読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

〈レギオン〉完全停止の可能性。
終わらぬはずの、戦争の終わり。
それは人類の悲願。明日への希望。
しかし、戦士たちは――戦いが終わった先、戦場で死ぬ定めだった「エイティシックス」は、どこへゆくのか。
〈シリン〉との出会いで、死を恐れぬことの不気味を知った彼らは、閉じていた未来への眼を、無理矢理に開かされた。
ある者は、愛する人を見つけた。
ある者は、世界を見て夢を描いた。
だが……、それが出来ぬ者は。
温かい希望の光が、彼らの鉄の意志と結束を歪め、そして。
ついに、過去最悪の犠牲を生む。
平穏を許さぬ、新章開幕のEp.8!
“辿り着いた海は、彼らに血を求めた。”(カバーより)
やっぱり脱落者が出るんじゃないかー!!! と叫んだ第8巻。
作戦行動が開始されたのでシンとレーナの関係は強制停止。お互いにめちゃくちゃ気にし合っていて、全員が見守っているのに、仕方がないとはいえ面白、いや切ない……。ただ二人の関係を眺めていて、将来や夢を持つとはどういうことなのかをエイティシックスたちが考え始めるのが、苦しくて、応援したい気持ちもあって。シン不在の中で、自分たちにできることを、と戦うメンバーがこう、自分たちはエイティシックスだから、執着なんてしない、という気持ちから脱却しつつあるのがわかって、ぐっとくる。
あと子どもたちの未来を願う大人たち、あなたたちもより良い未来を作って生きてくれよ……命を賭してみんなの背中を押し出さないでよ……泣く……。
そんなわけでラストにて重傷者発生ですが、続きはどうなるんだ。気になりすぎる!
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十一歳で親子ほども年の離れた次期侯爵トレバーと結婚した男爵令嬢ルイーザ。家族を守るための政略結婚だからと覚悟するも彼は一切手を出さず、幼い彼女を飾り立てては愛妻だと自慢し周囲にドン引かれる始末。ルイーザは悟る。夫はそういう嗜好を持つ変態なのだと。それでも次第に彼の誠実さや包容力に惹かれてしまい、同時に大人になれば捨てられるのではと不安も抱く。そして成人後、思わずその葛藤をぶつけた時、彼が初めてベッドに誘ってきて——?(裏表紙より)
『結婚できずにいたら、年下王子に捕まっていました』スピンオフ。前巻は年上ヒロインと年下ヒーローでしたが、こちらは年上ヒーローと年下ヒロイン。身分差のある政略結婚をして「この人はロリコンなんだ」と理解したヒロインは、外交官の夫を支えるのが仕事と割り切ってそれなりに上手くやっていたけれど、そういう嗜好なら成人したら別れるはずと考え、それが夫にバレてしまい……というTL作品。
作品内の恋愛があまりに歳の差があってどちらかが子どもだと気持ちが引いてしまいがちなんですが、これはそういう作品だと思って読むからかさほど抵抗感はなかったな。ルイーザが子ども扱いしないでと言いながら怖気付いてそんな自分を奮い立たせたり、トレバーが余裕ぶっているけれど実は余裕がなくてでも最後まで大人として導いたり、という関係性の描写がメインだったこともありそう。
ルイーザの方が身分が低く、幼くして結婚したからか、素の態度がだいぶ軽くて言葉もストレート。だいぶ気が強い。それが彼女らしい頭の良さを象徴しているようで微笑ましい。もう何年かすれば落ち着くかな。そうだったらそれで美味しいな。

正統派ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”。
それが大ッ嫌いな私が、念願かなって悪役令嬢に転生!!
誰にも文句を言わせない悪女になるためには、体を鍛えて猛勉強し、魔法の腕も磨かないとね!
――と頑張っただけなのに、悪役になろうとすればするほど周囲の好感度が上がるようで!?
いいわ、悪女としてその期待、全力で裏切ってみせます!(Amazonより)
アニメ視聴済み。乙女ゲームのいい子ちゃんなヒロインに感情移入できず、悪役令嬢が好きな主人公は、転生したその悪役令嬢だった。歴史に残る悪女になってやるぞと努力を重ねていたら、当然ヒロインとその取り巻きとは対立、なのに王子様の高感度は爆上がりで、という乙女ゲー転生悪役令嬢もの。
アリシアの言う「悪女」の定義がなんなのかやっぱり最後までわからなかった。国を乗っ取るでも周りを自分の望み通りにするというわけでもなく、お花畑ないい子ちゃんと対立したい、矯正したいのなら、それは悪女ではなくて悪役を装った善行者なんだよな。現実を見て要不要を判断して適切な行動を取っているだけで。
あとこういうファンタジー作品、特に幼少期のシーンがあるもの特有だと思うんですが、十歳前後の子どもに年上のヒーローが恋愛感情を抱いたりアプローチするのがちょっと……。そこでそうとは思わせないのが大事だと思うんだけどなあ。

「地竜の加護商会へようこそ!」先祖代々雑貨屋を営む家の娘、ジネット。しっかり者の看板娘として近所でも評判だが、嫁ぎ先が目下の悩みの種であった。 そんなある日、兄がどこかもわからないシャルパンティエ領で出店ができる営業許可証を貰ってくる。ジネットは、自分のお店を持ちたいという夢を胸に旅立ちを決意する。その道中、彼女は騎士ユリウスと運命の出会いを果たす。その彼こそが、辺境の地シャルパンティエの領主だった。ランプにポーション、堅焼きパン! 笑顔であなたを待ってます! 異世界の雑貨屋さん、ただいま開店準備中!! 第1回アリアンローズ新人賞「最優秀賞」受賞作品、登場!(Amazonより)
両親を失った大家族の兄妹の上の方の娘、ジネット。結婚する兄やまだ幼い弟妹たちのためにとうとう家を出ることを決意。巡り巡って手元にやってきた、どこともわからないシャルパンティエ領の営業許可証を手に、かの地を目指す。けれど店を始める前に領主代理になってしまうなど、道のりは長いけれど多くの出会いがあって……。
領地経営を開拓から始めます、というシミュレーションゲームの冒頭をじっくり書いたような一巻。道を通したり、ダンジョンがあるという新しい街に必要な店や品物を考えたりなど、タイトルから想像される「お店屋さん」みたいな可愛らしい話じゃなかったのですが「店をやる」ことは「街がある」「人が集まる」ことが前提であると教えるような話で、とても興味深かったです。

上位指揮官機〈無慈悲な女王〉。それは対レギオン戦争で守勢に立つ人類に与えられた“銀の弾丸”。『第86独立機動打撃群』の活躍で〈彼女〉の確保に成功した連邦・連合王国は、轡を並べる第三国「ヴァルト盟約同盟」にて、その解析と「尋問」を開始する。
一方、大戦果を上げた者たちにも報奨が授与された。特別休暇。鉄と血にまみれた日々を、僅かひととき遥か遠くに置き、シンとレーナはじめ皆はそれぞれに羽を伸ばす。が、同時に《その二人以外のほぼ全員》はある思いを共にしていた。
それは。
“お前らいい加減、さっさとくっつけよ”
もう一つの戦線がついに動く(!?)Ep.7!(カバーより)
人とは、生きるとはを問いながら戦ってきた彼らに訪れたひとときの休暇。そして進展するシンとレーナ。ここまで読んでよかった! 続きが気になりすぎる! な第7巻です。
〈無慈悲な女王〉を尋問するシーンはありますが、基本的にお遊び巻。エイティシックスも王族も、上官も部下もあまり関係なく、温泉に浸かり、買い物に出掛け、ダンスパーティーで踊るという、読者にもご褒美シーンがいっぱい。
本当にシンとレーナにはにやにやしかしない。お互いに「好きと言わなければ」といっぱいいっぱいになっているところも、周りにそれを見守られていることも、ダンスシーンやその後の色々も、本当によかった! よかったんだけど! やっぱりそうなるかー!!! お腹抱えて笑っちゃった。
告白の行方のためにも次を楽しみに読みます。

「ルイス・ダウエルが亡くなった」──騎士・サディアスが告げたのは、モニカの師であり王国で最も有名な魔法使いの訃報だった。恩人であり、父親のような存在でもあった師匠の死を受け入れる時間さえないまま、モニカは遺品整理に駆り出される。物であふれたルイスの部屋の片づけをサディアスも手伝ってくれるのだが、落ちていた紙に足を滑らせた彼は小瓶に入った正体不明の魔法薬を頭からかぶってしまう。こんな事態、魔法使いとして最大のミス! しかし彼の濃紺の瞳に見つめられ、不覚にもドキドキしてしまうモニカ。もしかして、そういう系の薬じゃ──そう思ったとき「なんだか無性にあなたを殺してしまいたくなる」──な、なんで……!?(Amazonより)
有名な魔法使いの末の弟子のモニカ。優秀な兄弟子たちと比べられて出来損ないと言われながら、魔法薬の扱いは他の魔法使い以上の腕前。しかしその師が亡くなり、気持ちの整理がつかないまま遺品整理を行うことに。その付き添いとして騎士ルイスと関わるようになるが、彼が謎の魔法薬をかぶってしまう……主人公とヒーローの関係性はタイトルがすべてを言い表していますね。
ヤンデレや激重感情要素は弱めで、擬似家族や擬似兄妹の描写が印象的。遺品整理のあたりのリアルさがね……残された人はとにかく動くしかないという。言葉にはしないけれどみんなモニカのことを大事に思っているし、みんな家族なんだなあと感じるところがとてもよかったです。サディアスは妹大事なおにいちゃんたちにいっぱい突かれればいいと思うよ!

誇り高く戦い、そして死ぬ。
それが我らのさだめ。生への執着など、とうの昔に、はるか彼方に置いてきた。
……そう思っていた。そう信じていた。
だが戦場へ臨み、潰され、壊され、朽ちることを良しとする〈シリン〉達の姿は、「エイティシックス」である彼らの目指す生き方が、只の狂気であると蔑む。
生きる意味とは何か。苦悩するシン。
シンを理解しようと心を砕くレーナ。
だがその想いは不格好にすれ違ったまま――連合王国の命運をかけた「竜牙大山攻略作戦」の火蓋が、無情にも切って落とされる……!
『連合王国編』完結のEp.6!
戦わねば、生き残れない。
だが戦えば生きられるわけでは、ない。(カバーより)
戦いを経て、ようやく新しい世界に一歩踏み出した、そんな第6巻。
ぐっときたのはグレーテがレーナにかける言葉。青少年に戦争をさせているいまの状況がおかしい、という普通の大人らしい言葉。けれど彼らを頼らざるを得ないんだよな……切ない……苦しい……と思って。けれど常識が残っている人って脱落しそうでこわい。生きて。
レーナとシンも自分たちの進む方向を決めたようで何より。「わかりあえない、それでも」と思いながら、一緒に生きていこうと努力するのが人間だと思うんだ。

探しに来なさい――。
シンが聴いた〈レギオン〉開発者・ゼレーネと思しき呼び声。レーナたち『第86機動打撃群』は、その姿……白い斥候型が目撃されたという「ロア=グレキア連合王国」へと向かう。……だが。
それは生への侮辱か、死への冒涜か。
「連合王国」で行われている対〈レギオン〉戦略は、あの〈エイティシックス〉たちですら戦慄を覚えるほどの、常軌を逸したものであった。
極寒の森に潜む敵が。そして隣り合う「死、そのもの」が彼らを翻弄する――。
《連合王国編》突入のシリーズ第5巻!
雪山に潜む怪物たちが、
彼らに、笑みとともに問いかける。(カバーより)
戦場に在ることを選んだシンたちエイティシックスたちと、ともに戦うことを選んだレーナ。近付いたはずなのにうまく思いを伝えられずすれ違う。しかし人でありながら人でないものたち〈シリン〉とそれを駆るヴィーカとの出会いで、人とは何か、を考えるようになる。
なかなか縮められない距離がリアル。再会やその後のじれじれもだもだがよかっただけに、すれ違う二人に胃が痛い。がんばれ……がんばれ……。
またヴィーカとレルヒェもだいぶこじれた関係だなあ……。ヴィーカがヴィーカだからいまもこうして一緒にいられるのかもしれないけれど。

ついに運命の再会を果たしたシンとレーナ。どことなくいい雰囲気を醸し出す二人に、フレデリカとクレナは戦慄し、そして気を揉むライデンらの苦労は留まることを知らない。
しかしそんな束の間の休息を破り、レーナを作戦司令とする新部隊に初任務が下った。共和国85区内北部、旧地下鉄ターミナル。地下深くに築かれたレギオンの拠点が、その口をあけて彼らを待つ。
そこに見えるのは闇。
レギオンの、共和国の、そして彼の国が虐げた者たちの、闇。
シンとレーナ——二人が出会った後、初めての共闘を描く『Ep.4』!
“地の底からの呼び声が、
彼らに新たな試練を告げる。”(カバーより)
連邦と共和国の共闘が始まる。
指揮官として着任したレーナとその部下となったシンたち、再会後のぎこちなさにもだもだ。作戦のプレッシャーが息苦しく、明らかになったレギオンたちの挙動の一部が重くもあり、この巻の後半がしんどすぎたから次の巻のじれもだ期待!
この世界の歪さ、それをそれとして受け入れて何を変えようとも思わなくなったシンと、そうであってほしくないと思うレーナのすれ違いが苦しいな……。どっちの言うこともわかるけれど、世界はそんなに甘くはないし、けれど世界がそういうものだと思いながら戦ってほしくないし……。

十三歳の誕生日、赤奏国の皇帝に後宮入りを願い出た莉杏。
ところが謁見の間にいたのは、《正規の手段》で帝位を簒奪し、新たな皇帝となった暁月だった!
莉杏は「ちょうどいい」と皇后にされるが、一緒に寝始めても湯たんぽ代わりのまるで子供扱い。
それでも莉杏が眠れるようにと、暁月は毎夜問題を出してくれて!?
夜毎に夫婦の絆が深まる恋物語!(Amazonより)
後宮入りするために育てられた莉杏。現皇帝の妃の一人になるはずが、政変により新皇帝となった暁月の皇后となる。立場も年齢もそこにいたということからも「ちょうどいい」だけの皇后になった莉杏だが、実直ながら上手く世渡りをしてきた祖父と賢明な祖母の教えを受けて非常に素直、聡明さの片鱗を見せる彼女の魅力に、暁月も周囲もやがて気付き、という、少女の花開く未来を期待してしまうシリーズ第1巻。
莉杏も暁月も周りもみんなちょっとずつ普通じゃなくて、それが人間らしいすれ違いを生むという面白さ。帝位簒奪をしたならみんな万能なんじゃないかと思ったらそんなことはないというのがいい。それを莉杏の子どもらしく素直な視線で見る楽しさと切なさがありました。