読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
東西の交易の中心として栄えるオアシス国家リオラン。ある日、アラバスをはじめとする3人の王子は、美貌の第二王妃カトラッカとその腹心エスクリダオにそそのかされ、この世を統べる力があるという〈竜鏡〉を探す旅に出る。しかし、それは世継ぎを追い出し、すべての権力を手中に収めようとする王妃らの陰謀であった。アラバスらは無事に国を救うことができるのか。魔法が飛び交い、陰謀が渦を巻く、東方異世界ファンタジー。(裏表紙より)
王位継承権を持つ三人の若者が、試練を経てやがて戻りくるファンタジー。
ページ数が足りなかったかな? という駆け足の部分もありましたが、神の恐ろしさや人の醜さ、若木のような少年少女の成長と、とてもファンタジーらしい作品だったと思います。
美しいながら悪心と残虐非道の心を持つ王妃カトラッカ、その愛人エスクリダオ。この二人に陥れられた、頭空っぽの王子たち。彼らの成長を見守っていたかと思えば、実は敵側二人の因縁や宿業に絡んだ物語であることがわかって唸りました。こうやって闇を描くのかあ。そしてまたその物悲しいこと。
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森若沙名子、28歳。経理一筋6年目。仕事とプライベートはきっちり分けたいと思っている。そんな沙名子に、広報課の室田千晶が相談があると言ってきた。千晶は化粧品会社から転職してきた契約社員で、好感が持てるいい子だ。千晶が来てからは、ショールームも飾り付けられ来客も増えた。しかし彼女は、社内で浮いている。一部女子社員からは嫌われてさえいて……?
怒られること、責められることに異常に弱い人間がいる。(裏表紙より)
いやー社会人が長くなると面白いなーこのシリーズ。仕事における「いるいるこういう人」の宝庫で面白い。
今回は必死にアプローチしすぎて会社のものを私費で買う社員と、問題が発生したらすぐ責任逃れして嘘の休みを取ったりする社員と、都合よく解釈し直して居直る人。森若さんから離れた太陽の視点で、トラブル発生の話もあり、心に負担はかかるものの面白かったです。
森若さんの仕事とプライベートの切り分けが羨ましい。恋をして揺れる部分はあるものの、何があってもルーティーン的に自分を保つ習慣があるのは尊敬する。
「宰相閣下よりの書簡である。確認せよ」
王城の侍女見習いから竜が集まる辺境伯家の侍女になったメリッサ。彼女は辺境伯領の領主となった元竜騎士隊長ヒューバードの恋人になっても、相変わらず侍女の仕事と大好きな竜達の接待に精をだしていた。そんなある日、竜達に気に入られているメリッサを利用するため、王宮へ召還しようとしているという不穏な知らせが届いて——。大好きなヒューバード様や竜達と引き離されるのなら、ご遠慮申し上げます! 堅物騎士と竜好き侍女のラブファンタジー第2弾!!(裏表紙より)
竜という生き物と人間が共存する物語の第二巻。この話、竜を完全に脅威とみなしながら共存する人の努力が見えてすごく好き。知性ある生き物とどのように生きていくかすごく考えさせられる。
脅威ともなりうるので理解がある人たちは竜を大事にするし、竜に認められた人をも大事にするんですが、そうとはわからない人たちに振り回されることもあり。今回はそれが青の怒りを買って、というお話です。いやあもう、護衛騎士ポールの行動は「ばっっかやろう!」とか「なんてことしてくれた!」「やらかしてくれたなあ!?」みたいなやつですよね。そういう状況じゃないんですけど笑っちゃった。部外者とは得てしてそういうもの……。
竜とのエピソードは楽しく、ただ後半の青の寝屋については切なくて……。飾ってあげられて本当によかった。青の成長が楽しみです。
メリッサのお披露目もあり、ヒューバートとの恋の進展も楽しみです。
両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。彼が書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁の深い隙間の向こうに芸妓のような三味線を抱えて坐る儚げな着物姿の人影が見えた……(「芙蓉忌」)。夕暮れの闇が迫る中、背戸に立つ袴を着た鬼が、逃げようとする佐代の肩を掴み——(「関守」)。城下町の情緒が漂う怪談、全6篇。解説・折守きょうや(裏表紙より)
第1巻を読んで家と人にまつわる怪異のお話がすごく面白くて、絶対続きを読むぞと思っていたこの作品。おりよく2巻が文庫落ちしたのでぞくぞくしながら読みました。
実家に戻り、自殺した弟の部屋からある女が見えることに気付いた貴樹。まるで取り憑かれたように女を眺めてしまう「芙蓉忌」。
あるわらべ歌が怖い、それは何故なのか。記憶を遡った佐代は幼き日、何者かに出会ったことを思い出す「関守」。
息子を思い、愛猫の死と祖母の病状を伝えられない俊弘。だがある日息子は猫が戻ってきたというが……。「まつとし聞かば」。
古い城下町、古民家をリフォームして暮らすことを楽しむ育だが、何故かいつも女の囁き声にうなされる。いったい何が原因なのか。「魂やどりて」。
子どもの頃幼なじみが水の事故にあったという婚約者が、自分の罪を告白した。死んだその子が周囲を祟り、次は自分だと言っていると、藁にもすがる思いで馴染みの職人に相談したところ……「水の声」
諍う両親の声を避けて押し入れに寝床を作った樹。押し入れには屋根裏へ上がる場所があり、誰かが作った場所のよう。そこに現れる謎めいた幽霊の正体は?「まさくに」。
どれも怖い話ですが、一番気持ち悪いというか、ああ自分もやってしまいそうで怖いなと思ったのが「魂やどりて」。古民家修繕を趣味として暮らす女性が、古い道具を再利用、と聞こえはいいけれど粗末に扱ったせいで怪異に見舞われる内容で、古いものと素材は別物として考えなければならないな、と身に染みたのでした。
どれも面白かった。3巻が出るようなので楽しみだ。
“星の病”シガイから人々を救い、初代ルシス王となるはずだった悲運の男・アーデン。 帝国最後の日、崩壊する帝都の中で運命の少女を託された帝国准将・アラネア。 死からの目覚めとともに、自らの身体が変異を遂げていることに気づく神凪・ルナフレーナ。そして、長い刻の中で自身の運命を見据える真の王・ノクティス。 『FINAL FANTASY XV』の新たな歴史を綴る、世界の夜明けの物語。(Amazonより)
ゲーム本編で、やってくれ(切実)。
……な、重要人物のエピソードを描いた本編とは異なる世界線を描くノベライズ。具体的に言うと、ルーナが生き返って、アーデンが救われて、全員が望む結末に至る。いやもう、本編で(略)。
アーデンの話は多分エピソード・アーデンの内容かな?
アラネアの姐さんがやっぱりめっっっっっっちゃくちゃかっこよくってですね……。いやもう、惚れる。ずっと惚れてたけど。最高すぎる。
そんな彼女が養母になって帝国の裔の姫君を育てて、破天荒に育ったその子がルーナと出会って凸凹ながらも一緒に旅をして友人となって、って胸熱すぎる。
またルーナが、やっぱりノクトのいないところですごく頑張って、ノクトのために自己犠牲も厭わず、でも幸せになりたいと望む……泣いた。めちゃくちゃに。
クリスタルに拒まれたアーデンが、すべてを滅ぼそうとし、同じ立場のルーナと憎んだ弟と似た顔をしたノクトにようやく心を動かされる展開。ノクトがアーデンの怒りと憎しみに理解を示し、指輪を渡して王たちの承認を得る展開。あんなに望んだ指輪と王の力を手にしたアーデンが最後に力を貸してくれるところが最高だったし、六神がこちらについて最後の最後まで協力してくれたところも「これが! 見たかった!」の集大成だった。
最後の最後も泣かされてしまった。レギス陛下の、ルーナへ贈る言葉。「頼りなかった」という過去形になっていること。そしてノクトへの祝福の言葉。ここだけはあの本編があってこその改変の感動でしたが、ぐっときました。
ノクトとルーナたちには幸せになってほしい。最後の絵画風のイラストのように、と願わずにはいられませんでした。
兜坂国の斎庭(後宮)は、神を招き、もてなす場。実体を持つ神々は豊穣と繁栄を招く半面、ひとたび荒ぶれば恐ろしい災厄を国にもたらす。地方の郡領の娘・綾芽は、親友の死の真相を探るため上京した。そこで偶然、荒ぶる女神を鎮めてみせた綾芽は、王弟の二藍に斎庭の女官として取り立てられる。だが、それは国の存亡を揺るがす事件の幕開けに過ぎなかった……。(Amazonより)
古代和風の国を思わせる世界と神を絡めたファンタジー。おお、かなり込み入っているぞ! と楽しく読みました。
大君の妻妾が集う斎庭。ここにいる女たちは二種類に分けられる。大君の伴侶としての妻妾、そして神を招きもてなす祭祀。
この世界には兜坂国の神々と、外の世界の玉盤の神がおり、己らのみを崇めることを求める玉盤の神に対して兜坂国はかろうじて抵抗を続けている……と、ここまで書いても神々の住む、箱庭めいて作り込まれた設定でわくわくしてしまう。
主人公の綾芽は故郷では粗雑な扱いを受けながら、励まし合った親友の凶行の真実を確かめるため斎庭の采女になろうとやってきた。結構荒っぽい口調だけれど凛とした立ち居振る舞いと「誰かのために」と思ったときの行動力はとても清々しい。これは二藍じゃなくても目が離せなくてつい笑っちゃうかも。
斎庭の中心から程遠かった綾芽が、最後の神招きで上の方々と力を合わせる展開は熱かった! ここでは才がすべて、という言葉通り、儀式を成功させて出来る限りの人命を守った綾芽を認めてくれたんだろうなと思うと嬉しい。
外と内から揺らぐ斎庭、ひいては国を守ることができるのか続きが気になる。
年下に片思いする文系女子、不倫に悩む美容マニア、元彼の披露宴スピーチを頼まれる化粧品会社勤務のOL……。恋愛下手な彼女たちが訪れるのは、路地裏のセレクトショップ。不思議な魅力のオーナーと一緒に自分を変える運命の一着を探すうちに、誰もが強がりや諦めを捨て素直な気持ちと向き合っていく。「あなたといたい」と「ひとりで平気」をいったりきたりする女心を優しく励ましてくれる物語。ルミネの広告コピーから生まれた恋愛小説。(Amazonより)
「服を着ること」をテーマに様々な女性を描く連作短編集。
するっと読めて不思議だなあと思っていたら、ルミネのコピーライターさんの作品だったんですね。でも女性の描き方というか、ファッションの感じがちょっといまっぽくないなあと思ったら刊行日が2014年。こういうささいな部分を描けるのはやっぱりファッションビルのコピーを作ってきたからなんだろうな。
あくまで日常のワンシーンに常にファッションがあるという話なので、大きな展開はなく、服を通じて自分や相手を見つめ直していく。そういう身近さが面白かったです。
小さい頃に聖女候補だったオルレアン伯爵家の貧乏令嬢セレナ。幸い(?)にも聖女に選ばれることなく、慎ましく生きてきたが、いよいよ資産が尽き……たところに舞い込んできたのが第三王子ソル・トロワ・クラヴェル殿下との婚約話。
お金のための政略結婚による婚約者とはいえ、美しい顔立ちと優しい性格を持つソルに対する親愛の感情を持ち、仲良くやっていたはずのセレナだったが――
「……今、なんとおっしゃいました?」
「だから、『ざまぁ』してほしいんだ」
「ソル殿下。『ざまぁ』してほしいだけでは、よく意味が分かりません!」
婚約破棄をしたいがために変なことを言い出した王子様だけど、それには深いわけがあるようで――?(裏表紙より)
王子様が「ざまあ」してほしいと言ってくるんですけど!? という掴みから始まる聖女もの。
なんですが……作中で「ざまあ」が何を意味しているのか説明してくれないので、何故「ざまあ」してもらうことが婚約破棄することにつながるのかわからないまま、聖女関連の話になるという……。写真が存在したり、目立たないようにといいながら超絶目立つ行動をしていたり、どう捉えればいいのか迷いながら読んでしまいました。
セレナが、何を考えているのかわからなさすぎてどうしたらいいのか……。ここまで理解しにくい主人公は初めてかもしれない。何も考えていない、でいいのかな。
続きがあるようですが、何を考えているかわからない人などちゃんと全部説明してもらえるのか気になります。
能登の事件を解決し、東京への帰路についた一行は、道に迷ってひょんなことから山に囲まれたダム湖にたどり着いてしまう。「オフィスは戻り次第、閉鎖する」ナルの突然のSPR閉鎖宣言に戸惑う麻衣たちは、急遽、湖近くのバンガローに滞在することに。そこへ舞い込んだ、廃校になった小学校の調査依頼。幽霊が出るという校舎には恐るべき罠が仕掛けられていた――。すべての謎が明らかにされる最終巻。驚愕の真実とは!(裏表紙より)
うおおお!? な真相と、やっぱり……な真相と、ほろりしんみりとした各々の繋がりが見られたシリーズ最終巻。
タイミングがなくてこのシリーズは読んでいなかったのですが、リライトそして文庫版が出たのをきっかけに読みましたが、面白すぎてページをめくる手が止まらなかった。
麻衣が見る夢のナル、あまりに性格が違いすぎて本人じゃないんだろうと思っていたんですが、その正体が決して安易な設定じゃなく心霊や超常現象をテーマにした本作の内容に即したもので、ただただ脱帽。
学校に始まり学校に終わったシリーズで、麻衣の成長が著しく見られたのもこの第七巻。麻衣らしい、普通の人の感性で霊に寄り添って浄霊する展開、なんだかよくわからない涙がいっぱい出てしまった。そして渋谷サイキックリサーチに集った個性的な面々に告げる正直な気持ちや、ナルへの叱責、ああもう大人になったんだなあと思って嬉しく見守りました。
今後も続きそうだけれど、一応は出たけれどシリーズ中断なんですよね。何らかの形で読みたい。本当に面白かった。