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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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吉原手引草 (幻冬舎文庫)
廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか? 失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮やかに描き出した時代ミステリーの傑作。選考委員絶賛の第一三七回直木賞受賞作、待望の文庫化。(裏表紙より)

面白かった! 謎が一気に明らかになろうとするところで、頭の中でじゃんじゃか三味線と鳴り物の音が聞こえてきて、うおおおおと叫んだ! すごかった!
吉原の花魁葛城が忽然と姿を消した。素晴らしい花魁だったと誰もが口する葛城が、決して抜け出ることができない吉原から消えたという前代未聞の事件から、しばらく経った頃。ある人物が、葛城に関わる者たちに聞き取りを始めた。本文は、その聞き取りを行っているので、誰かが聞かれるままに喋っている調子で書かれています。
全員に話を聞いてからが本番。がーっとラストまでの展開が始まるのでページをめくる手が止まらなくなった。
吉原が舞台だと普段読んでいるもののせいで、ちょっとファンタジーなイメージを抱いてしまったままだったのですが、ラストでぴしっと「時代小説!」と締めてくれたのが気持ちよかったです。
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冬虫夏草
疏水に近い亡友の生家の守りを託されている、駆け出しもの書きの綿貫征四郎。行方知れずになって半年あまりが経つ愛犬ゴローの目撃情報に加え、イワナの夫婦者が営むという宿屋に泊まってみたい誘惑に勝てず、家も原稿もほっぽり出して分け入った秋色いや増す鈴鹿の山襞深くで、綿貫がしみじみと瞠目させられたもの。それは、自然の猛威に抗いはせぬが心の背筋はすっくと伸ばし、冬なら冬を、夏なら夏を生きぬこうとする真摯な姿だった。人びとも、人間にあらざる者たちも……。(帯より)

私『家守綺譚』は文庫で読んだので、この本の感想を書くにあたって調べたところ、『冬虫夏草』と『家守綺譚』の装丁が揃えてあることを知りました。単行本の装丁がきっちり揃っているのっていいよね!
『家守綺譚』シリーズ、と読んでいいのかな。今回は家を守るのではなく、不思議なものが少し混じっている田舎に分け入っていく話。家守の時も、ほんのり異界の空気、少し前、けれど遠い時代の出来事を描いていることに、しんと積もるものがあったのですが、冬虫は、それよりも不思議なものどもに近い作品だと感じました。でも家守を読んだのがだいぶと前なので読んだ感覚が違っているだけなのかもしれないけれど。
異界のものが何食わぬ顔で混じっているのに、多くの人がしれっとそれを受け入れている。その中で、綿貫が「おっ」と思う驚きが優しく、発見に満ちた「おっ」なので、読んでいて心地いい。あるものを否定しないという感覚が、優しくていい。
コバルト風雲録
「このライトノベルがすごい!」に連載されたものを加筆、修正した、2004年発行の本。久美沙織さんがコバルトで書かれていた頃の話をされている。当時のコバルト文庫を中心とした、各作家の状況、社会の様子、読者の様子。
読者の様子がいちばん堪えた……。手紙の内容は確かに読者の感想なんだけれど、うーん……分かりやすさと読解力と、作者が書きたいものの距離感の問題になるのかなあ。誰も悪くないし、難しいところだ……。
花散らしの雨 みをつくし料理帖
元飯田町に新しく暖簾を掲げた「つる家」では、ふきという少女を下足番として雇い入れた。早くにふた親を亡くしたふきを、自らの境遇と重ね合わせ信頼を寄せていく澪。だが、丁度同じ頃、神田須田町の登龍楼で、澪の創作したはずの料理と全く同じものが「つる家」よりも先に供されているという。はじめは偶然とやり過ごすも、さらに考案した料理も先を越されてしまう。度重なる偶然に不安を感じた澪はある日、ふきの不審な行動を目撃してしまい——。書き下ろしで贈る、大好評「みをつくし料理帖」シリーズ、待望の第二弾!(裏表紙より)

新しい店を得て、嫌がらせを受けながらも着々と店を切り盛りし、名を上げていく澪。しかし、間者や、病や、大事な幼馴染みの負傷などが起こって。ただではいかない運命の持ち主だと分かっていても、はらはらするし、澪が笑ってくれたら心がほっとする。段々と澪のことが好きになってくるシリーズだと思います。
登場人物も少しずつ増えて、恋の予感もあったり……。秘めなければならない、という澪のいじらしいところに、もうハンカチを握りしめて身悶えしてしまいます。もだもだ!
コンスタンティン [DVD]
悪魔祓師のジョン・コンスタンティンは、この世ならざるものが見える。かつて犯した罪により地獄行きが決まっているが、その行き先を変えようと、神の恩恵を受けるために悪魔祓いを続けていた。そのうち、悪魔が人間界へ干渉しようとしているという異変に気付いて……。

CV.小山力也の威力。
などと思ってすみませんでした。スーツ×くたびれたおにいちゃんで小山ヴォイス、威力強すぎでした。すんげー楽しかったです!! 元がアメコミなので狙いまくりな展開やら何やらの連続で、そのチープさに笑っちゃったり楽しかったりしました。やっぱりキャラクターがいいなー! コンスタンティンもですが、ガブリエルも、魔王も、美味しい美味しい! っていう人たちで、にやにやして見てしまいました。
しかし、一番よかったのは、あっさり恋愛脳にならなかったことです!! キスしないの本当によかった! 「おおーっと、ここでキス……しなかったァー!!!」という脳内実況の楽しさよ。悪魔祓い師として我が道を突き進むコンスタンティンが、他の人に関してはあんまり重きを置いていないらしいところが見ていて楽しいです。ちゃんと手を貸してくれる友人を思ってはいるのですが、うまいこと表に出せない不器用さが見ていてかわいい。かっこいい仕事持ち男子(ストイックだとなおよし)にときめこうと思ったのに何故私はスーツのおにいちゃんをかわいいと言っているのだろう……。
とにかく面白かったです! 面白かったです!
八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)
神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大坂と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが……。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!(裏表紙より)

『銀二貫』が面白かったので、評判のみをつくし料理帖シリーズも読み始めました。最初の、まだ戸惑っている澪が、ゆっくりと人に、町に馴染んで、繋がりを得ていくところがとても染みて、面白い。ある瞬間の繋がりに、あっとなって、うるっとしてしまうのは、人情が色濃く描かれる時代小説の醍醐味だなと思います。ひとつひとつの話がまとまりよく進んでいくので、ふーんと思っていたら、最後の話で泣かせにかかられて!
実は酒粕汁も心太もあまり好きじゃないので、美味しそうに感じられなかったのだけが残念です。偏食な自分がちょっと恨めしかった。
ドラフィル!〈3〉竜ヶ坂商店街オーケストラの凱旋 (メディアワークス文庫)
音楽の”竜“は、“王者”に挑む!
 再び季節はめぐり、次の竜ヶ坂祭りに向けて練習を続ける『ドラフィル』のメンバーたち。しかしそのさなか、響介のもとにある奇妙な依頼が舞い込んだ。依頼者の名は、七緒の育ての親であり、彼女を見捨てたはずだった女性——一ノ瀬真澄。その内容は真澄の姉であり、世界的ヴァイオリニストの羽田野仁美が所有するヴァイオリンの鑑定であった。所持した者に不幸を呼ぶという呪いのヴァイオリン《チェリーニ》に酷似した、その楽器の正体とは? そしてドラフィルの演奏会の行方は——。(裏表紙より)

ドラフィル三巻で完結巻。音楽と家族の物語。ドラフィルにまつわる、一ノ瀬家と羽田野仁美の因縁もようやく解き放たれる三巻です。そのせいか、中盤から暗い雰囲気がつきまとう。簡単に解消されないとはいえ、一ノ瀬姉妹の自責は重いなあ……。
「音楽家は音楽で語れ」というのを最後まで貫き通した三巻で、音楽を奏でなければ分かり合えないことが悲しいのやら、凄まじいのやらという親子です。絶対に譲れない一線を持つ、七緒と羽田野仁美は、理解しながら決別の道を辿る……という、最後まで研ぎすまされた関係の二人だったと思いました。
音楽に取り憑かれた愚か者たちの、不器用に迷いながら勇ましく戦う物語でした。濃かったー。
ミッション:8ミニッツ [DVD]
目覚めると列車に乗り、見知らぬ女性と会話していたスティーブンス。状況を確認してみると、どうやら自分はまったく別人になっているらしい。直後、列車は爆発。再び目覚めたスティーブンスは、自分が八分間だけ列車の中のショーンなる人物になり、列車爆破事故を皮切りに始まる連続テロ事件を阻止する任務に就いていると知る。八分間だけを繰り返し、果たしてテロの最初の事件は阻止できるのか。

ループものと聞いたので見てみることに。やっぱり時間ものって面白いなあ! 繰り返す中の、ちょっとした異なりや、登場人物の心理的負担でぎりぎりになっていくところが、面白くて好きです。神経をすり減らしてループするって、いい……。気付きつつあったけど、上手い閉鎖空間ものが好きなんだな自分と思いました。
途中からそういうことなんだろうという予感はあったけれど、改めて突きつけられる辛さとか。知ってなお助けたいと思うほど短い時間の中で芽生えた思いとか。たぎるわー。時間ものは想像の余地があって楽しいです。段々頭の中がごちゃごちゃになりますが! ぎりぎりしている中で、はっとするシーンがあってすごく面白かった。
艶蜜花サーカス ~フィリア・ドゥ・フェティソ~ (フルール文庫 ルージュライン)
“艶女"——それは、想い人と性交し本当の女の悦びを知ることで、背中や腰に花や蝶や鳥などの絵が浮かんだまま、入れ墨のように定着する特異体質。これは妖艶な旅回りのサーカス一座「フィリア・ドゥ・フェティソ」を舞台に繰り広げられる、彼女たちの恋と愛に満ちた六篇の物語。スターと恋に落ち艶女になる飴籤の売り子。演出家との恋で自身も強く成長していく新米の艶女——“恋"に泣き“愛"に濡れ、女たちは艶めく花になる。(裏表紙より)

お、おもしろかった……。ちょっと女性向け官能レーベル侮ってましたすみませんでした。また新レーベル旗揚げかーと眺めていたんですが、ちょっと変わってそうなのが目に入って手に取ってみたらすごーく面白かった。
物語は、特殊な入れ墨のようなものが浮かぶ特異体質の女性たちが入団資格を得るという、昼間真っ当な公演、夜は十八歳未満入場禁止の公演を行っているサーカスを舞台にしている六編の短編集。
艶女と呼ばれる女性たちは大きく二種類。鳥の艶絵が浮かぶ性に奔放な人と、花が浮かぶ男を待つ人と。巡り会いを待つヒロインもいれば、奔放に遊びながら手探りで愛を探している人もいたりなどして、その違いが面白かったです! でもみんな、することしながら黒々としていたり、過去に囚われていたりする仄暗さがいい。
サーカスという舞台がまた面白かったので、もっと演者としてぎりぎりする感じも欲しかったかなと我がままを言ってみたい。姫王子やら見初められた女の子やらも可愛くていいんですが、私はこういうのが読みたいんだ官能小説で!! と思いました。TL系読まない人に、ちょっと読んでもらって感想を聞いてみたい作品でした。
ルリユール (一般書)
黒猫工房では、あなたの大切な本を修復いたします。魔法のような手わざ、傷んだ過去の思い出も、静かに包み込んで——(帯より)

風早街関連作品。風早の街に、祖母と叔母の初盆を迎えるためにやってきた瑠璃。一緒に行くはずだった家族は色々忙しいので瑠璃だけ前乗りだ。そこで、魔法のように本を修復するルリユールの外国人女性が住んでいるらしいと聞く。
自分の居場所を見失いかけ、後悔を胸に抱えている少女・瑠璃が、不思議なものを認める心の広さを得ていくための物語だったと思いました。これだけでは瑠璃の展望が開けたわけではないけれど、様々な可能性の種が眠っている年頃なので、ここから新しいものを見つけていくんだろう。
本の修復師ルリユールの女性、クラウディアの存在が、赤毛で魔女めいていて自信たっぷりでとっても可愛い、というのが村山さんの書くとっておきの女の人、という感じだなあ! 素敵だ。最新鋭の端末は、これ村山さんがツイッターで言ってたやつだーと思った。お好きなんだなあ。
特別、本の物語、というわけではなく、本を受け取る人たちの物語なので、本の物語を期待するとちょっと惜しい感じもするかもしれません。現実の中に、魔法の要素が完全に流れ込んできているので、そういう不思議さが面白かった本だと思いました。
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Author:月子
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