇帝の驚きのシーンに爆笑しました。文林は思わず素に戻ったのか「小玉」って呼んでるし。
今回も非常に楽しい巻でした。続き出て欲しいんですが、この話の落とし所がちょっと遠そうなのが気になるかも。こういう一巻完結の話にするのか、もっと長編にするのか……。個人的には、長編が読みたいかもしれません。

正子が魔作子を殺害した。異常心理による犯行として精神鑑定へ。吹原医師の分析が進むうちに明らかとなる魔作子の奸計。一転、加害者が被害者に。オムニバス形式で描いた深層心理の妙。(帯より)
内容紹介を読むと、ああまたもう一人の自分が存在するやつかと思いきや、同じ読みの違う名前にしてあるのは、ある種の鏡像であるという意味であって、精神鑑定のカルテの内容を話しに仕立てたものだった。これ、今までと趣向が違う上に、人のさりげない悪意を拾っていて、面白いぞ……。
館シリーズの吹原が医師として登場。すでにお医者さんになっているので、今まで読んだ中では一番未来の話かな。つかみどころのない感じが探偵役だなあと思いました。

人気作家である母が書いた原稿を奪われてしまったセシリア。母の担当編集者であるラルフから、代わりに二週間で完璧な原稿を書けと命じられる。小説が大好きで、こっそり書き続けていたセシリアだったが、母のような濃厚なロマンス小説を書くなんて絶対無理! だって恋をしたことすらないんだもの…。だが高級ホテルに閉じ込められ、情熱的なラブシーンを書くための、ラルフの指導がはじまって…!?(裏表紙より)
あとがきで書かれていますが、ヴィクトリアンものでした。ロマンス小説が低俗とか、足首を見せちゃダメとか、髪は結わなくちゃとか。細々したところがいい感じで、ホテルに缶詰にされて作家としての心得を解かれたり、原稿に指導が入ったり、エロスなやりとりがあったりと、面白かった。
強引で俺様なヒーローが、結局ちょっと可愛かったりもして、奔放なロマンス小説家のお母さんとのちょっとしたやりとりや、最後の真相なども面白くて、少女小説とTLのバランスがとても好みでした。