読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

社畜生活に疲れ果て、会社を休職中の亜紀。そんな彼女の元に祖母が倒れたとの一報が入る。急ぎ見舞うと、祖母から「店を守ってくれ」と頼まれてしまう。ひとまず千駄木にある店の様子を見に行くことに。すると店の前に見知らぬ美男子が行き倒れていた! その上「何も食べていにゃいから食事を二人分作ってくれ」とお願いされ……いや、お願いしてきたのは、男の側から現れた、立派な口髭を蓄えた黒猫で!?
文豪が愛したごはんを通し、悩みを抱えた人々の心を癒やしていく、ほっこりおいしい人情物語!(Amazonより)
社畜の主人公(ヒロイン)と社畜のイケメン(ヒーロー)と自由気ままな自称夏目漱石の猫。タイトルから想像する、すんなり飲食店を始めてどうこう、という内容ではなく、疲れ果てた主人公が安定を捨てて飲食店を始めるかどうかを考えながら、ヒーロー含む周りの人たちを助けたいという思いで、手探りで自分の心のありかを辿る内容で、休暇感というか非日常感が読んでいてなんだかいいなと思いました。
しかしどっちも社畜か新しいなーと思いました笑 まあありえますよね。この現代社会で社畜でない社会人の方が珍しいんじゃないかと思う闇。
寒月が可愛らしくて読んでいて微笑ましかった。早くいい感じになっちゃえよー!
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あれから七年。小玉が養育する令月は七歳になった。紆余曲折はあったものの小玉は皇后となり、文林と穏やかに年を重ね、円熟した夫婦関係を築いていた。その反面、激務の重なる文林には確実に老いの陰が迫っていた。
そして迎える文林の死――
世代はめぐり、すべては然るべき姿へと変わっていく。
「母后陛下。あなたはもとより、自分勝手な方ではありませんか」
女たちが選ぶ道はどこに続いていたのか。後宮大河物語、堂々完結!(裏表紙より)
巻を分けないで一冊で出してよ! 巻数が進むにつれてページ数が少なくなっていましたが最終巻もそうでした。前の巻と一冊で出してほしかったなあ。
規格外の皇后の物語の終わり。小玉の反省会という感じで彼女自身を含めていろんな人が、それも身近な人が評価を下しているのが面白かった。
かつての政敵や命を存えた人々が最後になっても深く関わってくることがないのもリアル。だから最後に小玉が会った人と交わした言葉が「残照」の章で「うわあー!」という勢いで迫ってきた。なんだかんだ返り咲いたんだなあの血筋……という。このまま続くか滅ぶかは別にして。
あとがきにはもう少しだけ続くとあるので、紅霞宮が本当の終わりを迎えるのかまた別の話になるのか気になります。

凰朔国一の豪商鴻家の令嬢・蓮華には秘密がある。それは日本という国の大阪で生まれ大阪で育ち大阪で死んだアラサー女子、という前世の記憶があること。蓮華は前世の知恵で商売に成功し、娘の手腕を見込んだ父親によって後宮に送り込まれる。成り上がりの娘と蔑まれたり、うっかり大阪弁が出てしまったりしながらも、後宮で過ごしていたある日、蓮華の前に一人の男が現れる。不遜な態度の彼は、まさかの皇帝! 困惑する蓮華に、皇帝・天明はある計画を告げるが——。
コテコテ大阪女子な蓮華が、たこ焼きで周囲の心を掴みつつ力業で後宮を変えていく!?(裏表紙より)
これ関西出身の人ちゃんとわかる?? と思う大阪ネタが散りばめられた、コテコテ大阪人のアラサー女子が中華風異世界に転生して後宮妃になる物語。
どろどろな後宮や関係者を、大阪人独特のパワーで巻き込んで振り回して、みんな楽しく生きようと励ますようなお話で、読んでいて楽しくてものすごく元気が出た笑
大阪の人間としての諸々はちょっと古かったり誇張されていたりするんですが、根っこにあるのは「お節介」「行きすぎた親切心」「知り合いは友達」みたいな近すぎる距離感で、相手の言葉の裏を読んだり家柄だったりが重んじられる世界では、蓮華の行動は意味不明で、だからこそ疲弊した皇帝や皇太后、御令嬢方に効くんだろうなあ。
最後の最後に殺されそうになった件、蓮華と犯人(と思しき人)がどんな顔でやり取りするか気になるから続きも読みたい。

獣人の国の獅子王と政略結婚をすることになった王女に仕えるメイド、ソニア。彼女にはある密命があった。それは獅子王の暗殺! 主のため、悲壮な決意を胸に獣人の国に向かったソニアを待っていたのは、野蛮な獣ではなく、優しい獣人達だった。王の片腕である黒豹の騎士クレインと親しくなり、ソニアの決意は次第に揺らいでいく。そんなある日、訪ねてきたクレインが人の姿に変化して…。え? 獣人ってお腹が空くと人の姿に変わるんですか? メイドと獣人騎士との人外ラブ!!(裏表紙より)
かっっっっっっっっっっわいすぎか!!!?!?!? と悶え打ったメイドと獣人騎士の恋愛ファンタジー。設定が巧みすぎてきゅんきゅんしたしめちゃくちゃ楽しかった!
顔に傷を負ったため不遇の扱いを受けている心優しい王女は、父王の命令で下賤とされている獣人国の王に嫁ぐ、普通ならこれが主役なんでしょうが、主人公は王女に仕える孤児だったメイドのソニア。王女様を絶対お守りする! という強い使命感を残酷な王に利用され、王女が嫁ぐ獣人国の王を暗殺しろと命じられるという。
この時点で、ああ王女様は幸せになるし王様はちゃんとやり返してくれるのね、とわかる安心感。
オルデネア王国の日々は新鮮で、獣人たちの描写がめちゃくちゃ好み! 換毛期や冬眠があるとか、仕事のやり方、彼らの身体や個性のこと、読んでいてすごくわくわくしたし、ソニアが生き生きしているのが伝わってきて嬉しかった。
母王妃のことは別にいらなかったかもと思うくらい、王はちゃんと懲らしめられたし、嫁ぎ先でコーネリアはエドガルド王と想いを通じ合わせたし、ソニアは愛する人を見つけて、ルイはトラウマを克服しつつあって、とハッピーエンドにも大満足。
色気たっぷりのエドガルド王も素敵でしたが、不器用で実直な騎士のクレインもヒーローの魅力があって、一冊で二人のヒーローを楽しめるお得感も最高。
めちゃくちゃ楽しかったです。ときめきました!

四年前、生まれたばかりの赤ん坊が誘拐された。その子の父親と不倫をしていた野々宮希和子は堕胎をきっかけに不妊となり、彼の妻から詰られたことで衝動的に子どもを誘拐してしまったのだ。実の母と娘のように逃亡する四年間。しかしある出来事をきっかけに希和子は逮捕、薫と呼ばれていた子どもは元の秋山恵理菜に戻るが、一度壊れた家族は元には戻らなかった。そして21歳になった恵理菜は不倫相手の子どもを妊娠していて……。
原作は未読ながら、映画の力強さが印象的でずっとちゃんと見ようと思っていた作品。
因果は巡るというか、母と娘の連鎖が痛いくらいに彼女たちを縛り付けていることが感じられてひりひりしました。誰も悪くないわけではないんだけれど、千草の台詞が象徴するように男性の不在が著しい。登場する男性は彼女たちの人生を狂わせて、不都合が発生すると存在しなかったかのように空気になる。そうしているのは彼女たち自身なのだということも見ていて苦しかった。
調べてみると映画では省かれている設定や話が原作にはたくさんあるんですね。すごく読みたい。テレビ放送時の映画を見ていてすごく気になっていた恵理菜と千草の交流を読みたいし、希和子は最後まで登場しないのかとか。

大学進学を控えた遙は真琴とともに部屋を探しに東京へ……「運命のチョイス!」。卒業する凛と宗介にサプライズを計画する愛一郎と百太郎が贈ったものは?「秘湯のクーリングダウン!」。新級を前に新入部員獲得の作戦を練る渚、怜、江は助っ人を頼んで……「結束のバタフライ!」。海外留学する凛のため、サプライズパーティを企画する仲間たち「旅立ちのエターナルブルー!」。四つの短編作。
高校卒業と大学の間、第三期の前のお話たち。短いながらも「Free!」の楽しげかつ真面目で、友達思いの彼らがしっかり描かれていて楽しかった。
EDの謎コスプレの理由がちゃんと描かれた「結束のバタフライ!」。EDだから別物として顔のいい若者たちを楽しんで見ていたんですが、こういう理由付け大好きですね!笑
岩鳶メンバーが主体になる本編ですが、鮫柄メンバーが楽しそうだった「秘湯のクーリングダウン!」も楽しかったなあ。凛と宗介はこういう一生懸命な後輩たちをすごく微笑ましく思っているんだろうし、大事にしてやりたいなと思ってるんじゃないかな。なんか……よかったねえ……!(第一期第二期のツンツン具合を思い出しながら)

大学に進学しそれぞれの形で水泳に関わる遙と真琴。遥は進学先で中学時代の友人の旭と再会し、かつてリレーを泳いだ仲間の郁弥も水泳を続けていると知る。一方、岩鳶高校の三年生に進級した渚と怜は新入部員を迎えていた。
高校水泳部の絆はそのまま、今度は中学時代の仲間との絆を結び直す第三期。新しい登場人物がみんなこじらせていて笑っちゃう。先輩、大先輩までライバルだのなんだのといちゃいちゃしている(語弊)の楽しいな!
第一期ではだいぶツンツンイライラしていた凛が、ここだとすっかり面倒見のいいお兄ちゃん先輩になっているのが、すごくときめきで。愛くんもだいぶ頼もしくなっているのが見ていて嬉しくて、成長っていいなあとしみじみしました。

魔国連邦に娯楽がないと気付いたリムルはみんなが楽しめるものを、と考え相撲大会開催を提案する「HEY!尻!」。ふわふわのスライムボディを模したクッションを作りたいと考えたリムルは、材料を調達がてらみんなでピクニックへ行くが魔物に襲われる「Mの悲劇?」。教師としてシズの教え子たちと野外訓練に参加するリムルだが、思わぬ事件に見舞われる「リムルの華麗な教師生活」。アニメシリーズの外伝集。
最近はちょっと色々ばたばたしているリムルたちですが、これは完全に平和なOAD。相撲大会をやったり、ピクニックに行って魔物を助けて仲良くなったり、教師として子どもたちの成長を見届けたり。そして相変わらずチートである。
リムルが能力や知恵や人脈と駆使して、異世界の権力者たちと渡り合ったり戦って勝利する展開も好きなんですが、こういうのんびりしたエピソードもいいよなあ。長編シリーズの醍醐味感。はらはらどきどきも、のんびりほんわかも楽しめる。

伝説の《黄金瞳》を持つ少女リタは人買いに捕まり闇市で競売にかけられてしまう。過去のトラウマで声を失い絶望するリタを競り落としたのはマフィアのボス、アルバートだった。「きみは僕の花嫁になってもらう」甘い囁きに従うリタだったが、彼が笑顔で人に銃を向ける冷酷な一面を知ってしまう! 危険なマフィアに迎えられたリタの運命は――!?(Amazonより)
黄金の瞳を持つために競売にかけられた天涯孤独の少女が、花嫁を買ったマフィアの若きボスと少しずつ心を通わせて家族を得るまでのお話。
声が出ないという設定の描写って難しいと思うんですが、話せないゆえにすごく頭の回転が早い子で、それを伝えるタイムラグ的な違和感もなくするする読めたのがすごい。
声は戻らなかったし、黄金瞳の謎は謎のまま、リタはリタのままで何一つ変わらないのがちょっと残念かも。もうちょっと何か、ファンタジーを求める気持ち的に何かほしかった。
しかしデレた後のアルバートの不器用な可愛げな! 早くべたべたに甘やかしちゃえよ……とにやにやしました。
どうでもいいですがお医者さんと瞳の組み合わせ知ってる! これ(以下略)となりました。どこにでも転がっている設定を上手く組み合わせるってこういうことか。勉強になります。

あの結婚式から二年経ち、ついに亜潟家でお正月を過ごすまもり。旅支度のためにひっぱり出したトランクをきっかけに、葉二と二人、シンガポールへの新婚旅行を思い出していた。
そうそう、懐かしいですね葉二さん。ーーって、懐かしくても、鶏丸ごと一羽の海南ライスを作ったら食べきれないですよ!?
食卓を囲んで、悩みも喜びにも向き合ってきた亜潟家の数年後。親友の湊、弟ユウキの恋模様など、気になる彼らの選択も描かれた書き下ろし4編と、書籍初収録となるショートショート13点を収録。(裏表紙より)
本編後の幸せな番外編集。最終巻でちょっとだけ話に出ていた新婚旅行を交えた食べ物の話と、義実家へ帰省した二人と小さな恋の物語、湊と周のだらだら付き合っちゃうカップルのあるあるな話、進学先で一人暮らしをしているユウキと葉二の二人飲みの話と、特典のショートショートまとめ。盛り沢山!
小さい子が絡む話は楽しいなあ! 慣れちゃっているけれど亜潟家の皆さんは本当に顔が良いのね笑
結婚後の番外編だからおめでたい話もあるんじゃないかなあと思ったら! 本人の視点なのではっきり書いてないけれど、めっちゃくちゃ嬉しかったんだろうなあと思うと微笑ましかった。
最後まで美味しく幸せな物語でした。ありがとうございました!