読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
神山高校一年の折木奉太郎は、姉の謎めいた手紙の指示で「古典部」なる部に入部することになる。何事にも積極的に拘ろうとしない彼の日常は、このことによって千反田えるや福部里志、伊原摩耶花たちとの関わりで騒がしくなる。そんな彼らがぶつかった大きな謎、それはえるの失踪した伯父と古典部、そして神山高校にまつわるもので……。
原作読了済みで、アニメも視聴済み。
実写版は大きな変更は特にない感じかな、という印象。原作の淡々とした雰囲気に忠実、ではあるんですけれど映像にすると小説を読むより淡々としすぎていて、読みながら気持ちを盛り上げていくように、映画を見ながら感情を昂らせていくことができなかったのが残念だったかな……。事実がわかって、こうじゃないかと考えて、こうだったのか! 自分の中での気付きが生まれにくいというか。
真相自体はやっぱりすごく面白いと思うし、やるせなさもあって好きなんですけれど、実写はあまり向いていなかったんじゃないかなあという印象が拭えず。地味なんですよね。お話はそれがいいんですが、映画作品だと映像が面白いかも大事なんじゃないかと思ってしまう。
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私立桜蘭学院、そこは上流階級の家柄の令息令嬢が通う学舎。そんな学校に特待生として入学した藤岡ハルヒは根っからの庶民。ある日「ホスト部」なる活動が行われているそこで、校内オークションに出品される予定だった高価な花瓶を割ってしまったことで、借金返済を求められた挙句、ホスト部の部員として活動することになる。こうして地味な格好に紛れていたものの実は女生徒であるハルヒと、部長の須王環をはじめ上流階級出身すぎる部員たちの、常識外れな学校生活が始まった。
原作は途中まで。「ホストクラブ」なるものが流行したことが遠い過去だな……と思いながら今回見ていました。
ハルヒに対していろんな人たちが恋愛感情の矢印を向けているところでアニメは終わり。しかし環が無自覚にしっかりハルヒを大事にしているところ、見ていて微笑ましいしきゅんきゅんするし、早く自覚して行動しろよー! とごろごろ床を転がってしまいました。ハルヒもなんだかんだ可愛い顔しちゃってるし!
アニメの描写が楽しくて、特に第一話を久しぶりに見て、ハルヒの事実に気付く演出が面白くて好きだったことを思い出しました。いいアニメ化だったんじゃないかな、なんていまなら思います。
ミア、良夜、そして陽太——それぞれのお家の事情が明らかとなる中、弥和帝国の命運と三人の恋の行方は……!?
和風エクソシズム&トライアングル・ロマンス完結。(帯より)
さすが和泉さん、大団円! めちゃくちゃ楽しかったー!!!
途中から「あれこれもしかしてミアと陽太の立場が逆か、陽太が実は……とかあったりする?」とはたと気付いたんですが! 青薔薇伯爵家と同じでしたね!? タイトルが似ているし、あとがきにもあったしだいぶ意識されていたのかな。
後半の怒涛の展開と真相が、また頁をめくる手を止めさせてくれず、一気読みでした。一気に読めてよかったー! ミアの母親の正体泣いた……ドレスを一生懸命見繕ったっていう描写あったよな、と思うと泣けちゃった。
陽太がしっかり同級生たちにミアを紹介したエピソード、よかったなあ。作戦とはいえ、ちゃんと好きな子だとそうやってみんなにお披露目できるの、いかにも青春だった。その後の後半の大事なシーンでの告白にはヤキモキさせられたところまでよかった。
最後の展開がしっかり陰陽師、退魔関係になったのも面白かった。時代の変わり目だからまだまだ色々ありそうな描写があるけれど、陽太やミアや良夜はそれぞれの場所でしっかり幸せになろうと生きて戦っていけると思えました。
本当に楽しかった! ありがとうございました。
海軍兵学校の落ちこぼれ・鬼邑陽太は、合州国公使モーガンの娘ミア(実は女装した東宮?)や陸軍士官学校一の秀才で陰陽道宗家後継ぎの土御門良夜と共に、弥和に巣食う〈まつろわぬ神〉を調査することになり……?
和風エクソシズム&トライアングル・ロマンス開幕(帯より)
明治時代を思わせる世界の和風ファンタジー。
赤い髪を疎まれている双子の皇族、そのうちの名前なき姫宮を思わせる「女装姿の東宮」と引き合わされたのは、海軍兵学校の「落ちこぼれ」と陸軍士官学校の「神童」。この三者と中心に、帝室にかけられた呪いを解く物語。
三角関係かーと思いながらどろどろするかと心配して読みましたが、杞憂でしたね! 陽太が気持ち良すぎる青年で、彼の葛藤や気持ちの切り替えが楽しいししんみりもさせられてすごくよかった。ミアの正体をこういう風に読者に納得させるの面白いな。最後に陽太がめちゃくちゃチートだとわかるのも楽しかった。
これ結局呪いを解いたら二人は別れちゃうよね……と思いながら、急いで下巻を読む。
魔法がうまく使えず引きこもっていた王女ミルレオは、男になる呪いをかけられ、西方守護軍で少年魔女(!?)として修行することに。しかも自力で呪いが解けなきゃ即結婚! ところが西方に、王女が来たとの知らせが――って、ありえない! ミルレオは“女装”して、守護伯ガウェインと己の名を騙る偽王女の正体を暴きに行くが……「お前、女か!?」「きぃあああ!!」 落ちこぼれ魔女が世界を変える、最強ラブコメファンタジー!!(Amazonより)
「私の世界」を愛して守るファンタジー、後半の展開がものすごくて好き!!!!!! となりました。
内容紹介から想像するお話から五割増しくらいシリアスです。コメディ部分もありますが、このラブコメの部分がものすごく大事なシリアスシーンを引き立てていてすごくよかった。はー……久しぶりにこういうファンタジーを読んだ気がする。感動した。
偉大な魔女である母女王にそっくりな娘であるミルレオは、王族の重責と数多の期待を背負い、背負いすぎて心折れてしまった王女。荒療治として男になる呪いをかけられると魔女のいない西方の地へ送られ、魔女としての働きを期待される。正体を知らない西方守護伯ガウェインとむくつけき男たちに囲まれる、賑やかで騒々しい毎日。けれどいつも心には「役立たず」「出来損ない」という呪いの声が充満している。
そんな傷付いた少女が、友情や恋を育んで、世界を愛し、自分を愛し、王女としての覚悟を持って民のために血を流して戦う。後半の戦争シーン、誰が想像した!? 魔女として王女として、王族として立派に戦う姿に心打たれました。
同一のパートで急に視点人物が変わるのが読みにくくはあるんですが、守野さんらしい、物語の登場人物に没入する文章や勢いがまたよくってなあ……。
ガウェインの気持ちが変化して、ミルの正体はともかくちゃんと愛を伝えて行動するところもすごくよかった。物語の途中で両思いになるの楽しすぎる。
大衆新聞紙の記者ユリアは、しつこくて頑固で書く記事は妄想仕立て。ひょんなことからオスカーの醜聞ネタ(捏造!)を掴んだユリアは、記事を載せないかわりに、アデルに高級紳士クラブで行われている秘密の会合に潜入取材をしろと言い出して!? また後日、アデルの養育院時代の親友が掏摸で捕まり、身元引受人としてアデルの名前を出して……? 甘くとろけるコメラブシリーズ、最終巻!
これでも手加減しているのです、私は紳士だから。(裏表紙より)
あしながおじさん風の出会いから始まった、孤児の少女と大貴族の若様の物語の最終巻。純粋で真っ直ぐな少女が夢を叶える始まりから、すっかり小説のネタになりそうな事件に関わってしまう事件ものになっていて、振り回されるオスカーがだいぶ可哀想で笑ってしまった。最後だいぶと影が薄かったですね?笑
アデルがアデルらしいのが事件を解決へと導き、誰かを救うのですが、でも原稿が燃えたことはもっと怒ってもよかったと思う! 本当にそう思う!
ミリアムがとても可愛らしかったので、時代が変わる頃に年頃の少女になった彼女の恋物語が読めたらなあ、なんて思いながら、楽しく読み終わりました。
小説の続編を構想中の少女アデル。恋人のオスカーは、公爵家の嫡男という身分なのに、ネタ探しに燃えるアデルには振り回されっぱなし。そんな頃、王都に《黒薔薇》と名乗る美術品泥棒が出没しはじめ、アデルは興味津々。同時にアデルは、クライヴという美青年と知り合うことに。彼はリュミエラ・ローズという筆名で活躍する、人気恋愛小説家で……!? 新釈「あしながおじさん」、待望の続編!
俺のアデルに、勝手にチョコレートを与えるな!!(裏表紙より)
中編連作ですが、一冊丸々、黒薔薇関係。王室周りの話をこんな風に出すのかーと楽しく読みました。
クライヴとシヴィルがアデルとオスカーの仲を妙に引っ掻き回すのが気になったんですが、ちゃんと理由づけがされていて、説明もあってよかった。その分、二人の境遇と気持ちは可哀想なところがたくさんあって切ないので、これから幸せに、楽しい日々を送ってほしい。
身分差の恋として進展が気になっていたリンディアとユーディの恋も最後に成就しそうでよかった! 時代設定を活かした成り上がりがいい。次の巻で二人が結婚してくれたらいいなあ。
公爵家の嫡男オスカーは、金と身分が目当ての女達に絶望していた。そんな折、友人のユーディに唆され、小説家志望の少女アデルを匿名で支援するという賭けに乗ってしまった。欲しい物をすべて与えて、アデルが堕落すればオスカーの勝ち。甘えずに夢を叶えたらユーディの勝ち。ところが、贈り物攻撃にまったく興味を示さないアデルに、オスカーは戸惑いながらも興味をひかれてしまい……?
賭けをしないか? 彼女が堕落するか、夢を掴むか——(裏表紙より)
あしながおじさんをモチーフにした、孤児と公爵令息のラブコメディ。
お金と身分目当ての女性たちに辟易していたオスカーが、何も持たないがゆえに空想を友達に、前向きに、一生懸命に生きるアデルに出会い、二人がお互いに持っていないものを少しずつ見つけていく。とっても可愛いお話!
オスカーのキャラがぶれるのが若干面白いんですが笑 アデルの前向きさや強さが存分に見られて楽しい。お嬢様に意地悪をされてもそれが一番波風が立たないと虐げられる状況に甘んじながら、周りの配慮や親切にちゃんと気付けるところがすごくいい。公爵令息の恋人と発表されて、うるさく言われても、それが自分と彼との違いだと認識して受け止めて、自分らしくいられるところ、強くて可愛くて素敵です。
アデルの素性がわかるとは思わずびっくりしましたが、少しは障害が低くなったのかな。続きが楽しみ。
不景気な1930年代のアメリカ、孤児のアニーは仲間たちと明日がよくなることを夢見て暮らす賢くも口達者な少女。だがある日億万長者のウォーバックスのイメージアップ戦略のため、一時的に彼のところで暮らすこととなる。愛犬のサンディとともに前向きに懸命に生きるアニーの言動は、使用人たちやウォーバックスを変えていき……。
82年の作品。最新のものは見ましたが、これが一番いまも舞台等で演じられているものに近いのかな?
こまっしゃくれたアニーが自分なりの価値観と前向きさで、たくさんの人を巻き込みながらみんなで幸せになる。王道だけれどそれがいい。親探しからの流れ、定番だけどそれがいいんだよ……。ラストシーンの花火が如何にも贅沢で、その光景の幸福さに思わず笑顔になりました。
1988年、イラン・イラク戦争中のテヘラン。シデーは医者を目指して大学で学んでいた過去があり、母親となったいまも復学を望んでいた。だが学生時代の左派の運動に参加していたせいで道を断たれ、医師である夫は前線に派遣されることとなり、疎開を勧められるも夫の実家を忌避して娘のドルサとともに残ることになる。空襲など危険な状況下、シデーとドルサの不安と恐怖を煽るような不可思議な出来事が起き始め……。
時代と戦争が絡むホラー。「抑圧」という言葉がよぎる。やはり時代が変わり、人の心が疑心暗鬼にとらわれるとよくないものが現れるということか。
宗教と迷信とジェンダーの問題が絡み、シデーは夢を絶たれ、夫と断絶し、自身も不安ながら幼い娘ドルサを必死に守ろうとする。守ると言っても、自由な状況でなければこんなにも困難なのかと思わせる息苦しさ。恐怖というより、ただただ不安で怖い。戦争という死の恐怖もすぐ近くに迫っているわけで。
結局それから逃れられなさそうだという結末は、この恐怖を生み出すジンなるものの理由が、人の心に起因するからなのかな。なるほどなあと思って見ました。