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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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三田村慎平は転職先の児童養護施設で働き始めて早々、壁にぶつかる。生活態度も成績も良好、職員との関係もいい“問題のない子供”として知られる16歳の谷村奏子が、なぜか慎平にだけ心を固く閉ざしてしまったのだ。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日がやってくる。先輩職員らに囲まれて成長する日々を優しい目線で描くドラマティック長篇。(hontoより)

テレビ番組の影響で児童養護施設の職員となった元営業職の三田村。深刻な状況から保護されたり、親に育児の能力がなかったりと、いろいろな事情の子どもたちが共同生活を送る施設には当事者しか知り得ない状況や思いがある。もちろんそれは職員にも。
こうやって「こういうことがある」ということを知る人が少しでも増えたら、社会はほんの少しずつよくなるかもしれない、と感じられる話だった。執筆のきっかけも有川さんの読者である養護施設で暮らす子が手紙を出したというのもすごくわかる内容。私はこういう状況を全然知らないでここまできたんだなあ……と反省じゃないけれど、ちょっと落ち込んで、気持ちを引き締めました。
タイトルは「明日の子供たち」ですが、大人たちそれぞれにもぐっと引き込まれて、三田村、和泉、猪俣のそれぞれが少しだけ報われる展開に涙がこみ上げてしまった。人と人がぶつからざるを得ない仕事はしんどいけれど、こういう世界であってほしいと心から思う。
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「四人ゲーム」。まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、肩を順番に叩きながら部屋をぐるぐる回るゲームだ。とうぜん四人では成立しないはずのゲームを始めたところ、忽然と五人目が出現した! でもみんな最初からいたとしか思えない顔ぶればかり。――行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められたのだが、後継ぎの資格をもつ者の食事にのみ毒が入れられる事件や、さまざまな怪異が続出。謎を解くべく急遽、少年探偵団が結成された。もちろんメンバーの中には座敷童子も紛れこんでいるのだが…。(外箱より)

刊行当時読んだ覚えがあるけれど、記録をつける前だったはず。
家の後継者問題で資格のある家族が集められたある日、子どもたちがいつの間にか一人増えていた。座敷童ならぬ「お蔵様」のはずだが、いったい誰なのか、子どもたちも大人たちもわからない。そのうち後継の資格を持つ人間の食事に毒が入れられるという事件が起きる。
呪われているという家を誰が継ぐのか、大人たちの話し合いは絶対に駆け引きだらけでどろどろしていると思うのですが、子どもたちの話なのでそうした嫌な部分は少なく、誰が「お蔵様」なのか、誰が毒を入れたり人を傷つけようとしているのか、という謎解きがメイン。
最終的に、自宅とは別の、広い親戚の家で、たまにしか会わないだろう親族の大人や子どもたちと非日常を過ごす楽しさと物寂しさに落ち着くという、ノスタルジーが感じられる一冊でとてもよかった。
また書籍デザインがよくってなあ。子どもの頃の夏休みに本を読み耽っている気分になりました。
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「犬をかいたい」幼い頃の夢を30代で叶えてから十数年。子犬の育児に悪戦苦闘。湘南への移住と犬との暮らしで変わった人生。犬が教えてくれたこと。幸せな別れと次への一歩……。覚悟さえあれば手に入る“イヌ充ライフ”をユーモアたっぷりに描いた「独身・家持ち・40代」少女漫画家の赤裸々エッセイ。<文庫書下ろし>(Amazonより)

漫画家で少女小説家の折原みとさんが、幼少期のペット遍歴から、いつか犬を飼おうと決めて、実際に飼うことになったり、住む場所を変えたりしたという犬と私についての記録。
子どもの頃の生き物に対する知識と行動、ええ……? そんなことする……? みたいなこともしていてだいぶびっくりする。生き物に対して大胆過ぎないか。
図太くて元気いっぱいのリキと暮らして、暮らしの全部が犬を中心に回り始めるのは大変だけど楽しそう。生活範囲がまったく変わるんだなあ。そうやっていろいろ見えるものや気付けるものも増えるのが暮らしの面白いところ。
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君の役に立ちたい。好きな人の役に立ちたいんだ――。入院した店主・道信に代わり、休業中の店舗で子ども食堂を続ける隆二の前に現れたのは、家出中と宣う大企業の跡取り息子の春川。その妙な迫力に押し切られ、中卒の隆二と御曹司の同居が始まってしまう。子ども食堂を手伝わせてみたり、お取り寄せの相伴にあずかったり、誰かが身近にいる安心感を知らず覚え始める隆二。しかし隆二は春川にも言えない事情を抱え、心を抑え込んでいて…。(裏表紙より)

ネグレクトを受け、中学卒業後に働くようになり、ブラック企業で搾取され、逃げ出して……という隆二。子ども食堂を続けるためがむしゃらに働く隆二のもとに、大企業の跡取り息子である春川が家出をしたので助けてほしいと言ってくる。
生まれ育った環境がまったく違う二人、悩みも全然違って、だから寄り添っていけるのだとしみじみ感じられたお話。同時に貧困家庭の問題や行政を頼ることや支援の存在を知らない社会問題、子ども食堂にやってくる子どもたちにどこまで関わっていいのかという問題もちらちらと描かれている。こういうことがあるんだよ、と知れることが大事なんだよなあと読みながら考えていました。読書のいいところってこういうところだ。
二人の恋の進展はもだもだじれじれで、隆二の環境が過酷すぎたので、途中本当に幸せになってくれーと叫んでいました。幸せになってくれそうで本当に嬉しかった。よかった。
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伯爵令嬢フェリアは、悪逆非道の“悪役令嬢”だと事実無根の噂を立てられた上、それを信じ切った婚約者に婚約破棄を突きつけられてしまう。そんな彼女が紹介された新たな結婚相手は、“熱血騎士”と有名な騎士隊長ヴィル。「フェリアはオレの! 最高の妻です! 決して悪役令嬢などではありません!」何事にも全力で予想外の行動続きな彼に、ときめきが止まらないフェリア。夫婦として距離を縮めていくさなか、元婚約者が不審な動きを見せ始め——!?(裏表紙より)

声がでかい、身体がでかい、あんまり空気が読めない、女性との接し方が下手、とご令嬢方の結婚相手として望まれてこなかった熱血騎士のヴィル、そんな彼に助けられてしまったことで恋をしてしまったフェリア。フェリアは昨今流行の小説があまりにも現実に近しいことを書いてあるせいで、作品に登場する「悪役令嬢」のモデルで同じことをしているのだと思い込まれていた。
だいぶフェリアがかわいそう……小説のモデルっぽいから悪役令嬢と同じことをしているんだと思う周りの人間の浅はかさよ。でも作品を書かない人だとこういう感じの思考になる人も多いんだろうなあ。そんなわけで元婚約者を含め、考えや言動に問題のある人ばかりに囲まれているヒロインとヒーローです。
ヴィルの熱血騎士ぶりが不器用すぎて笑ってしまう。初夜のあれはどうなのかと思いながら、ヴィルらしくて笑っちゃった。置き去りにされたフェリアは複雑だっただろうけど、ヴィルの一生懸命さが伝わったエピソードだと思います。
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英国留学中のリセは、十九世紀に建てられた「ブラックローズハウス」でのパーティーに招かれる。一族に伝わる「聖杯」が披露されるという。近隣で起きていた切断遺体遺棄事件の噂が囁かれる中、邸内で第二の切断遺体が見つかり、館の主人には脅迫状が届く。呪われた一族の謎に、禍々しく美しい少女が挑む!(裏表紙より)

『麦の海に沈む果実』から理瀬に魅せられ、この「薔薇」の連載が始まったときはいつ一冊の本として読めるのかと思っていましたが、やっとか、やっとか!! と思いながら楽しく読みました。
一族の集められた館に、偶然客人として招かれていた理瀬。物語はこの館ブラックローズハウスの一族、当主の長男アーサーから語られる。
いくつかの事件が起こるものの積極的な謎解きをしないのがちょっと残念。結局怪盗めいたことをして終わってしまったし……。まあ目立っちゃだめだもんね。いやでもせっかくのシチュエーションだからもっとギスギスしてほしかったな!! 何なら理瀬には命を狙われてほしかった!
そう思ってしまうのは理瀬が完璧に「謎めいた美しい女」に変貌していたからだろうな。アーサーがとにかく理瀬を警戒しながら惹かれてやまないような描写をするから。彼女の活躍がもっと見たくなってしまったので、新作を期待して待っています。
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ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの〝寂しい〟だか〝楽しい〟だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。(Amazonより)

単行本は2017年刊行。いとうあさこさんが仕事の合間に書いている日記みたいな読み心地で面白かった。
びっしょびしょになりながら踊ったり、オアシズ大久保さんのご家族の旅行に混ざったり、好きなアーティストのライブに一曲目から泣いたり、わかるわかる! じゃないけれど「ああわかるなあ」という距離感がいい。いとうさんが好きなものや人を大事にしているのも文章から感じられてよかった。
こうやって人が楽しそうにしていることがわかる文章が好きなんだな、私は。
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本書では、王族から庶民までが着用した様々な韓服を、豊富なイラストで解説しています。韓服の種類や名称、構造から着方、時代による変化、また、髪型や装身具などが詳しくわかる、韓服のすべてがぎゅっと詰まった一冊です。(カバー折り返しより)

ドラマなどに登場するきらきらしい韓服、あまりよく知らないなあと思って勉強のために読みました。
色合わせにも階級が反映されていたり、着方で時代や派閥がわかったり、伝統衣装とはいえ時代でちょっとずつ変わっていたり、とても興味深かったです。
個人的には「どうなっているんだろう……」と思っていた髪型。やっぱり髷で、重いのは想像通りだったんですが、まさか重みで気を失ったり首の骨を折ったりしていたとは……。しかも高額で資産を食い潰すから禁止令が出たこともあったとさらっと書かれていて、おしゃれというか体面を保つのは大変だな……と思いました。
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ある事情により婚期を逃し、実家の左大臣家に居座っている藤原伊子。だが突然、入内を命じられる。自分の半分の年齢である、帝との結婚なんて…と、断るために出かけた先で、伊子が再会したのは十年前に別れた恋人、嵩那だった。彼との微妙な距離をとりつつ尚侍として後宮に入ることになってしまった伊子に、謎の人物から脅迫文が届き…!? 平安後宮お仕事ミステリー。
いきおくれ女子・伊子が後宮の事件を次々に解決!?(裏表紙より)

かつていきおくれと言われていた平安女子がいましたが、それを上回るいきおくれ年齢の伊子が主人公。左大臣家の姫として、女主人として家を取り仕切り、それなりに世間にすれた彼女が、過去の恋人やら力関係の微妙な後宮をしたたかに渡って行く。
「おばさん」と言われることがもしかしたらいまよりもめちゃくちゃ腹が立つような時代なので、侮辱として登場するのがなんともおかしい。こうした作品を読む読者は多分、歳をとるってそう悪いことでもないんだよなーという時代と世代の人間じゃないのかなと思うので。少なくとも私はそうだ。
面白いのが、この時代ならではの恋愛と、それに絡めた登場人物。元彼と協力して捜査するってだいぶ複雑だと思うんですが、互いに歳をとってわかることもある描写が味わい深い。
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ソルヴェール国で豊穣を祈るミモザ祭りを開催。準備に追われる未来の女王レティーツィアの元には、各国の貴賓が集い、彼女の騎士達も大忙しだ。一方、没落貴族のメルディは、レティの元婚約者が謎の死を遂げた過去の事件を調べ直していた。しかしその最中命を狙われ、瀕死の重傷を負ってしまう! メルディが命懸けで辿り着いた真相——それを知ったとき、レティは……!?(裏表紙より)

ナイツオブラウンドにメルディが軍師として加わるまでの話と見るなら、前巻の「二人の軍師」と合わせて読むべし、なシリーズ第11巻です。
登場人物がめちゃくちゃ多くなっているんですが、レティが常にそれを采配している展開はお見事。大きく事件は動いていないのにとにかく仕事をしまくっているだけで読ませるのは、女王となるレティーツィアの魅力でしょうか。
なので改めて、他の騎士たちがレティの仕事を割り振られてもしっかりこなしている(特に机仕事関係)はおおっと思いました。ちょっとずつ頼り頼られることに慣れてきたらいいなあ。
前巻で、軍師は非常な決断が下せるかどうか、という話がありましたが、最後の最後に決断して、涙を流しながらそれを背負うと決めたメルディにはぐっときました。
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Author:月子
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