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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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デザイン室
その通り、鈴木成一さんが手がけた本の中から、150冊をランダムに選び出し、それについて語る本。
私、ブックデザインの本を見るのが結構好きなんですが、そういう本ってたいてい、写真を並べて一言ちょろっと解説がついているだけのものが多いんです。少なくとも私が読んできたのはそういう本が多かった。
でもこれは、表紙、帯、本体についても話が及んで、どういう本なのかという説明もあり、すごくいい装丁についての本だった! イラストレーターさんや写真家さんについて触れられていたり、鈴木さんが使った技がちょっと明かされると「やってみたい!」と思いました。やっぱりこの人すごい。
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世界画廊の住人 (幻狼ファンタジアノベルス)
記憶喪失の画家リンと出会った錬金術師見習いのセツリは、神殺しを目的とする深淵派のカルヴァスに追われ『世界画廊』に逃げ込む。異界への扉が絵の数だけ存在するその場所で、白い王女アイカの絵に心惹かれたセツリ。リンの不思議な力によって絵の中に入り、アイカの悲しい境遇を知って額縁の外に連れ出そうとするが…。やがて辿り着く、世界の禁じられた真理。その先にあるものは——!(裏表紙より)

おお! 陰鬱なんだけど希望を描くファンタジーだった! めっちゃ栗原さんらしい。確かどこかで、この作品はそれまでと書き方を変えている、ということをおっしゃっていたように思うんですが、確かに、より演劇っぽい台詞まわしになっていた気がするし、キャラクターも舞台映えしそうな性格だった。
錬金術師として認められるための論文を提出したセツリではあったけれど、それは異端と見なされ、神殺しを目的とする新興宗教組織に狙われることになる。それも、暗殺者をともなってきたのはかつての兄弟子イカイ(カルヴァス)。偶然助けた男は画家だというが、その日、謎の「お告げ」とやらで、セツリは世界画廊の管理人に任命される。
このまとめから想像できる物語があると思うのですが、多分これから九十度くらいひねったのがこの話の本当の物語です。ところどころ、読んでいて、おかしいな? と首をひねるところや引っかかりを覚えていると、あるときにそれに手をかけてぐるっと物語が回転する感じ。すごかった。おおー! と思いました。
最終的に神に挑む物語でしたが、ヒロインのアイカがとても可愛いです。栗原さんの書くこういうヒロインが、もうめちゃめちゃ好きです。
舞姫―恋愛今昔物語
青年に助けられた鶴は、娘に姿を変えて恩返しに現れた。夕香と名乗った娘は、演劇の世界でもがいている黎の助けになろうと、その力で女優としての才能を開花させていく。だが、当然、その不可思議な力をいぶかしむ者がいないわけではなかった……。

「鶴の恩返し」をモチーフに、昭和っぽい時代の、演劇青年と鶴の哀しい恋の物語。とても叙情的で、歌うような文体がとても物悲しい。人に近しく、理解しようとしながら、黎を表舞台に押し上げようとする夕香が、最後の最後でやっぱり異形であった、という行動が、異種婚姻譚好きにはたまらんです。結ばれないのもいいよね……!
白竜の花嫁6(仮) (一迅社文庫アイリス)
『君も——所詮は人間か!』
白竜の青年シュトラールと、その“花嫁”となった澄白。優しく穏やかな日々は、ゴルト族の竜、アメテュストの死により突然の終わりを迎えた。彼のもとを離れた澄白は、亡き母の一族が住む里を目指す。一方、シュトラールは、澄白の不在に喪失感を感じて……。澄白を持つ新たな出会いと過去に穏された真実とは? そして、すれ違う二人の想いの行方は? 竜と姫君の恋絵巻、待望の第六弾!(裏表紙より)

発売後すぐなので、続きに書きます。




おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫)
ソルヴェール国の第一王女・レティーツィアは、将来自分が“女王になる”ことを知っていた——。結果、優秀な兄たちの“おこぼれ”で王位が転がり込んできたレティは、王の専属騎士団を作るべく、漢の中の男と評判の騎士・デュークを強引に勧誘。けれど彼は「『おこぼれ姫』の愛人と呼ばれるのは願い下げ」と一刀両断!! ますます彼がほしくなったレティは……!? 第13回えんため大賞優秀賞作!!(裏表紙より)

面白いよーとおすすめされて読みました。面白かったー! めちゃめちゃキャラが楽しい!
兄王子たちの後継争いを憂慮した父王によって、次期国王の位が転がり込んできたレティ。だが、彼女は自分が王になることを知っていた。「知っていたって、どういうことだ!?」というところに掴まれた人は多分すごく楽しい。この『王の間』のシーン、めちゃめちゃ好きだわー。そのネタ、私大好きです。
レティは自分が美しいということも、長所も短所も理解した上での言動をするので、ちょっぴり傲慢ですが、自信に裏打ちされたその振る舞いにところどころ見え隠れする、若いところ青いところが可愛いです。振り回されるデュークは、そうかと思いきや人たらしの才能が見え隠れしているような……。それから、兄王子たちは跡目争いをしていたわりに、やっぱり賢い人たちなので自分たちの距離について正確に把握した上での、距離を取っている感じがすっごくよかった。三兄妹、なかよししてほしいなー。
すっごく面白かったので、続き読もう。
追想五断章
古書店アルバイトの大学生・菅生芳光は、報酬に惹かれてある依頼を請け負う。依頼人・北里可南子は、亡くなった父が生前に書いた、結末の伏せられた五つの小説を探していた。調査を続けるうち芳光は、未解決のままに終わった事件“アントワープの銃声”の存在を知る。二十二年前のその夜何があったのか? 幾重にも隠された真相は?
米澤穂信が初めて「青春去りし後の人間」を描く最新長編。(帯より)

伯父の営む古書店に居候している芳光は、その客として現れた可南子の依頼で、結末の伏せられた五つのリドルストーリーを集めながら、その作者、叶黒白が何のためにそれを書いたのかを探っていく。これだけ書くと米澤さんのいつものミステリなのかなと思われそうなんですけれど、主人公の芳光からして設定があれなので救われない部分が見えるというか。「父が事業に失敗し、学費が払えなくなった」「その父が病死した」「母が郷里に戻ってこいという」ものが、何も解決されずに終わるという、大変後味の悪いあれに。いやでも、小説をめぐる物語はいちおう解かれるんですけどね!
小説を集め、その内容を読みながら、事件「アントワープの銃声」の真相を明らかにしていく。謎の中に謎、というのは、この本の表紙にあるような感じで、とても面白かったです。後味は悪いけど!
あけめやみ とじめやみ (ハヤカワ文庫JA)
妃の病いを癒してもらうため、水上庵の巫女のもとを訪れた木莵王イヨギは、あまりの巫女の幼さに不安を抱いた。しかも、妃を救うことは道にそむくことと治療を拒否される。はたして、妃は助かることができるのだろうか……人を疑うことしか知らぬ老王が真の愛に目醒める表題作ほか、愛する相手に対して、ふと不安をいだきはじめる少女の微妙な心の動きをつたえる「紙の舟」など久美沙織の新しい魅力を伝える作品集。(裏表紙より)

主にSFな短編集。「あけめやみ とじめやみ」「OUT OF DATA」「紙の舟」「きんぽうげ」「サマー・ドレス」「ドリーム・キャスター」の六編。おお、文章のノリがどれも80年代だぞ……と思って読みました。ちょっと読みづらかった。
SFは少し散漫でうーん? となったのですが、「あけめやみ とじめやみ」はなんだか好きだ。
太陽の庭 (集英社文庫)
一般人には存在を知られず、政財界からは「神」と崇められている、永代院。地図に載らない広大な屋敷に、当主の由継を中心に、複数の妻と愛人、何十人もの子供たちが住まい、跡目をめぐって争っていた。そんな中、由継の息子・駒也は、父の女・鞠絵に激しく惹かれてゆく。許されぬ愛は、やがて運命の歯車を回す。破滅の方向へ——。「神」と呼ばれた一族の秘密と愛憎を描く、美しく、幻想的な物語。(裏表紙より)

『雨の塔』に関連する物語。少女たちの箱庭だった『雨の塔』とは正反対の位置にある、永代院という広大だけれど閉じらせた外の世界を描く。『雨の塔』ラストでの崩壊はいったいどのようにして訪れたのか、という話です。
地図になく俗世から切り離され、崇め奉られる家、永代院。当主は代々「由継」を襲名し、有力者たちから差し出される娘を妻に迎えて子どもを産ませ、とある啓示を受けた子を後継にしてきた。妾腹の駒也の短編を皮切りに、歪んだ家と人と、世界の側面が現れてくる。
『雨の塔』は境界の曖昧な箱庭の話だったのが、『太陽の庭』は庭という場所のせいか部外者からの侵入を受けて崩壊する。この二冊、世界の壊れ方を比べるとすごく面白い! 少女小説なんだけど、こっちはよりファンタジーなのに、最後はサスペンスで鋭い。そして女の話で締めるのか! と唸りました。
面白かった。でも、二冊合わせるとちょっと蛇足感はあるかも。私は『雨の塔』が好きだ。
死神姫の再婚 -始まりの乙女と終わりの教師- (ビーズログ文庫)
春の日差しが降り注ぐ王宮の中庭では、華やかな式典が催されていた。「宰相による国王暗殺」という衝撃的な事実が発表されると共に、ゼオルディス王子の即位が決定したのだ。戴冠式と結婚式が同時に行われ、王宮に滞在中だったライセン一家も参列することに。興味津々のアリシアと苦々しい表情のカシュヴァーンだったが、そこに現れた予期せぬ人物の宣言により、事態は一変する——!! 緊迫した状況の中、死神姫と暴君夫、ついに念願の夜……!? 夫婦の「愛」が何よりも強い! 大注目の第10弾!!(裏表紙より)

おめでとうございました!!
と思いながら読み終えて、はて私は前の巻を読んでからどのくらい経ったんだろうと思って調べてみたら、三年経とうとしていることに戦慄しました。そりゃこのシリーズも終盤に入るわ……。
どんどん人数が多くなっていく死神姫、人物が一回ずつ喋りながら状況説明するのに時間がかかるようになってきてます。しかしおかげで私は助かった……(上記の理由で)
戴冠式と結婚式ののち、領地アズベルグが〈翼の祈り〉教団の手によって火を放たれたと聞いて、急ぎ領地へ戻るアリシアとカシュヴァーン。しかもその軍は、教団とラグラドール人の混成軍であり、その命令を放ったのは、先々代聖女ソルラスカ。彼女は海に落ちながら生還したアリシアが、聖女として崇められることを恐れたのだ。
というところから、一同はアズベルグを守るために戦うのですが、どうやらこの裏側で別の事態が発生しているらしく。ここまで読んだだけじゃ何が起こってるのかまだわからず色々ヤバいまま終わったけど、一番の目玉は夫婦の初夜です。
拉致からの部屋ぶっ壊しからの乱暴な振る舞いからの甘々初夜でたいへんごちそうさまでした。カシュヴァーンの幸せそうな様子に、「幸せになれよ!!」って石ぶつけたい。
雨の塔 (集英社文庫)
その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女——高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。(裏表紙より)

この紹介文で読まずいられようかと。なぜもっと早く読まなかったのかと。好みドンピシャすぎて、読みながらいちいち胸をときめかせていました。
世間から隔絶された全寮制の学校、その場所の異質さ、少女たちばかりの世界。少女たち特有の結びつき。そこに! 資産家の娘、ハイソサエティならではの上下関係がちらついたり、優遇されているのに不幸だということが描かれるのが!! もう!! 好きすぎて!!!
矢咲と小津、三島と都岡がそれぞれルームメイトなんですが、この二つの世界が、交流という形で混ざり始めてから物語はどんどん暗い方向へと走っていく。嫉妬と執着で、それぞれがゆっくり壊れていって、最後はあっけなく幕切れとなる。この幕切れも「世界の崩壊」と呼ぶにふさわしい終わり方で、最後までしびれました。かと思うと、救いの光みたいなものが差し伸べられて、そこにもしびれた。ああ、少女!
解説もどんぴしゃりで、そこそこ! というところを解説してくれていてそこまで面白かった。
この話、めちゃめちゃ好きです。
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Author:月子
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