読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

ついに運命の再会を果たしたシンとレーナ。どことなくいい雰囲気を醸し出す二人に、フレデリカとクレナは戦慄し、そして気を揉むライデンらの苦労は留まることを知らない。
しかしそんな束の間の休息を破り、レーナを作戦司令とする新部隊に初任務が下った。共和国85区内北部、旧地下鉄ターミナル。地下深くに築かれたレギオンの拠点が、その口をあけて彼らを待つ。
そこに見えるのは闇。
レギオンの、共和国の、そして彼の国が虐げた者たちの、闇。
シンとレーナ——二人が出会った後、初めての共闘を描く『Ep.4』!
“地の底からの呼び声が、
彼らに新たな試練を告げる。”(カバーより)
連邦と共和国の共闘が始まる。
指揮官として着任したレーナとその部下となったシンたち、再会後のぎこちなさにもだもだ。作戦のプレッシャーが息苦しく、明らかになったレギオンたちの挙動の一部が重くもあり、この巻の後半がしんどすぎたから次の巻のじれもだ期待!
この世界の歪さ、それをそれとして受け入れて何を変えようとも思わなくなったシンと、そうであってほしくないと思うレーナのすれ違いが苦しいな……。どっちの言うこともわかるけれど、世界はそんなに甘くはないし、けれど世界がそういうものだと思いながら戦ってほしくないし……。
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十三歳の誕生日、赤奏国の皇帝に後宮入りを願い出た莉杏。
ところが謁見の間にいたのは、《正規の手段》で帝位を簒奪し、新たな皇帝となった暁月だった!
莉杏は「ちょうどいい」と皇后にされるが、一緒に寝始めても湯たんぽ代わりのまるで子供扱い。
それでも莉杏が眠れるようにと、暁月は毎夜問題を出してくれて!?
夜毎に夫婦の絆が深まる恋物語!(Amazonより)
後宮入りするために育てられた莉杏。現皇帝の妃の一人になるはずが、政変により新皇帝となった暁月の皇后となる。立場も年齢もそこにいたということからも「ちょうどいい」だけの皇后になった莉杏だが、実直ながら上手く世渡りをしてきた祖父と賢明な祖母の教えを受けて非常に素直、聡明さの片鱗を見せる彼女の魅力に、暁月も周囲もやがて気付き、という、少女の花開く未来を期待してしまうシリーズ第1巻。
莉杏も暁月も周りもみんなちょっとずつ普通じゃなくて、それが人間らしいすれ違いを生むという面白さ。帝位簒奪をしたならみんな万能なんじゃないかと思ったらそんなことはないというのがいい。それを莉杏の子どもらしく素直な視線で見る楽しさと切なさがありました。

第六軍将軍である下級貴族のレオは、史上最悪の暴君と名高い王の命令で妻を迎えることになる。
花嫁のリーフェは没落王朝の血を引き、化け物のように醜いらしく、いろいろ良くない噂がある人物。
ところが、結婚当日に顔を合わせた彼女は儚げな美貌の女性で、家の束縛から解放されたことを喜ぶ可愛らしい人だった。
望まず夫婦になった二人は次第に心を通わせていくが――。
末端将軍といわくつき花嫁の政略結婚ラブファンタジー。(裏表紙より)
暴君の治世下で下級貴族ながら将軍になったレオ。他の軍から仕事を押しつけられ見下される第六軍は曲者揃いだがなんとかうまくやっていた……が、続く王の命令は前王朝の血を引く花嫁を迎えろというもの。王命に逆らうことができずに迎えた花嫁は噂に反して美しく、食べ物や服、この世界の様々な自由を味わうことを喜ぶ不思議な少女だった。
とても可愛らしいラブロマンス。苦労人の将軍と自由を知る花嫁という、幸せにならないと許さないぞという二人。
もういちいちリーフェが可愛い。ごはんに目を輝かせたり、毎日帰ってきたレオに今日あった出来事を話したくてうずうずしていたり、楽しい! って気持ちが見えるようでにこにこしてしまう。
ヴィムお兄様がとってもいい性格をしていて好き。アルデルトのエピソードはやっぱりねという王道ですが、きたきたきたー! と大いに盛り上がりました。
しかし番外編のアルデルトの似顔絵のエピソードは笑った。可愛い。幸せになってほしい。
ほっこりと温かい気持ちになれる作品でした。楽しかったです。

高校時代の初恋の相手・小夜子のルームメイトが、突然自宅に訪ねてきた。
音信不通になった小夜子を一緒に探して欲しいと言われ、倉坂尚人は彼女の故郷、北海道・稲守村に向かう。
しかし彼女はとある儀式の巫女に選ばれすぐには会えないと言う。
しばらく村に滞在することになった尚人達は、神社を徘徊する異様な人影と遭遇。
更に人間業とは思えぬほど破壊された死体が次々と発見され……。
大どんでん返しの最恐ホラー、誕生!(Amazonより)
過去に別れた恋人のルームメイトから、彼女が帰ってこない、行き先はわかっているから一緒に探してほしいと言われた尚人。まだ彼女への気持ちのある尚人は、じきに大祭が行われるという稲守村に向かう。夜を徘徊する化物、人の手ではないもので殺害された死体に遭遇した尚人だが、すべての原因はその「ナキメサマの儀式」にあるという。
よくわからないものに襲われるのではなく、経緯がわかるパートがあるおかげで実体を伴っている感じがすごくよかったな。
「さらっと書いているけどこの描写おかしいよね……」というのに気付けたらだいたい落ちがわかるという。語り手こそ一番ヤバいやつというホラーは面白い。やばいやつにはやばいやつをぶつけるという力技。身勝手な人間のせいで呪いを振りまくオチも含めて、わかりやすくて面白かったです。

転生者のアルメは婚約破棄をきっかけに前世の記憶を活かして氷魔法を駆使し、アイス屋さんを開店する。そんなアルメの前にファルクと名乗る不思議な常連客が現われて、アルメは親しくなっていくのだが……!?(Amazonより)
祖母の気遣いで婚約したものの不仲だった婚約者の浮気によって関係が破綻したアルメ。こうなったら好きな仕事をして生きていこうと、氷魔法を使ったアイス店を開くことにする。開店間近のある日、ずいぶん暑そうにしている男性に親切にしたことから、ファルクと名乗る彼が常連になるけれど、実は彼には秘密があって……。
なんだかどこかで見た冒頭だなあ(婚約者の横暴、浮気、姿格好や言動への強要、浮気相手は下級貴族で野心家、友人のアドバイスで垢抜けた格好に)ですが、その後の展開はほとんど一冊でまとまっています。ちょっと浮気相手が不穏だけど。
お互いに大事なものがあって、相手を思うあまり喧嘩するところ、その後の仲直りが、なんだかいいなあと思いました。そうして言い合える関係の健全さが眩しい。二人の仲が長く続く予感があるし、幸せになるんだろうという予感があって。

高校生の美原アンが夏休みにホームステイすることになったのは、札幌の郊外に佇む私立図書館、通称「図書屋敷」。不愛想な館主・セージに告げられたルールを破り、アンは真夜中の図書館に迷い込んでしまう。そこは荒廃した裏の世界——“物語の幻影”が彷徨する「図書迷宮」だった!迷宮の司書を務めることになったアンは「図書館の本を多くの人間に読ませ、迷宮を復興する」よう命じられて……!?
美しい自然に囲まれた古屋敷で、自信のない少女の“物語”が色づき始める。(裏表紙より)
すごくジブリみたいな作品だった。
ほわわんと頼りない父親によって北海道に送り出されたアン。滞在することになったその家は図書屋敷と呼ばれる、和洋折衷の古い館。けれどそこで眠るともう一つの場所、図書迷宮に迷い込む。口の悪い猫を案内人に、不思議な住人?との交流もありつつ、司書見習いとなったアンだけれど、その心には深い傷があって……という。
主人公の心の傷がちょっと捻ってあってほほうと唸りましたし、それが最終的に大きな障害になって、その真っ黒い海とラベル(レッテルともいうか)と戦う、という。アン自身はごくごく普通の読者であり、キーパーソンである伊勢もみじは作家なんですが、二人ともその暗黒や痛みに深く傷付けられて乗り越えようとするのが象徴的で、とてもファンタジックで、残酷な現実をすぐ側に置いた話だった。

「一度、一緒に王都へ行かないか」
王城の侍女見習いから竜が集まる辺境伯領の侍女になったメリッサ。彼女は辺境伯領では、元竜騎士隊長の辺境伯ヒューバードの婚約者として扱われるようになったものの、国には認められていなかった。そこで、彼と正式に婚約するため、王都へ旅立つことに。両親へ挨拶をすませ、国に婚約を認めてもらうだけの帰郷。それだけのはずが、思わぬ事態に巻き込まれて——。どんなことが起こっても、ずっとヒューバード様と竜達と一緒に過ごすために、頑張らせていただきます!
堅物騎士と竜好き侍女のラブファンタジー第3弾!!(裏表紙より)
当人同士は両思いなれど、重要な存在である竜が集まる辺境伯であるヒューバートと青の竜の養い親のメリッサの結婚は、一つの国事。そんなわけで国の承認を得よう、メリッサの里帰りにもなる、と王都行きが決まったものの、子ども同然の青がそう簡単に納得するはずはない。
青の幼竜らしい駄々っ子感と聞き分けの良さ、その後の展開に至るまで、可愛いなあ、そうだよなあ子どもだし竜だし思いがけないことをするよなあ、と思った第3巻。
竜と辺境伯家、隣り合う他国やその他の竜への認識など、人と竜の付き合い方が描かれていたような印象。恋愛方面の進展はさほどないものの、やっぱり「お嬢さんをください」的なやつはにやにやしちゃうし、強力な後ろ盾の養子になる展開もやっぱり好きですね!

ジェノビア帝国の将軍グレンは、罠にはまり敵国の地下牢に囚われていた。痛めつけられた彼の手当てに現れたのは、下働きの女ルネ。自らを犠牲にして献身的に尽くす彼女の真意がわからないまま、協力を得て脱獄に成功する。死を覚悟した目のルネを帝国に連れ帰ったグレンは、所有欲と愛情の区別がつかないなか少しずつ「恋人」としての扱い方を覚えていく。ルネは彼を全身で受け入れ、幸福感に包まれるが、彼女の秘された素性が波乱を呼び………。(裏表紙より)
スラム育ちで、皇帝になる男に見出され、衣食住を手にいられるからと戦働きで勲功を上げていたグレン。敵国に囚われた彼を助けたのは何を考えているかわからないルネ。脱獄後、残された彼女は殺される、ならば連れて帰ろう。でも逃げるようなら殺す。いびつながらなんだか切なくなるロマンスでした。
愛を知らないグレンと、空っぽのルネ。「逃げたら殺す」「わかった」と平然とやりとりする様子がとても寂しくて、どうか一緒にいてほしいと願わずにはいられなかった。不良少年と優等生少女が二人で必死に生き延びようとしている感じというか。
そのせいか大人の事情、皇帝たちの不穏さがすごく嫌な感じ。何も知らない子どもをいいように使っているような気がするのに、グレンとルネの幸せを考えるとこの状況でいいんだろうなあとも思えて。愛と殺意が同時に存在するグレンのぎこちなさがとてもよかった。

「もう、あきらめたりしない」
緑の髪に青の瞳――地味な容姿の自分は決してかわいくなれないと思っていたルチア。しかし幼少期のある出会いをきっかけに、彼女は誰に何と言われようと、大好きな服を着る、気に入った髪飾りをつける、自分が好きなものを好きであり続けると、そう決心する。
成長し、いつか自身の工房を持つことを夢見て日々服を作り続けるルチア。そんな彼女は、友人のダリヤに頼まれて作ったとある靴下がきっかけで、新設される服飾魔導工房の工房長に任命されてしまう。
大抜擢ゆえのやっかみやトラブルも、夢の実現のためならなんのその! ルチアは仕事のかたわら、服飾ギルドを訪れる人々のお悩みも彼女らしく解決していって――。
『魔導具師ダリヤ』シリーズの人気キャラであるルチアを描いた新シリーズ!
いつか素敵な服で王都を埋め尽くす! 服飾師ルチアの幸服計画がここからはじまる!(Amazonより)
魔導具師ダリヤのスピンオフ。友人の服飾師ルチアのお仕事ものサクセスストーリー。
ただこの時点でダリヤ1巻よりちょっと話が進んでいるみたい? 靴下と中敷きの話が進んでいる最中の様子が出てきます。
ダリヤ1巻はずっと食べているのですが、ルチア1巻はずっと服を作っています。この街で生きている人たちの服にまつわる悩み事や困りごとを解決する要素もあるので、ダリヤとはまた違った面白さがありました。特に仲間がいるっていいなっていう。
さらに面白かったのは友人知人から見たダリヤは巻き込まれ体質というか事件体質らしいということ。婚約破棄もその後の商会立ち上げもなるべくしてなったわけね、と面白かった。

東日本大震災を経て、刻々と変貌していく《東京》を舞台にした戯曲『エピタフ東京』を書きあぐねている“筆者K”は、吸血鬼だと名乗る吉屋と出会う。彼は「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが……。スピンオフ小説「悪い春」を特別収録。(裏表紙より)
どこまでも曖昧で、街や人間のぼやけた感じがそこはかとなく怖い、小説? エッセイ? 語り手はいるものの、誰でもない感じで、そこに入り込むことを許されない感じが読んでいてすごくもどかしかった。何喋ってるのか全然わからないよ! みたいな。
最終的にそういう話を差し込んでくるの!? というのが面白かった。東京が墓碑になる日というのはきっとそういうときなんだろうなあ、みたいな。