読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

目覚めると名前すら思い出せず、今までの記憶を失くしていた少女に、端整な顔立ちの青年、秋里は「お前の名前は荘曄香。私の許婚だ」と告げる。
立派な邸での生活に違和感を覚える曄香だったが、優しく思いやりに溢れる秋里に次第に惹かれていく。
が、ある日、秋里の正式な許婚と名乗る琳国の公主、麗媛が邸にのりこんできた。
私は何者なの? 悩む曄香に隠された真実とは!?(裏表紙より)
花嫁じゃない! けど恋愛ものです。話は、本当に「はじめの地点」に戻る話でした。何にも解決してない気がするよ! ただすれ違いと甘やかしの話だけだった。記憶喪失と婚約者の公主というおいしい設定があるのに、一冊だけだったのは足りなかったような気がするもったいない!
でも終始漂う「私は誰なの?」という切なさとか、戸惑いが、なんだか切ない系スキーには肌に馴染みました。
時代背景がちょっと分かった。『蘭契の花嫁』の時代かー。この時代は閃国が二代目になって各国を併呑していたと。
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「怖くはないのか」
少年は言った。身のうちのどこかが、ひどく痛むかのように。
少年は、闇を抱えていた。
自身ですら気付かない深い闇を。
「……怖いわ。けれど、颯音。あなたと共にいられるのなら」
茜色の夕日が小さな部屋に射し込み、片隅に座る少女——鳴を照らし出した。
異能の力を持つ故に〈業多姫〉と呼ばれる少女・鳴。異能集団「狐」から、鳴を守ることを誓った少年・颯音。二人は旅立った。全てを捨てて。二人だけで。けれど、共にあることのできる時間は、あまりにも短かった。
戦が戦を呼ぶ戦乱の世。二人の絆が、試される——。(カバー折り返しより)
異能と少々の謎と戦いの物語。少年と少女がお互いを支えに生きていくシリーズの二巻。能力者が暮らす里に入ったはいいものの、そこでも変わらず戦いの気配はあり、裏切り者の存在があり、というのが今回。
話の進みが遅くて、じりじりさせられるのですが、二人の絆、思い合うところがとても切なくていい。大切すぎて、どちらも不器用で、遠ざけるか、駆けていくことしか知らないようなところが、とても愛おしい。二人が幸せになるのはいつのことだろう。

デフレ不況もなんのその。イケメンのホストにハートを鷲掴みにされてしまった女王様。なんと1年間で1500万円もの大金をつぎ込んでホストクラブで放蕩三昧。その上、若さと美貌という幻想の果実を追い求め、プチ整形の虜となってしまう。ホスト、整形……、女王様が欲しいモノは、ホントに金で買えるのか!? 解説・石井政之(裏表紙より)
ホストとプチ整形につぎ込む巻。お金の話があんまり出てこなくなってきているけれど、かなりの金額を使っているんだろうなあ。副題の「ショッピングの女王」のショッピングというのは、多額のお金で何かを得ようとする中村さんの象徴的な言葉になっているのだなあと思う。
欲というのをつくづく思い知らされるようになってきた。悪あがき。自分でない何かになりたいということ。
この巻でマツコ・デラックスの話がちらっとあっておおーと思う。このエッセイ(文庫版)の刊行は2004年12月の話である。マツコ・デラックスがよくテレビで見かけるようになったということは、中村さんの言っていた「異形の福神」というのが受け入れ始められたということなのかな。

剣の腕をたよりに騎士をめざすジャック=グレモロンが、街の酒場で出会った青年オリエはとんでもないタラシ。なりゆきまかせにコンビを組んだ武術試合で、勝利を手にしたふたりだったが……気づけばなぜか女城守の愛人に!?
のちに遠征王と呼ばれた男装の女王アイオリア一世と、双刀の剣士——敵の返り血で朱と染まる姿から、《ジャック・ザ・ルビー》と渾名された王騎士の、これがはじまりの物語。(裏表紙より)
コメディファンタジー。政治情勢などシリアスなところはあるけれど、待てーい! というような笑い部分が多くて楽しかった。女性でたらしの主人公はままいるけれど、ここまですごいのは久しぶりに見た気がする。オリエかっこいい。この人はプリハーのルシードとメリルローズ(ジル?)の孫なわけなんだな。
世界観がすごく作り込まれている気がして、端々に感じられる空気がとてもいいなあと思った。時代の変遷が丁寧に描かれているような。
ヘメロス・ソーンダイクが出てちょっと嬉しかった。『黎明に向かって翔べ』が好きなのだ。

バナナがどっさり入っているバナナ穴に行儀よく泳いでいき、中に入ると豚みたいにバナナを食べ散らかすバナナフィッシュ。あんまりバナナを食べ過ぎて、バナナ穴から出られなくなりバナナ熱にかかって死んでしまうバナナフィッシュ……グラース家の長兄、シーモアの謎の自殺を描く「バナナフィッシュにうってつけの日」ほか、九つのケッ作からなる自選短篇集。(裏表紙より)
言い回しや会話が好きなんですが、全体的に私には合わない本だという印象でした。ひたすら会話を捏ねている感じがあって、読み終わった後考えると楽しいんですけれども、読みながら考えるのにあんまり向かない。
会話が好きだと述べましたが、会話しているときの、特に苛立ちがよく伝わってきて、読みながら非常にいらいらしたりしました。コミュニケーションの難しさみたいなものを覚える。
どの話も基本的に隠喩暗喩の嵐だったような気がします。明確な答えはどこにもない。
「小舟のほとりで」と「テディ」が好き。「テディ」のような、こういう人間とはという理屈を話す話が好きで、結末の描き方がすごく好きなのだ。と書くと人間を疑われるかもしれないけれど、無情、無常を感じさせるものがすごく好きなのです。

霧深い夕暮れ、炉端に坐って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド中学での六十余年の楽しい思い出が去来する。腕白だが礼儀正しい学生たちとの愉快な生活、美しく聡明だった亡き妻、大戦当時の緊張した日々……。愛情に満ち、しゃれの名人でもある英国人気質の老教師と厳格な反面ユーモアに満ちた英国の代表的なパブリック・スクールの生活を描いて絶讃された名作。(裏表紙より)
ものすごく好きでした。以前から名前だけは知っていて、外国のこういう話は合わないかもなあと尻込みしていたのですが、読めて、すごく、幸せだった。
長い間教師生活をし、引退後も学校の側で暮らして、生徒たちの訪問を受け入れていたチップス先生。多くの日々と多くの生徒を学校から見送り、そして時代にかれらを亡くし、今は炉端でその思い出にふけっている。一人でいるわけではなくて、チップス先生を知った現役学生が訪れることもあれば、チップス先生自身の中にはたくさんの生徒たちの思い出が残っている。それは、先生がかれらの名前を今でも口に出来るところで現れているように思います。
ラストがものすごく、定番なんだろうけれど、ぎゅっと胸を鷲掴みにされて、こうして愛された存在があるというのはものすごく嬉しくて泣けました。

——あの世に逢いたい人がいる。……高校の修学旅行で、かつて近くに住んでいた京都の清水寺を訪れた里桜は、急に、あの世の入り口と言われる井戸を見たい衝動に駆られる。そして、親友の柚月や空哉にも黙って、井戸のある六道珍皇寺へと足を向けたその時…。『ねえ』——呼ばれるままに振り向いた彼女は森の中にいた。里桜を呼んだものの正体は、目の穴から紫陽花を咲かした髑髏だった。(カバー折り返しより)
修学旅行で京都を訪れた少女が見る、人の心と幻想の物語。各章は、話はつながっているようなつながっていないような、という感じです。
「見る」ことのできる里桜が、京都という町の幻想に取り憑かれているような印象を受けました。彼女は昔から囚われていて、今も囚われている。起源は恐らく、たましいたちの執着によるもの、かしら。
少女と少女の結び付きや、恋心なのかと考えたりするところが、非常に妖しい感じで幻想的だなあと思いました。親友と呼べる人への執着心や、ちょっとしたきっかけで離れてしまうところなんか、わかる気持ちで読みました。
ずっと昔に読んだ時は、ただただ不思議な印象の話だなあというだけだったのですが、今ならこの少女たちがすごく分かる……!

父の旅のみやげに一輪のバラの花を頼んだため、心優しいベルは、見るも恐ろしい野獣の住む城へ行かなければなりませんでした。さて、野獣は彼女に何を求めたでしょうか……。
詩人ジャン・コクトオが絶賛し、映画化したこの美しい幻想的な物語は、二百年も前に書かれながら今日も人々の心を捉えます。他に「三つの願い」等珠玉の十四篇収録。(裏表紙より)
古典的な児童文学(?)を読みたいなと思って手に取りました。読み聞かせるような穏やかな文体がとても心地よかったです。教訓的なお話ばかりなので、読む時が合わなければ鬱陶しいと思うかもしれないけれど……。
基本的には教訓とロマンスが多く、王様とお姫様、貴族の娘、仙女が登場する話です。心掛けを立派に、誰が見てなくとも神様が見ている、という西洋的な考えがよく現れた話ばかりだと思っていたら、解説を読むと話の元の元にあたる部分には民話があるよう。
「美女と野獣」以外は知らない話ばかりでしたが、面白かったです。

女王様、人生最大のピンチです! 銀行預金は差し押さえられ、財布の中身はたったの千円。ガス代さえ払えないのに、住民税を納めろと、区の職員“タイノーセイリマン”に追い込みをかけられる死闘の日々。青息吐息の家計を尻目に、またもや買い物してしまうのは何故!? 女王様は今日も崖っぷち人生をひた走る! 解説・森 奈津子(裏表紙より)
2に続いて、逼迫した家計。1の頃と比べて買い物の話も少なくなっていますが、借りる話はどんどん大きくなっている……。お金を借りるというのが恐い私は、なんだか想像がつかない世界だ。
中村さんが最後の方になって繰り返しかかれている東電OL。依存症というものに、2で登場した、しゃべり場の若者たちの話が思い出される。強迫観念とか、執着。自分の価値を認めてほしいということなのかなと思う。飢餓感というのは、自分の中で一番苦しい感覚で、何をしても満たされないということは生きることに意味を見出せていないということで。それがどういう方向で表に現れるか、が足掻きやもがき、生き方なのかなと思う。

はた迷惑な兄の身代わりに、乙女劇団を立ち上げることになったミレーユ。「惚れ薬」を手にしたヴィルフリートは、恋煩いの末に大暴走! しかもいつもは冷静なリヒャルトも、今日は何だか積極的で……!? 最高の恋愛成就を願ってミレーユが仕掛ける、一世一代の熱演(もちろん男装)の行方とは……!?
かくして『身代わり伯爵』の駆け落ちを賭けた熱演がはじまる!?
恋の花が咲き乱れる、ハイテンション王道ファンタジー第4弾!(裏表紙より)
3巻からそれほど間を置かない日から始まる4巻。天然糖度高めでごちそうさまでした。リヒャルトがあれこれと悩んだり、触ったりするのに、もう身悶えが。切ない、甘い、ときめき! でにやにやしっぱなしでした。乙女劇団に「宝塚?」って思ったり、ぬいぐるみに「ネネちゃんのママ?」って思ったりして、コメディ部分にも笑いました。楽しかった!
もう本当に、リヒャルトの言動の数々にきゅんきゅんです。胸キュンしすぎて生きてるのがつらい。
ミレーユ本人が秘密に触れさせてもらえていないこともあって、陰謀部分がじりじりしてもどかしいんですが、続きがとても楽しみ。