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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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キケン
成南電気工科大学にはキケンと呼ばれる部が存在する。正式名称は機械制御研究部。機研=危険として恐れられるそこには、数々の伝説があった。一回生の元山は、同期の池谷とともにそこに入部することになる。

面白かった! 他の有川作品みたいに責められる感じがなかったけれど、部活ものとしてすごく楽しく読んだ。いつも普通の人々を書いていると思うんですが、今回は若干名、かなりの変人がいてところどころぶっ飛んだ言動が凄かった。内容も男子校の部活ってこうなのかなあという、身も蓋もないところがあったし。
遊ぶなら全力で。勝たないまでも負けない。部長上野の言動がかっこいい。中身は置いておくとして。ロボット大会の最後の自爆は笑った。
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エルゼリオ―遠征王と薔薇の騎士 (角川ビーンズ文庫)
男装の女王アイオリアI世の、愛妾の席がひとつ空いた。
さっそく栄誉ある後宮《花園》入りを賭け、国をあげての美女探しが始まり、お祭り好きの王様も政務を放りだして、みずからスカウトに出かけてしまった。ところがその旅先で愛妾候補として白羽の矢が立ったのは、王騎士ジャック=グレモロンの相棒、槍使いゲイリー=オリンザの娘で……!?
大人気、遠征王シリーズ第2弾!(裏表紙より)

薔薇の騎士を立てて愛妾を選ぶというのはとてもロマンチックなのに、そこにあるのは世界にある身分差や民族の迫害や、国家間の戦争だったりして、とても現実味があって、面白かった。面白いという表現はちょっと違うかもしれないけれど、生きているという感じがした。
かと思うとラストはものすごくシリアスで、まだまだ謎がありそうでわくわくする。シリアスとコメディのバランスすごいなあ。すごく楽しい。続きも読もう。
シアター! (メディアワークス文庫)
 小劇団「シアターフラッグ」——ファンも多いが、解散の危機が迫っていた……そう、お金がないのだ!! その負債額なんと300万円! 悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。
 新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが……!?(裏表紙より)

面白かった。有川作品は考えさせられるけれど、スカッともするので気持ちいい。楽しい読書だ。
司にいちゃんかっこよすぎです。惚れる。こういう、一見固そうに見えるのに、柔軟で融通が利いて心配りも出来る人って憧れだ。すごく大人。人間として素敵だ。
一番手に汗握ったのが、用意した道具がない! というところ。どうなるんだろう、でもきっとうまくいくと分かっていながら、すごくどきどき、興奮した。みんなが一致団結して、つながり合って、信頼し合っていて、というのがすごく嬉しい。
まだまだ続きがありそうな個性的な登場人物ばかりで、一冊で終わるのが惜しいなあと思っていて、だから続編が執筆されると聞いてわくわくしています。
秋霖の花嫁  香霧想起 (講談社X文庫―ホワイトハート)
 目覚めると名前すら思い出せず、今までの記憶を失くしていた少女に、端整な顔立ちの青年、秋里は「お前の名前は荘曄香。私の許婚だ」と告げる。
 立派な邸での生活に違和感を覚える曄香だったが、優しく思いやりに溢れる秋里に次第に惹かれていく。
 が、ある日、秋里の正式な許婚と名乗る琳国の公主、麗媛が邸にのりこんできた。
 私は何者なの? 悩む曄香に隠された真実とは!?(裏表紙より)

花嫁じゃない! けど恋愛ものです。話は、本当に「はじめの地点」に戻る話でした。何にも解決してない気がするよ! ただすれ違いと甘やかしの話だけだった。記憶喪失と婚約者の公主というおいしい設定があるのに、一冊だけだったのは足りなかったような気がするもったいない!
でも終始漂う「私は誰なの?」という切なさとか、戸惑いが、なんだか切ない系スキーには肌に馴染みました。
時代背景がちょっと分かった。『蘭契の花嫁』の時代かー。この時代は閃国が二代目になって各国を併呑していたと。
業多姫〈2之帖〉愛逢月 (富士見ミステリー文庫)
「怖くはないのか」
 少年は言った。身のうちのどこかが、ひどく痛むかのように。
 少年は、闇を抱えていた。
 自身ですら気付かない深い闇を。
「……怖いわ。けれど、颯音。あなたと共にいられるのなら」
 茜色の夕日が小さな部屋に射し込み、片隅に座る少女——鳴を照らし出した。
 異能の力を持つ故に〈業多姫〉と呼ばれる少女・鳴。異能集団「狐」から、鳴を守ることを誓った少年・颯音。二人は旅立った。全てを捨てて。二人だけで。けれど、共にあることのできる時間は、あまりにも短かった。
 戦が戦を呼ぶ戦乱の世。二人の絆が、試される——。(カバー折り返しより)

異能と少々の謎と戦いの物語。少年と少女がお互いを支えに生きていくシリーズの二巻。能力者が暮らす里に入ったはいいものの、そこでも変わらず戦いの気配はあり、裏切り者の存在があり、というのが今回。
話の進みが遅くて、じりじりさせられるのですが、二人の絆、思い合うところがとても切なくていい。大切すぎて、どちらも不器用で、遠ざけるか、駆けていくことしか知らないようなところが、とても愛おしい。二人が幸せになるのはいつのことだろう。
愛か、美貌か―ショッピングの女王〈4〉 (文春文庫)
デフレ不況もなんのその。イケメンのホストにハートを鷲掴みにされてしまった女王様。なんと1年間で1500万円もの大金をつぎ込んでホストクラブで放蕩三昧。その上、若さと美貌という幻想の果実を追い求め、プチ整形の虜となってしまう。ホスト、整形……、女王様が欲しいモノは、ホントに金で買えるのか!? 解説・石井政之(裏表紙より)

ホストとプチ整形につぎ込む巻。お金の話があんまり出てこなくなってきているけれど、かなりの金額を使っているんだろうなあ。副題の「ショッピングの女王」のショッピングというのは、多額のお金で何かを得ようとする中村さんの象徴的な言葉になっているのだなあと思う。
欲というのをつくづく思い知らされるようになってきた。悪あがき。自分でない何かになりたいということ。
この巻でマツコ・デラックスの話がちらっとあっておおーと思う。このエッセイ(文庫版)の刊行は2004年12月の話である。マツコ・デラックスがよくテレビで見かけるようになったということは、中村さんの言っていた「異形の福神」というのが受け入れ始められたということなのかな。
ジャック・ザ・ルビー―遠征王と双刀の騎士 (角川ビーンズ文庫)
剣の腕をたよりに騎士をめざすジャック=グレモロンが、街の酒場で出会った青年オリエはとんでもないタラシ。なりゆきまかせにコンビを組んだ武術試合で、勝利を手にしたふたりだったが……気づけばなぜか女城守の愛人に!?
のちに遠征王と呼ばれた男装の女王アイオリア一世と、双刀の剣士——敵の返り血で朱と染まる姿から、《ジャック・ザ・ルビー》と渾名された王騎士の、これがはじまりの物語。(裏表紙より)

コメディファンタジー。政治情勢などシリアスなところはあるけれど、待てーい! というような笑い部分が多くて楽しかった。女性でたらしの主人公はままいるけれど、ここまですごいのは久しぶりに見た気がする。オリエかっこいい。この人はプリハーのルシードとメリルローズ(ジル?)の孫なわけなんだな。
世界観がすごく作り込まれている気がして、端々に感じられる空気がとてもいいなあと思った。時代の変遷が丁寧に描かれているような。
ヘメロス・ソーンダイクが出てちょっと嬉しかった。『黎明に向かって翔べ』が好きなのだ。
ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)
バナナがどっさり入っているバナナ穴に行儀よく泳いでいき、中に入ると豚みたいにバナナを食べ散らかすバナナフィッシュ。あんまりバナナを食べ過ぎて、バナナ穴から出られなくなりバナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……グラース家の長兄、シーモアの謎の自殺を描く「バナナフィッシュにうってつけの日」ほか、九つのケッ作からなる自選短篇集。(裏表紙より)

言い回しや会話が好きなんですが、全体的に私には合わない本だという印象でした。ひたすら会話を捏ねている感じがあって、読み終わった後考えると楽しいんですけれども、読みながら考えるのにあんまり向かない。
会話が好きだと述べましたが、会話しているときの、特に苛立ちがよく伝わってきて、読みながら非常にいらいらしたりしました。コミュニケーションの難しさみたいなものを覚える。
どの話も基本的に隠喩暗喩の嵐だったような気がします。明確な答えはどこにもない。
「小舟のほとりで」と「テディ」が好き。「テディ」のような、こういう人間とはという理屈を話す話が好きで、結末の描き方がすごく好きなのだ。と書くと人間を疑われるかもしれないけれど、無情、無常を感じさせるものがすごく好きなのです。
チップス先生さようなら (新潮文庫)
霧深い夕暮れ、炉端に坐って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド中学での六十余年の楽しい思い出が去来する。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な生活、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊張した日々……。愛情に満ち、しゃれの名人でもある英国人気質の老教師と厳格な反面ユーモアに満ちた英国の代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶讃された名作。(裏表紙より)

ものすごく好きでした。以前から名前だけは知っていて、外国のこういう話は合わないかもなあと尻込みしていたのですが、読めて、すごく、幸せだった。
長い間教師生活をし、引退後も学校の側で暮らして、生徒たちの訪問を受け入れていたチップス先生。多くの日々と多くの生徒を学校から見送り、そして時代にかれらを亡くし、今は炉端でその思い出にふけっている。一人でいるわけではなくて、チップス先生を知った現役学生が訪れることもあれば、チップス先生自身の中にはたくさんの生徒たちの思い出が残っている。それは、先生がかれらの名前を今でも口に出来るところで現れているように思います。
ラストがものすごく、定番なんだろうけれど、ぎゅっと胸を鷲掴みにされて、こうして愛された存在があるというのはものすごく嬉しくて泣けました。
上弦の月―キョウト・イカイ・ソウシ (コバルト文庫)
——あの世に逢いたい人がいる。……高校の修学旅行で、かつて近くに住んでいた京都の清水寺を訪れた里桜は、急に、あの世の入り口と言われる井戸を見たい衝動に駆られる。そして、親友の柚月や空哉にも黙って、井戸のある六道珍皇寺へと足を向けたその時…。『ねえ』——呼ばれるままに振り向いた彼女は森の中にいた。里桜を呼んだものの正体は、目の穴から紫陽花を咲かした髑髏だった。(カバー折り返しより)

修学旅行で京都を訪れた少女が見る、人の心と幻想の物語。各章は、話はつながっているようなつながっていないような、という感じです。
「見る」ことのできる里桜が、京都という町の幻想に取り憑かれているような印象を受けました。彼女は昔から囚われていて、今も囚われている。起源は恐らく、たましいたちの執着によるもの、かしら。
少女と少女の結び付きや、恋心なのかと考えたりするところが、非常に妖しい感じで幻想的だなあと思いました。親友と呼べる人への執着心や、ちょっとしたきっかけで離れてしまうところなんか、わかる気持ちで読みました。
ずっと昔に読んだ時は、ただただ不思議な印象の話だなあというだけだったのですが、今ならこの少女たちがすごく分かる……!
Profile
Author:月子
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