読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
〈ヒト〉を愛せず、〈モノ〉しか愛せない高校生の瑠子。しかも愛した〈モノ〉を九十九神にしてしまう彼女は、その力で生まれた九十九神、タオ(バスタオル)、サク(工作ハサミ)、マグニ(虫眼鏡)と暮らす毎日。そんななか異端管理局の能瀬が現れ、九十九神が増え続ければ、人類が滅亡する、それを防ぐため『ヒトに恋しろ』と言いだした!? そして瑠子の「恋のレッスン」がはじまる!! 第10回小説大賞、奨励賞受賞作!!(裏表紙より)
現代ファンタジー。無機物萌えで、人嫌いの少女が、九十九神と、その異能を止めるべく派遣されてきたチャラい異端管理局員能瀬とどたばたする逆ハーラブコメ。と思いきや、文体がしっかり目で、締めるところはばしっと締めてくれていて、特に台詞にどきっとするところがあり、思いがけず楽しんでしまいました。
九十九神に矢印を向けられるのはまあいいとしても、能瀬の動機がちょっと弱かったのが残念。何故かというと私は彼が好きだからだ。言動がチャラいくせに、実はすごく優しくて不器用なところもありそうなところがかわいい。好き。
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想いびとである小松原と添う道か、料理人として生きる道か……澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客や、料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には、決して譲れない辿り着きたい道が、はっきりと見えていた。そして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに——(第一話「冬の雲雀」)。その他、表題作「夏天の虹」を含む全四篇。大好評「みをつくし料理貼」シリーズ、〈悲涙〉の第七弾!!(裏表紙より)
再び、号 泣 。うおおおん、うおおん、うおおおおおおん……!
ついに自身の道を定めた澪。小松原はすべてを悟って引き受けてくれた。しかし彼を思う気持ちが消えるはずもなく、あるショッキングな出来事によって、澪には更なる苦難が襲いかかる。辛いなあ、辛いなあ……。優しくしてくれる人もいれば、厳しくしてくれる人もあり、澪は少しずつ道を決めてきたけれど、最後にあんな事件が起ころうとは。すべてを叶えきった後に、もしかしたら……と刹那の希望を持てることが嬉しかったのに、大事な人を亡くしてしまった。
この次の次の巻が最近出たそうですが、その次で終わりらしい? ので、最後まで読みたいと思います!
酷暑を過ぎた葉月のある午後、翁屋の桜主伝右衛門がつる家を訪れた。伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。 一方登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移って来ないか、との話が届いていた。登龍楼で奉公をしている、ふきの弟健坊もその店に移して構わないとの事に、それぞれが思い揺れていた。つる家の料理人として岐路に立たされた澪は決断を迫られる事に——(第二話「天つ瑞風」より)。野江との再会、小松原との恋の行方は!? 「みをつくし料理帖」シリーズ史上もっとも大きな転機となる、待望の第六弾!!(裏表紙より)
号 泣 。この巻ではずーっと澪が思い揺れていて、揺らされていて、どうすればみんなが幸せになる選択ができるのか……と思い悩むところに、ひとつ揺るぎなかったのが小松原への思いだったので、その選択が出たときわーっと泣きそうになりました。電車の中だったので目を潤ませて鼻をすするにとどめたけれど……。
そうしてあのラスト。うん、多分澪には無理なこともあると思うんだ。料理人としての腕前、不屈で何度でも立ち上がる強さ、人に好かれる心優しさや、人との絆があったとしても、今の彼女には持っていないものがあると思うのだ。うーじれじれする! 続き続き!
学園バトルが日本の未来を左右する!?
私は高校生の蘇芳。いとこの紫風(美形なうえに天才剣士!)が当選確実の生徒会長選挙を控えたある日、選挙への妨害行為が相次いだ。また派手好きで金持ちの道博の仕業かと思ったら、「伝道者」を名乗る者が出現。私たちの住む悠久のミヤコを何者かが狙っている!(帯より)
謎×学園×ハイパーアクション、という謳い文句な恩田陸作品……なんですが、あらすじからぶっ飛んでてこれはいったいどういう話なの!? と思ったら、やっぱりすっごく変で、変なんだけとお約束事がばっちりで面白かったです。ノスタルジーも方向性を変えるとこういう派手な「ジャポン」なものになるのかあ。
まず、主人公蘇芳はおかっぱセーラー服の美少女。自分の刀を貰い受けるには腕が足りないといわれ、歯がゆく思っている少女剣士。その同じ一族の少女・萌黄は、リボンで髪をまとめた袴姿。頭もよく、腕も立つ少女。そして一族の御曹司・紫風もまた、強く賢く、リーダーシップのとれる生徒会長候補。その三人とミヤコという場所を巡る物語です。どう考えてもミステリじゃないし、ファンタジーでもラノベな上、読み進めていくとお約束を踏んでいくハリウッド映画みたいな活劇になっていて、恩田さんはこういうものも書けるのかとびっくりしました。もっと暗くてじわっと怖いものの方が好きなのだと思っていた(そういうシーンもあるんですが)
恩田さんらしさだと思えていた、そういったじわっとした怖さ、少女たちの活発な明るさと強さ、日本という場所のノスタルジーを全部ひっくるめてしまってエンターテイメントにしてしまうと、こういう話になるのかもしれない。すごく映像的に書かれているので、文章も簡略だし、狙っているシーンもたくさんあって、頭の中で映像にするとすごく生き生きとしてくる物語だと思いました。
面白かったです。私はこれ好きです。
歴史小説家の植松三十里さんが、どんな創作活動を経て作家になり、十年書き続けてきたのかというエッセイ。四十八歳で時代・歴史小説を書いているのかーととても興味深く読みました。自分が普段あまり読まないジャンルなだけに、すごく面白かった。
投稿生活は、カルチャースクールの創作教室でのことが書かれていて、そういう形もあるのかと勉強になりました。色々な形があるものだな。しかし結局は縁を大事にしているかどうかなのかもしれないなと思う。
小説の仕事をするにあたっては、丁寧な資料の読み込みや、ゆかりの地の訪問、関係者を辿ったり。もちろんご家族がおありなので、生まれ育ちの話、結婚後の渡米、娘さんの不登校など、すごく波瀾万丈なことをさらっと、しかし真剣に書かれているので、こちらに真面目に読みました。
面白かった。植松さんの小説、今度読んでみよう!