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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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従兄弟同士の直樹と隆は、17歳の誕生日を迎えようとしていた。例年通り、木蓮や馬酔木、海棠や空木に埋もれた桃源郷のような花の里の隆の家を訪れた直樹と典子兄妹。だが、心優しい隆の目は昏く、母親の美紀子に冷淡な態度をとっていた。「あの女が、迎えに来る」と、毎夜、中庭を訪れる異端のものの気配に苛立つ隆。隆の目の中に恐れていた兆しを見つけて絶望する美紀子に異変が。運命の悲劇の幕が開く。ホラー&ミステリー。(裏表紙より)

旧版を読んだはずなんですが、直樹と隆がギスギスしていた部分の印象が強くて最後どうなったのか覚えておらず。新装版を再読して、大人になったいまだからやはりめちゃくちゃ面白いな……と唸りました。
毎年春と夏、従兄弟の家を訪ねる直樹と妹の典子。その年、直樹と従兄弟の隆は十七になる。だが十七歳の誕生日が近付くある日、隆がまるで人が変わったようになり、そして悲劇が……。
この、毎夜訪れるものと呪い、意識が塗り替えられていく描写が怖い。原因を突き止める過程はあっさりですが、その前の「どうか助かってくれ!」という息の詰まる展開がホラーとしてめちゃくちゃ面白かった。雨が降る、花が降る最後も物語の結末として悲しく美しい。
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村を襲うも人は殺さない飛竜の真意とは。老人の巻きこまれた妖精猫の裁判の行方は。鋭い吠え声が響く村で娘達を食らう獣の正体とは――。独自の生態と超自然の力を持つ生き物、幻獣。謎多き存在である彼らと人の衝突が増えたため、国家は幻獣を調査し、時には駆除をする専門家を定めた。そのひとりである調査員のフェリは「人と幻獣の共存」を胸に、世界で唯一の幻獣書を完成させるため旅を続けている。これは、人と幻獣の関わりが生む、残酷で優しい幻想幻獣譚。(Amazonより)

人とも動物とも異なる、しかし独自の生態と力を有する存在、幻獣。力を持ち、災厄を呼び、ときには大いなる祝福を与えるかれらの生態を調査する専門家がいる。そのうち調査員と呼ばれる旅人の少女フェリと、何故か彼女に付き従うホムンクルスの蝙蝠と、兎頭の何かの物語。
人の身勝手と悪い心、臆病さ、無力さからくる言動と、幻獣の在り方がなかなか上手く噛み合わず、悲しい話が多いのですが、幻獣がらみの事件を解決する短編連作なので読みやすくて面白かった。
合間合間に挟まる、魔王と思しきものと少女の物語は、多分彼と彼女のことなんだろうと思って読んでいくと、最後の最後に種明かしが。思わずえええ!? と叫んでしまった。そういうのあり!? フェリ自身もいつか追われることにならないかなあ……なんて不安に駆られてしまったけれど、まあそうなったらクーシュナとトローが連れていくんだろう。それくらいの結びつきが感じられる、異形の物語でした。
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異教徒に攫われた過去を持つ王女リヴェラは、幼い頃から不吉だと忌み嫌われ居ない者のように扱われていた。だが大国のアスガルドの皇帝グエンは彼女の前に跪いて求婚し強引に花嫁とする。戦に優れ死神と畏怖されるグエンは意外に快活な性格でリヴェラには優しかった。「もっとかわいい声で啼け。俺の淫らな花嫁」宴の席、各地にある寺院、あるいはサウナの中、あらゆる場所で抱かれ乱れさせられ、喜びを覚えるリヴェラは!?(Amazonより)

幼少期に異教の儀式の生贄としてさらわれたことで「傷物」として扱われる姫君が、大国の皇帝の花嫁となる物語。原始的宗教の儀式なので衆人環視の前で……というのが面白そうだったので読みました。一回きりかと思いきや何度も、なのでちょっと笑ってしまった。もうちょっと抵抗しような!
甘々溺愛からの、自国の身近な人間の裏切り、ヒーローの救出と王道展開。しかし前半の、時系列が細切れに前後するのはだいぶ読みづらかった。このパート、さっきの話の後? それよりもっと前? みたいな。中盤からはそういうこともなくなって安心しました。
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「私は、私を殺した犯人を知りたい」死の間際、薄れゆく意識の中で女王オフィーリアはそう願う。すると、王冠の持ち主にだけ与えられる“古の約束”により、妖精王リアは十日間だけオフィーリアを生き返らせてくれた。「一度は死んだ身よ。ならば今度こそやりたいことを全てやってやるわ」オフィーリアを使って権力を握ろうとした夫、周囲に流されがちで頼りない弟、恋心を寄せてくる近衛騎士……数え上げればキリがない犯人候補たち。女王を殺したのは誰なのか!? 生前の雪辱を晴らす強烈な平手打ちが炸裂する王宮ミステリー開幕!!(裏表紙より)

美しい女王として、周囲のために優しく慎ましく微笑んでいた女王オフィーリア。だが殺されたことで周囲の本音を聞くことになりついに怒りが爆発。私は私がやりたいことをやると、自分を殺した犯人を探す一方、自分が死んだ後の準備も始める。いつしかそれはお飾りの女王ではなく、本物の為政者としての存在感につながる。
平手打ちに罵倒語と、これまでできなかったことをやるオフィーリアが楽しい。やっていることはめちゃくちゃ怖い女王様で、やりすぎると粛清されそうな気もするんですが、舐めた態度をとるやつらが多くて「いいぞいいぞやっちゃってー!!」と思ってしまう私もいる笑
自分を殺した犯人にもですが、気持ち悪い執着を見せる相手にしっかり「気持ち悪い」と言い切ったところがスカッとしました。言わないとわかんないんだよなあ、思い込みの強いやつって!
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ネットにアップした奈緒の歌は、たちまちミリオン再生を記録した。敏腕マネージャー矢作女史の後押しもあり、有名ボカロPの仲間入りをした慶太郎。そして彼とリンクするように、電話の向こうの奈緒もメジャーデビューへと近づいていた。そんなある日、慶太郎は二万人が集まるボカロPの祭典に招待される。奈緒が夢にまでみた大舞台で、慶太郎は一世一代の賭けに出ることにするが――。ミライショウセツ大賞優秀賞。失われた恋と歌の奇跡の物語、完結!(Amazonより)

奈緒との不思議なつながりと秘密を抱いたまま、音楽活動を続ける慶太郎。いつか来る終わりのときに覚悟を決める前に、現実が次々に襲いかかってくる。
中心的な人物の死という大きな事件が、慶太郎を含む大勢に様々な影響を及ぼしていることが浮き彫りになった下巻だなあという印象でした。しかし北沢さんの病みっぷりと慶太郎の感情の薄さがどうにも消化不良で……。薬盛られるって性別関係なくめっちゃ怖いぞ。この二人の関係が綺麗に終われなかったのがかなりもやもやしました。
最後の最後に奈緒が出てきてくれるのは想像していたけれど、ちゃんとお別れが言えて、大事な言葉は言わなくても伝わっていることがわかってよかったな。慶太郎が器用だということはわかったけれど彼がどんな音楽をやりたいかはまだ未知数。でもやっとまっさらなスタートを切れるんだなあ。
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幼馴染みでバンド仲間の橘奈緒が死んだ。ミュージシャンになるため東京に上京しようとした日だった。失意の日々を過ごす大槻慶太郎だったが、形見として譲りうけた奈緒の携帯に電話がかかってきて……相手は死んだはずの奈緒!? しかも電話の向こうの彼女は東京で音楽活動をしていると思い込んでいた! 思わぬ再会に慶太郎は決意する。「奈緒の歌を皆に聴いて貰いたい」と――。ミライショウセツ大賞優秀賞。失われた恋と歌の奇跡の物語、ついに書籍化!(Amazonより)

自由で明るくてたくさんの友人知人がいる幼馴染みの奈緒に振り回される形で、慶太郎は当たり前の毎日を謳歌していた。そんな大切な人の喪失と、彼女が追いかけていた夢を引き継ぐ形で動き出した少年のお話。
一人称で、(笑)などが文中に登場する、若い表現がどうにもむずむずする。活字を読み慣れていない人はするする読めていいんだろうけれど。
奈緒がいなくなって、空白を抱えたまま過ごしていた慶太郎は、ニコニコ動画やVOCALOIDが席巻する世の中で奈緒の歌を残そうとし始める、というところまでが上巻。彼女との二度目の、本当に別れを迎えるときが来るのだろうと思うとどきどきするのですが、みんなが笑顔になれる結末であるといいな。
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常春の国ストランドから、魔女に呪われ雪に閉ざされた冬の国ラヴィネンへ嫁ぐことになった王女シルヴィア。この婚姻は呪われた冬の国に春を呼ぶため、五十年に一度必ず交わされるものだった。夫となった王太子アルベルトがシルヴィアに向けるのは、まるで興味がないような素っ気ない態度。春の国ストランドの王族でありながら、氷のように冷たい銀髪と水底のような青い瞳というシルヴィアの姿にアルベルトもがっかりしたのだろうと落ち込むが──……彼は無愛想に見えただけで実はシルヴィアに一目惚れしていた。しかし二人は互いに嫌われていると思い込んでしまう。さらに、シルヴィアが嫁ぐことで訪れるはずの春は一向に来る気配がなくて……?(Amazonより)

花のような姉妹たちに囲まれて、銀色の髪と青い瞳という寒々しい色を持ち、父母の庇護を失って冷遇されていた王女シルヴィアが、政略結婚で嫁いだ国の王と心を通わせ、幸せを手に入れる物語。この王道が、好き!!!
「テディベア」にはちょっと現実世界みを感じてしまったんですが、「テディ」を人の名前だと勘違いする展開はとても微笑ましかった。ぬいぐるみを吸う王女、可愛すぎる。
しかし夢中文庫さんは一冊が短いんだよなあ! もっと仲良くなる過程が見たかったー! 二人の仲の良さでストランド王家の人間やラヴィネンの人たちにやり返してほかったな。乳兄弟たちに見守られている不器用な二人にめちゃくちゃきゅんきゅんしたので!
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縁談がなぜか次々と白紙になり、すっかり嫁き遅れ状態の伯爵令嬢ジュディス。社交界では息をひそめて過ごしていたのに、第三王子フレデリックから突然のプロポーズが! 単なる子供時代の遊び相手の私にどうして――? 混乱のまま婚約は進み、気づけば彼の寝室のベッドの上。幼い頃の面影をのぞかせつつ力強くリードしてくれる彼に心惹かれていくジュディスだったが、知らずにいた十三年間のフレデリックの独占欲が次第に明らかになり……。(裏表紙より)

ソーニャさんにしてはコメディ色強めな雰囲気? 二十五歳の嫁ぎ遅れ令嬢が、成人したばかりの十八歳の第三王子に執着され、ようやく結婚に至る。このフレデリックがまあ有能なんだけれど才能の使い道をただ「伯爵家出身だが特別身分が高いわけでもない、年上のジュディスと結婚する」ためだけに使うところ、だいぶ闇が深い。最後の最後に、彼に近しい女性陣がその所業を少しだけ話すんですが、味方になってくれそうな彼女たちすら遠ざけて自分だけを頼るようにする、というのはさすがに……さすがにどうかと……、というソーニャ文庫のヒーローらしいやばさでした。いやでもアントニアのことを含め反省していても、ジュディスが何も知らない状態であり続けるのは……まあフレデリックが満足ならそれでいいのか、うん。
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夏が近づく季節、母方の故郷・磐座を訪れた奈智。十四歳になると参加することになる二か月に及ぶ長期キャンプは、「虚ろ舟乗り」の適性を見極めるためのものだった。キャンプの本当の目的とは——。(帯より)

萩尾望都さんが帯にコメントを寄せるのも納得の物語だった。懐かしい少女漫画とSFと、閉ざされた里と因習の気配があって、こういうの好きなんだよなあ。
虚ろ舟、外海というのが宇宙を指しているのは冒頭でわかっていて、これがどういう結末に向かうのか、キャンプと子どもたちの変質も合わせてどきどきしました。吸血鬼めいた何かになる、その不吉で少しエロティックな儀式に、ある日突然大人になったように見える周りの子どもたち……。
登場人物の配置的に、奈智と深志と天知と英子と浩司のどろどろがあるかと思ったんですが、あっさりしていたのが意外でした笑 幼い恋心による事件が起こるんじゃないかと思っていたのに! だがこれはこれでよし!
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高校1年生の荒川浩志は、一人暮らしをするため〈ハイツ・グリーンホーム〉に引っ越した。明るい部屋だったが、窓から丘の斜面の鳥居を見たとたん、ふいに嫌な気分になった。6号室に住む同年代の和泉は、浩志とは初対面にもかかわらず「出ていったほうがいい」と言う。そして、それは始まった。夜中に出没し奇妙な落書きをする男の子、無言電話、無記名の嫌がらせのような手紙……。怖いけれど優しくて温かい、本格ホラーミステリー。(裏表紙より)

新装版。ホワイトハート版はだいぶ昔に一回読んだ気がするのですが、すっかり忘れていて、忘れたまま読み、やはり怖くて面白かったです。
転勤族の家庭の男子高校生が、父と母の友人だった人の再婚を許せず、高校進学を理由に一人暮らしを始める。実はかなり昔にこの辺りに住んでいたことがあり、何故か覚えのあるはずの景色に嫌な印象を抱いてしまう……という、ちりばめられた謎が、少しずつ過去を思い出していくことで幼かった自分の罪を自覚する展開、上手い。お決まりの和泉の真相も、最後に浩志と金子が彼を思うことでこちらも慰められてしみじみしました。
いやしかし、場所と建物にまつわるホラーはやはり怖いな……どうしようもないんだもんな……。
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Author:月子
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